公務員な石動惣一(偽)   作:完龍卞

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CHAPTER 0 後編

 

 

 「…………」

 

 

 ここはとあるライブ会場。

 

 そこにいるのは、逃げ惑う人々、泣き叫ぶ人々、棒のように立ったまま動かない人々、そして…………人間を襲う【ノイズ】と呼ばれるカラフルな色合いをした着ぐるみのようなもの。

 

 【ノイズ】…………それは人類共通の脅威とされ、人類を脅かす認定特異災害。特異災害対策機動部もまた、このノイズをはじめとした超常の災厄に対応するための組織である。

 

 13年前の国連総会で特異災害として認定された未知の存在であり、発生そのものは有史以来から確認されていた。

 

 歴史上に記された異形の類は大半がノイズ由来のものと言われ、学校の教科書にもその存在が記されているなど、知名度自体はそれなりに高い。空間からにじみ出るように突如発生し、人間のみを大群で襲撃、触れた人間を自分もろとも炭素の塊に転換させ、発生から一定時間が経過すると自ら炭素化して自壊する特性を持つ。

 

 それらを対抗するために、人間は世界各地の伝説に登場する、超古代の異端技術の結晶【聖遺物】を利用することにした。現代の技術では製造不可能なオーバーテクノロジーの産物で、遺跡から発掘される物は経年による劣化・破損が激しく、廃棄物でしかない欠片が大半を占めており、従来の力を遺した物はほとんど存在しない。

 

 ただしごく一部に本来の力を留めながらも基底状態のものが存在しており、聖遺物の力を引き出す素質を持つ者=適合者による歌によって、アウフヴァッヘン波形と呼ばれる固有の波形パターンと共に起動し、励起状態となって人知を超えた圧倒的エネルギーを解放することが可能となる。損傷が少なくほぼ完全な姿を保っているものは完全聖遺物と呼ばれており、一度起動すれば、適合者の歌を必要とせずに常時100%の力を発揮するのが特徴である。ただし完全聖遺物の起動には相応量のフォニックゲインと呼ばれるエネルギーが必要であり、この基準を満たすことは適合者単体では難しい。

 

 そしてこれら聖遺物を利用して造られた聖遺物の欠片のエネルギーを用いて構成される鎧型武装、またはそのシステムが【シンフォギア】である。櫻井了子の提唱する「櫻井理論」に基づき生み出された「FG式回天特機装束」の名称でもある。欠片の中に残った聖遺物の力が、適合者による特定振幅の波動=歌によって活性化しエネルギーに還元された後、鎧の形に再構成される。シンフォギアを装着する適合者は装者と呼ばれる。

 

 これらを利用することで、人類はノイズと戦う術を手に入れた。そして今日もまたシンフォギアの装者は人類の脅威へと戦いを繰り広げていた。

 

 

 「うぉおおおあ!!!」

 

 「やぁああああ!!!」

 

 

 二人のシンフォギアがノイズを倒す。二人の装者【天羽奏】と【風鳴翼】は表ではアイドルとして活動しているが、裏ではこのようにノイズ達と戦っていた。そして今日は彼女達がアイドルとして活動していた会場にノイズが現れたのだ。

 

 しかし、彼女達が戦う一方で逃げ惑う人々は次々にノイズに襲われていく。そんな時だった。

 

 

 『コブラ!』

 

 「…………ん?ってお、おいあんた!危ないぞ!」

 

 『ライダーシステム!』

 

 

 一人だけ…………逃げ惑う人々とは違い、ただ一人の人物は目の前で好き勝手する着ぐるみのような化物【ノイズ】へと視線を向けていた。そして腰に巻き付けられた赤・青・黄の三原色と言ったかなり派手なカラーリングをしたバックルのような物【エボルドライバー】に、両手にあるコブラの成分を秘めたボトル【コブラエボルボトル】と変身の核となるボトル【ライダーエボルボトル】を装填。

 

 

 『エボリューション!!!』

 

 

 すると彼はエボルドライバーに取り付けられているレバーを回転させ、エボルドライバーに装填しているエボルボトルが上下に動き出し、それからのボトルからパイプが伸びては彼を中心に前後へと「EVライドビルダー」が展開され、そのパイプの中を2種類の物質が通り型の中央でハーフボディが作られる。

 

 

 『Are you ready?』

 

 「変身」

 

 

 そして2つの型は固定している地面のスタンドに沿ってスライドし、天球儀のように回転しながら彼に組み合わさることで、【仮面ライダーエボル(フェーズ1/コブラフォーム)】に彼は変身した。

 

 

 『コブラ!コブラ!エボルコブラ!』

 

 『フッハッハッハッハ!』

 

 

 突如現れる、【仮面ライダーエボル】。突然ノイズに恐怖して動けなくなった青年かと思っていた彼女もとい天羽奏は突然姿を変えたことに驚愕していた。

 

 

 『エボル、フェーズ1。完了』

 

 

 すると仮面ライダーエボルは何処からか刀身にバルブが付いた片手剣のようなもの【スチームブレード】を取り出しては、目の前で好き勝手行うノイズへと走り出す。

 

 

 『遊んでやるよ、雑音』

 

 

 一気に近付いてはナイフのようなものでノイズへと一閃。途端にそのカラフルな体を一刀両断し、その体を炭と化したノイズを踏み潰す。

 

 更には【トランスチームガン】を取り出しては蒸気を纏った高熱硬化弾【スチームビュレット】を打ち込み、ノイズを炭化させていく。

 

 そしてまた別のノイズへとナイフのようなもので切り裂き、炭と変えてはまた別のやつを狙っては撃ち抜いていき、天羽奏や風鳴翼とは違う、圧倒的戦闘力は次々とノイズを殲滅させていく。

 

 

 「す、凄い…………」

 

 「ノイズを、意図も簡単に…………!」

 

 

 そのとき、風鳴翼はある異変に気付いた。それはその人物に次々と狩られていたノイズらが集まり始めていたのだ。

 

 

 「ッ…………おいおい、マジかよ」

 

 「ッ奏!ここは私に任せて…………」

 

 「いや、翼は周りのノイズを任せる。あたしは…………少しばかり時間稼ぎをやってくるよ」

 

 「でも!」

 

 「確かにあたしのシンフォギアは時限式だ。でも、時間を稼ぐだけの時間はある…………ほら、さっさと行ってきな!」

 

 「ッ…………ヤバくなったら下がるんだぞ!?」

 

 「ああ!」

 

 

 風鳴翼の時間を稼ぐ為、時限式のタイムオーバーに近付いているシンフォギアを無理矢理起こし、目の前で集まることで巨大化したノイズへと槍の穂先を向け、突撃。

 

 

 「おりゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 『…………なんだあいつ。まさか既にボロボロなシンフォギアで勝てると思って…………あ、吹き飛ばされた』

 

 「グゥあぁぁぁぁぁ!?!」

 

 

 ノイズはその巨大な腕で天羽奏を吹き飛ばす。するとそのまま吹き飛ばされた彼女はライブ会場の壁へとめり込み、そのまま落下。そして落ちる衝撃と共にひび割れていたシンフォギアは砕け、その破片を逃げていたオレンジ色の髪をした少女の心臓部へと突き刺さった。

 

 

 「…………え?」

 

 「ッしまっ…………!お、おい!大丈夫か!」

 

 「…………!」

 

 「ッ生きるのを、諦めるな!」

 

 

 意識が遠くなり始める、オレンジ色の髪をした少女。心臓部に突き刺さったシンフォギアの破片により、残った傷跡からは血が流れ、彼女の意識も遠くなり始めていた。

 

 

 「…………全力で、歌ってみるか」

 

 

 目の前で好き勝手するノイズを倒すため、彼女は決断した。

 

 【絶唱】それは装者の負荷を省みずにシンフォギアの力を限界以上に解放する歌。増幅したエネルギーを、アームドギアを介して一気に放出させるそれは力の発現、またはシンフォギアごとに異なるが、共通して発生するエネルギーは凄まじく、ノイズを始めとするあらゆる存在を一度に殲滅し得る絶大な効果を発揮する。しかし装者への負荷も、生命に危険が及ぶほどに絶大。反動ダメージは装者の適合係数の高さに伴って軽減されるが、そもそも適合率の高い適合者自体が稀でありLiNKERの負担や、追い詰められた状況で使用される負担やダメージもありいずれにせよ大きなダメージは避けられない。

 

 また、負荷が耐久限界を超えてしまうと死亡した上に遺体も塵となって完全に消滅してしまうほどの危険性を持つ。

 

 

 「ッ奏!」

 

 「…………じゃあな、翼。元気でn『おいおい、やめてもらっていいか?その自滅する気満々の会話を。こちとらお前を救済する目的で来てんだよ。』…………あんたは?」

 

 『俺の名前は仮面ライダーエボル、…………以後お見知り置きを』

 

 「そうか…………あんたに頼みたいことがa『嫌だね。どうせあれだろ?その餓鬼を頼むとかそんなことだろ?嫌だね。さっきも言ったが、俺はお前を助けるためにここに来ているんだよ。死んでもらっては困るっつうの』じゃあこの子はどうするんだよ!」

 

 『あ?そんなもん…………こうすれば良いだろ?』

 

 『ドクター!』

 

 

 そう言って仮面ライダーエボルは【ドクターフルボトル】をトランスチームガンへと装填し、心臓部から血を流すオレンジ色の髪をした少女へと引き金を引く。すると煙のようなものが噴射され、彼女を包み込み、その苦しんでいた表情は徐々に和らいでいった。

 

 彼がトランスチームガンに装填したのはドクター…………つまり医者の成分が注入されている【フルボトル】でその効果は相手を癒すのである。

 

 

 「傷が…………」

 

 『んじゃ俺は…………あいつをやりますか』

 

 「お、おい!」

 

 

 オレンジ色の髪をした少女の傷を癒した仮面ライダーエボルは目の前で好き勝手する巨大化したノイズへと歩み寄っていく。

 

 近づいてくる仮面ライダーエボルに気付いた巨大化したノイズはその巨腕を振り落とそうとすると同時に彼も【エボルドライバー】のレバーを回し、電子音を辺りへと響き渡らせる。

 

 

 『クククッ…………さあ、お前は何処まで耐えられるんだ?』

 

 

 そして星座早見盤を模したフィールドを足元に展開して、生み出したエネルギーを右脚に収束してストレートキックを巨大化したノイズへと叩き込んだ。

 

 

 『エボルティックフィニッシュ!!!』

 

 「「「…………??!?」」」

 

 『Ciao!』

 

 

 驚異的なエネルギーを叩き込まれた巨大化したノイズは最後には散り散りとなり、そのまま消滅。一瞬にして彼に敗れたのであった。

 

 

 「ノイズを、一瞬で…………」

 

 『ハッ、肩慣らしにもならねえな…………おっ、お前さんの相方が来たぜ?』

 

 「え?」

 

 「奏!」

 

 「う、うお!?…………って翼か」

 

 「大丈夫なのか!?」

 

 「え?ま、まあ一応…………」

 

 『ふぅ、さて俺は帰ろうかな…………っとその前に。おい、天羽奏』

 

 「ん?なんだy!?」

 

 「なっ!?貴様!」

 

 

 突然仮面ライダーエボルは何も注入されていないロストフルボトルを天羽奏へと向けた。すると彼女が纏っていたシンフォギアは消失し、粒子化したそれはそのロストフルボトルへと吸収された。

 

 

 「か、奏?大丈夫か!?」

 

 『ふぅ…………お代はこれで良いよな』

 

 「貴様!奏に何をした!」

 

 『あ?んなもん、報酬を貰っただけだよ。まさかお前?善意で俺に命を助けられた思ってる?世の中を甘く見ちゃいけないね〜…………俺はそんな善人でもないし、正義の味方でも、ヒーローでもねえんだよ』

 

 「き、貴様!」

 

 

 チャキ!とその手に持つ刀の刃先を仮面ライダーエボルへと向ける風鳴翼。しかしそんな彼女を止めたのが彼にシンフォギアを奪われた天羽奏だった。

 

 

 「っ奏!?」

 

 「良いんだ、翼…………コイツのお陰で、さっきまで感じていた怠さが無くなった」

 

 「え!?それってつまり…………」

 

 「ああ、【LiNKER】の後遺症も吸収されたんだろ」

 

 『あ?【LiNKER】?』

 

 

 【LiNKER】とは聖遺物及びシンフォギアへの適合係数が基準値に満たない者を、投与によって係数不足分を補い人為的に適合者へと成す、聖遺物の力と人体を繋ぐための制御薬。

 

 しかし時間経過での適合率の低下、引き上げた適合係数に応じた肉体への致死性負荷など欠点も多い。

 

 ゆえに運用には効果の制限時間設定、適切な体内洗浄法、そして使用者個人に併せた成分の調整等が不可欠となる。

 

 仮面ライダーエボルが翳した何も注入されていないロストフルボトルはシンフォギアの成分と【LiNKER】を吸収したのである。

 

 

 『まあ、良い』

 

 「…………あんたは何もんなんだ?」

 

 『俺か?俺は仮面ライダーエボル、ただの悪党だよ悪党』

 

 「悪党?あたしからしたらヒーローにしか思えないが…………」

 

 『いーや、悪党だ。今から言うことは、しっかりと覚えとけよ?俺はいつか、必ず動き出す。それまでに対抗策でも考えときな。Ciao〜♪』

 

 

 そう言い、仮面ライダーエボルは自身の体を紅い何かで包み込み、持ち前の高速移動でその場から消え去った。そしてその場に残ったのは気絶するオレンジ色の髪をした少女と天羽奏、風鳴翼の三人だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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