公務員な石動惣一(偽)   作:完龍卞

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CHAPTER 1

 

 あのライブ会場の惨劇から二年後。

 

 ツヴァイウィングの公演中に認定特異災害ノイズが大量発生した一件。

 

 その場には、観客・関係者あわせて10万を超える人間が居合わせており、 死者、行方不明者の総数が、12874人にのぼる大惨事であった。

 

 これだけでも他に例を見ない規模の事故であったが、悲劇はここで終わらず、さらに連鎖していく。

 

 被害者の総数12874人のうち、 ノイズによる被災で亡くなったのは全体の1/3程度であり、 残りは逃走中の将棋倒しによる圧死や、 避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが、 週刊誌に掲載されると、一部の世論に変化が生じ始める。

 

 死者の大半が人の手によるものであることから、生存者に向けられたバッシングがはじまり、被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことから、苛烈な自己責任論が展開されていくのであった。

 

 週刊誌の記事内容は取材に基づいた正確なものであったが、気持ちを煽る華美な修飾語の数々に踊らされた人々は、正しさを振りかざし、主にインターネット上に持論を繰り広げる。それはやがて、この事件に関係もなければ興味もない人間までも巻き込み、ある種の憂さ晴らしとして狂熱的に扱われることとなる。

 

 心ない中傷も、マジョリティという後ろ盾に支えられることで正論と化し、自分の意見でなく、「他のみんなも言ってるから」という正体を失った主張がまかり通ると、もはや、中世の魔女狩りやナチスの蛮行にも等しい、正義の暴力として吹き荒れるのであった。

 

 善良な民衆が懐く市民感情は、どこまでもねじれ、肥大化し、ただ「生き残ったから」という理由だけで、惨劇の生存者たちを追い詰めていく。もちろん、一連のムーブメントに対する反対派も存在していたが、付和雷同という大多数の民衆が持つ本質によって封殺され、しばらくは大きなうねりの中に埋没することを余儀なくされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□

 

 

 一方、あのライブ会場の惨劇の裏側では、【特異災害対策機動部二課】の指揮のもと、秘密の実験が行われていた。

 

 ツヴァイウィングの歌唱と、そこに連なるオーディエンスたちから放たれるフォニックゲインにて完全聖遺物であふ【ネフシュタンの鎧】を起動させる実験である。

 

 実験は一応の成功を収め、完全聖遺物であるそれは起動するのだが、直後発生したノイズがライブ会場を席巻し、その混乱に乗じて【ネフシュタンの鎧】は行方不明となったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから二年の月日が経つ。

 

 あの日、【ネフィシュタンの鎧】が行方不明となった【特異災害対策機動部二課】に新たな科学者が配属された。科学者の名は【影山信彦】彼が作り出した新たなシステム【ライダーシステム】を使えば例えどんな人間だろうがノイズを倒せるという、適合者でしか使えないシンフォギアとは比べ物にならない程万能なものだ。

 

 しかしこれの制作は彼にしか出来ず、政府に一部を彼が提出するが解析は不可能。【シンフォギア】を開発した櫻井了子でも解析は出来なかった。

 

 そこで影山信彦は何処から仕入れたのか【特異災害対策機動部二課】の名前を出し、それに所属すると同時に給料をくれるのであれば、技術提供を行おうと提案。これにより、彼は【特異災害対策機動部二課】の新たな一員として仲間入りを果たしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リディアン音楽院の地下深くにある【特異災害対策機動部二課】、そこにある数多くの研究室の一室、そこには室内であろうが関係なくサングラスを掛け、髪は七三、黒の蝶ネクタイに赤のベストを着用し、ヨレヨレの白衣を肩掛けする男が猫背でカチャカチャとキーボードをタッピングしていた。

 

 彼の名前は【影山信彦】、【特異災害対策機動部二課】に新たに所属した科学者であり、聖遺物でなくてもノイズを対処することが可能な【ライダーシステム】を開発した人物でもある。

 

 

 「…………ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

 

 

 するとゾンビのような声を上げ、背筋をグギグギ言わせながら伸ばす。そしてパソコンの横に置かれていたエナジードリンクへと手を伸ばし、グイッと一飲みしてはまたしてもカチャカチャとキーボードをタッピングし、音を鳴らす。

 

 今彼がパソコンで行っているのは、【ライダーシステム】の新たな企画書だ。

 

 【対ノイズ生命体戦闘用特殊強化服(パワードスーツ)】、第3世代型戦闘用特殊強化外骨格および強化外筋システム正式名称は【GENERATION-3(ジェネレーションスリー)】。第1世代【ライオトルーパー】や第2世代【黒影トルーパー】に続く、新たなライダーシステムである。

 

 基本カラーはコバルトブルー。複眼・MDSSの色は赤がかかったオレンジ。人体への改造および超自然的な力を施さず、装着型の武装のみで完結している【ライダーシステム】だ。

 

 ノイズとの戦闘データを基に理想的なパワーバランスを保つように設計されており、装着することで常人の10倍のパワーを発揮可能。またスペック上の防御力は【ライダーシステム】の中でもトップクラス。その代わり動力源として背部にバッテリーパック【ゼロエミッション・フューエルバッテリー】を装備しており、活動時間の限界が存在する。バッテリー残量は腰部のGバックルに表示される。ジュラルミン合金製の外装に、装備一式は通常は専用サポート車であるGトレーラーに積載。専用バイク【ガードチェイサー】もある。

 

 

 「…………ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

 

 「終わったか?信さん」

 

 

 聞こえてくる愛称に、彼は後ろを振り向く。そこには赤い長髪をしたダイナマイトボディな女性【天羽奏】が空いた扉を閉じないように寄りかかっていた。

 

 

 「ん?…………なんだ、嬢ちゃんか」

 

 「っあのな…………その嬢ちゃんっての辞めてくれないか?」

 

 「いんや、俺にとってお前らは嬢ちゃんだ。認められたければ、何かどデカいことやってみろよ」

 

 「どデカいことって…………んで?今回は何を作るんだ?」

 

 「今回作るものは…………【仮面ライダーG3】、デメリットは黒影トルーパーやライオトルーパーより多くあるが、その分防御力と防衛戦に長けている。最近リディアン音楽院の周りでノイズが発生するだろ?だから防衛戦用で作ったって訳」

 

 「へー、凄いんだな」

 

 「スッゲー棒読みだな」

 

 「しっかし、凄いよな信さんは。了子さんでも解析出来ない技術を持ってるなんて」

 

 「まあな。なんかその分敵視されてるがな」

 

 

 カチャカチャとパソコンやら様々な道具やらを鞄の中に収納していく、影山信彦。そして机の上に置いてあるエナジードリンクを飲み干し、近くにあったゴミ箱へと投擲。そのまま出入口へと向かう。

 

 

 「終わりか?」

 

 「ああ、帰る次いででここに来たんだ」

 

 「んじゃ送ってくよ。ついてこい」

 

 「おっ、サンキュー!」

 

 

 影山信彦の言葉に礼を言い、後ろをついて行く天羽奏。すると肩掛ける白衣の胸ポケットから煙草を取り出し、一本口にくわえては先っぽに着火。一回吸っては下に向けて煙を吐く。

 

 

 「おいおい、禁煙だろ?」

 

 「俺は良いの。煙、大丈夫か?」

 

 「んー…………そこまで。あたしは煙草とか好きでも嫌いでもないしな」

 

 「そうか…………」

 

 「うん…………あれ?普通ここって煙草吸うのやめんじゃないの?」

 

 「ここで止めるのは少女漫画とかだけだよ」

 

 

 ガシガシと天羽奏の頭を乱暴に撫でる影山信彦。

 

 

 「ちょ、やめ!」

 

 「おうおい嫌がんな。餓鬼は素直に受けとけ」

 

 「むぅ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天羽奏と影山信彦の関係…………それは、仮面ライダーエボルによって変身する能力を失い、戦えなくなったことによる自分の情けなさに自暴自棄になっていた時だった。【特異災害対策機動部二課】に新たに所属することになった影山信彦は職員との対面、そして研究室への案内が終わり、荷物を解いている時に彼女は彼の元に姿を現した。

 

 

 『あ?なんだお前…………なんの用d『あたしに…………翼と一緒に戦える力を、くれないか?』…………あ?』

 

 

 初めての会話がこれ↑。

 

 ライブ会場の惨劇では、自身の弱さと不甲斐なさが原因だと考えていた彼女は、シンフォギアに次ぐ新たな力を欲していた。

 

 当然彼は拒否をし、こう言った。

 

 

 そんなことしている暇はない!戦いたければ、黒影トルーパーを使え!と。

 

 

 すると彼女はこう言った。

 

 

 あれじゃ、駄目だ!あれじゃあたしはまた、力を失うし、助けを求める人も救えない!と反論したのだ。

 

 

 そう言われた影山信彦はキョトン、とした表情をしたと思いきや、少し険しい顔で考えると、こう彼女に問いた。

 

 

 『お前にとって、シンフォギアやライダーシステムをどういうものだ?』

 

 『…………は?なんで、そんなこと…………』

 

 『重要な事だ。どうなんだ?』

 

 『…………ノイズから、人々を助けるもの?』

 

 『なんでそこで疑問形だよ…………俺にとってライダーシステムは、【LOVE&Peace】だ』

 

 『LOVE&、Peace…………』

 

 『愛と平和だ。確かお前は黒影トルーパーとは段違いのものを欲していたな?』

 

 『あ、あぁ…………ある、のか?』

 

 『だがこれはまだ安全確認をしていない。それでもこれを使いたいか?お前が言う、翼とか言う奴をと一緒に戦いたいのか?』

 

 『…………ああ。あんたが言う、LOVE&Peaceのようにあたしは翼と一緒に戦いたい』

 

 

 天羽奏の言葉に、影山信彦は笑みを浮かべ、持っていたバックから二年前、彼女達の目の前に現れた仮面ライダーエボルがつけていた物に似たベルト【ビルドライバー】を取り出し、投げ渡す。

 

 

 『こ、これって!?』

 

 『エボルドライバーの海賊版だ。お前らも会ったことあるんだろ?仮面ライダーエボルに』

 

 『か、仮面ライダーエボルって名前なのか…………』

 

 『あいつのライダーシステムとそれはほぼ一緒だ。つまりやり方によっては倒すことも可能。それ、お前にやるよ。一度変身しちまえば、それはもうお前の物だよ』

 

 『あ、ああ!ありがとう!』

 

 『名前』

 

 『…………え?』

 

 『ライダーシステムの名前知らなくていいのか?』

 

 『なんて言う、名前なんだ?』

 

 『仮面ライダービルド。変身にはこの二つを使う。ちなみに此奴もやるよ』

 

 

 同じくバックから兎の絵柄が描かれたボトルのようなもの【ラビットフルボトル】と戦車の絵柄が描かれたボトルのようなもの【タンクフルボトル】を取り出しては彼女へと投げ渡す影山信彦。

 

 

 『変身の仕方は至ってシンプル。まずベルトを腰に当て、二本のボトルを窪みに突き刺し、ベルトのレバーを回転させるだけだ』

 

 『い、良いのか?』

 

 『ああ…………なんかあったら俺のとこ来いよ。故障とか壊れたりしたら治してやるよ』

 

 『ああ、ありがとな!信さん!』

 

 『っの、信さん?俺のことか?』

 

 『え?そうだが…………嫌だったか?』

 

 『…………別に。まあ、後は頑張れよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うっし、ヘルメットはしたか?」

 

 「勿論!」

 

 

 時間は戻り、場所はリディアン音楽院の地下駐車場。そこには影山信彦の愛車である所々に【レッドランパス】が置かれていた。基本カラーは赤で各部にダイヤマークが組み込まれ、動力系に超小型原子力エンジンを採用しており、通常のバイクとは比較にならないほどのスペックを持つ。

 

 また内部にはコンピュータ【SPC-ジェネシス】が搭載されており、影山信彦の意志を受けての無人走行が可能と言う高性能のバイク。

 

 ちなみにこれも、ライダーシステムを利用している。

 

 

 「んじゃ、行きますか」

 

 「おう!」

 

 

 アクセルを回し、爽快なエンジン音と共に走り出す【レッドランパス】。ちなみにこのバイクも彼が作成したもので、ノイズも倒すことが出来る。

 

 そう、つい今ノイズを轢いたように。

 

 

 「…………あ」

 

 「な、ノイズ!?信さん!」

 

 「あ、ああ…………凹んでないかな?」

 

 

 ノイズよりもさっき轢いたことにより轢いたことでレッドランパスが凹んでないかの心配をする、影山信彦だった。

 

 

 「よし!」

 

 「ふぅ、凹んでないな…………」

 

 「いや、バイクより今は目の前のノイズをどうにかしないと…………」

 

 「分かってるよ…………チッ、今回は俺もやらせてもらうぞ!」

 

 「っおお!」

 

 

 天羽奏は腰に【ビルドライバー】を、影山信彦は自身だけが使える専用の変身ベルト【ギャレンバックル】を♦Aのラウズカードを差し込んだ状態で腰に宛がい、自動的にベルトが伸びて腰に装着。そして彼女は【ラビットフルボトル】と【タンクフルボトル】をシャカシャカと振り始める。

 

 

 「俺の愛車に当たり屋をしてきたてめぇらは、絶対に許さない…………変身!」

 

 『Turn Up』

 

 

 掛け声と共に彼は【ギャレンバックル】に付けられていた【ターンアップハンドル】を引く。すると電子音声と共にギャレンバックルのリーダーが回転し、 等身大のカード型エネルギーフィールド【オリハルコンエレメント】が前面に放出。そして彼はそのエレメントへと走り出し、通過する事で【仮面ライダーギャレン】へと変身した。

 

 

 「よし!あたしも!」

 

 

 変身した影山信彦に便乗するように、天羽奏はシャカシャカと振って中身を活性化させた二本のボトルをビルドライバーへと装填。

 

 

 『ラビット!タンク!』

 

 『ベストマッチ!』

 

 

 右側にある【ボルテックレバー】を回転させることで中央にあるエネルギー生成ユニット【ボルテックチャージャー】が作動し、2つのフルボトルからパイプが伸びて前後にプラモデルのランナーのような型の高速ファクトリ―【スナップライドビルダー】が生成され、そのパイプの中を2種類の物質が通り型の中央でハーフボディが完成。

 

 

 『Are you ready?』

 

 「変身!」

 

 

 2つの型を固定している地面のスタンドに沿ってスライドし、彼女へと組み合わさり、天羽奏専用のライダーシステム【仮面ライダービルド(ラビットタンクフォーム)】へと変身した。

 

 

 『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!』

 

 『イエーイ!』

 

 『…………うっし!行くぞ、信さん!』

 

 『あぁ…………ついてこい』

 

 

 出現した多くのノイズへと同時に走り出す、仮面ライダーギャレンと仮面ライダービルド。

 

 仮面ライダービルドはドリル型の武器【ドリルクラッシャー】を、仮面ライダーギャレンは銃型カードリーダーであり、ギャレンの主武装の【ギャレンラウザー】を使ってノイズへと攻撃。

  

 

 『ハッ!フッ!セイ!』

 

 『フン!』

 

 

 まず始めに仮面ライダービルドが前方にいるノイズを【ドリルクラッシャー】を回転させては切り裂き、次に仮面ライダーギャレンが彼女の後方にて不意打ちを仕掛けようとするノイズを【ギャレンラウザー】で撃ち抜いていく。

 

 少しずつノイズは減っていき、小さいヤツは居なくなったかと思いきや、巨大な要塞型のノイズが姿を現した。

 

 

 『んな!?』

 

 『要塞型か…………敵ではない』

 

 

 そう言って仮面ライダーギャレンは銃身の後部に収納する特殊なカードを取り出そうとオープントレイに触れようとする。しかし突如空から斬撃が飛ばされ、要塞型は真っ二つに。

 

 舞い降りるように、彼らの目の前に【天羽々斬】と呼ばれる聖遺物を身に纏う、【風鳴翼】が現れた。

 

 

 『翼か!?ナイスだ!』

 

 「…………奏か!それと…………影山さん」

 

 『よっ…………ナイス防人だ。わざわざラウズカードを使わなくて済んだわ』

 

 「いえ、防人として当然のことをしたまでです」

 

 『ご謙遜を…………まあ、いい。俺はこのまま嬢ちゃんを家まで送るが、お前はどうする?』

 

 「そうですね…………一度、本部に帰還します」

 

 『そうか…………それじゃあな?』

 

 「はい、それではまた明日に」

 

 

 風鳴翼は迎えに来た黒のワゴン車に、変身を解除した天羽奏と影山信彦はレッドランパスへと乗り込み、この場から去っていく。

 

 しかし、レッドランパスで去っていく影山一行を影から見る者の姿が…………

 

 壊れた原作は、今動こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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