【ケース24:うぬの名は】
デデーン!
「蠢け! 第
「いきなりどうした彰利」
「第一問!」
「おい」
「サザエさんの笑い声といえば!?」
「えっ……サザエさん? あー……ウフフフフ、じゃないか? じゃんけんぽんの後の」
「クズが!!」
「いきなりなんなんだよおい!」
「見損なったヮダーリソ! サザエさんの笑い声っつーたら───ほい中井出!」
「ハッハッハッハだな!」
「ちょっと待てそんな笑い方なわけ───」
「正解!」
「本気か!?」
「第二問! サザエさんの叱る声は!?」
「叱るって……サザエさんが叱る相手ってカツオ以外居なくないか!? カ、カツオ! とかか?」
「クズが!!」
「だからちょっと待て! そもそもなにを目的としたクイズなんだこれ!」
「サザエさんの叱る声って言やぁハッハッハッハに決まってンべョ!!」
「叱る声がそれなのか!?」
「じゃあ三問目じゃけんど……ここまで来りゃあダーリソでも解るよね? サザエさんの遊ぶ声は?」
「…………ハッハッハッハ?」
「クズが!!」
「違うのかよ!!」
「んにゃ正解」
「この野郎!!」
さて。モミアゲさんが龍と契約してから一息。
老人たちは騒ぎにも慣れたもので、龍を見ても“おお……生きておるうちにこんなものを見れるとはのう……”と平和に考えていたりもしました。それよりも食事です。焚き出し、美味し。そうして焚き出しが空になり、老人たちも満足すると、皆がモミアゲさんに感謝して、それぞれの家へと戻っていきます。
その足取りは軽いもので、自然の加護と、トンガリさんが発生させている癒しの月操力が、少しずつバリアの内側に溜まった結果、老人たちの体を活性化させた結果です。
中には「最近腰の調子がいいのぅー!」と勢いよく腰を捻ったりする老人も居て、終いには走り出したりもしています。
が、それはそれとして。
「どおれ真打は最後に登場するもの。今からこのアタイが、アタイに関連する者の召喚を行なってくれるぜ~~~っ!」
「ねぇねぇ晦、なにが出てくると思う? 僕はね、彰利一等兵のことだからヘンテコな存在が出てくると思うんだ。たとえ死神でも」
「あー……そういえばそうだよな、関連性があるっていったって、種族として関連性があるってだけで、実際に係わった未来の誰か、が出てくるとは限らないわけか。提督の場合は別の時間軸のドリアードだったわけだし、俺の場合は龍ってだけだし」
「あ、でも晦自身が一体じゃなく、様々な龍族と関連性を持ってた、って未来もある可能性も否定出来ないよな」
「それ、実はちょっと考えてた。大体、どんな未来を歩けば龍族なんかと関連性を持つんだって話だよな……」
「それ言ったら俺なんてドリアードだぞ?」
「だよなぁ……あ、そういや提督、彰利。バハムートのことなんだけど」
「お? どした?」
「なになにダーリソ」
場所はドリアード像の祠の傍。そこに早速建てた小さな祠と、そこに祀られた龍の像の前に三人は立ち、ガヤガーヤ・ガ・ガヤリ・ガヤリータと話し合っております。
いよいよ死神の舞いを舞おうとするトンガリさんですが、さすがに緊張しているようで、なにかしらの話題が出るなら即座に乗ろうと構えていたこともあり、バハムートの話題にあっさりと乗っかってきます。
「バハムートがさ、契約のついでに俺に従者をつける、とか言ってるけど……どうする?」
「従者!? なにそれすげぇじゃねーの!」
「ず、ずるいぞ晦一等兵! 僕の時、ドリアードはなにも言ってくれなかったのに!」
「そりゃ夢に出ただけでボロクソ言われりゃ言いたくもねーべョ」
「グ……グウウ~~~ッ……!!」
「じゃけんども従者か。作業効率もあがるし、えーんでない? のう、中井出YO」
「そだね。いいと思うよ僕も」
「そか。それじゃあ───バハムート、従者の話だけど……」
同意を得て頷くと、モミアゲさんが己のモミアゲに向けて語り掛けます。
その姿を見て、彼らは思いました。「「頭大丈夫かこいつ……」」と。
「おいちょっと待てお前ら! そもそも人の髪に真龍王入れようと決めたの、提督だからな!? ていうかそこは思ってても言うなよ泣きたくなるだろうが!」
「キャア口に出ちゃってた!」
「あ、ところで真龍王サマ? その従者さんは、雄で……あらせられますか?」
雄だったらきっと腹筋バッキバキの龍が来るんだろうなぁ、なんて、腹のでっぷりしたドラゴンのイメージは完全に無視して期待をするモブさん。
腹筋バッキバキドラゴンはなんだか召喚獣のイメージで、お腹でっぷりドラゴンはモンステウなイメージですよね。
そんなわくわくさんな彼の質問に応えたのは、モミアゲさんの立派で美麗なモミアゲでした。
『いいや、雌だ───』
「「あ、チェンジで」」
『が……』
即答でした。輝くモミアゲに向けて、二人は即答で返したのです。
「お、おいおい彰利? 提督? どうしたんだよ、雌でなにか不都合が───」
「馬鹿! ダーリンの馬鹿!」
「ちょっ……おいおいおいまずいって晦……! ちょっとこっち、こっちこい……!」
「いやおい、こっち来いもなにも、提督の所為で髪に宿られてるからどこ行ったって同じなんだが」
「そげなこと言ってる場合じゃねィェー!! あんねぇダーリン!? 異世界でドラゴンで雌なんてアータ!」
「そうだ! 雌なんていったらお前……!」
「……二人で一緒に言うってことは、なにかただならない理由があるんだな?」
二人の焦った様子に、モミアゲさんは心と表情を引き締めて二人に向き直ります。
大体の場合はとてもくだらない理由だったりするのですが、今回ばかりはそう……違いました。
「ええか悠介……異世界で人外の存在が主人公系の誰かに就く……! そげなの……! そげなのなぁっ!」
「「あとで人化するに決まってんだろーが!!」」
……とても、どころかとんでもなくくらだねぇ理由だったのです。
彼はしばしぽかんとした表情のあと、フッ……と引き締めていた表情を緩めて言いました。
「よーしとりあえず殴らせろ」
「いいだろう全力で抵抗してやる殴るからには覚悟キメろよコラ差し違えてでもブチ殺してやるかかって来いオラァ!!」
「なんでそこまで必死で殴り返そうとしてるんだよ!!」
「テメーがテンプレしようとしてるからじゃよダーリンこのタコ! 異世界で魔物だの人外だのを味方にしたら、しかもそやつが雌だった場合はほぼ100%の確率で人化するんだよ! あっちゃならねぇ! そげなことは未然に防ぐ! 誰がさせるもんですか!」
「い……いや、お前までそんなに怒ることなのか? べつにほら、優秀だっていうなら───」
「バカモン晦この馬鹿! 馬鹿が! 馬鹿! 体張ってでもこの馬鹿! 親友を止めんとする馬鹿! 彰利の気持ちが馬鹿野郎! 何故わからぬこの馬鹿! 貴様このままじゃこの馬鹿! なんか急に人の姿になったこの馬鹿! 龍族に惚れられたりするんだぞこの馬鹿! 馬鹿! 馬鹿が!」
「いちいち馬鹿馬鹿言わないでくれないか!? ぃゃっ……これほんとそんな馬鹿な行動か!? 普通じゃないか!? えっ……馬鹿なのか!?」
え、えー……? と本気で戸惑うモミアゲさんを見て、トンガリさんもモブさんもとほー……と頭を痛めました。
彼には異世界テンプレがわからぬ。このままでは近い内、自分らの知らぬ間にいつの間にか亜人の嫁が出来ていそうであるとすこぶる戦慄しました。
「なんで主人公ってのはこうおなごばっか引き当てるのかもー……!」
「あ、真龍王サマ? 雄をお願いします。居ないならむしろそれで平気ですから」
『遠慮をするな。私が言うのもなんだが優秀な部下だ』
「いや
「これ彰利一等兵っ! やめなさいっ!」
「あ、あー……よくわからんが、えーと……バハムート? 悪い、従者の件は───」
『龍族は苦手か? まあ人の身ならば怖気もあるだろう。ならば別の種族を付けるが』
「別の種族! おお、もしや龍族と深い繋がりが?」
『フフ、なかなかに察しがいい。過去に災厄から救った機会があり、その頃から付き合いのある種族だ』
「おお素晴らしい……!」
「………」
「………」
モブさんが丁寧な会話を心がけて話を続けます。
が、トンガリさんにしてみればモミアゲに向かって丁寧に話す頭のイカレた変態。モミアゲさんにしてみれば自分の髪の毛に語りかけるおかしな性癖の変態でしかありませんでした。