この素晴らしい世界で茶屋ルートを!   作:空を泳いで仙郷に到り竜の涙を強奪する変態

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身体力攻め力1+艱難辛苦+厄憑で隻狼を(半年前に)クリアした記念に投稿。
辛かった。ただただ辛かった。苦行だった。狼を名乗るなチワワ。



この日本茶屋「葦名」に素晴らしい一日を!

 ちゅんちゅんと鳥の声が聞こえる爽やかな朝。

 大通りに面する店先に、一人の少年の姿があった。

 

「天気良し、仕込みも良し、店先も掃き清めた」

 

 指を折りながら箒を片づけた黒髪の少年は店の引き戸を開け、暖簾をかける。

 レンガ造りと石畳の町並みで、そこは一風変わった店構えをしていた。

 木造、畳敷き、瓦の屋根。見る人が見れば和風と分かる異国建築だ。

 暖簾と少年が立てたのぼり旗に書かれているのは、日本茶屋「葦名」。

 陽の光の元で堂々と建つ店構えに、少年はムフーと胸を張った。

 

「九郎様」

「おお! 戻ったか、狼よ」

 

 少年、九郎はパアッと笑って通りを歩く男を出迎える。

 狼と呼ばれた壮年の男は跪き、九郎に包みを差し出した。

 

「申し付けられた魔道具の補充品、受け取って参りました」

「うむ、ありがとう狼よ。しかし、朝早くからウィズ殿に手間を取らせてしまった。気を悪くしていなかったか?」

「いえ……詫び代わりに朝餉をお裾分けしたのですが、泣いて喜んでおられました。久々に固形の食事が取れる、と」

「そ、そうか。あの方は相変わらずじゃな。……ふむ、(いとま)ができたらいらして頂くべきか。思えばウィズ殿は一度も来店されておらぬしな。あの方には一度、私の菓子を味わって貰いたい。

 お礼も兼ねてそうすべきと考えるが、そなたはどう思う?」

「御意のままに」

「御意、か……そなたはもう私の忍びではないのだぞ?」

「我が生涯の主は、九郎様と定めておりますゆえ」

「全く、そなたは頑固じゃのう」

 

 苦笑する九郎にばつが悪そうに顔を伏せる狼は、のぼりはためく「葦名」を見上げた。

 

「して、準備は整われたのですか?」

「おうとも! この魔道具を炊事場に運べばすぐにでも開けるぞ!」

「では、お運びいたしましょう」

「いや、良い。このくらい私がやらねばな。狼は客引きを頼めるか? そなたが立つ日はいつもより繁盛するのでな。

 ……ん? ふふ、狼よ、そのような顔をしてもダメじゃぞ。茶屋を開いてもう三月(みつき)、日を跨いで給仕に回るとはいえ、よもや客あしらいに未だ慣れぬとは言わせぬぞ?」

「は……」

「そなたには悪いと思うが、平和に生きるとはこういうことじゃ。――もう、そなたは人を斬らずとも良い。我らの因果は、もはや我らを縛らぬのだ」

「は――」

「……少ししんみりしてしまったな。よし、今日は一段と元気よく行くぞ!

 日本茶屋「葦名」、開店じゃ!」

 

 手を突き上げ満面の笑みを咲かせる九郎に、狼は頬を緩ませる。

 これは素晴らしき世界にて綴られる、孤独な主従が夢見た物語。

 

 

 

 

有死之榮 無生之辱

 

 

 

 

 時は戦国、日ノ本の北に葦名の国あり。

 剣聖葦名一心が一代で興し、二十余年を経て存亡の鍔際にあった国。

 雪深い土地に紡がれし特殊な一族に生まれた九郎は、その血に特別な力を宿していた。

 

 血を受けし者を不死と成す、神なる竜の血、竜胤。

 

 もはや尋常の力では葦名を救えぬと憂いた将によって九郎は囚われとなる。

 竜胤の御子と呼ばれながらも天涯孤独ゆえ、家族も家臣もなにもない。

 ただ一人の忍びを除いては……

 孤独な主従の竜胤を巡る因果の物語は、やがて竜胤を返す道へと繋がった。

 西へ、神なる竜の故郷へ。長い旅の末、竜胤返しを果たした彼らは――

 

 ――色のない濃霧に見舞われ、気づけば異世界に立っていたのだ。

 

「いらっしゃいませー! 「葦名」へようこそ、お客人! どうぞゆっくりしていってくれ!」

 

 少年の快活な声が茶屋内部より聞こえてくる。

 正午も近い晴れ渡った日。今日も日本茶屋「葦名」は盛況であった。

 

「おっ、今日は狼の旦那が客引きか! 相変わらず愛想がないねえ」

「……」

「こんにちは、狼さん。今日もお邪魔するわね」

「……」

「ご無沙汰してます、狼殿。この前の依頼では大変お世話になりました。またよろしくお願いします」

「……」

 

 店先に立つ狼に皆が一声かけて暖簾をくぐっていく。無愛想だが憎めぬ姿に客は微笑んでいた。

 するとそこに一人の男がやってくる。チンピラ冒険者のダストだ。

 

「よーっす、狼の旦那。今日も飯食いに来たぜー」

 

 ダストは気安い調子で暖簾をくぐろうとする。

 しかしその前に狼が立ちはだかった。

 

「な、なんだよ」

「……お主は、出禁だ」

「なんで!?」

 

 狼の眼光に気圧されるダストは慌てて理由を聞く。

 

「ど、どういうことだよ狼の旦那!」

「……明かせぬ」

「はあ!?」

「明かせぬ」

「ちょっ、てめっ、顔が良いからって調子に乗りやがって! なにが「明かせぬ」だ! かっこいい声で言えばすむと思うんじゃねーぞ! おい、どこ見てんだ狼の旦那! さては説明が面倒でごまかすつもりだな!? こっち見やがれ、俺はまだちょっと悪酔いして喧嘩しただけでお前に宿を追い出された件ゆるしてねーからな!!」

「……」

 

 狼は無言で楔丸に手をかけた。途端チンピラは土下座する。

 

「ナマいってすんませんでした!!」

「……」

「――何やら騒がしいな。狼、どうかしたのか?」

「……九郎様」

 

 狼がダストを追い払おうとしていると、騒ぎを聞きつけて九郎が出てくる。黒髪をさらりと風に任せる少年は、土下座するダストを見て「ああ」と苦笑した。

 

「ダスト殿。申し訳ありませぬが、あなたはしばらく出禁と相成ります」

「そんな殺生な! せめて理由を説明してください九郎様!」

「……以前いらした時、酔っ払って店の設備を壊したゆえにございます。こちらとしてもこういったことはあまり好まぬのですが、ダスト殿はその、少々前科が……」

「うっ……いやでも、俺はもう九郎様のおはぎの虜なんですよ!? あの味を覚えさせておいて出禁なんてあんまりじゃないですか!」

「うーむ……まことに反省してくださるのであれば、出禁をくつがえすこともできますが……」

「マ、マジですか!?」

「――ただ、エマ殿が怒っておりまして……」

「すんません出直します出禁が解けたらしらせてくださいそれじゃさよなら――ぶへらっ!?」

 

 ダストは全速力で逃げ出した。しかし何もない所で転んでしまう。

 顔から地面に突っ込むダスト。「ちくしょーなんだよ!」とダストが起き上がると――そこにはにっこりと微笑む妙齢の薬師がいた。

 

「おや、ダスト殿。そんなに急いでどちらへ行かれるのですか?」

「……エ、エ、エマ、の姉御……」

「姉御だなんて、相も変わらずおかしな呼び方をする人ですね。まあ、私は構いませんが、以前いらした時に壊した設備の弁償について少々お話が――」

「いやあの俺、これからクエストあるんで! 仲間が待ってるから早く行かなきゃなんないんで! 弁償したいのは山々なんですが金もないんで稼いでこないと! いやー残念だなー弁償する気はあるんだけどなー!」

「時間は取らせませんよ。少しばかり――治験に協力して頂くだけで結構ですから」

「それが一番いやなんですけど!? いやあのマジで止めてくださいエマの姉御! ちょっ、(つよ)!? 力(つよ)!? ゴリラかよこの女ってあのマジで口滑っただけなんです許してくださいなんでもしまぎゃああああああああっ!?」

 

 エマの手が消えた瞬間、ダストは一瞬宙に浮いて地面に叩きつけられた。チンピラはがくりと意識を失う。

 無言で眺める九郎と狼。それに気付いたのか、エマは少し気恥ずかしそうに微笑んだ。

 

「……申し訳ありません、はしたないところをお見せして……」

「いえ……いつもお世話をかけます、エマ殿」

「好きでやっていることですから、頭を下げずともよいのですよ、九郎様。それでは、私は奥に下がらせていただきます。狼殿、客引き、頑張ってくださいね」

「……ああ」

 

 エマは丁寧な所作で一礼して、ダストの足を持って店裏に消えていった。ずるずると引きずられるチンピラが「おたすけー……」と呟いていた気がしたが、二人は聞かなかった事にした。

 

「……ダスト殿、無事に帰って来れば良いのだが……」

「……南無三」

 

 店裏に消えたダストに主従は呟く。そうしていると、暖簾をかき分けて可愛らしい黒髪の女の子が出てきた。

 

「九郎殿、そろそろお戻りいただかないと、注文が滞ってしまいますよ?」

「おお! すまない、お米殿。すぐに戻る。狼よ、引き続き客引きを頼んだぞ」

「はっ」

 

 九郎は変若の御子と手を取り合って店の奥に戻っていく。それを見送った狼は、無言で「葦名」の前に立つ。

 正午を過ぎ、客もまばらになった頃。ふと空を見上げれば、清々しい青空に小鳥が数羽飛んでいた。眩しそうに狼は眺め、心中で言葉を紡ぐ。

 

(ああ、良き日だ)

 

 かつてからは、考えられぬほど平和な日々。葦名から遥か遠き、人知れぬ異郷とて、それを得られたことを狼は喜ぶ。

 何より主人が、あれ程までに屈託なく笑う姿を、守り続けようと竜の忍びは誓った。

 

 

 

 

有死之榮 無生之辱

 

 

 

 

 ぽっくりと日が暮れ、アクセルの街に夜の静けさが広がる。

 店を閉めた後、エマは台帳を広げていた。今日の収支などの「葦名」運営に必要な庶務の最中である。

 するとがらりと裏戸を開けて、一人の男が入ってくる。気付いたエマは手を止め、たおやかな微笑みで迎え入れた。

 

「おや……お帰りなさいませ、弦一郎殿」

「うむ。今帰った」

 

 背の大弓に鎧姿と、異邦の騎士然とした男の名は葦名弦一郎。押しも押されぬ「葦名」のアイドル、アクセルの人気投票第一位の男である。

 

「商いの方は如何(いかが)でしたか?」

「王都の問屋と契約を取り付けてきた。「こーひー」という黒い茶の原料を仕入れることができるようなったのでな、これで「葦名」の品揃えは潤うだろう」

「それは良かった。こちらとしても助かります」

 

 話しながら奥に移動したエマは、茶と菓子を持って戻ってくる。それを荷を解く弦一郎の側に置いた。

 

「どうぞ。九郎様からの労いの品です」

「頂こう。……うむ、美味い。やはり九郎の作るおはぎは絶品だな」

 

 おはぎを頬張って頷く弦一郎は静かに笑っていた。その重い使命と憂慮から解き放たれた姿に、エマはクスクスと笑声を零す。

 

「……どうした、エマよ。何が可笑しい」

「……いえ、何も」

「そうか。では、さっさと証文を纏めるとしよう。葦名の夜は短い、出来る事は早めにせねばな。これも葦名のため……エマよ、付き合って貰うぞ」

「はい、承りました。弦一郎殿」

 

 書類仕事をする二人を光が灯しながら、アクセルの夜は更けていく。

 日本茶屋「葦名」は、こうして一日が過ぎていくのであった。




登場人物

隻腕の狼
隻狼。忍義手を扱う熟達の忍び。既に主従を解かれているが、現在も九郎様の忍びのつもり。
竜の帰郷後も九郎様に付き従い、彼を守ることを第一に行動する。そのためならば流血を厭わない。
アクセルでは主に冒険者として活動中。葦名の開業資金を稼いだ後は万一に備え貯蓄している。
無口だが根は善良であり、礼儀と実力を兼ね備えた壮年の冒険者であるため、ギルドから他の冒険者の鎮圧を依頼されることもしばしば。この恨みでサキュバス喫茶について知らされていない。
おはぎが好物。たまーに葦名で接客をしていて、愛想はないが不思議と憎めない姿に客はほっこりしているとか。
基本的に狼と呼ばれている。愛称はチワワ

竜胤の御子
九郎様。異郷の地とて己を曲げず、人として懸命に生きている。主従を解いても共に居てくれる狼を家族のように思う反面、気安く接してくれないのが少し不満であるよう。
異世界に飛ばされ途方に暮れる皆のため、最初に奮起した人物。茶屋の名を「葦名」と名付けたのも九郎様。冒険者として日々を過ごす狼のため、日夜せっせとご飯をこしらえる良妻。
その人柄と可憐な見た目から葦名の看板娘に認定されている。ほとんどを厨房で過ごすにも関わらず、九郎様の人気は高い。大きなお友達は楔丸の錆になりました
自分の作った食事で人が笑顔になるのが好き。特に隙あらば隠れて食べる狼の笑みを好む。
皆からは九郎様と呼ばれている。生まれ持った高貴さがそうさせるのだろう。

変若の御子
お米ちゃん。揺り籠の務めを果たし、体も元に戻った。一行の中で一番はっちゃけているが、それは日ノ本に置いてきた変若の御子たちと二度と会えぬ哀しみの裏返しだろうか。
世間知らずであり、見るもの味わうもの全てが新鮮であるため、日々新たな出会いを楽しんでいる。溌溂と生きる彼女の笑顔は狼たちの癒やしになっている。
普段は接客をしており、葦名の看板娘に認定されている。その人気は九郎様に並び、葦名の二枚看板と称されることも。他の呼び名もそこそこあり、個人的には葦名のおしどり夫婦が気に入っている模様。
好きなものは柿、そして九郎様。初な恋は本人にはまだ届かず、されどいつしか花開くだろう。
葦名で使われるお米を生成しているのでお米ちゃんと呼ばれる。お米は大事、スキルと思われているので問題はない。
仙峯寺拳法を皆伝している

妙齢の薬師
エマ殿。一心と弦一郎の墓を立てた後、竜の帰郷に旅立った狼を追う。たおやかな所作と物腰は優しさを感じさせるが、実は一番何を考えているか分からない人。
帰郷の旅の頃から一貫して生活を取り仕切るお方。現在もそれは続いており、葦名の実質的な運営は彼女が行っている。
接客もよく励むが、エマ殿の人気が一番低い。九郎様とお米ちゃんは仕方なしとして、狼にも負ける彼女の心中は……なぜだか誰にも分からない。だが葦名に向かうならば、エマ殿だけは怒らせてはいけない。それが暗黙の了解だ。
奇妙な物をよく好む。特に異界の精根たくましい野菜については、暇さえあれば研究を重ねるほど。そのおかげか九郎様の調理の際、野菜は怯えて動かない。
夜に時折ひとり酒を掻っ食らうエマ殿の姿が  

葦名弦一郎
葦名弦一郎。弦ちゃん。葦名のアイドル。葦名がおじさん。リズムハメられおじさん。扉に追い込まれて何も出来ない男。←瓢箪に親を殺された男。←岩を突き続けて体幹を崩す男。踏みにじらせない系Vtuber。変若水飲んでみた。仙峯寺焼き討ちの黒幕。←卑怯とは言うまいな。巴流 葦名弦一郎←弱体化。ラスボスの前座。弓が本体。一生引き撃ちしてろ。敗因は掛け軸。居合マンを倒せなくて掛け軸を外せなかった説。SEKIROで唯一強化アプデを望まれたボス。


葦名弦一郎だ。今日は自己紹介をする。今更意味があるとは思えぬが、これも葦名のため……早速始めるとしよう。
俺は日本茶屋「葦名」の従業員だ。主に仕入れを担っている。葦名は茶も飯も美味いが、おすすめは菓子だ。特におはぎは絶品と言える。俺も仕事の合間に九郎からよく貰うが、あれはとても美味い。葦名を訪れたのなら、一度は必ず味わってみると良い。
……なんだ、九郎の忍びよ。俺は仕入れのため方方へ足を運ぶ。故に葦名にいる時間は短く、九郎は労いを込めて俺におはぎをくれるのだ。よもや卑怯とは言うまいな。
……何、脱線しているだと? 葦名の紹介はいいから自分の事を言え? 邪魔立てするか、九郎の忍びよ……! 俺はこの葦名を宣伝するためならば、どのような手段でも使ってみせる……!
ぬっ!? 何をするっ!? 踏みにじらせは、せぬぞっ……!

天の声[弦一郎殿は狼殿に敗れた後、女神の手によりこの地に黄泉帰ったようです。その折、葦名を守れなかったことを女神に伝えられ、ギルドの酒場にて酒びたり、やさぐれた日々を送っていたとか]
天の声[冒険者登録のためギルドを訪れた狼殿と出会ったのはその時であり、紆余曲折ありましたが九郎様の取り成しの末、葦名の仕入れ役に納まりました]
天の声[……葦名に全てを捧げた弦一郎殿のお気持ちは分かりますが、端から見れば年端のいかぬ子供に諭され、住まいどころか職まで世話を焼かれたダメ人間も同然。葦名、葦名と言い募るのは構いませんが、弦一郎殿の生活費は九郎様の懐より出ている事、お忘れなきよう]

……………………分かっている。俺は……必ず、この葦名を守る……
最近エマの風当たりが強い気がする……九郎の忍びよ、貴様もそう思うか。やはり女子は歳を食うと皆ああなるのだろうな…… 

――しばらくお待ちください――


葦名弦一郎だ。怪我のことは気にするな。これも葦名のため……そろそろ終いとしよう。
日本茶屋「葦名」は駆け出し冒険者の街アクセルにて営業中だ。六日に一度は休みを挟むため、訪れる際は注意するように。
俺を見掛けた時は合言葉を言えば葦名の割引券を進呈しよう。合言葉は「葦名のため」だ。いくつか渡すので周りに喧伝してくれるとありがたい。
ここまで見てくれて感謝する。次があればまた会おう。
さらばだ……


「あっ! ねえねえ、みんな見て見て! AVよ! AVの新作が来てるわ!」
「本当ですかアクア!」
「AVの新作が来てたとはな。私としたことが見逃していた」
「おいうるさいぞ。俺はいま内職をしてるんだ、騒ぎたいならお前らだけで……ちょっと待て。そのAVってところ詳しく」
「あらあら、カズマさんも気になるの? 分かる、分かるわ。なんたってAVですものね! 大人から子供まで大人気、腰の曲がった寝たきりお爺ちゃんだってAVのためなら喜んで跳ね起きるわ! アクセルに住んでるなら絶対に見逃しちゃいけないものよ!」
「アクセルはいつから変態の街になったんだ? ていうか、い、いいのかよ。AVをみんなで見るとか……」
「カズマは何を言っているのですか。AVはみんなで見るものですよ」
「そうだぞカズマ。AVは家族団欒に一役買っていると聞いている。むしろ一人で見るのは寂しいとすら言われるものだ」
「本当にアクセルはいつから変態の街になったんだ! だが、俺は差別をしない男。そういうことなら正々堂々見させてもらおう!」

『葦名弦一郎だ。今日はウィズ魔法商店の品を試してみる。俺にはあまり縁のない代物だが、これも葦名のため……まずはこのぽーしょんとやらだ。何でも衝撃を与えると爆発するらしいが――(爆発音と同時に暗転)』

「……………………なにこれ」
「弦ちゃんよ? 葦名のアイドルじゃない。ひょっとして知らないのカズマ?」
「知ってるよ! この人のことは知ってるよ! 弓の使い方習ったからな! 俺が聞きたいのはな、なんでこんな真面目な人がAVに出てんのかってことだよ!」
「本当にカズマは何を言っているのでしょう。AVとはAshina Videoなのですから、弦ちゃんが出てくるのは当然ではないですか」
「ざけんなっ! Ashina Videoってなんだ! 返せ、俺のピュアな期待を返せ!」 
「カズマは一体どうしたというのだ……」
「ほっときましょダクネス。カズマったら、きっとAVをいやらしいものだと思ってたのよ。これだから性欲をもてあました思春期童貞ニートはダメね」
「ど、どどど童貞じゃないし!? つーかほんと何してるんだこの人……」
「弦ちゃん……こほん、弦一郎殿は葦名の宣伝のため定期的にAVを配信しているのだ。なんでも映像を撮って手紙に載せる神器があるそうでな。郵便屋さんがそれを各家庭に届けることで配布する仕組みだ」
「弦ちゃんはとことん真面目で一生懸命頑張ってるのに、やることなすこと報われない可哀想な人なんです。見ての通りとんでもないイケメンなんですが、それがかえって哀愁と幸薄さを際立たせてて、笑って涙せずにはいられないところが人々の心を鷲掴みにしたんです。
 それで初登場からまたたく間に大人気AV男優になったんですよ」
「大人気AV男優って言うな。なんか別の意味に聞こえるから。それにしてもイケメンで、真面目に頑張ってて、でも報われない男か……そんなの誰だって好きになるよな。うんうん分かる、よーく分かる。
 まるで俺みたいじゃないか……!」
「「「え?」」」
「え?」

 
――とある冒険者たちの日常


全盛期の身体力攻め力1+艱難辛苦+厄憑チワワ伝説
・ボス戦リトライ数十回は当たり前、100以上もちらほら
・ボス戦の度に知り合いが全員竜咳に罹る
・チワワと話した人が竜咳になる率200%。一度罹る率が100%で快復後また罹る率が100%
・その後竜胤の雫がもったいないので放置される
・大事なものが咳の音ばかり
・途中からボスのHP削りで白色が見えなくなる
・もはやミリ単位でしかHPが削れない
・終盤はミリよりも短い単位でしかHPを削れない
・雑魚のHPもミリ単位でしか削れなくなる
・敵の体幹が溜まらない
・基本的に見つかると倒せないので隠密忍殺を極める
・二体以上に囲まれると死
・首なし獅子猿の二体目を倒せないので二対一を強要される
・義父の爆竹にビビって死ぬ
・義父の蹴りで体幹を崩され手裏剣で八割持っていかれる
・義父の毒壷を食らうと大抵解毒前に死ぬ
・「あの日 戦場で拾った飢えた狼が よもや、ここまでに……(身体力攻め力1)」
・「倅よ……なぜ、この父の想いが分からぬのだ」
・体幹ダメ0でも重蔵系の足に引っかかると体幹が崩れる
・地上首なしはノーミスで弾き切らないと神ふぶき+夜叉戮でも神ふぶきが足りない
・桜竜が強敵。一撃もらうと死ぬのに雷返しを10回以上する必要がある
・怨嗟の鬼のHPを削り切るのに200回以上斬らないといけない
・怨嗟の鬼を16回斬りつけると怯むことを覚えてしまう(一周目限定? 最速で5回斬れる)
・地形と岩と木に憎しみが沸き立つ
・天守閣弦ちゃんだけ一回で突破できた
・前座弦ちゃんに最低1分半かかる(夜叉戮を二回使って効果切れるまで攻め切って漸く)
・剣聖を倒すのにリアルで一ヶ月かかった
・これだけやってもまだ槍一心が安定しない
・2周目とか絶対やりたくない
・狼よ、チワワを名乗って生きてくれ

このすばの原作一巻どっか行っちゃったんでこれで終わりますね。
続きは君が書くんだ……俺 も や っ た ん だ か ら さ 。
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