初短編なので優しい目でお願いします
短いですが本編どうぞ!
1話完結
木々と田んぼに囲まれた静かな屋敷の一室で一人の青年が横になっている。「ゲホ、ゲホッ」とひどく咳き込んでいる。重症だ。
青年もわかっている、自分はいつ死んでもおかしくないと。それでもこうしてまだ生きているのは死ねない理由があるからだろうか。
「あのー」
弱々しい声で世話になっている夫婦に青年は尋ねる「近藤勇から手紙とか……来ていませんか」と。
少しの間があり、「いえ、きっと忙しいのでしょう」と言われた。
青年は「―――そうですか………」と弱々しい声で言う。
青年の名は、沖田総司
新撰組一番組組長だった男だ。
沖田総司は池田屋事件の際、奮戦の最中、喀血により戦線離脱した。それから、戦線を離れ、千駄ヶ谷の屋敷で世話になっていた。世話になった当初は、子どもたちとよく遊んだりしていたがここ最近は歩くことすらできない状態となっている。
それでもまだ生きていけるのは―――
みんなのもとに帰りたい
みんなと会いたい
みんなと―――仲間たちと互いに背を預け、共に戦い――
そして―――
夜になった。
沖田総司は重い体をお越し庭に出る。
綺麗な満月が夜空に浮かんでいる。
沖田総司はそれを見上げる。
なぜかそうしたい気分だった。
ただ、走って、走って
いつかあんたに追いつきたかった
追いかけたるうちに体だって大きくなった
なのにまだ追いつけなくて
それがなんだか嬉しくて
今自分が見ている月のように
近藤 勇
夢中であんたを背中を追いかけていたんだよ
これ以上は体に障る。短い時間、本当に僅かな時間青年は月を見上げることしかしなかった。
不思議とこのときは、咳き込むことはなく、清々しい気分であった。
寝室に戻る、そうしたいとき居間の方から話し声が聞こえてきた。
沖田総司は足音を立てず、そっと耳を傾ける。
「―――やはり、沖田さんにはあの事を言わん方がいいな」
「言えませんよっ。沖田さん、あんなに近藤さんのことを慕っているのに。なのにっ」
「近藤さんはもう―――」
声が出なかった。
沖田総司がここまでこれたのは近藤勇がいたからだ。
その近藤勇はもうこの世に存在しない。
そのことを知ってしまった。
寝室にたどり着きた沖田総司は孤独だった
二月ほど前に近藤勇は既に板橋の刑場にて落命していた。
沖田総司は自分を攻めた。
なぜ、自分はこんなところで寝込んでいるのか
なぜ、その場にいなかったのか
なぜ、近藤勇を守れなかったのか
なぜ、―――
なぜっ
なぜっっ
ゲホ、ゲホッ
血を吐いた。
蹲る。
吐いた血の量も多い。
そう永くは生きられない。
わかる―――
俺は―――
「ぎゃああああああああああっ」
「たすけてぇぇっ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
突然の悲鳴
多くの修羅場をくぐってきた沖田総司は起き上がり、壁の近くの床に置いてある刀を手に取る。
ギィー、ギィー
悲鳴はもう聞こえない、その代わり足音が近づいてくる。
息を呑む。
息を止め、意識を集中する。
五感を研ぎ澄ませる。
ギィー、
足音がだんだんと大きくなる。
そして、寝室に現れたのは―――
着物の女―――
だが、そのから滲み出ている雰囲気は―――
ひと目でわかった
戦場にもいる、暗い目―――
額に冷たい汗、しばらくの間寝込んでいた沖田総司にとってはこの感覚は随分久しぶりのものだった。
目の前にいる着物の女を観察する。
恐ろしいほどの狂気。
この女もしかして近藤勇よりも―――
などと考えていると着物の女が口を開いた
「新撰組一番組組長、沖田総司か?」
出てきた声は男の声に近かった。
見た目とは真逆の声により、沖田総司はさらに警戒心を強め、問う。
「貴様は―――一体、何者だ!」
「ほう、そのような状態でもいくつのも戦場を駆けた感覚は確かなものだな。」
自分の問いに答えようもしないように異物を両眼で捉え、沖田総司は警戒心を解かずに、刀を握る腕にさらに力を込めようとした―――が、咳き込む。左手を口元に当てるがそれで、咳が止まることはなく、更には大量の血を吐いた。
「その病治したくはないか?」
着物の女から言われた言葉に心が揺らぐ。
君の病は治らない、そう医者にも言われた。
でも、それが治るとしたら…………
「………………この病が治るのか?」
「治るとも―――『鬼』になればな」
沖田総司は鬼というに嫌な予感がした。それは人の手に余るものだと幾多との戦場を超えてきた沖田総司の培った感覚が告げていた。
だが、
それでも、
このような屋敷の一室で死なず、戦場で死ぬのなら―――
みんなと、新撰組の仲間と戦えるのなら―――
沖田総司は悪魔との契約を交わした。
数日後、千駄ヶ谷の屋敷では、遺体は一つもなく、血のあとしか残っていなかった。
何が起こったか知るものはなく。
賊に襲われたという記録だけが残った。
療養中の沖田総司が行方不明となり、何年もの月日がたった明治の世
ある村で、警察隊が死体が山のように転がっていた。
立っているのは一人だけ。
一匹の鬼。
返り血を全身に浴びた袴。
履いてるものは足袋に下駄。
右手に握る日本刀。
まさに侍
廃刀令が発布された明治の世にはあまりにも似合わないものだった。
そんなに男にして近づくものが一人
短髪の男、左手に刀を持つ男。
警視庁、内務省 警視局 警部補 藤田五郎
「―――総司」
藤田五郎の呼びかけにも血まみれの男は答えない。
「っ、何があったんだ!答えろ、沖田総司!」
「………………」
「くっ」
藤田五郎の問いにも血まみれの男、沖田総司は答えない。
「―――そうか。何が起こったかはもう聞かん。知りたくもない」
藤田五郎は1つ大きく息を吐き、抜刀する。
「覚悟はできているか、沖田総司―――」
「新撰組三番組組長、斎藤一」
「斬る もはや何も語るまい」
そう告げると斎藤一は沖田総司に突っ走り、目前の標的めがけ刀を振り下ろした。
決着はすぐについた。
立っているのは沖田総司
斎藤一は左肩から右脇へと両断され、斎藤一だった肉塊が地に転がっている。
斎藤一は絶命の瞬間に願った。
誰かにこの人を止めてくれと―――
かつての仲間を斬った鬼は笑っていた
そして、一匹のバケモノが本当の産声を上げた。
勢いだけで書いた駄文を読んでいただきありがとうございます
累と沖田総司つながるところがあるな、と思い今回短編ですが書きました!
初めての短編だからこれでいいのかちょっと不安です(汗)
この話は この剣が月を斬る 3巻 を主に参考にしてます
投稿して気づいたのですがタグおかしなことになってる?
え?どうしよう……
まぁいいかな?