「···」
息を潜め、俺は手に持っているAR-15を構え、慎重に照準を定める。照準の先は体をくねらせながらさまよっている感染者。不規則に動く為狙いが難しいが、そこは今までに培ってきた感覚をフルに活用させて引鉄を引く。
パシュっと言う音と共に弾丸が撃ち出される。弾丸はあっという間に感染者との距離を詰めバカッと感染者の側頭部に赤い花弁を散らせた。
「よし」
そう俺はボソリと呟く。これで何体目だろうか···もう何体撃ち殺したのかは100を超えた所で数えるのは止めたが、ふとそう思いながら俺は移動する。
フリーの回収者《スカベンジャー》となってから凡そ2年くらい、親が14の時に感染者によって殺されてからは5年と言った所だろうか。最初の頃はただ奴らに震えながら生きるしかなかったが、偶然だが俺を拾ってくれた義理の親になってくれた軍人の義父から銃の扱い方を習ってからはこの様に回収者として活動するようになった。
最初の頃は死体を見る度に吐き気や恐怖を覚えたもんだが、今となっては何も感じることが無くなった。感覚が狂ってきているというのも有るだろうが、そうしなけりゃとっくに何処かで死んでるか、精神がイカレちまってただろう。···まあ、今の状態も十分イカレちまっている自覚もあるが。
「取り敢えず···奴らに見つかる前にさっさとこの地区の物資、見つけるとするか」
そう言い俺は既に奴らの手に墜ちた地区へと進んで行った。····それから多分、2時間半位経ったとこだろうか、物資も大体集まり、持ってきたバックパックに詰めていた時だった。
「···は··! もう·····!?」
「···です··! ま·········う!」
いきなり外から声が聞こえてきた。声の感じからして女だろうか……どうやら片方が錯乱していてもう片方が宥めているような感じの声だった。
「···何が起きてんだ?」
正直に思ったのが「面倒臭い」だった。回収者の中では生存者を見つけた場合、必ずセーフゾーンまで誘導しなければいけないと言う暗黙のルールがあった。俺としては、素人が増えるって事はそれだけ死ぬ可能性が増えると経験上そう考えている。というか、実際に何度も死にかけた。
だが、人口が減ってきている現在では生存者は、貴重な労働力でもあり、いざと言う時の戦力にもなる。そういう事を考えるとなまじ見捨てようにも後々になって「あいつは生存者を見捨てた奴だ」と知られてしまうと回収者としての活動がし難くなるだろう。スカベンジャーギルドには入っていなくても 、手に入れた物資を精算するにはギルドの力が必要になる為、悪評は避けなければいけないからだ。
「はぁ···仕方ねぇ、行くか·····」
足取りは重いが、そう言いながら俺は声がした方向へ向かっていった···。
───数時間前 オルスラ大陸 アークライド王国王宮
「·····では、行ってきます。お父様!」
「うむ、道中気をつけるのだぞ」
「ええ! 必ずこの国に良い報告を持ち帰ってきます!」
そう言い、私···フェリエラ・フォン・アークライドは私の護衛に着いてくださる騎士ことリュミエス・カーグライトと共に王宮前に止めてある馬車へ乗り込みました。
目的は未だ未開の大陸となっているサルハラ大陸への調査となっています。···かつては戦争状態となっていたがリアル大陸の魔人族達と、今でも同盟を結び、良い関係を築けているアークライド王国のお隣さんのアルテオ王国の亜人族の方たちと共に。
何しろ「3つの種族が共に手を取り合い、謎に包まれていらっしゃるサルハラ大陸への調査をする事がとても大事なのだ」と、お父様が仰ってたけれど···本当に、大丈夫かしら。
昔、人族、亜人族と戦争をしていた魔人族を信じられないという訳ではありません。私が不安に思っているのは、無事に調査を終えられるかという事。何故かと言いますと、昔に比べほぼ平和な世になっている為か兵士や、騎士達の実力が落ちているからなのです。···それも又、亜人族の戦士の方々と、魔人族の方々も同じで、昔に比べてしまうとどうしても力の差があります。
何しろこれから調査に行くのはあのサルハラ大陸。現地に生息している生き物は、実はかなりの進化を遂げていて、私達では太刀打ち出来ない程凶暴だとしたら···もしかしたら全滅も有り得ます。
すると、その考えていた事が顔に出ていたのか隣で座っていた護衛の騎士のリュミエスが話し掛けてきました。その可愛らしい顔は、少し不安そうな感じの表情をしていました。
「·····姫様、どうなされましたか? どこか具合がよろしく無いのでしょうか?」
「·····ふぇ!? あっ、いえ·····少々、考え事をしていただけですよ」
考え事をしていて意識が向いていない状態だったからですが、咄嗟に返事をした為、少し変な返しになってしまいました·····うう、ちょっと恥ずかしいなぁ····。
「そうですか·····何かご不安な事がおアリなのでしょうか?」
「·····えっとですね、サルハラ大陸への調査の事を考えていました」
「サルハラ大陸の事ですか···どんなことを考えていらしたか、教えていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言われ、少し考えましたが·····私は言うことにしました。
「·····もし、もしもなんだけれど。サルハラ大陸に生息している生物がとても凶暴で、太刀打ち出来なかったらどうすればいいのか···と考えていました···。いけませんね、まだ着いてもいないのにこんなこと考えてしまって·····」
そう言うとリュミエスは「そういう事でしたか···少し、失礼致します」と言い、私の手を包むようにリュミエスが手を添えました。
「リュミエス···?」
「·····正直に言いますと、私もその様な事を考えていました。もし、その様な状況になったらどうすべきか·····と」
「貴方もそう考えていたのですね」
「はい、姫様の護衛を務めさせていただいてるので。先輩方からも『常に最悪な事が起こるかもしれない。ならば、その時にどれだけ最善を尽くせるかが大事だ』と、言われました」
「リュミエス···」
「大丈夫です姫様、いざという時は私を存分にお使いください! 私は、その時の為の騎士ですから!」
そう言い、リュミエスはとても綺麗な笑みを浮かべました。そうよね·····いざという時にどれだけ最前を尽くせるか、ですか···確かに大事な事ですよね···。
「ふふっ、とても頼りになります」
「そうですか、良かったです!」
ええ、でも。と私は言葉を区切り、こう伝えます。
「私も、いざという時最前を尽くせるか頑張りますから、絶対に無為に命を投げ出す事はしないで下さい」
「···! はい、分かりました!」
「ええ·····頼みますね」
そう言った時でした。いきなり馬車が大きく揺れ出したのです!
「っ!? 一体、どうしたのですか!?」
「くっ···!? 御者、一体何があった!」
リュミエスがそう叫びます。ですが、帰ってきたのはより激しい揺れと無言でした。一体、何故なの···!?
「くうっ···! また、揺れが激しく···!?」
「姫様ァ!」
揺れが最高潮まで達した時でしょうか。いきなり馬車が横に倒れそうになり、私は何もする事が出来ず、リュミエスが咄嗟に庇おうと、私に覆いかぶさった所で強い衝撃を受け、私は意識を手放しました·····。
どうでしたか?ここはこうした方がいい!と思った方は良ければ感想を残してくださると嬉しいです!次の更新は少し時間が掛かるかもしれませんが、また見てくださるとありがたいです!また、設定とかが知りたい!という人は、また後日に拙いですが設定集等を投稿します!