崩壊世界と異世界姫様   作:ゴールド龍

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続きです。


7話

 朝の5時半。普通だったらこの時間から起きている人は少ないだろう。だが、俺はその時間に起き、身支度を整え地下室へ向かう。この家は地下1階、地上2階で構成されている。·····地下1階と言っても一部屋しか無ェが。

 

 何故俺が地下室へ行くのか·····。それは、仕事に関係したものを地下に置いてあるからだ。

 

「ふあああ、眠ィ·····」

 

 眠い目を擦りながら、俺は地下室に置いてある物資を手に持つ。それは、俺の仕事道具であり、命を預ける相棒だ。しっかり整備しねェと、いざって時に俺は死ぬことになるからだ。

 

 AR-15を手に持ち、マガジンキャッチを押し弾倉(マガジン)を抜く。この時、忘れずに薬室(チャンバー)内にある1発の弾丸をチャージングハンドルを引き、取り出しておく。銃を使う奴からしたら当たり前だが、整備中の事故防止の為だ。

 

 そうしたら、安全装置(セーフティー)レバーの右隣に付いているテイクダウンピンを抜き取り、引鉄(トリガー)部分から機関部(レシーバー)を取り外す。銃の機関部(レシーバー)は、銃の心臓部と言っても過言でも無ェ。ここの整備を怠れば、弾詰まり(ジャム)や給弾不良を引き起こす可能性がある。そうなっちまうと、銃は役立たずの鈍器に成り下がる。それは即ち、感染者達の餌になるのも同義だ。

 

 だからこそ、機関部(レシーバー)はより丁寧に整備しなけりゃあならねェ。俺だって、整備不良で死ぬなんざ死んでも死にきれねェ。その後は機関部(レシーバー)を分解する。

 

 チャージングハンドルを引き、機関部(レシーバー)からボルトキャリアーを抜く。チャージングハンドルもその時点で取り外しておく。その後に、ボルトキャリアーから撃針(ファイアリングピン)を取り外し、磨耗具合を確認する。こいつが摩耗しすぎた状態で放置すると、引鉄(トリガー)を引いても、雷管が叩かれなくなる。つまり、銃弾が撃てなくなるってことだ。それを防ぐ為に、定期的に使用した後は磨耗を確認し、かなり摩耗していたら新品の撃針(ファイアリングピン)と交換する。今回はついこの間に交換したばかりだし、あまり撃ってねェから交換の必要はいらない。

 

 次は、引鉄(トリガー)の動作確認とマガジンキャッチの確認をする。その次は清掃(クリーニング)に入る。機関部(レシーバー)部分や銃身(バレル)に付いている燃焼ガスの汚れを取る。銃身(バレル)は当然指が入らねェから、ここはクリーニングロッドを使用した清掃(クリーニング)をする。その後は潤滑剤(CLP)を柔らかくなった筆や布に付け、機関部(レシーバー)等動作する部分に薄く塗り込んでいく。これを行う事で、銃の動作自体がよりスムーズになり、排莢等がしやすくなるからだ。

 

 それらの作業を終えれば、後は組み立てるだけで終わりだ。ここまでの作業時間は凡そ30分程。·····義父(オヤジ)にさんざん仕込まれたお陰で、これくらい楽勝になったが、あれはきつかったぜ·····。何せ、少しミスするだけでまた1からやり直しで、終わるまでメシすら食えなかったもんだぜ。

 

 まあ、これで相棒の具合(コンディション)は抜群だ。感染者を撃ち殺すのに問題は無くなった。後は·····こいつだな。俺は空の弾倉(マガジン)を取り出し、1発ずつ装填していく。これが終われば俺の作業は一応終わりになる。

 

 この後は、あいつらが起きてきた時用に簡単な朝食を作っておく。何故かと言われると、これから回収者(スカベンジャー)の仕事へ行くからだ。昨日はあまり多く回収(スカベンジ)出来なかった分を取りに行くからだ。

 

「んじゃあ、行って来るわ」

 

 そう言い、俺は装備を整えてHMMWV(ハンヴィー)に乗りこみ、目的地への移動を開始した。·····行ってきますなんざ、何年振りに言ったっけか。まァ、こういうのも悪かァねェもんだな。

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「行ってらっしゃいです。アキトさん·····お気を付けて」

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 HMMWV(ハンヴィー)を走らせ始めてから凡そ1時間程、俺はシアトル郊外にある全滅した街に到着した。ここは昨日フェリエラ達を拾った街でもある。·····いきなりの事だったから、全部は回収できていねェ。今回はそれを回収(スカベンジ)した後に、別の街へと向かう。そうすれば 、あいつら暫く食ってけるくらいのメシは手に入るだろ。·····食費が嵩むってのは、案外面倒だなこれ。

 

「よし、行くとすっか」

 

 そう言い、俺は相棒(AR-15)を構えながら、街の奥へと入っていった。

 

 ·····回収(スカベンジ)を始めてから凡そ2時間程だろうか、ふいに近くに気配を感じた。間違いねェ、·····奴らだ。数はおそらく15といったとこだろう。丁度、俺の進路上に固まって動いている。

 

「なんで迂回路が無ェ場所にたむろしてやがるんだクソッタレが。·····仕方ねェが、()るしかねェな。固まって動いてるってんなら、こいつで一気にミンチだな」

 

 そう言い、俺は弾帯(チェストリグ)からある物を取り出す。それは直径15cm位の球で、上端部にはレバーとピンが取り付けられている物だ。そう、取り出したのは手榴弾(グレネード)だ。こいつの分類は破片手榴弾(フラググレネード)というやつで、火薬の爆発だけじゃなく、細かい金属片を勢い良く飛ばし、目標をズタズタに引き裂く効果がある。

 

 俺は取り出した破片手榴弾(フラググレネード)のピンを抜き、レバーごと破片手榴弾(フラググレネード)を握る。これでレバーから手を離せば、時間差で起爆する状態になった。

 

「これでも喰らえ、クソッタレ共が」

 

 俺はそう吐き捨てながら、レバーから手を離し、2秒ほど待ってから破片手榴弾(フラググレネード)を投擲した。こうすることで、起爆のタイミングがずれ、奴らのど真ん中で爆発する

 

 次の瞬間、パガンッ! と火薬が破裂する音が聞こえ、奴らのど真ん中で破片手榴弾(フラググレネード)が炸裂した。飛び散った金属片は、爆発によって生じたエネルギーにより拡散。奴らの顔や身体などをズタズタに引き裂いた 。少ししたら爆煙が晴れ、爆心地が見えてくる。そこには、頭や胴体がズタボロになった死体達が転がっていた。·····良し、狙い通り全滅したな。

 

 その光景を見届け、俺は周囲の警戒に入った。迂回路が無かった為仕方なく手榴弾(グレネード)を使用したが、奴らは音に引き寄せられる。つまり、いつ奴らが襲ってきてもおかしくなくなったのだ。

 

「はァ····仕方なく奴らを爆殺したけれどよ。本当に、面倒事しか持ってねェな感染者ってのは」

 

 そう愚痴りながらも警戒を続ける。すると後方から気配を感じた。·····クソッタレが、もうお出ましってか? 本当に来んじゃねェよクソ共が。

 

「まァ、来るってんだったら仕方ねェ。全員ぶっ殺すまでだ」

 

 そう毒づき、俺は相棒(AR-15)を構え、奴らのドたまをぶち抜く為に、引鉄を落とした·····。

 

 ━━━━━5時間後 シアトル検問所にて·····

 

「ありゃまぁ、こりゃ又派手に()ってきた感じかアキト?」

 

「あァ·····マジで最近ついてねェよ畜生が。昨日交換した弾薬迄消費させられちまったよ」

 

「そりゃあツいてなかったな兄弟?」

 

 全くだ·····と、俺はウェンバースに愚痴を言った。結局後は、更に奴らのおかわりがやってきやがった。もしかしたらあの街の感染者、全員ぶっ殺したかもしれんぐらいの相手をする羽目になった。·····今思い返すと、普通にAR-15には消音器(サプレッサー)付いてたのに何故手榴弾(グレネード)を選択したんだよ俺は。お陰で馬鹿みたいに弾薬消費しちまったじゃねェかよ·····。

 

「はァ·····本当にツいてねェな、俺」

 

 そう言いながら、俺はあの時の選択ミスを後悔していた·····。




如何だったでしょうか?·····はい、銃器の描写に関してですが完ッ全に自分の趣味です·····銃器をあまり知らない方には何言ってんだこいつと思うかもしれませんが、本当にすみません!
一応一般の人より銃器を知っているミリオタで有るつもりですが、ニワカな部分が混ざっているので、もしかしたら描写ミスをしている箇所があるかもしれません。その時は感想等で伝えてくださるとありがたいです····。
さて、気を取り直して次回はフェリエラ達が、アキトが仕事に行っている間何をしているかについて書こうと思います!それではまた次回をお楽しみに!

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