乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に妹が転生してしまっていた……   作:リベンジ

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マフィンが美味しい。

「カタリナ、頼んでおいたネルソンさんのクラスの様子の確認はどうだった?」

今日も今日とて倶楽部中、俺は生前のジャイアント〇場をイメージした新作カカシをせっせと作りながら頼みごとの進捗を聞いた。

「あ、えー」

沿う返事した奴の顔は、とてもまだ土いじりを始めたばかりとは思えないほどに汗をかき始めていた。

「おい忘れたな」

「いひゃいいひゃいつねらないで!あっ流れるようなバックドロップの姿勢に入るのはやめて!ここ畑!畑!」

「ここはまだ種植えしてないし、カタリナ様が硬い地面に落ちて怪我しないようにと思いまして」

「ヒィーッ!」

カタリナがだいぶ甲高い悲鳴を上げると、ドタドタと走ってくる音が聞こえた。

「何しているんですのカール様ッ!」

「ゴェーッ!」

横から飛び蹴りを食らった。

「カタリナ様だいじょカタリナ様ァァァァァァァァ!」

「大丈夫よ、ぺっぺっ口に土が……」

「それは大変ですわ!わたくしが吸い出して」

「やめんかぺっぺっ」

結局農協倶楽部に入ってくれたメアちゃんが、俺たち二人を土に沈めたので俺もなんだが怒るのが馬鹿らしくなった。

 

結局シャワーを浴び、着替え直した俺たちは引き続きそれぞれの畑の作業をしながら雑談していた。

「しかしカール様、これ以上人をわざわざ誘う必要はないのではなくて?カタリナ様、わたくし、キース様と一年生は3人も入っていますのよ?」

「だって知り合いばっかというのもアレだよねってキー坊が言ったんだし………今日は呼び出されたから遅れるらしいけど」

「呼び出された!?誰に!?」

カタリナが大声を上げて鍬を手から落とした。

「さあ………まあ仕事か、そうでなきゃ……」

「告白ですわ」

「は?」

メアちゃんが真剣なトーンでそう申した。

「放課後、わざわざキース様一人を呼び出して用事…………こんなの告白しかありませんわよ」

「何だとぉ!?」

「なぁ!?」

えってっえっ、ああああのキー坊が、告白され、る?あのシスコンが?優秀で可愛い俺の弟が?

心臓の鼓動がとんでもない速さになっていく。

これは…娘が男を連れてきたような‥あの時の、速さ!

「こうしちゃいられねえ!!!メアちゃん!!!みんな!!!倶楽部任せた!!!」

「行くわよカー兄!」

「ちょ、お二人とも!?」

俺とカタリナは、その場から一斉にキー坊の元へと駆け出した!

 

「……ハッ、ハァ……どこにいるか場所わかんねえし………」

10分ぐらい走ってから気がついてしまった。

この学園は全校生徒523名の割にはかなり広い。まあ国の王子が歴代OBなので国家予算並みの金がかかっているから当然だが。

いつの間にかはぐれた妹の野猿と違い俺は体力が人並みなので、疲れて中庭の壁にもたれかかる。

倶楽部に戻るか…?いやでも…。

「カール、こんな所で何をしているんだ?」

悩んでいると声をかけられた。ニコルだ。

「いや、キー坊探してるんだけど…。あ、そうだ」

「何だ?」

「ニコルは告白された時、どんな気持ちだった?」

こいつはモテる。アホみたいにモテる。なので参考に聞いておこう。俺は自分から告白したからそういう経験ないんだよな………。

「…そうだな。まず、こんな俺を好きだと言ってくれた事は嬉しかった。光栄に思う。そして……その願いを断らなければならない事に辛さを覚える。……その人と、叶わない恋と諦める事も出来ないんだ。それに……いくら感謝してるとは言え、そっくりだからといえ、何度かもう一人のかけがえのない相手に気の迷いを起こしかけた事もある。こんな節操のない男が付き合うなど片腹痛いさ………」

「お、おう……大変だな。困ったらいつでも相談してよ?」

俺はニコルの肩を掴んでそっと微笑んだ。

「……!その、優しさが俺を狂わせるッッ………!!!」

「あっちょ!」

ニコルは走っていってしまった。

「なんだよも~~、皆思春期だな………」

おじさんくさい独り言を漏らしてしまったその時。

「マリアちゃん、大丈夫!?」

カタリナのデカい声が中庭全体に響いた。

 

「キャンベルさん、どうかしたの?」

「あ………」

声の方向に駆け付けてみると。

カタリナがマフィンを貪り食っていた。地面に落っこちたのを。

両手で爆速で消えるマフィンを次から次へと掴んで口に入れている。

「えーと、その……」

キャンベルさんは、どう反応したらいいか分からない。といった様子で。

ふむ。まあ無理もない。ここは一つ、兄として責任を取らせてもらおう。

「こら」

俺はカタリナの脳天をグーで殴った。

「いったぁ!?ってカー兄?なんでここに?」

「それはこっちのセリフだ!なーんでキー坊探してたのにお前は拾い食いしてるんだ!!!猿でもしねえよ!!!」

「あ、あの、クラエス様は……」

「ん?」

カタリナをキン肉バスターの体勢にした時にキャンベルさんがそう言ってきた。

「え、状況がよく分かんないけど……こいつが悪いわけじゃないのね?」

「は、はい」

「そうよ!私は美味しそうな匂いがして来てみたらキャンベルさんがお菓子を落っとこして落ち込んでたから拾って食べただけよ!ものすごく美味しかったわありがとう!!!」

まあそういうことなら。と俺はカタリナを地面に下した。

そして、まだ地面に残っていたマフィンを代わりに拾う。

「もしかしてこれ、この前約束したお菓子?」

キャンベルさんに聞くと、彼女は恥ずかしそうに顔を俯きながら小さく、コクンと頷いた。

そして俺はしゃがみこんで頭を押さえていたカタリナに話しかけた。

「すまん、悪かった。お前約束守ってたんだな。約束だけはお前守るもんな」

「だけはって何よ…もー、残り食べていい?」

「だめ」

「え?」

俺はカタリナの左手からまだ口をつけてないマフィンを取り上げた。

そして、大きく口の中に放り込んだ。

「おひぇもたふぇるからちゃ……うま」

「ほ、本当ですか」

「おひぇじはいうわないひょ」

おいおいジョーナさんを上回ってるんじゃないかこれ?

思わず一つを2分もかからず食べてしまい、もう一つぐらい落ちてないかと探した。

すると、少し離れた所にもう一つマフィンが落ちているのを見つけた。

しかし、それは。

 

土足で踏み付けられて、無残な姿になったマフィンの残骸だった。

「…………」

思わずカタリナの方を見るとキャンベルさんと話し込んでいる。気付いていないのか、まあ気付いてたら食べ物粗末にするなって怒ってるか……。

俺はその残骸の前にしゃがみこんでその靴跡を観察する。

(この靴跡、ヒールが低い……。上流貴族の方々は学園でも基本高いヒールだ。あの野猿とその友達を除けば。……おっ、おまけに、長めの金髪ときたか)

………なんだが、この靴の人に心当たりがあるなあ。

まあ、とりあえず勿体ない。

 

俺はそのままぐちゃぐちゃのマフィンの残骸を無言で口に入れた。

土の味がほんのりしたけど美味い事に変わりはなかった。

 

「カール様!?あ、あの、さすがに土が混ざった物は食べてもらわなくても………」

「ん?まだあったのマフィン?まあ土ぐらい大丈夫よマリアちゃん、カー兄は庭のトカゲを捕まえて焼いておやつって言って食べてたこともある舌馬鹿だから」

「え、私の名前……」

「あ、ああごめんなさい!つい!」

「い、いえ………むしろ、ちゃん付けではなく呼び捨てで結構です……」

「そ、そう?よかった!」

 

ん、石入ってた。ぺっ。

 

[キースside]

 

僕は、今クラスメイトの女の子に呼び出されていた。

勿論級友の顔は覚えている。話した回数はそれほど多くないけれど真面目で友達も家柄も悪くなく、一般的な観点から見ても美少女と表してもいい少女だった。

「それで話って何だい?」

あえて聞く。酷いな、僕。分かっているのに。

「あの……私と……」

「ごめん、それは無理な相談なんだ………」

僕は深々と頭を下げた。

「どうして?私、貴方の理想の女の子に少しでも近づけるように頑張るわ……だから……」

「そういう問題じゃないんだ………すまない」

「やっぱり!キース様がド腐れシスコンだって言うのは本当だったんですか!?」

「ブホゥ!?」

「夜な夜なカタリナお姉様の生足を眺めてムラムラしてたり、カタリナ様が履いていた靴を匂い嗅いだり懐で毎晩温めたり、姉弟物の官能小説の登場人物のページを全部自分たちの名前に書き換えたりしているんですか!?」

「そんな倒錯的な性癖はなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!」

実は最初に言われた事は何度かあったけど二番目三番目は歪んだ性癖だよ!

「倒錯的とは何ですか!私はお気に入りのロマンス俺様小説の登場人物の名前をキース様と私の名前に書き換えてますが!?」

「えっこわい………」

 




ちなみにカールがニコルと仲良くなったのはガンガンGAチャンネルのせいです。
(内田君と松岡君のコンビ好き)

ちなみに
・農協倶楽部副部長-CV.島﨑信長
・農協倶楽部元生徒会書記―CV.茅野愛衣
・農協倶楽部元生徒会会計―CV.大西沙織
でイメージしてください。声優オタクか。
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