乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に妹が転生してしまっていた…… 作:リベンジ
私の名はミリディアス・クラエス。
貴族、クラエス家の嫁にして最近胃痛に悩まされる者だ。
「奥様、大丈夫ですか?心ここに在らず、と言った感じですが」
「え、ええ。大丈夫よ」
カール君に声をかけられ、私は意識を現実に戻した。書類の山、社交会のスケジュール管理と夏も仕事は山積みである。
夏休み、彼にはうちによく来てもらっている。名目上は一応執事見習い、という形をとっているが実際は家に一時帰宅してからもっぱら宿題をサボりまくるカタリナの監視役である。まあ、アンにも夏休暇を与えなければいけないと思っていたし丁度良かったのだ。まあアンは毎年「行くところがありませんし給料はいりませんのでここで働かせてください」と言い始めてしまうので困ってるのだが……。
私は、なんとかカール君をカタリナの婿にしたいと考えている。
まずうちの馬鹿娘にはまず女王、いや王族という立場すらも危ういだろう。何をしでかすかわかったものではない。しかし婚約を解消できたとしてこのまま行き遅れにさせてしまうのも酷いとは思う。
となると、カタリナの奇行をしっかり叱ってくごく稀に一緒に乗ってあげ機嫌を取り、我が家の仕事を熟知していており、家の者全員と顔見知りな彼以外の適任が居るだろうか、いやいない。絶対いない。
身分の差は彼が光の魔力の持ち主という事で拍が付くし、なんなら一度キースのように婿養子にしても良い。
キースとカール、この二本柱が我がクラエス家に揃えば何も怖くない。安心して老後を過ごせる。というか息子に欲しい。本気で。
一度彼に話を持ち掛けてみたのだが「冗談はやめてくださいよ、カタリナ様と私ではとても釣り合いません」と流されてしまった。しかも冷や汗をかいて。
キースにも相談したのだが「僕一人で十分です!!!」と反論されてしまった。
しかし、私は二人をお似合いだと思うのだが……。
やはりカールも、あんなお転婆能天気な農業娘はゴメンだというのだろうか………。
「あ、そろそろカタリナ様のお勉強時間なので僕、行きますね」
と、また物思いに耽っていたらカール君はそれだけ言い残すと部屋から退出した。
これはちょっとした、そう、ちょっとした興味本位だ。
という訳で私はカール君の後ろをコソコソと付けている。
ちょっと、彼とカタリナの仲を確認したいのだ。彼も男。見てくれだけは良い愛娘に対して何か邪な感情が走る事もあるかもしれない。そうなれば既成事実!イケる!
「入るぞ」
彼はカタリナの部屋の前で立ち止まりノックすると、そのまま部屋に入る。
やっぱり私達の前以外だと敬語ではないのね!うんうん、いいわ!
と、私の次の目に飛び込んできたのは。
「がー、がー、すかー……」
腹丸出し、尻をかきながら寝ぼけてベットから落ちてもまだ寝てる貴族の愛娘の姿であった。ちなみに今はもう11時だ。
あ、あの馬鹿リナ!!!ふざけてるの!!!
と、私が怒りでハラハラし出すとカール君は寝てるカタリナの足首を掴んだ。
そして。
「ジャイアントスイング」
「……うわああああああ!!!」
勢い良くそのままカタリナをぶん回し始めた。
い、いいわ!その子にはそれぐらい荒くてもいいと思うの!パパが見たら卒倒しそうだけれど!
回転パワーで起きたカタリナをベットに放り投げ、床に散らばった本を拾っていくカール君にカタリナは反論する。
「だから!毎朝あの起こし方はどうなのよ!アンはもっと優しいわ!」
「一度くらい自力で起きてから言え。アンさんはお前に甘い」
カール君は拾った本を全て本棚に戻すと「早く着替えろ」といいこちらへ歩いてきた。
あ、マズイ!着替えなら外に出て行くのは当たり前だ。
慌てて逃げようとしたが、急いでいたのでガッ!とドレスの裾を踏んでしまった。
これは。
ころ---。
「フッ!」
転ばなかった。
カール君が飛びついて私を支えてくれたのだ。
「大丈夫でしたか?」
カール君は優しく私に語りかけながらゆっくりと腰を下ろさせる。
「あ、ありがとう」
何で良い子……。息子にしたい、いやもう息子では………!?
「母さん!何かあったの!」
近くを歩いていたキースも私の元に駆けつける。ああなんて可愛く優しいのか、うちの息子達は……!
「カールさん、姉さん、どういう事…」
「大丈夫!お母様!」
と、カタリナも部屋から飛び出してきた。
私を心配して。
着替え中の下着姿で。
「わああああああああああ!!!!!」
姉の痴態を見たキースは悲鳴を上げて一目散に逃げ出してしまった。
ああ可哀想にキース!姉の見たくもない姿を!!
「貴方は何考えてるのーっ!」
「お前、お前さあ……」
「へ?何?」
カタリナは怒られた理由が分からないのかきょとんとしていたので私はさらにそこからありったけの声量で叫んだ。
「服を着なさい野生児じゃないのよ貴方はーーーッ!!!」
怒鳴られたカタリナは逃げるように部屋に引っ込んだ。この廊下に2人だけ残され、嫌な静寂が場を包む。
「……奥様、肩を貸します」
カール君はため息をつくと私の肩をそっと支えながら部屋まで付き添ってくれた。
つ、疲れる。我が娘は本当に………!
カール君、手綱を引いて下さい。頼むから……!
1年以上ぶりの更新お待たせしました、番外編ですが……。
モチベが保つうちは完結に向けて走っていきたいです、映画もありますしね……!
奥様は頑張って育てているんです………!
後魔法省でもちゃんとバイトしてるので、被らない日以外はこの業務は掛け持ちですねカール君。それに農業も……?化物がよ………!