私は今、お姉様の部屋に来ている。楽しい食事が終わった後に呼び出されたのだ。
「今日はどうだったかしら、フラン?」
「とっても楽しかったよ、一人で食べるのと違って、みんなで食べるだけなのにこんなに楽しいとは思わなかった」
率直に感想を言ったのだが、お姉様は少し辛そうな顔をした。なんでだろう?
「貴女にずっと言いたかった事があるの」
お姉様は深呼吸をして、私に頭を下げた。え?
「ごめんなさい!」
え?なんで謝られているんだろう?もしかしてまた地下に戻らないと行けないのだろうか?まあ、別にそれでもいいけど。でも、食事はみんなと食べたいなぁ。
「貴女をずっと地下に閉じ込めたままで、ずっと出してあげられなくて、ごめんなさい」
「それは私が狂っていたからでしょ?お姉様のせいじゃないよ」
「父上が亡くなったから、すぐにでも貴女をだしてあげることもできたのよ。でも、私は貴女が怖かったの。自分が壊されるんじゃないかって」
「それはそう思うよ。私だってお姉様と立場が逆だったら同じことしてるよ。それに、出してくれたじゃない」
「貴女を外に出したのは私じゃないわ。彼よ」
「一緒に部屋から出してくれた。違う?」
「違わないけど…」
あーもうめんどくさいな!こういう時どうすればいいんだろう。
そうだ!あの時のように、雅貴が私にしてくれたように…
私はお姉様に抱きついた。
「ふ、フラン!?」
急に抱きつかれて困惑してるな、お姉様。少し顔が赤い気もするけど。
「私は大丈夫、もう大丈夫なの。だからね、お姉様も気にしないで」
今の私の気持ちだ。言葉で伝えても伝わるのは言葉だけかもしれないけれど。どうか伝わってほしい。
「…私を許してくれる?」
「許す許さないじゃないよ、そもそも恨んでないし」
「そう…ありがと」
「私こそ、暗い地下から出してくれてありがと!」
私とお姉様はしばらく抱き合ったままだった。
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「お姉様、私の部屋はどこになるの?」
あの後、お姉様の匂いを嗅いでいると嫌がられてしまった。むぅ、減るもんじゃないのになぁ。
「隣よ、今日からそこで寝なさい」
「…今日は一緒に寝てくれない?」
「…今日だけよ」
「お姉様、だーい好き!」
「ちょっと!やめなさいってば」
またお姉様に抱きつこうとしたのだが、あしらわれてしまった…でも一緒に寝れるのは嬉しいな。あ、そうだ!
「雅貴と3人で寝ましょうよ!」
「…彼がいいと言えばね」
そういえば彼は何処に行ったんだろう。食事が終わってからすぐここに来たから見てないや。
「…フラン、貴女は雅貴のこと、どう思う?」
「どう思うって?」
「一緒に居たいと思わないかしら?ずっと彼がこの館で生活してくれたら、どれだけ素晴らしいことか」
「それは…思う」
彼とずっと一緒に生活…悪くない。いやむしろ最高だ。館はずっと笑顔で溢れそうだし、いつでも彼と遊んで、ご飯食べて、一緒に寝て…うふふ。
「…何考えてるか知らないけど、顔がニヤけてるわよ」
はっ!いけないいけない。
「何かいい考えでもあるの?」
「ええ、とっておきの…ね」
不敵に笑いながら計画について話すお姉様は、とても心強かった。
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「咲夜さん、これは?」
「それは机に重ねて置いておいて」
私は…私達は厨房で食事の片付けに勤しんでいた。ここにどうして雅貴くんがいるのかと言うと、どうやら後ろをついてきていたみたいだ。
客人に片付けの手伝いをさせるなど、言語道断だが、彼の上目遣いには敵わなかった。
いや、ほんとにあれは反則だと思う。あんなん断れるわけないやん?
そう言うわけで、雅貴くんと共同作業に勤しんでいるわけだ。…いけない、共同作業だなんて、お風呂のこと思い出しちゃう。
それにしても小さいのに偉いわ。手際もいいし、普段から家で家事の手伝いをしてるみたいね。妖精メイドと交換したいわ…
ん、ちょっと待てよ。雅貴くんにはここで働いて貰えばいいのよ。執事として申し分ない実力も兼ね備えているわ。それに、メイドと執事という関係ならナニしても咎められることもないのでは?
そう思い、想像してみる。
お嬢様に仕える私、妹様に仕える雅貴くん。一緒にご奉仕して、夜は雅貴くんのご奉仕…あんなところからそんなところまで…うふふ
「ねぇ、咲夜さん」
「な、何かしら?」
びっくりした。気がつけばすぐ近くに雅貴くんがいた。皿も綺麗に重ねられている。
「終わったよー」
「あ、ありがと。それじゃ次はってきゃあ!?」
要らないことを考えていたからだろう。足下に散った泡水に足を滑らすなんて
「咲夜さん!?」
咄嗟に彼が手を差し伸べてくれた。その手をとる。しかし、小さな子供が女性を支えられるはずもない…
今、お前が重いだけだろとか思った奴、倉庫裏にご招待させて頂きますわ。
当然ながら彼も一緒に引き倒してしまった。
「いたた…大丈夫?まさた…」
そこには私の上に倒れ込む雅貴くん。その手は綺麗に私の胸へと見事なトライを決めていた。
「うん、大丈夫…ご、ごめんなさい!」
すぐに胸から手を退け、慌てて立ち上がろうとする彼。しかし私は逃がさない。すぐに彼の手をそのままわたしの胸に押し付ける。脚もしっかり絡ませる。
「ダメじゃない、大人の女性にこんなことしたら」
これは完全に雅貴くんがいけないわ。わざわざきっかけを作ってくれたんだから。
「ご、ごめんなさい…」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、申し訳なさそうにする彼の顔を見てると、もう我慢できなかった。
「だ〜め〜よ?イケナイしちゃったんだから、ちゃんとお仕置きしないとね?」
そうして彼の手を直接下着の中へ滑り込ませようとした時だった。
「…随分お楽しみのようね、咲夜」
「お、お嬢様!?」
「そのお仕置きとやら、私にも見せてもらおうか?参考にさせてもらおう」
「いえ、これは、その…」
見られていた!?いつから?
「まあ、いいわ。雅貴を借りていくわね」
そう言ってお嬢様は冷たく私を見下すと、雅貴くんの手を引いて言ってしまった。
「雅貴くん…」
もう少しのところでお預けを喰らった私は、ただただ自分を慰めるしか無かった。