霧雨の弟   作:ぐろさん

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作中に一部差別用語が使用されております
予めご了承ください


第12話

「やってしまったわね…」

 

カーテンの隙間からの薄日が指す頃、私は目を覚ました。目の前の惨状に頭を抱えながら。

 

裸の男女3人に生臭い匂いが漂っている。これに頭を抱えない奴がいるのなら相当の輩だろう。

 

昨晩、しこたま雅貴の身体を求めて貪り続けてしまった。彼は今はまだぐっすりと眠っている。

 

その隣でも幸せそうにフランも寝息を立てている。正直、私もまだ寝ていたいがそうもいかない。今日は異変を起こす日だ。

 

とりあえずシャワーを浴びる。吸血鬼が流水を浴びるなどと思うかもしれないが、あれは濁流のような量の水の話だ。

 

シャワーを浴び終えて着替えていると扉からノックの音が聞こえる。咲夜だろう。しかしこの状況を見られるのは嫌だな。だが従者をずっと待たすわけにもいかない。

 

「…入りなさい」

 

「失礼します。昨日はお楽しみでしたね」

 

無駄にいい笑顔で言いやがった。部屋の状況を見るまでもなく言い切ったのだ。

 

「…フランと雅貴が起きたら、シャワーを浴びるように言っておいて。それより準備は?」

 

「滞りなく完了しております。あとは、お嬢様の妖力を流すだけとのこと。大広間へお越し下さい」

 

「わかったわ」

 

部屋にフランと雅貴を残して、大広間に急いだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

大広間に入るとパチュリー、美鈴、小悪魔がいた。そしてパチュリーがいの一番に口を開く。

 

「あらレミィ、昨日はお楽しみだったようね」

 

パチェ、お前もか!…しかし、揶揄っているにしては顔が怖い。なんか怒ってる?

 

「…私がなぜ不機嫌なのか分からないと言った感じね、レミリア君」

 

「いや、不機嫌通り越して怒ってるわよね?」

 

君付けで呼んでくるあたり、相当だろう。しかし彼女は続ける。

 

「ねえ知ってる?私、昨日はとっても忙しかったの。親友の頼みでこの幻想郷全体を覆う霧を発生させる術式を一晩中組んでいたから」

 

だんだんと背中に嫌な汗が流れていく。

 

「それでね?私が一晩中頑張っていたのに、その親友はあろうことか姉妹で男の子を嬲っていたそうなの。一晩中。レミリア君はどう思う?」

 

「あー…えっと、その」

 

なんて言えばいい。どうすればここから最悪のシナリオを避けれる。私が助かる運命はないのか!

そうだ!こういう時こそ能力を使うとき…

 

「沈黙ということは何も思わなかったということでいいわよね?」

 

「ち、違うのよ!これには訳が」

 

「このショタコンペドフィリアが!土に帰れ!『日符ロイアルフレア』!」

 

終わった…

 

「お待ちくださいませ」

 

咲夜!ああ、なんと瀟洒なメイドなんだ!

 

「どきなさい。咲夜」

 

「パチュリー様、ここはまずお嬢様の妖力を流して頂きましょう。それさえ終わってしまえば、後は煮るなり焼くなりなんなりと」

 

裏切ったな咲夜ぁ!

 

「それもそうね、さあレミィ、後でしっかり調理してあげるから、早くしなさい」

 

死刑宣告を受け取った私は渋々、妖力を術式にそそぎこむのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目を覚ますと、そこにはもうお姉様の姿はなかった。隣には生まれたままの姿の雅貴。

 

そういえば昨日、悪戯のつもりで彼の首筋にに歯を立てちゃって、そしたらなんかすごい感覚に襲われて…どうなったんだっけ?

 

雅貴は隣でまだ小さな寝息を立てている。この無警戒な寝顔を拝めるなんてとても幸せだなと思った。

 

頭を撫でてみる。サラサラだ。一本一本が艶々している。これで男の子なんだから、おかしな話だ。

 

夢中で頭を撫でていると、彼が身動いた。

 

「んっ…」

 

…なに今の色っぽい声。もっと続けたらもう一度聞けるかな?

 

そう思い、もう一度彼の頭に手を伸ばそうとした時だった。

 

「うーん、おねえちゃん…」

 

「お、おねえちゃん!?」

 

当然、寝言である。彼が私を『おねえちゃん』などと呼ぶはずもないが、私はとても浮かれていた。

 

『おねえちゃん』なんていい響きなんだろう。私にもお姉様がいる。だからみんな私のこと「『妹様』と呼ぶ。

 

私のことを姉と呼ぶ存在なんているはずもない。だからこそ、寝言であってもこれほどまでにときめくのだろう。

 

そろそろ起きないといけない、カーテンの向こう側はなんか不気味に薄暗いけれど、お姉様も起きているみたいだし。

 

「雅貴、起きて」

 

彼の身体を揺さぶってみる

 

「うーん、やぁ」

 

私の手から離れるように身体を私とは反対方向に向ける。

 

なんなんだこの可愛い生物は。

 

仕方ないから私だけ起きよう。そう思っていたらノックが聞こえた。誰だろう。

 

「失礼します、妹様。朝食の準備ができました。それと、昨日はお楽しみでしたね?」

 

昨日?そっか、誕生日会のことか。

 

「うん、すっごく楽しかったよ。またやりたいな〜」

 

そう返すと何故か咲夜はさっきまでの笑顔から一転、顔を赤くしてしまった。なんか変なことを言ったかなぁ?

 

「そ、そうですか…お嬢様から朝食前にシャワーを浴びるようにとのことです」

 

「わかった」

 

私はそのまま浴室へと足を運んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私は先ほどの妹様の返事にかなり動揺していた。

 

「またヤりたいですって…」

 

それほどまでに激しく姉妹揃って雅貴君を犯し…ゲフンゲフン、致したのかしら?

 

スヤスヤと眠り続ける雅貴くんを見ながら、私は昨晩のお嬢様達の夜遊びを想像するのだった。

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