なかなか筆が進まず、物語を書く難しさを痛感しております。
今後もかなりゆっくりな更新となりますが、
気長にお待ちいただければ幸いです。
「んー、今日は星が綺麗だな」
薄暗い森の奥にある自宅で、私は窓から空を見ていた。こんなに綺麗な星空を見ると、ついあの日を思い出す。
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「まぁぼぉ、準備はいいか?」
「バッチリだよ、お姉ちゃん」
大人達が寝静まった深夜、私たちは行動を開始する。
「まぁぼぉ、そんな大げさな荷物どうするんだ?」
「必要なもの、全部詰め込んだ!」
まぁぼぉの背中には大きな風呂敷で荷物が背負われていた。
「それじゃ、出発だな」
「うん!お星様いっぱい見たい」
こうして私たちは真夜中に里を出て東へ向かった。目的地は博麗神社だ。
どうしてこのようなことになったのかは、今日の午前中まで遡る。
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「こーりん、これはなんだぜ?」
「なんだぜ?」
私とまぁぼぉは目の前にある三脚の筒に興味津々だった。
「いらっしゃい魔理沙、雅貴。それは天体望遠鏡といって、星や月を見るための道具みたいだよ」
てんたい…?名前はなんか難しいがなかなか面白そうなものだな。
「んーっ…何も見えなーい」
まぁぼぉが一生懸命に筒の大きな方を覗き込んでいるが何も見えないらしい。
「雅貴、反対だよ。こっちの小さい方から見るんだ」
そう言われて小さな方から筒を覗く。
「やっぱり何も見えないよ?真っ暗!」
「え?そんなはずは…ごめんカバーしてたんだった。どちらにせよ、昼間は危ないから使えないよ」
「どうして?」
「これで太陽を見てしまったら失明してしまうみたいだ。原理はわからないけど、使うのは夜だけみたいだよ」
月や星は見ていいのに太陽はダメなのか。不思議な筒だな。
「そういえば今日の夜は満月だし、家の前で使ってみるといい」
満月をまぁぼぉと…姉弟で眺める…いい。すごくいいと思う。最近はまぁぼぉと2人っきりでのんびりすることもなかったし、丁度いいかもしれない。
「本当は博麗神社のような小高い所から見る方がいいらしいけど、人里でも問題はないだろう」
博麗神社…確か人里から少し離れたところにある神社だよな。静かな神社でまぁぼぉと星々を眺める。なんてロマンチックなシチュエーションなんだ!
最近は父さんからを弟離れしろやらなんやら言われるが、一緒に遊んで、一緒に風呂に入って、一緒に寝るなんて、姉弟なら当たり前のことだろう?なぜそれを止めようとするのか訳がわからない。
「楽しみだね、お姉ちゃん!」
そう言って無邪気な笑顔を向けて来るまぁぼぉ。その顔を見るだけでさっきまで考えていたことが全てどうでもよく思えてくる。
「まぁぼぉ、どうせなら人里じゃなくて博麗神社に行こうぜ。皆んなには内緒でな」
私が口元に指を立てると、まぁぼぉも真似をしながら小さく「しぃー」と呟く。
まったく、いちいち動作が可愛らしいんだよな。
本当に弟なんだろうか?今からでも妹と言ってもらっても全然信じるぞ。お風呂に一緒に入ってるからそこは確認済みなんだがな。
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そんなこんなで人里から出て薄暗い森の入り口まで来た。
偶に昼間通ることはあるが、昼と夜では雰囲気が全然違う。暗い闇が口を開けて待っているような、そんな錯覚に陥る不気味さを感じる。
こんな時こそ、姉としてまぁぼぉを引っ張っていかなければ!怯える弟を優しく安心させる…これならまぁぼぉの好感度もうなぎ登り間違い無い!
まぁ、もう上がりくらないくらい好感を得られているはずだ…うん…
暗い闇に呑まれないように、まぁぼぉの手を握ろうとしたその時、
パキリ メキッ
なんの音だろう?こんな真夜中の森の中に人はいないだろう。そう考えると嫌な予感しかしない。
さっきまで聴こえていた虫の鳴き声が聞こえないず、静まりかえった森の中で、枝を踏み締める音だけがやけに聞こえてくる。
グルルル…
茂みの奥から呻く声が聞こえてくる。しかも1匹なんかじゃない。
すぐにまぁぼぉの手を取ってここから逃げないといけないのに、足が石のように重く動かない。手は震える。自分の体が、何かに乗っ取られたかのように全く動かない。
前からナニかが近づいてくる。それはゆっくりと、わたしとまぁぼぉの元へ。
得体の知れない何かが近づいてくるという恐怖で腰が抜けてしまった私はその場にへたり込んでしまった。
あぁ、きっとここで食べられてしまうんだ。ごめんな、まぁぼぉ…私の勝手な思いつきで巻き込んで…でも、まぁぼぉと一緒に死ねるなら…
そんなことを思いながら私は目を閉じた。すると、手に暖かみを感じた。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
まぁぼぉに声をかけられ、目を開けてみるとそこには信じられない光景が広がっていた。
そこにはオオカミのような見た目をした妖怪がまぁぼぉに擦り寄っていた。その近くには小さな個体もいる。
そのオオカミ?でいいか、オオカミとその子供たちがまぁぼぉを取り囲んで甘えている。それはまるで飼い慣らされた犬のようだった。
「あはは、くすぐったいよぉ」
寺子屋や人里の人たちから耳にタコができるぐらい妖怪の怖さ、恐ろしさは聞かされてきた。だかどうだろう。目の前にいるオオカミたちはまぁぼぉに甘えてじゃれついている。
ひょっとして、大人たちの脅しだったのだろうか。そう思い、近くにいた1匹に手を差し伸ばす。
グルルッ!バウッ!
…怖っ!さっきまで猫撫で声でまぁぼぉに擦り寄ってたのに私が手を伸ばした途端に急変したぞ!?眼も紅く血走り、今にも襲ってきそうだ。
「ダメ!お姉ちゃんを虐めないで!」
オオカミたちの中心にいたまぁぼぉが異変に気付いて私の前に立つ。
「お姉ちゃんを虐めたら、君たちのこと嫌いになるからね!」
まぁぼぉがそう言うや否や、さっき私に牙を剥き出し吠えついてきた奴が擦り寄り手をぺろぺろと舐めてきた。
お前らまぁぼぉに嫌われるのどんだけ嫌なんだ?まぁ私もまぁぼぉに嫌われたら…死ねるな…うん死ぬわ。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫だぜ」
ぺろぺろと私の手を舐めていたやつに、もういいと頭を撫でてやる。
そうすると眼を細め自分から撫でている手に頭を擦り付けてくる。コイツ…オオカミじゃなくてワンコだったか
「みんなも一緒に行こうよ」
まぁぼぉがそう言うと、オオカミたち返事をするように遠吠えをあげた。
「お姉ちゃん、行こ?」
未だに地面に腰を抜かしてる私に手を差し伸べてくれる。
私が握ろうと思った小さな手は、こんなにも大きかったんだな。
そんなことを思いながら、まぁぼぉに起こしてもらい、妖怪(オオカミ×ワンコ○)の群れと共に暗い森を歩くのだった。