霧雨の弟   作:ぐろさん

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第18話

「あ、お姉ちゃん!」

 

そう言って金髪の白黒の方へと駆け寄っていく雅貴。それを私は手で遮った。

 

「レミリア…ちゃん?」

 

不安げに私を見つめる雅貴に微笑みながら頭を撫でてやる。

 

「おい!そこの妖怪!まぁぼぉを放せ!そしてそこを替われ!まぁぼぉの頭を撫でるのはは姉である私の特権なんだぞ!」

 

…なんか最後の方がおかしかった気もするがそこはスルーしよう。

 

「嫌に決まっているでしょ?貴女たちだって土足で人の家に上がり込んで、ただで済むとは思っていないわよね?」

 

ここにはパチェにフラン、そしてなぜあの2人の後ろにいるのかは知らないが咲夜がいる。負けることなど、あるはずがない。

 

すると、咲夜が私を指差し言う。

 

「あれこそが今回の異変の首謀者にして雅貴くんを拐い、好き放題弄んでいるレミリア・スカーレットその人です!」

 

「「へぇ…あんた(お前)が」

 

その瞬間、空気が変わった。まわり温度が下がり、紅白と白黒の霊力と魔力がどんどん高まって行くのを感じる。

 

いつのまにか体が震えていることに気がついた。私が怯えている?ただの人間に?

 

いや、これは武者震いだ!人間風情なんかに、怯えるわけがない!

 

「レミリアちゃん…」

 

そっと手を握ってくれる雅貴。素直に嬉しいんだが、あの2人からの威圧感が増した気がする。ちょっとチビりそうかも…

 

「ふん、人間2人で何ができるかしら?こっちは4人もいるのよ!」

 

そう、いくら威圧されようとここには親友と妹と従者がいるじゃない!

 

「あ、私は無関係だから。そこの吸血鬼が全ての元凶よ」

 

「パチェ!?」

 

「私…お姉様に脅されて…それで…」

 

「フラン!?」

 

ここにきていきなりの裏切り、なすり付けである。で、でも私にはまだ咲夜が、完全で瀟洒な自慢のメイドがいるわ!

 

「お嬢様…悔い改めて、どうぞ」

 

「咲夜!?おまえもかぁ!?」

 

とびっきりの笑顔でそう言われた私は、ただただ叫ぶしかなかった。

 

どうする?どうすれば最悪なBADエンドルートを回避できる?落ち着きなさい、私は気高き吸血鬼。夜の帝王レミリア・スカーレット!そして運命を操る程度の能力!この力で絶対に回避してやるんだから!

 

「もういいわよね?」

 

「へっ?」

 

そんなことを考えていた私の目の前にいたのは、大量のお札を構えた巫女と、何やら道具を構える魔女の姿だった。

 

「無双封印!」「マスタースパーク!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

そのあとの事は、よく覚えていない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

まー君を拐った妖怪を退治した私たちはそのまままー君に駆け寄っていた。

 

「無事かまぁぼぉ!?痛いところはないか?何もされてないよな?」

 

「大丈夫だってば。お姉ちゃん心配しすぎだよ」

 

「だってあのメイドが酷いことされてるって!その格好だって、嫌々させられてるんだろ?いや可愛いからいいんだけどよ」

 

あのメイドから聞いてた話と状況が違う。ほんと、なんで女装…しかもさっきの奴と同じ格好をしてるし。

 

「おい、メイド!これは一体どういう…ありゃ?あいつどこ行った?」

 

「さっきの奴を連れて何処かへ行っちゃったわよ」

 

自分の主人って言ってたから、介抱でもするのだろう。あのメイドの鼻息がかなり荒かったような気もしたけど、どうでもいいわ。

 

「それより、あんたたちは?あいつの味方なの?」

 

私はずっと椅子に座ったままの本を読み続けている少女と不思議な翼を持った少女に問いかけた。

 

「親友とその妹よ。私はパチェリー。魔女よ」

 

「私はフランドール。吸血鬼だよ」

 

「要するにさっきの奴の味方なんでしょ?退治するわ」

 

私は と札を構えて臨戦態勢を取る。

 

「降参よ。目の前でレミィが倒されるのを見て戦いを挑むほど馬鹿じゃないわ。それに赤い霧の供給魔力源であるレミィが倒れたことで明日には霧は霧散しているわ。」

 

「なら今回の異変は解決ね。帰りましょうか」

 

「いや、まだだぜ」

 

何を言っているのだろうか魔理沙は。明日には赤い霧は晴れる。なのにまだこの異変は解決していないという。

 

「まぁぼぉ、この館で何をしてたか、お姉ちゃんに教えてくれ」

 

「うん!えーとね、咲夜さんとお風呂に入った!」

 

…今なんて?お風呂?あのメイドとお風呂?

 

「レミリアちゃんとフランちゃんと一緒に寝た!」

 

…あいつもう一回ボコろう。あとフランドールも

 

「美鈴さんにお花のタネをもらった!」

 

…美鈴って誰?

 

「パチェリーさんに絵本を読んでもらった!」

 

…うーん、和むわね

 

「あとあと、メイドさんごっこした!」

 

…あのメイドの仕業ね、今度やってもらおう

 

「そうかそうか…美鈴とパチェリーは白だな」

 

白?いったいどういう意味なのだろう。

 

「レミリア、フラン、咲夜…黒だな」

 

黒?魔理沙が呟いている意味がよくわからない

 

「人の弟を食べちまうような悪い奴はオシオキシナイトナァ?」

 

そう言うと魔理沙はフランドールの元へ駆け出していた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ふふっ、今日もお美しいですわ、お嬢様」

 

ここには私とお嬢様の2人だけ。メイドとして主人の介抱をするのは当然のことだ。

 

あの2人にお嬢様をボコってもらい、気を失ったお嬢様を介抱する。全て計画通り…

 

「今夜はたっぷりと、ご奉仕させていただきますね」

 

気を失っているお嬢様に手を伸ばしたその時だった。

 

「お楽しみのところ、失礼するぜ」

 

振り向くとそこには霧雨魔理沙がいた。

 

「…道に迷ってしまいましたか?よろしければご案内させていただきますが」

 

お楽しみを邪魔されたが問題ない。すぐに門まで送ればいいだけのことだ。

 

「いや、ちょっと野暮用でな。うちの弟に手を出したショタコン吸血鬼と変態メイドを懲らしめるって言うな」

 

彼女が懐から何かを取り出したその瞬間、私は時を止めた。

 

「残念ね、時間さえ止めてしまえばこっちのものなの」

 

折角お嬢様を好きにできると思ったが致し方ない。ここは逃げるとしよう。

 

そうして時を止めた世界の中で、私は彼女の側を通り過ぎようとしたその時、腕に何かが当たる感覚がした。

 

当たったものはどういうわけか私の腕を締め付けてくる。

 

「どこに行くつもりだ?」

 

「なっ!?どうして!?」

 

ありえない…ありえないありえないありえない!!この世界で動けるのは私だけ!私だけの世界なのに!何故彼女は動けるの!?

 

「残念だったな、トリックだよ」

 

彼女の手には魔道具が握られていた。

 

「こいつは優れものでな、どんな能力でも無効化してしまうのさ」

 

「い、いや!離して!」

 

私は恐怖のあまり叫んだ。彼女の顔が、あまりにも恐ろしかったから。

 

「おいおい、人の弟に手を出したんだ。それ相応の報いは受けてもらえぜ」

 

彼女はさっきお嬢様を吹き飛ばした魔道具を懐から取り出して私の顔面に押し当てる。

 

「加減には自信がなくてな。生きててくれよ?」

 

 

 

その数秒後、時の止まった空間にメイド長の叫び声が響き渡った。

 

 

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