もしかしたら無くすかもしれません。ご了承下さい。
「はい、じゃあ雅貴ちゃんばんざいして?」
「うん、バンザーイ!」
そうやって元気よくばんざいした雅貴ちゃんの服を脱がしていく。今から雨に濡れた子猫ちゃんをキレイにするのだ。
「咲夜さんも一緒に入るの?」
「ええ、もちろん」
ささっとズボンも下ろしてパンツも下ろ…
その時、私の中で時が止まった。いや、無意識に能力を使っていた。
「お、男の子!?」
時が止まった中、私の驚愕の声だけが響き渡った。どうしよう、お嬢様の言い間違いなんかじゃなかった。
本物の男の子だ。一人称が『僕』なのは当たり前だろう。いやしかしこの可愛さで男の子だなんて誰が信じれるだろう。いや、そんな人などどこにもいない。
とにかく時を元に戻そう。…パンツとズボンは元に戻しておこう。
「んん、下は自分でできるよね?」
「あれ?さっき咲夜さん脱がしてくれなかった?」
「いいえ、私はなにもしてないわ」
「そう?まぁいいや。それじゃあ早く一緒に入ろ!」
そう言って私の着替えを急かす雅貴ちゃん…もとい、雅貴くん。
「いや、それはちょっと…」
しまった。さっき一緒に入ると言ってしまったのだった。
「さっき入るって言ったのに」
そう言ってしゅんとしてしまう雅貴くん。そんな目で私を見ないで!
「さ、先に入っててちょうだい」
「うん、わかった」
そう言って脱衣室から浴室へと入っていった。
「はぁ…どうしようかしら」
小さい子とはいえ殿方とお風呂に入ることになるとは…とりあえずタオル巻いておこ。それからそれから…
着替えに必要以上に時間をかけ、意を決して、浴室へと足を運ばずのであった。
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「咲夜さん、遅〜い」
と少し頬を膨らませてこちらを見ている雅貴くん。可愛いなぁ。
身体は既に洗ったようで既に湯船に浸かっていた。さっそく私も身体を洗うことにする。
「咲夜さん、背中流してあげる」
「え?」
「いつもお姉ちゃんと洗いっこしたよ?」
なるほどそういうことか。この子が異性との入浴をなんとも思わないのは姉と入っていたからなのね。
私も小さい頃は美鈴とよく入っていたいたし、たまには人に背中を流してもらおうかしら。
「じゃあお願いね」
「うん!」
そうして私は背中を彼に向ける。すると彼は手にいっぱいの泡を作って私の背中に押し当てた。
「ひゃあ!?」
その手のくすぐったさに小さな悲鳴を上げてしまった。恥ずかしい。しかし、彼は気付いていないようで丁寧に背中を洗ってくれる。
「咲夜さん、肌綺麗」
そう言ってゆっくり背中を小さな手で撫でるように洗っていく雅貴くん。
とても気持ちいい。美鈴に洗ってもらっていた時はこんなこと感じなかったのに。彼の少し冷たく柔らかい手が、指が背中を舐め回すかのようにゆっくり撫でる。
いけない…なんだか変な気分になってきてしまった。少しだけ息も上がっている。どうしてこんな気分になってしまったのかわからないが、彼の手が背中を撫で回すたびに、もっと彼に体の隅々まで洗って欲しいと思ってしまう。
「じゃあ流すよー」
そう言ってお湯を背中にかけられて我にかえる。私は一体なにを考えていたのだろうか。
「気持ちよかった?」
鏡越しに無邪気な笑顔で聞いてくる彼。
「ええ、とても…今度は私が洗ってあげるわ」
「僕、もう洗ったよ?」
「いいじゃない。さあ座って」
「う、うん」
気持ちよくしてもらったのだから、仕返し…御返しをするのはメイドとして当たり前だわ。
「いくわよ」
そうして私は彼の背中に自分の胸を押し当てた。
「さ、咲夜さん!?」
焦ったような、照れてるような顔を浮かべる雅貴君。初めて見るその顔は、とても愛らしく、嗜虐心をくすぐるものだった。
「どうかした?」
出来るだけ冷静を装って聞き返す。私もかなり恥ずかしいことをしているがそんなことはどうでもいい。今はもっと彼を見ていたい。
「いや、あの、えっと…そのぉ…」
だんだんと声が小さくなり、ついには顔を真っ赤にしてしまう彼。ああ、可愛すぎる!
すると彼の身体が揺れた。というより私の方へ身体を委ねてきた。
「雅貴くん?」
体を揺すっても返事がない。どうやら刺激が強すぎてのぼせてしまったみたい。
「ちょっとやり過ぎちゃったかしら?」
そんな彼の頭を膝の上に置いて体のほうに目をやる。
「…気を失っても体は元気というか正直というか」
まあこんな見た目でもやっぱり男の子ということだろう。しかしこういうことになってしまったのは自分の責任だ。
ここで私は状況を整理する。目の前には気を失ってしまって無防備を晒している美少年。周りには自分だけ。
これはあれね、据え膳食わぬは女の恥ってやつよね。これは仕方ないわ、彼から入浴を誘ってきたんだもの。
…先っぽだけならいいよね?ね?
そう思いながら、私は膝枕していた彼の頭を下ろし、そっと彼の体に跨るのだった。