霧雨の弟   作:ぐろさん

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第6話

私はパチュリー・ノーレッジ。ここ、紅魔館の図書館の司書にして七曜の魔女である。

 

今日もいつものように小悪魔の入れてくれた紅茶とクッキーを食べながら読書に勤しんでいる。

 

今日は客人が見えるということで待っているのだがなかなか訪れない。

 

「パチェ、いる?」

 

「ええ、レミィ。ずっとここにいるわよ」

 

客人が来たかと思えばこの館の主人のレミィである。付き合いの長い親友だ。

 

「咲夜と雅貴は来ていないの?」

 

「いえ、まだ来ていないわ。雅貴っていう人が今日の客人?」

 

「ええ、そうよ。雨に濡れちゃってたから咲夜にお風呂を用意させたんだけど…」

 

「2人仲良く入ってるんじゃない?」

 

「まぁ、小さい子だし一緒に入ってもおかしくはないわね」

 

そう話していると扉を開けて入ってくる気配が2人。噂をすればってやつね。

 

「遅くなり誠に申し訳ありません。雅貴様をお連れしました」

 

そこにはなぜか肌の艶々した咲夜と、お風呂で身体が温まり、少し眠そうな可愛い女の子がいた。

 

「随分遅かったのね。まぁいいわ、紹介するわ雅貴。彼女はパチュリー・ノーレッジ。この図書館の司書で魔女よ」

 

「初めまして、この図書館の本を管理しているわ」

 

「初めまして。僕は雅貴。お姉さん魔女なの?お姉ちゃんと同じ!」

 

姉が魔女?この子は人間よね?だけど身体からほんの少し魔力を感じるわね。

 

「失礼だけど、あなたは人間よね?」

 

「そうだよ」

 

ということは人間から魔女になったのが彼の姉ということか。並大抵の努力ではないはず。少し彼女の姉に興味を持っていると咲夜そっと耳打ちして来た。

 

「彼は男の子ですので、お間違えのなき様」

 

「え?」

 

咄嗟に聞き返してしまった。

 

目の前にいる可愛い客人は男の子?ウソダドンドコドン。

 

「パチュリーさん?」

こちらを様子を伺うように小首を傾ける彼女…彼?どちらにしても可愛い仕草である。

 

「…質問ばかりで申し訳ないけど、あなたは女の子よね?」

 

「ううん、僕は男だよ?」

 

…こんなこともあるのだな。まさかこんなに可愛い子が男の子なんて。これは実に興味深いわ。

 

「お姉さんは誰?」

 

そう言っていつの間にいたのか、私の後ろに佇んでいた小悪魔に声をかけた。

 

「私は小悪魔です雅貴くん。こあとお呼びくださいませ」

 

「よろしくね、こあちゃん」

 

そう言って笑顔で小悪魔と握手する彼。小悪魔は顔がゆるゆるになっている。

 

「きゃー可愛い!これが本物の男の娘!」

 

そう言うと彼を抱きしめたり、抱っこしたりやりたい放題の小悪魔である。

 

「こあちゃん、くすぐった〜い」

 

ここは図書館なのだから静かにしてほしいのだけれど、彼の笑顔を見ているとそんなことを言う気もそがれていく。逆に心がけて穏やかになっていくようだ。

 

「小悪魔、彼はお客様よ」

 

咲夜がとても怖〜い笑顔で小悪魔に言う。その顔を見て小悪魔も竦みあがり、すぐに彼を離した。

 

「も、申し訳ありません!」

 

あらあら、小悪魔が縮こまっちゃったわ。

 

「咲夜、あまりいじめてあげるな。と言うことでパチェ、彼にも読めるような本はない?」

 

「…その本は少し端の方に置いてあるから、小悪魔に案内させるわ」

 

そう言うと小悪魔が彼の手を引いて連れて行く。彼の姿が見えなくなってから親友に問う。

 

「…彼が本当に運命を変える?」

 

「大丈夫よ、そう運命が定めているから」

 

レミリアは確信しているようだ。自分が観た運命の行く末を。

 

「本当に彼は大丈夫なのでしょうか」

 

咲夜は心配そうにしている。そんな彼女を見るのは珍しい。

 

「咲夜までどうしたのよ。私も少し不安だったけど、彼と少し話すだけでわかるでしょう?あのなんとも言えない、不思議とこちらを穏やかにさせてくれる笑顔や仕草」

 

「ですが…」

 

「彼だけなの、彼だけが希望よ」

 

そうレミィが言うと咲夜も折れるように黙った。相当彼がお気に入りなのだろう。

 

「パチェ、例のものは?」

 

「出来てるわよ」

 

頼まれていた指輪をレミィと咲夜に渡す。

 

「これは?」

 

「彼にもしものことが起こり得る可能性があった場合、その指輪が紅く光るわ」

 

「もし、その指輪が光ったら貴女が能力で彼を救いなさい」

 

もしものことが起こる前に彼を助けられるのは咲夜しかいない。

 

「まあ、そんなことにはならないから、仕事に戻りなさい。あ、あと今日のディナーはとびっきりのやつでお願いね。何たって特別な日なんだから」

 

「かしこまりました」

 

そういい、咲夜は姿を消した。

 

「あの子にしては随分心配してるわね」

 

「そうね、心配させられるほど彼が魅力的なのよ。私も心配してなければこんな物用意しないわ。それに…」

 

「それに?」

 

「いえ、なんでも無いわ。それじゃまた後で」

 

そう言うとレミィは図書館を出て行った。なにを言いかけたのかは分からないが、まあいいだろう。知らない方がいいことだってあるのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

図書館を出て自室に戻った私は、もし雅貴の身に何かあったときの運命をもう一度観る。

 

そんなことはありえないと思うが、全く無視できないことだったから。

 

そこには、雅貴だったナニか、そして、狂ったように家族を嬲り殺す紅白と白黒の2人組の姿だった。

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