眠っている白鷺千聖さんに悪戯するだけのお話。

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4/6は千聖さんの誕生日、ということを当日になって思い出しました。
一日クオリティーです。焦って焦って書きました。

遅れてしまいましたが、
千聖さん誕生日おめでとうございます。



O-SA-WA-RI

それは春の日の昼下がり。

僕の家のソファーに、そして僕の隣に白鷺千聖が座っている。座って眠っている。すぅすぅという寝息が聞こえる。

何が一番声を大にして言いたいかと、隣にいる僕に寄りかかって眠っているということ。つまり彼女のやわっこい身体が僕の肘や腕に触れて、さらには彼女の髪や身体から仄かに香る甘い匂いを吸って、僕の理性は崩壊寸前だと。

僕の心臓は煩いぐらいに激しく鼓動し、呼吸が浅く速くなっている。有り体に言えば童貞丸出しである。童貞で悪いかコンチクショウ。

落ち着け落ち着け。呼吸を正常に、息を大きくゆっくり吸って吐いてを繰り返す。

 

「すぅーはぁーすぅーはぁー」

 

OK。落ち着いた。きっと多分。そして簡単に振り返る。

今日は4月6日、千聖さんの誕生日。パスパレメンバーを始めたくさんの仲間や友人に祝われたり、いつものように仕事があったり、そんな忙しい予定と予定の合間に千聖さんはウチに来ていた。

誕生日だって言うのに予定山盛りだったので、ウチに来るのなんて明日以降でもいいのに、と僕が言ったら。

 

「貴方は私に会いたくないの?」

 

と真顔で問い詰められた。僕は千聖さんを想って言ったのに。千聖さんに会えるのはすごい嬉しいけどさ。

そんな感じでウチに来た千聖さん。お茶でも飲みながらゆったりと時間を過ごしていたら、いつの間にか千聖さんは眠っていた。そして今に至る。

彼女がうっつらうっつらしてる最中に紅茶を零さなかったのは幸いだった。ゆったりとした時間が惨事になっていた。

眠っている千聖さんは安らかな表情というか無駄な力が抜けていた。その表情を見て僕は安堵する。僕の近くにいることは彼女にとって安らぎなんだと思えるから。

やっぱり綺麗だなと千聖さんを見て思う。神秘的というか、画になるというか……僕の貧相なボキャブラリーでは言い表せない美しさが彼女にあった。

ただ、しばらく眺めている内にある思いが僕の頭を過ぎる。これ悪戯しても今なら大丈夫じゃなか、と。

今なら千聖さんの腕に触れても、頬を抓んでも、髪を撫でても、鼻をつんつんしても、唇を指で押しても……なんなら胸を揉んでもバレないんじゃないか。悪魔の誘惑が僕の心を徐々に侵略していく。仕方ないじゃないか。千聖さん綺麗なんだもん。僕はは悪くない(責任転嫁)。

ごくりと唾を飲んで恐る恐る手を伸ばす。伸ばした先は千聖さんの頬。ゆっくりとその美しい頬に触れる。

 

「おお……」

 

指がゆっくりと沈む。すべすべで柔らかい肌は触っているだけで気持ちいい。

 

「ん……」

 

千聖さんが一瞬声を上げたような気がして僕はびくっとする。少しだけ寝息を上げただけだった。よかった。セーフ。

そのまま手全体で千聖さんの頬をに触れる。彼女の頬の柔らかさが手全体に広がる。ああ、至福。ただただ幸せ。

千聖さんの表情を確認する。目は閉じられたまま、安定した呼吸を繰り返し、自然体な表情で眠っていった。これはひょっとして、他のこともやってみても大丈夫なんじゃないか、なんて考えが浮かんでくる。

頬から手を離し、千聖さんの可愛らしい小さな鼻に近づける。人差し指一本で鼻の頂上をつんつんする。

 

「んんっ……」

 

千聖さんは嫌そうな、そしてうっとおしそうな呻きを上げる。流石に起きてしまうかと思って指を離す。

 

「すぅ……すー……」

 

セーフセーフ。大丈夫。

もう一回つんつんしてみる。

 

「……んーんっ……」

 

またもさっきと同じように呻く千聖さん。起きてしまいそうでひやひやするが起きない。

千聖さんの愛らしい鼻をつんつんするのは面白い。感触がどうというより反応が鼻つんつんの魅力だと思った。嗜虐心がくすぐられるられるというか。好きな子を虐めてしまう小学生の気分。楽しい。

とはいえやりすぎは起こしてしまう可能性があるのでここまでにして次に移る。鼻から今度は千聖さんのパステルイエローの髪に、そして頭に触れる。体勢的にその美しい髪の先のほうには触れることができないのが非常に残念。

手を左右にゆっくり動かす。撫でる。さらさらの髪はこれまた頬とは違う気持ちよさがある。頬のほうは吸い付くような気持ちよさで髪の方はさらさらで滑っていくのが気持ちいい。

 

「誕生日おめでとうございます」

 

僕は撫でている最中に思わずその言葉を言ってしまう。なんというか保護欲が湧いたというか。いつも頑張ってる千聖さんに伝えたくなってしまった。きっと聞いていないけど、自己満足だけど言いたくなった。

なんだか彼女の顔が少し赤くなったような、気のせいか。まさか起きてるわけない。ないない。起きてたら色々とやばい。さっきの「誕生日おめでとう」とか憤死ものだし、鼻つんつんに至っては千聖さんに折檻されてもおかしくない。

 

「……まさか起きてます?」

 

「……すぅすぅ」

 

僕の言葉に返ってきたのは千聖さんの息遣いのみ。これは起きていないか。続行しても大丈夫かな。きっと大丈夫。たぶん大丈夫。

ただ一先ず顔から離れようと思った。あんまり刺激しすぎて起こすと折檻(以下略)。というわけで次は手や腕を触ってみることにした。

まずは千聖さんの細い腕を軽く揉んでみた。なんだかちょっとマッサージをしてる感じだ。

 

「すー……すー……」

 

千聖さんは変わらず安眠状態。狙い通りで安心する。

それにしても細くて折れそうな腕だ。ちょっと心配になってしまうほどだ。

腕から下に行って、手を触る。千聖さんの手は小さくて、指先の爪は楽器を弾くのに適切な長さになっている。ハンドケアはきちんとしているのか綺麗な手だった。ふにふにと腕と同じように軽く揉んでみる。

 

「すぅ……すー……」

 

千聖さんは腕の時と変わらない反応。安心するが、ちょっとつまらない。やっぱり何かしらの反応がほしい。

そんな想いもあって今度は手を握ってみる。恋人握り。にぎにぎする。隙間なく手と手を密着させると、この上のないほどの幸せな気分になる。

とはいえ、千聖さんの反応は相変わらず。

 

「うん?」

 

と思ったが、千聖さんの顔が笑っているように見えた。ほんの一瞬のこと。

 

「……気のせい、かな」

 

そう見えたのは僕の願望だろうか。改めて千聖さんの顔を見るとさっきと同じような安らかな表情で眠っていた。

気を取り直して、次に行こう。絡めた指をゆっくり解く。ちょっと名残惜しい。

解いた指をそのまま唇に持っていく。そして人差し指で千聖さんの唇を押す。唇はくにゅりと形を歪める。

 

「なんかエロい」

 

もうちょっとで人差し指が口内に入ると考えたら余計に。ごくりと喉を鳴らす。

そこから上唇を右へ左へと指を動かして、その後は下唇へ同じように。心なしか人差し指が濡れている気がする。

そして千聖さんの寝顔も心なしか怒っているような……。

 

「千聖さん、起きてます?」

 

僕はまた恐る恐る声をかける。……やはり反応は微かな呼吸のみ。起きてなさそうだ。大丈夫、まだいける。

起きていないのなら、次の場所へ、女性特有の膨らみへと手を伸ばす。つまりはおっぱいだ。

 

「ごくり……」

 

唾を飲む。これまで以上に慎重にゆっくりと手を胸へと伸ばす。

 

「……えっ?」

 

あと少しで、その柔らかな果実に手が触れるといったところで何故か腕の動きが止まる。あれ? なんでだ?

 

「…………何をやっているのかしら?」

 

「………………」

 

はい死んだー。折檻待ったなし。

千聖さんは閉じられていた瞳を開いていた。そして身体を起こし、僕の腕をがっちりと掴んで動かせないようにしていた。すごい力だ、痛い。

 

「……その、マッサージを、と思いまして」

 

我ながらあまりにひどい言い訳をしているなと思いつつもそれしか思いつかなかった。

 

「胸を揉むことが?」

 

その言葉を発する千聖さんの瞳は冷たくて、僕は背中がぞわっとした。怒ってますね。

 

「……起きてました?」

 

「ええ、最初から。私のほっぺを触ってるところからずっと」

 

「……もしかして寝たフリ?」

 

「そうよ。私が無防備にしてたら貴方がどんな行動するか試したの」

 

おぅ。

 

「それで、あちこち触って悪戯した感想は?」

 

「最高でした」

 

「はぁ……馬鹿」

 

僕の感想に対してため息と暴言を返す千聖さん。呆れてそっぽ向く。彼女の耳は桜色に染まっていた。

 

「そういうことは私がちゃんと起きてる時にすること」

 

仕返しとばかりに千聖さんは僕の鼻を抓んで引っ張り上げた。

 

「痛い痛いい」

 

「寝てる私に悪戯した罰よ」

 

「千聖さん起きてたじゃないですか」

 

「悪戯した張本人が言わない」

 

理不尽。そして痛い。そろそろ解放して。鼻がとれちゃう。

千聖さんは少しして僕の鼻から手を離す。ふぅー。

 

「千聖さんは起きてる時にやれっていうけどさ」

 

「ええ」

 

「そうしたら許してくれるの?」

 

「…………限度はあるけど」

 

仕方なさそうに千聖さんはそう言った。何か思い出したのか、千聖さんはジト目になり、

 

「えっちなのは駄目よ」

 

と言った。

 

「そういうのはもうちょっと先に取って置きます」

 

「……馬鹿」

 

千聖さんはまたも呆れてような罵倒をする。僕はなんだか嬉しくなった。ドМではないよ。

僕はさっきも言ったけど、と前置きして、今日彼女に一番伝えたい言葉を口にする。

 

「誕生日おめでとうございます」

 

その言葉を聞いて、千聖さんは眩しいくらいにはにかんだ。

 


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