携帯怪獣地方 ジョウト   作:あたらんて

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吾輩はトレーナーである

今日はクリプターの会議の日である。

俺の異聞帯については説明しても誰もよく理解してくれなかった。コヤンスカヤが俺の異聞帯に来たときに言った『あー…これは実際に目にしないと何が起こっているのかわかんないですね』という言葉が全てを物語っているのだろう。

まあポケモンが存在しないこの世界じゃ抱き締めて背骨をへし折る熊が闊歩するような世界の話なんか理解できないよな…。

知ってるか?マグカルゴの体温10000度あるんだぜ…そんな世界に対応している人間も人間だと思います、ハイ。(スーパー)マサラ人とか頭おかしいよアレ…(恐怖)

 

 

「さて、空想樹の発芽から90日が経過して、異聞帯の書き換えは終了した。まずは第1段階の終了を祝おう」

 

 

キリシュタリアのその言葉から始まった会議は雑談、口論を交えながら緩やかに進んでいく。

その内、デイビットとベリルの異聞帯のことに話が及ぶ。

 

 

「オレたちにその気がなくても向こうから殺されに来る。カイのとこもそうだろ?」

 

 

おっと、ベリルがこっちにも話を振ってきた。デイビットとベリルの異聞帯では原始的で殺し、奪うのが日常らしい。なんて野蛮なんだ。

 

 

「おいおい、一緒にしないでくれよ。こっちのはその生物たちの習性みたいなものだ。たまたま出くわしたら戦闘になるってだけだ」

 

「ハハハッ!そうだったな。そのポケモン?ってやつらを自分の手下を鍛えるために殺戮しまくってるんだってな!向こうから来るんじゃなくてそっちから行ってんのか!やっぱアンタイカれてるぜ」

 

 

あながち否定できないのが悔しい。あの世界において野生のポケモンというのは確かにそういう面もある。だって無限湧きするんだもん…。

まあただ、可愛いペットを瀕死になるまで戦わせるなんて他から見たら正気の沙汰じゃないだろう。しかし、あの世界ではそうしなければいけないのだ。

ポケモンたちは、強すぎる。あの世界の人間たちが野生のポケモンたちを殺戮する戦闘民族へと育っていくのもしょうがないことだろう。種としての本能だ。他の種と生存競争を繰り広げなければいけない。

キャタピーはオニドリルに食べられるし、ドヒドイデはサニーゴを狙う。ザングースとハブネークは日夜殺し合いを繰り広げている。

そんな中、人間が自分のポケモンを鍛えるために野生のポケモンを倒すことを問題視するやつがいるだろうか?

 

ロケット団がヤドンのしっぽを売りさばいていたことを咎められたのは倫理的観点からではない。密猟だったからだ。法律で禁止されていたから悪いことなのである。

あのミカンちゃんだってジムリーダーに至るまでに野生のポケモンの屍を幾つ積み重ねてきたか数えられないだろう。

 

 

「あれだよ、レベル上げ。ゲームの。やった事ある?お前だって殺したらわかりやすくレベルが上がって強くなるっていったら大喜びで殺すだろ?」

 

「ハハッ、ヤベエなこいつは…まあいいや。アンタがヤバい奴ってのは昔からなんとなくわかってたからもういいぜ」

 

 

実際にレベルという概念がコッチにはあるのだが…信じてないな。

まあ俺も昔だったらレベル上げなんてしようと思わなかっただろう。画面で見ていた可愛いポケモンたちを殺すのだ。しかし家での魔術師としての生活に慣れてしまった。時計塔の動物科(キメラ)では動物たちを散々に扱った。一般人としての倫理観はもう無いのだ。

 

 

その後も、話を続けていると、キリシュタリアが本題を切り出した。

 

 

「さて、今回の会議の目的は異聞帯の成長具合の確認などではない。1時間ほど前、私のサーヴァントがカルデアのものたちの出現を予言した」

 

 

その言葉に、クリプターたちは驚きの表情を見せる。表情を変えないのはデイビットと俺だけだ。…俺も驚いた方が良いだろうか?

 

 

「…カイ、ふざけないで。あなたが何かを知っているのは昔から皆わかっているのよ」

 

 

両手を上げて驚いた演技をしたらオフェリアに怒られた。

その後も、カルデアについての話が続くと、デイビットが出現場所をロシアだと理由と共に述べる。

…あれ?今気づいたけど、それって相当ヤバくね?俺の異聞帯は日本に位置するからそのままついでのようにコッチ来られたら困るんですけど。

…まあ問題ないか。カルデアには余裕が無い。彷徨海から連絡が来た時点でそっちを目指すのは間違いないだろう。東に来る余裕はない。

それにこういっちゃあなんだが俺の異聞帯は規模としては相当小さい。何せ小さい島国の地方2つ分だ。正直最後まで放置されるんじゃないか説もある。というか捕虜になるっていう俺の目的からすると捕まった方が良い。今の時点だと異星の神からの粛清的なものが怖いだけで。カルデアが十分に力をつけたら寝返る気満々である。

 

 

話が終わり、皆通信を切っていく。

 

 

「それじゃあ俺もここいらで。またな」

 

「ああ、カイ。君の異聞帯は非常に興味深い。君の異聞帯と戦うときを楽しみにしているよ」

 

 

ああ、わかってないなコイツも。あの人理焼却を乗り越えた()()()()()の力を。

藤丸立香は主人公だ。どんな絶望的な状況からでも立ち上がってくるだろう。

彼らの前に立ちはだかっちゃいけない。その壁はぶち破られるだろう。主人公が負けるなんて有り得ないのだ。いや、負けることはあっても必ず立ち上がる。最後には勝つのだ。どんな犠牲を出したって。

 

 

「キリシュタリア…も含めて、オフェリア。元同僚として忠告だ。敵は誰か、しっかりと見極めることだ。…また、Aチームの皆でお茶会ができる日を待ってるよ」

 

「…ええ。わかったわ。アナタの忠告なんて珍しいものね」

 

 

こうしてクリプターの会議は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤丸立香は思い出す。かつてカルデアにて解凍作業を待つ間にダ・ヴィンチが話してくれたAチームのマスターについて。

 

 

「…そして、8人目」

 

「8人目?」

 

 

Aチームは7人という話じゃなかったのだろうか。

 

 

「ああ、言っていませんでしたね。Aチームは私を含めた8人の他に、もう一人。補欠の方がいらっしゃったんですよ」

 

「カイ・ランフィール。補欠とはいえその能力は折り紙付き。根源を目指す魔術師の中でも特に狂気のように追い求めていたが故に時計塔からも少し敬遠されていたが歴史のある名家、ランフィール家の生まれで時計塔では動物科(キメラ)を専攻。彼の魔術は中々見ものだよ。この私をして見事と言わしめるものさ。

人柄としては非常に気さくな人物だ。誰にでも人当たりが良かったね。そして珍しくオルガマリー元所長と仲の良かった人物でもある」

 

「はい、よく2人で話しているところを見かけました。そして、功名心も薄い方でした。本来Aチームに入るなら誰かと入れ替わるところだったのですが、彼は自ら補欠を望んでいました。彼が言うにはマリスビリー所長にも意図がある…とのことでした。彼も中々の古参だったので、マリスビリー元所長とも面識があったのでしょう」

 

「もう少し彼について述べるなら…彼はどこか遠いところを見ていた。いや物理的な話じゃなくって、どこか先を見ていたのさ。これは感覚だけどね?『どうせこうなる』『これに備えて』みたいなことを考えている風に感じたのさ。彼の赤色の眼にはいつも諦観が浮かんでいた」

 

 

赤色の眼…思い出した。カルデアに来た直後、話しかけられた気がする。

確か、『頑張ってね』みたいなことを言われた気がする。もしかして彼は人理焼却のことを予感していたんじゃないだろうか…?

 

 

「ああ、その可能性もあるね。まあそれも、解凍後に聞いてみればいいさ。むしろ彼の方が特異点のことについて聞いてくるだろう。彼はサーヴァントに非常に興味を持っていたからね」

 

 

 

 

 

 

 

…少し考えに耽ってしまっていた。今は目の前の敵のことだ。

敵は強大。でも、やるしかない。そんな状況、慣れっこだ。

ついにロシア異聞帯へ浮上する。戦いだ――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャドウボーダーがそろそろロシア異聞帯に突入した頃だろう。

 

現在俺は、コガネシティで買い物を楽しんでいる。コガネシティは日本地図に置き換えると、大阪に対応する都市である。歩いていても十分楽しい。

唐突に現れた嵐の壁によってジョウト・カントー地方のみ隔離されたような状況に陥ったと人々は感じているだろうが、もう3か月も経つと人々は慣れる。

今でも様々なポケモントレーナーが外に出るのことを挑戦しているだろうが、カントー地方のエスパータイプのジムリーダーであるナツメが、『出ない方が良い』と言ったのだ。彼女はエスパータイプを叩き潰せる本物の超能力者、(スーパー)ヤマブキ人である。

その言葉は重く、脱出の動きが下火になった。

…彼女はどこまで見えているのだろうか?一度話を聞きに行った方が良いかもしれない。

 

 

 

 

そんなことを考えながら買い物を続けていると、甲高い声がこちらにかけられた。

 

 

「ああ!また出会ったなあんた!覚悟しとき。今度こそぶちのめしたるで!」

 

 

…アカネだ。2世代において3つめのジム、ノーマルタイプの使い手で多くのプレイヤーにトラウマを刻みつけた子だ。

 

 

てきの ミルタンクは ころがるを つかった!

 

こうかはばつぐんだ!

 

マグマラシは たおれた!

 

 

 

最初に出会ったとき、即座にトラウマが思い返され、ついポケモン勝負でLv100バクフーンを出してボコボコにしてしまった。

 

 

「何だ?このリーフィアのぬいぐるみが欲しいのか?やらんぞ」

 

「いや、いらんわ!ってか、アンタ中々可愛い趣味しとんな。…って、そんなことより!勝負や勝負!今度こそ勝ったるでー!」

 

 

一度目ボコボコにしたら泣き出してしまって、往来でそんなことをされると俺の社会的地位がダダ落ちなので慰めてるうちに勝つまで再戦を誓われた。

しかし俺もかつてはレートの海に潜っていたトレーナー。負けるなどプライドが許さず今までの戦績は32戦32勝。まあ全てポケモンのスペックによるゴリ押しなんだが…。

 

 

 

 

 

 

街のいたるところにあるバトルコートへ向かう。

 

 

「よし、ここでいいか。じゃあ始めるぞ」

 

「よーし、行っくでー!ピクシー、頑張ってや!」

 

「バンギラス、メガシンカ」

 

「え?ちょ、待っ、バクフーンじゃないっていうか、え、メガシンカって何?あ、ちょ」

 

 

“かたうでを うごかしただけでやまをくずし じひびきを おこすとてつもない パワーを ひめる”

          ――ポケモン図鑑より抜粋

 

 

 

 

「ふざけんなやあああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




~結構FGO要素もあったけど本編での描写待ちであんまり絡みが書けないので結局ポケモンの小説になるからポケモン用語解説~


・超マサラ人
例:サトシなど 
基本的にポケモン世界の人間は頭がおかしい。その異常さを表す出来事をいくつか紹介しよう。
・999kgのコスモッグを持ち上げる
・こうそくいどうだ!→トラックに追いつく
・俺に10万ボルトだ!
ここに上げたのもごく一部である。更なる伝説を知りたければ「超マサラ人」で検索すればいくらでも出てくるだろう。


・アカネ
みんなのトラウマ。コガネシティ(大阪)のジムリーダーということで関西弁を喋る。作者は関西圏出身じゃないため多少おかしくても許してクレメンス!
バトルにおいてはメロメロとふみつけのひるみによる行動不能、ミルクのみによる回復、そして極め付けのころがるの超火力に苦戦したトレーナーは数知れない。
苦労した末の勝利でアカネちゃんを泣かせてカタルシスを感じた人も多いのではないだろうか。


・レート
純粋なポケモントレーナーは知ることのない対人戦の世界。踏み入るには数々の関門を潜り抜ける必要があるだろう。
個人的な考えでは始めるときは実況者の動画を見て勉強してからが良いと思われる。オススメは某実況者の厨ポケを狩る講座。
今の剣盾ではランクマッチと名前を変えている。

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