携帯怪獣地方 ジョウト 作:あたらんて
俺は今、風になっている。
「ちょとsYレならんしょこれは・・?」
今俺はボーマンダに乗ってヤマブキシティに向かっている。
図鑑曰くマッハで飛ぶガブリアスと空中戦を繰り広げるようなボーマンダに興味で『早くヤマブキに着けたらご褒美あげよっかな~?』とか言うんじゃなかった。
魔術でボーマンダと少し体を融合させたりとかちょっと細工してなかったら一瞬で死んでたんじゃないかと思う。
「あっ…もう着いたの…?早…てか吐きそう…ちょっと待ってて…」
「大丈夫ですかますたー…?」
少しスッキリしたら褒めて欲しいと言わんばかりにこちらに擦り寄って来るボーマンダをめちゃくちゃポケリフレしてあげた。
ボーマンダが一通り満足したところで切り上げてヤマブキシティに入ろうとすると、虫取り少年が勝負をしかけてきた。
「なんだよそのポケモン、かっけーな!ポケモンバトルしようぜ!」
…コイツ、メガボーマンダさんの『血に濡れた三日月』という異名を知らない…?
「ああ、いいぜ」
ポケモン図鑑にも乗っているその二つ名の所以、見せてやろうじゃねえか。
正直俺も申し訳ないと思うくらいボッコボコにしてしまった。ごめんな、レート戦じゃバタフリーに行動する隙を与えさせちゃだめなんだよ…。
そしてやって来たヤマブキシティ。モデルは新宿というだけあってメチャクチャ都会。人が多すぎて怖い(田舎者並感)
なんとかヤマブキジムに辿り着くも、ナツメと会う方法が無いことに気付く。この世界においてジムリーダーというのは国民的アイドルのようなもの。周りからすれば一般人である俺が会える筈もない。
ここまで来たがやっぱり諦めるか…とヤマブキ観光に洒落込もうとすると、ミュウが口を開く。
「ますたー、ジムに挑戦すれば良いのでは?」
「おーす!みらいのチャンピオン!」
最早懐かしさを覚えるセリフと共にジムに受け入れられる。
おいしいみずを受け取ると、まずワープパネルの仕掛けに挑む。
「よーし、その内辿り着くだろ!まずコッチ行くか!」
「ますたー、次こっち行きましょ!」
「…アレ?ここ見覚えあんな…まあいっか!こっちだ!」
「ますたーコレ楽しいですね!」
「…ここまでやって一人もジムトレーナーに会わないとかこの仕掛け大掛かり過ぎないか…?」
「ますたー疲れてきましたね…」
「あっ、どうもオジさん…ちょっとこの仕掛け中々難しいッスわ…」
「いやキミ、そのパネルさっきも使って…行っちゃった」
「ぬわああああああん疲れたもおおおおおおん」
結局1日かけて最後の方に1人のジムトレーナーと戦っただけで終わった。
ちょっと鬱憤が溜まり過ぎて出会ったジムトレーナーにエーフィでエスパーとしての格の違いを見せつけてもらったら相手の子の心が折れちゃったみたいで結局道はわからず仕舞いだった。
「マスター、このジム中々の強敵ですね…!」
「覚えてろよナツメ…!次こそはお前に挑んでやる…!」
「いやキミたち道を覚える努力をしようね…?」
「あれ…?今日彼が来る筈だったのだけれど…。未来視が外れるなんて、疲れてるのかしら…」
2日目の朝である。今日こそはこのジムを制覇する…!
「はーい、よーいスタート」
「よしよし、まだ誰とも出会ってない。調子いいな…」
「それは調子悪いのでは…?」
「アレ?何でまたオジさんが…?」
「キミら、まだ学習してなかったのかい…?」
「あっ君、昨日の…」
「ひっ、や、やめて!ご、ごめんなさい!エーフィ、あなたのマスターに手を出す気は無いの!ああ、だから止めて、お願い、私の心に入ってこないで…!」
「エーフィは一体何をしたんだ…ミュウ、忘れさせてやってくれ」
「……もういい。帰ろう、ミュウ」
本日10度目のオジさんとの対面で心が折れた。回数を重ねる度にどこか申し訳なさそうになるオジさんの表情に耐えられなかったよ…。
「…オウ、もし今度挑戦する気になったら来てくれや。いつでも歓迎だからよ…」
オジさんの慰めも耳に入らない。涙を流しながら俺は隣のかくとう道場に駆け込み、一心不乱に汗を流すのだった…。
「ふふ、今日こそ確実に来るわ………え?帰った?」
俺はまた一つ、強くなった。
「師範ッッッッッッ!!!!これが俺のッッッ一撃ですッッッ!!!!」
「来いィィィィィィ!!!カァァァアアイィィィイイイイ!!!!!!」
「フタエノキワミ、アッー!」
俺の渾身の一撃を師範は正面から受け止める。
「ふ…カイ…強く、なったな…合格だ…行け…!お前の強さは、この俺が保証する…!」
「はい!師範…ありがとう、ございましたッッッ……!」
「ますたー、何ですかこの茶番は…」
「茶番とは何だ茶番とは。いい汗かけたじゃないか」
失礼な奴だ。ミュウはスポ根嫌いなのだろうか…?
まあヤマブキシティでの用事は終わったし、愛しのミカンちゃんが待つアサギシティに帰ろうとボーマンダの背中に乗ると、女の子が猛ダッシュでこっちに来るのが見えた。
「うわあ…めっちゃ急いでるなあ…邪魔しちゃ悪いし、さっさと行くか。ボーマンダ、家に帰ろう」
「ちょ、ちょっと待って!アナタ、あの壁について知っているんでしょ!?」
…おっと。これはご目当ての人物があちらからやって来てくれたのかもしれない。
「…まったく。バトルじゃなくてあの仕掛けに2日間かかったあげく帰る挑戦者なんて初めて見たわ…」
そう言ってナツメはコーヒーを啜る。俺たちは今喫茶店で話をしている。思っていたより幼い少女だった。まあ別名がエスパー少女だったりするから確かに年取ってちゃダメだけれども。
「…さて。周りと音を区切ったわ。これで話してくれるかしら?」
ナツメが少し指で空中を撫でると、周りの音が聞こえなくなった。なるほど、超能力は伊達じゃないらしい。
「ああ。それでナツメは…どこまで知っているんだ?」
「…あの壁があなたと一部の伝説のポケモンによって維持されていること。あの壁というかその大本が無くなると私たちも滅びること。…その程度かしらね」
「なるほど…」
結構見えているらしい。中々核心をついている。というかぶっちゃけFGOプレイヤーと知識量そんな変わんねえな。クリプターのこととかぐらいしか話すことないんじゃねえの…?
そんなことを考えていると、情報を出し渋っていると見たのかナツメが口を開く。
「…アナタが知っているかはわからないけど、コチラも一つ良い情報があるわ。多分そちらに関係すると思うのだけれど…ヨシノシティに一人。恐らくこの世界と関係無いところからやって来た人物がいるわ。他にも数人、これから出現すると思う…」
「…!」
それは、サーヴァントのことじゃないか?情報を出し渋っていたつもりは無いが、もっと詳しく話を聞く必要性が出てきた。
「なるほど。世界はそんな状況に…」
「ああ。あんま言いふらさないでくれよ」
「ええ。わかっているわ。私もパニックを引き起こしたいわけじゃないの」
大体のことは話し終わった。早速、そのサーヴァントらしき人物に接触することにする。上手くいけば仲間にできるかもしれない。
「あ、それで…」
「ん?」
まだ話すことがあるのだろうか。
「連絡先を交換しないかしら…?ほら、私も新しいことがわかったら伝えるし…」
「なんだ、そんなことか。ほら」
ポケギアを差し出して電話番号を交換する。
「あっ…やった…連絡先が1つ増えたわ…!」
…思っていたより悲しい生活を送っているのかもしれない。そう思って俺は同情した。
~今回に至ってはFateのFも出てこなかったのでポケモン用語解説~
・ポケリフレ
XYのポケパルレがサンムーンで名前を変えたもの。ポケモンと触れ合ってごはんを食べさせることができる。ぶっちゃけ超かわいい。嫁ポケに虹マメを毎日食わせていた人も多かったんじゃないだろうか。
剣盾では似たものとしてポケモンキャンプがある。
・レート戦のバタフリー
ねむりごな→みがわり→ちょうのまい
というコンボが激烈にウザい。その代わり最速起きからの1撃突破の快感もエグい。
・ヤマブキシティ
ゲーム中ではロケット団に占拠されるイベントがあった。シルフカンパニーとかいう超巨大会社もある。
・かくとうどうじょう
かつてはヤマブキシティのジムであったがナツメ率いる現ジムのエスパーに負けてジムの座を奪われたという悲しい歴史を持つ。
どう考えても道場側に不利な勝負で奪われる辺り本当に可哀想である。
ちなみに中にある掛け軸の内容は「臥薪嘗胆」「因果応報」「四面楚歌」「複雑骨折」四字熟語であれば何でも良いってわけじゃねえんだぞ。
・ポケギア
ケータイ。RSではポケナビだったり世代によって持っている機械は違う。ラジオ・ケータイ・マップの機能がついているというかなり高性能なもの。ライコウ・エンテイを追う間何度ポケギアを開いたことか…!