携帯怪獣地方 ジョウト 作:あたらんて
ヨシノシティ。本気で何もない町である。イベントといえばランニングシューズをもらえる程度のもので、モデルとなった愛知県民は大激怒している。
「ますたー、お花がきれいですね!」
まあ主人公の来る順番の都合で何もないようにしなければいけなかったのだろうが、町の紹介文は『可愛い花の香る町』で名前の由来も桜の品種であるソメイヨシノからなどと言われている。花がとても綺麗に咲いている。
丁度今は春。花見の季節である。
「そうだな…花見なんていつぶりだったかな…よし、ちょっと休憩するか!」
思えば転生してから花見なんて一度もしていない。フレンドリィショップで少々食べるものを買って地べたに座り、ポケモンたちも外に出してポケモンキャンプ的にのんびりする。
久々に何も考えずのんびりしていると良い気分になってくる。シーズンというだけあって周りでもたくさん花見が行われているが、体が大きいポケモンを出す都合上、少し樹から離れたところでのんびりしている。
「はー…たまにはこういうのも良いもんだなー」
「そうですね、ますたー」
エーフィに取ってこーいとフリスビーを投げる。超能力でキャッチされる。そのまま手元に戻って来る。
こいつフリスビーの意味わかってんのか…?
そんな風に遊んでいるとまたお花見なのか、1人の女性がこちらにやって来た。
「お隣失礼するぞ」
「あ、どうぞー」
お隣さんもポケモンキャンプ的なことをやりたかったのだろう、ポケモンたちを繰り出した。
オコリザル、マッスグマにギャロップ。
ギャロップとオコリザルは置いといてマッスグマはジョウトでは珍しい。HGSSなら大量発生とかで確かに捕まえられるが…。
「よーしサル、タヌキ。良い子じゃのー。まあワシの躾のおかげなんだけどネ!」
というかさっきからなんかこう…すごい重要なことを思い出せない感じがする。主になんかこう…声がすごい印象的というか…。
「なんか世界がヤバいことになっとるらしいけどよくわからんし…こうしてノンビリしとっても良いんかのう…ま、是非もないヨネ!」
ノッブやん。
「ちょっと良いですか?」
「ん?どうしたんじゃー?」
「その…アナタって、サーヴァントですよね?」
「!?おぬし、なにやつ!?」
…ぶっちゃけ、ノッブはこの世界では知名度は無い。この世界の歴史はなんかもうめちゃくちゃなので、歴史上の人物とかいないのだ。
イコールでこのノッブは汎人類史のサーヴァントになる訳だが…。
まあ知名度補正が無いノッブ程度大したことはない…と言いたいのだがノッブの能力的に神秘が濃い相手には超強くなる。この世界のポケモンは動物みたいなものなので神秘無い判定なら圧勝できるが幻想種そのものみたいな判定を受けるとヤバい。
「あー、ちょっと場所を変えて話すか」
喫茶で今度はエーフィの力で音を区切る。
「まず俺は仲良くできるなら仲良くしたいと思ってる。そこを踏まえて話を聞いてくれ」
そして俺はクリプター関連の話をざっとする。というかこの話し合いは相手がぐだぐだ寄りかシリアスな気分かで大きく変わる。
ぶっちゃけシリアスノッブとか本気で止めて欲しい。ポケモンの軍隊とか作られて超絶強くなる未来が見える。
俺の最終目標はカルデアに寝返ることだ。それまでに汎人類史のサーヴァントを殺してたりするとそれも難しくなる。敵対はしたくない。するとしても相手から襲い掛かって来たという体じゃなきゃいけない。
「ふうむ…なるほど…。よし、わかった。ならばポケモン勝負じゃな!」
「へ?」
「何を呆けた顔をしておる。目と目があったらバトルなんじゃろ?これ、常識よ?」
あ、これぐだぐだノッブだ。
「よし、それじゃあ行け!エーフィ!」
「ぶっ潰して来るのじゃサルゥゥゥ!」
まさかこうなるとは思っていなかったが始まったポケモン勝負。エーフィに対して出されたのはオコリザル。
「エーフィ!『リフレクター』!」
「『かわらわり』じゃっ!」
エーフィが顕現させたバリアのような壁をオコリザルは軽く引き裂き、ダメージを与えてくる。
この世界のポケモンバトルはポケモンが勝手に動く。そしてここでやって欲しいと思った時にトレーナーが指示を出す感じだ。
だから動き次第ではタイプ相性なんかを覆して倒すこともできる。
今でも指示を出していないがエーフィはオコリザルから距離を取るように超能力を使って相手の動きを妨害して、ジワジワと削っている。
それに対しオコリザルはフットワークを使いフェイントなどを掛けて段々と距離を詰めていく。
「エーフィ、『すなかけ』だ!」
これまでの戦いを見るに、相手のポケモンはかなりレベルが高い。ノッブのトレーナー、ブリーダーとしての手腕がどちらも高いのだろう。
最初のかわらわりも見事と言わざるを得ない。今でも有利な場面ではあるが、更に追い込むためすなかけを指示する。夢特性なら不味いが、この世代では夢特性は存在しない筈である。
いや、でもこの世界ならそんな事情関係無いか…?
オコリザルの眼に砂が入り、動きが鈍る。
少々選択を後悔したが、まけんきでは無いようだ。
「戻れっ、サル!行くのじゃ、タヌキ!」
「ブチかませエーフィ、『サイコキネシス』!」
この世界においても交代は大きな隙になる。ボールから出てきた瞬間ポケモンはどうしても無防備になる。
出てきたマッスグマに強烈な一撃が入る。
「クッ…タヌキ、『すてみタックル』じゃ!」
その一撃ははっきり言って何が起きたのか全くわからなかった。
ノッブの傍にマッスグマがいたと思ったらエーフィがいつの間にか吹き飛んでいた。
普段から時速100㎞を出すというマッスグマのすてみタックルだ。目で追えないのも当然だろう。
「エーフィ!『リフレクター』だ!」
「もう一発じゃ、行け!『すてみタックル』!」
今度も目で追えないが生み出された壁で受け止める。エーフィはその隙に距離を取る。
リフレクターはゲームでは数ターンの間敵の物理攻撃を半減させる技。
この世界ではポケモンの周りを覆って同じ役目を果たす。
「ふむ…タヌキ、『れいとうビーム』じゃ!」
「なっ…!」
それ技マシンで覚える技だろ!どうなってんだ…。
慌ててエーフィが技を避けるも掠ったところが凍り付き、動きが鈍る。
「今じゃタヌキ!威力重視で『すてみタックル』じゃ!」
「『サイコキネシス』で迎撃しろっ!」
爆発的なスピードのすてみタックルはリフレクターでも防ぎ切れず、エーフィは瀕死になってしまう。
しかし合わせて放った一撃はマッスグマも倒す。
「相打ちじゃ、の…」
「そうだな…」
しかし強い。流石名将と言ったところか。ポケモンをいつ捕まえたのかはわからないがこの世界のポケモン勝負に手慣れてる。
俺みたいに変な前知識が無い分、吸収しやすいのかもしれない。
「よし、行ってくれギルガルド!」
「2度目の出番じゃサルゥ!」
「ギルガルド、『シャドーボール』」
「サル、『じしん』!」
ギルガルドは流石の硬さ。じしんは余裕を持って耐え、フォルムチェンジをしてシャドーボールを放つ。
既にエーフィに削られていたオコリザルは放たれた一撃で落ちる。
「…ギャロップは乗馬用じゃからのう…ここはやっぱり、行くのじゃ、かつぞう!」
…む?先程出していた3匹以外にまだポケモンがいたのか…?というか“かつぞう”って、森長可のことでは…?嫌な予感が…。
「Gaaaaaaaaa!!!!!!!」
何でサザンドラがいるんだよ…。
「かつぞう、『あくのはどう』じゃ」
サザンドラの馬鹿げた火力に耐える訳がない。ギルガルドも瀕死になる。
…地味にヤバい。サザンドラという時点でレベルは64以上なのは確実だ。
実を言うと、俺のパーティーはそんなに皆レベルが高い訳じゃない。レベル100なのは2体だけだ。まあそれでもそこらの相手には無双できるのだが、こんな奴が出てくるとは思っていなかった。
「サザンドラなんて、どこで手に入れたんだ…?」
「ん?こいつ、サザンドラって言うのか?わしが召喚されたときから持っておったんじゃ。ポケモンという存在に触れたのもこいつが最初じゃ。ただ中々凶暴でな、あまりわしの言う事も聞きゃあせん。じゃが、強いぞ?」
そんなのアリかよ…。まあレベルによってはやりようはある。俺はボールに手をかけた。
「行け、ボーマンダ。メガシンカだ」
繰り出されたボーマンダが光に包まれ、メガシンカする。レベル78。一撃で決める。
「「『りゅうせいぐん』」」
奇しくも指示する技は同じ。メガボーマンダとサザンドラ。お互いに体を震わせると、天から流星が無数に降り注ぐ。
その威力は実に140。並みのポケモンならば一瞬たりとも耐えられない。その技をお互いに実力がポケモンの中でトップクラスの2者が放つのだ。
1つ衝撃が放たれると共に大地が抉られ、樹々は吹き飛ぶ。とうに砂埃でポケモンの姿は見えないが、技が放たれている間もお互いに攻撃を放っているのがわかる。
それはまさしく竜と竜の頂上決戦。まるで神話上の戦いを再現したかのような戦いは、あまり時間をかけずに終わった。
砂埃が晴れたとき、そこに君臨していたのはサザンドラであった。
「Gaaaaaaaaa!!!!!!!!!」
全身に傷を残し、血を流しているものの、勝者は明白だった。
「…ありがとうなボーマンダ。ゆっくり休んでくれ」
敵のサザンドラは口に珠を咥えている。恐らく『いのちのたま』であろう。自身の命を削り、火力をあげる持ち物だ。
だがそれを考慮したってメガボーマンダに勝つなど強すぎる。
「ふぅ~む、おぬし、考えておるな?『俺のポケモンが負けるなんておかしい』と」
ノッブが声を掛けてくる。
「いいことを教えてやろう。わしのかつぞうのレベルは95じゃ」
…ふざけんな。これから召喚されるサーヴァントが全員そんなレベルのポケモンを連れてくるとか冗談じゃない。心の中で密かに異聞帯の拡大を決意する。北に進めば、あのポケモンたちがいる。
「もういい。行け、カミツルギ」
レベル100で金の王冠使用、ようき6V、ASぶっぱあまりH。もはや旅パというか普通にレートで使ったポケモンを出す。数字だけ見るなら俺のパーティの最高戦力だ。
「…む?なんじゃ、そのポケモンは?わしも見ただけでタイプは大体わかるようになったのじゃが…そいつは、明らかに違う。今までのポケモンと、違うぞ?」
流石の洞察力だ。UBの異質性を見抜いているらしい。
「…まあよい、何となく有効打はわかる。かつぞう、『だいもんじ』…」
「カミツルギ、『せいなるつるぎ』」
炎を放とうとしたサザンドラの懐に一瞬で潜り込み、一閃。サザンドラは崩れ落ちた。
「なっ…!」
カミツルギの特徴は何といっても
そして持ち物は相手と同じくいのちのたま。メガボーマンダとの戦いで弱ったサザンドラなぞ敵ではなく、一撃で突破する。
「ふ…ふふ、やるのう…わしの残りのポケモンはギャロップのみ…しかしこいつは騎乗用故レベル40。貴様のポケモンを倒せるとは到底思えぬ」
信長は笑っている。確かに俺が勝っているはずなのに俺はやつに底知れない恐怖を感じる。
「ならば如何する。降参か?否。ギャロップを出し奇跡に祈るか?否」
織田信長――日本人にとって、その名前は最も有名な名前である。首相の名より先にその名を知り、誰に教わるわけでもなくいつの間にか知っている。
「何故わしがあの凶暴なサザンドラとやらを従わせられておったのだと思う?」
戦国時代の代名詞、天下統一の礎を築いた英雄は笑う。
「わしの方が――強かったからじゃよ」
背後に巨大な骸骨が現れ、辺りを炎で真紅に染める。
「三界神仏灰燼と帰せ!!第六天魔王波旬 織田信長此処に在り!!!
いざ、いざ、いざ、いざ尋常にィィ!!!勝負!!!!!!!」
織田信長が、立ちはだかった。
~今回はFGO小説だったけど結局ポケモン勝負してるのでポケモン用語解説~
・フレンドリィショップ
ショップ。ちょっと前にポケモンセンターに買収されたらしい。
・大量発生
HGSSにて起こるイベント。一部地域で特定のポケモンが大量に発生してそのポケモンにしか出会わなくなる。本来生息しない他地方のポケモンも現れることがある。
・夢特性
ポケモンが本来持っている特性じゃない特性。第5世代(ポケモンBW)にて初登場。
実装当初はポケモンドリームワールドという夢の世界が主な入手手段であったため夢特性とプレイヤーからは言われている。
別名はかくれ特性。
・金の王冠
チートアイテム。後述。
・ようき
ポケモンの性格の一つ。ポケモンでは性格でステータスにかなり大きな補正がかかるため対戦では性格の厳選も必須。ようきなポケモンはとくこうが下がりすばやさが上がる。
・6V
ポケモンの個体値という隠しステータスが全て最大値であるということ。要するにステータスが同じポケモンの中で一番高い。前述の金の王冠を使用すれば誰でも6Vになれる。
・ASぶっぱあまりH
基礎ポイントの振り方。要するにどのステータスを高くするかということ。この場合こうげきとすばやさを最大まで上げ、余った基礎ポイントでHPを上げている。
類義語にCSぶっぱ、HAぶっぱなどがある。全部細かいステータス調整とかを考えないでとにかくアタッカーとしての適性を高めている脳筋の振り方。でも色々考えた結果こういった振り方が最強という結論に至ることも多い。
・種族値
ポケモンの種類によって設定されているステータス。ヒマナッツは低くてミュウツーは高いと言えばわかりやすいだろう。
この種族値の各ステータスへの配分によって合計種族値が同じでも使い方が全く変わる。個人的に一番美しい配分のされ方はガブリアス。てかそれは割と皆同意する。
やっぱレーティングの王者はガブリアスなんやな…って。