携帯怪獣地方 ジョウト   作:あたらんて

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春はポケモン

 

アルセウスに更に空想樹に魔力を注ぎ、異聞帯を拡大させるよう指示した。

これでカルデアに目をつけられて攻略に来られたら目も当てられないのだが、それよりもノッブとの戦闘で戦力不足を感じた。

戦力の拡充のほうを優先させるべきであろう。

 

そしてそれ以上に、俺のトレーナーとしての力量不足を感じていた。かつてはレートの海に潜って戦いに明け暮れる数多の戦士たちの一人だったが、この世界に来てからした戦闘といえば多少のレベル上げとアカネとの戦いと後は数える程しかない。

そしてそれらの戦いも全てポケモンのスペック差によるゴリ押し。これではいけない。

 

ポケモントレーナーとしての実力をつけるにはどうしたらいいのか。そんな疑問をポケモンバトルのプロであるジムリーダーに聞いてみた。

 

 

「え?カイさんが強くなるためには、ですか…」

 

 

ミカンちゃんは俺の質問に考え込む。ナツメは超能力者故明らかに例外だし、アカネとはそもそも連絡先を交換していない。今までのバトルは全て偶然に出会った結果なのである。その結果、頼る相手はミカンちゃんしかいなくなった。

天使に頼るのも申し訳ないと思ったが、天使はこんな男のために必死に考えてくれている。女神かな?

まあそういうわけでアサギジムにてミカンちゃんを頼っているのである。

 

 

「カミツルギさんとギルガルドさんは十分に強いように見えましたけど、そういうことじゃないんですよね?」

 

 

流石ははがねタイプのエキスパート。あの2匹の実力を見抜いているらしい。

 

 

「ああ、トレーナーとしての力をつけたいんだ」

 

「それならやっぱり経験あるのみですね。ジムバッジを集めるなんていうのはいかがですか?」

 

 

なるほど。異聞帯が目的のところまで拡大するのには多少時間がかかる。その間にジムを巡っていこうというわけか。

しかし、アカネとの戦いでも無双してしまったようにジムリーダーですら結構レベル差があるように感じたのだが…まあアカネとの戦いでは俺のパーティーの中でもレベルが高いポケモンたちを使っていたから、他のポケモンを使えばそんな事にはならないのかもしれない。

 

 

「ジムリーダーたちは挑戦者さんの持つバッジの数に合わせて使うポケモンを変えるのですが、挑戦者さんのお願いがあれば弱くすることはできなくても、強くすることはできるんですよ?」

 

 

なるほど。アカネも常に最強のパーティーで出歩いている訳じゃないだろう。ジムリーダーの本気というのがどれくらいかはわからないが、いい勝負になりそうだ。

 

 

「まあそれでもあのカミツルギさんなんかは私でもお相手できそうにはないのですが…。

あ!いいものがあるんでした。ちょっと待っててください」

 

 

そう言うと、ミカンはジムの奥にとたとたと走って行った。

戻って来た時には、手にギプスのようなものを抱えていた。

 

 

「これです!私もジムリーダーになる以前よく使っていたんです。『きょうせいギプス』っていうんですけど」

 

 

きょうせいギプス。素早さが半減されるが得られる努力値が2倍になるというもちものだ。

確かにこの世界じゃすばやさが半減なんていうハンデだけじゃ済まないだろう。

 

 

「これを使えばポケモンさんの力も大分制限されると思います。その分ポケモンさんも強くなっていくのでオススメですよ!どうぞ、使ってください」

 

「おお…ありがとう」

 

「いえいえ。あ、それじゃあ早速私とジム戦やっていきますか?私は準備万端ですよ!」

 

「いや…ミカンちゃんは最後にさせてもらうよ。色々してもらったし、集大成を見て欲しいんだ」

 

 

今戦って『えっ…カイさんのバトル、下手過ぎ…?』とか言われてしまったら自殺モノである。しっかりと7つのジムを制覇して実力をつけてから来ることにしよう。

 

 

「そうですか…。じゃあ最初はどこにするんですか?」

 

「ああ、それはもう決めてあってね…コガネシティにしようかと」

 

「そうなんですか?私、あそこのジムリーダーのアカネちゃんとお友達なんですよ!連絡しておきますね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんや…嫌な予感がするわ…」

 

「アカネさーん、挑戦者が来ましたよー」

 

「おっ、ミカンが言っとったヤツかな?稽古つけたってくれなんて言われたし軽く揉んだるか」

 

「オッスお願いしまーす」

 

「な ん で や」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コガネジムのジムトレーナーたちを軽く蹴散らし、いざアカネ戦と意気込んで目の前に立ったら『ちょっと待っとってな!』とか言って慌ててジムの奥へ行ってしまった。

 

数分後、アカネが奥から出てきた。

 

 

「ふ…ふふ…ここで会ったが百年目。ウチの最強パーティーを見せたるわ!」

 

 

何だか恐ろしい笑顔を浮かべている。

しかしここでジムリーダーの本気を見れるというのはありがたい。胸を借りる気持ちで行こう。

 

 

「行け、ギルガルド」

 

「行っくでーキリンリキ!」

 

 

相手はキリンリキ。レベルは如何ほどなのだろうか…?ギルガルドは指示を出さなかったら防御に徹する。様子見の意味も込めてまずは自身の能力をあげよう。

 

 

「ギルガルド、『つるぎのまい』」

 

「キリンリキ、『こうそくいどう』や!」

 

 

…キリンリキの動きがみるみる素早くなっていく。少し不味いかもしれない。これ以上速くなる前に攻撃すべきだろう。

 

 

「ギルガルド、よく狙って『アイアンヘッド』だ」

 

「『パワースワップ』や、キリンリキ!」

 

 

…は?パワースワップっておま、そんな技警戒するかよ…!

つるぎのまいによって超火力となったアイアンヘッドで吹き飛ばせるかと思えば、簡単に受け止められた。そして、何かを食べている。恐らくオボンの実。

 

 

「ふん!喰らえ、『じしん』や」

 

 

キリンリキが足踏みをすると同時に地面が大きく揺れ始める。

 

 

「っ…!ギルガルド、『キングシールド』だ!」

 

 

シールドフォルムに戻ったギルガルドはその一撃を防ぐ。

…パワースワップ。それは敵とこうげき・とくこうに関する能力変化を入れ替える技だ。今は、ギルガルドがつるぎのまいによるこうげきの2段階上昇を奪われてしまった形になる。

 

 

「無駄やで~?ほらもう一発、『じしん』や!」

 

「耐えて『ラスターカノン』!」

 

 

流石はギルガルドの耐久か。何とか一撃耐えて返しの一撃を入れるも、倒せない。

 

 

「ほいほい、トドメや。『じしん』」

 

 

先程のこうそくいどいうも影響して、相手のわざの発動を妨害できない。為す術もなくギルガルドが倒されてしまう。

強い…!自分の行動が完全に裏目に出た。

 

今までは理解していなかった本気のジムリーダーの実力に素直に感服していると、アカネが口を開く。

 

 

「あれ?1体倒してもうたな」

 

 

…確かに、アカネにポケモンを倒されるのはこれが初めてだ。今までは大体バクフーンで全抜きしていた。

そんな事を考えていると、アカネの顔がニヤつき始める。

 

「おや?おやおや?キリンリキはこうげきもすばやさも2段階上がってる、と。今優勢なのは誰なんかな~?ん?ウチ?あ、そうなん?いや~ウチはやっぱ強いなー。どこぞの誰かさんも遂に負ける時が来てしまいましたかー。

 かーっ、残念ですわー。ウチ勝ち続けるカイさんが大好きやったんやけどなー。それがつるぎのまい!やって。つwるwぎwのwまwいwwwwwww

 お相手さんにそのまま奪われちゃうんじゃあ意味ないですわなー。まあこれがジムリーダーの実力っていうやつ?本気を出せばこんなモンですわー。

 いやまあ?全然恥ずかしいことじゃないんやで?だってこれは本来の実力差がハッキリしただけのことやから。よう今まで散々煽り散らかしてくれたなあ。いやー今思うとあれも憐れなものやな。実力差も理解しないであそこまで煽れるんやから大したモンやわー。

 あれ?どうしたんですか?そんなに顔真っ赤にしちゃって。悔しい?もしかして悔しいんですかー!!??」

 

 

 

ブ ッ 潰 す 

 

 

 

「バクフゥゥゥゥン!!!!!!ブッ潰せええぇぇぇぇ!!!!!」

 

「えっ、ちょっ、いきなりソイツ?ってか今までと迫力が違うっていうかえ、ちょま、キリンリキがなんかもう倒されとるんやけどそのバクフーンそんな強かったん」

 

「『ふんか』」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁっっっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




~マイナーポケの怖いところって何してくるかわかんないところだと思いますということでポケモン用語解説~


・ジムバッジ集め
剣盾にてかなりジムリーダーについての描写がなされ、大会的な側面が強くなった。ジムチャレンジがガラルだけの風習なのかはわからないが都合の良い設定だけは使おうと思います。


・努力値
基礎ポイントの別名。ポケモンのステータスを自分の好きなように上げることができる。対戦においてはこの概念が非常に重要視される。
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