私だってアイツが好きなんだ。

分かっているの。

1 / 1
偽物なんかじゃない

きっと。

 

きっと既に。

 

照れくさいけれど正直に言うしかない。

 

 

ー私はあのモヤシが好きだー

 

 

 

いっちょ前に殴ったり。

 

からかったり。

 

 

ラブコメっぽいこともした。

 

 

 

恋だった。

 

初めての。それこそ本物の恋。

 

 

アイツには好きな人がいるのだ。

 

アイツが傍に立ちたいって思っている人がいるのだ。

 

そして、彼女もアイツのことが好き。

 

 

 

でもね。私にはニセモノでも。

 

それでも恋人っていう関係を持ってしまっている。

 

 

容易に近づけない関係よ。

 

 

 

 

それなのに。それなのに彼女は。

 

彼女たちは臆することなく近づいていく。

 

 

初めての恋。

 

叶わないのだろうって分かってしまった。

 

 

諦めたかった。

 

いや。諦めたはずだったのだ。

 

 

 

なのに。笑うしかない。

 

 

どうやら本気の本気で好きみたいだ。

 

 

 

 

 

最悪の気分だ。

 

なんでアイツなんか。

 

モヤシ野郎で、おちゃらけてて。

 

女に弱い。

 

実家はヤクザ。

 

勉強だって運動だって私に敵わない。くせに。。。

 

 

 

アイツと目が合うだけで辛い。

 

苦しくなる。

 

 

アイツが追っている人の姿を見ただけで。

 

それだけでネガティブになってしまう。

 

ふさぎ込んでしまう。

 

 

いいなぁ。。。

 

 

あんなふうにアイツに見てもらいたい。

 

照れながら。もっと好きって思われながら。

 

褒めてもらったりしたかった。

 

 

素直になりたかった。

 

 

彼は私の周りの女子を惚れさせてしまった。

 

最低クソ野郎だ。

 

 

そのくせ私はニセモノだとしても恋人。

 

なのに、彼は私に熱い視線なんて少しも送ってくれない。

 

 

悔しかった。

 

 

いつだって見ているのはあの子。

 

あの子に勝ちたかった。

 

あの子がいる場所に私が立ちたい。

 

そうして、その考えが最低で自己嫌悪に陥る。

 

 

なまじ頭は悪くない。

 

否応なく脈なんて無いって知ってる。

 

 

 

一度きりの恋人。

 

大切に。もっとたくさんの思い出が欲しい。

 

 

欲しいよ。。。もっとください。私にもっともっと。

 

 

 

切ない。

 

辛いよ。

 

 

でも伝えられない。

 

私らしくないし。

 

私が言ったって信じてくれないだろう。

 

優しいアイツはとりあえずは付き合ってくれるのだろう。

 

 

でも、アイツはそんな時でも頭ではあの子に謝ってる。

 

 

私は彼から。彼女から。文字通り邪魔者で。

 

奪ってしまった本人で。

 

去ってしまえばいいのだろう。

 

 

 

ずっと。ずっと好きだった。

 

あの頃からずっと。

 

この心なんて必要ない。

 

もういらないのだ。

 

 

だって。

 

だってアイツはあの子を選ぶのだろう。

 

絶対そうだ。

 

 

 

アイツが好きなのはあの子で。

 

あの子が好きなのはアイツ。

 

 

なんて良い話なのだろう。

 

 

クソッ!

 

 

物に当たったり。

 

人に暴力ばかり振るう私なんて女っぽくないし。

 

好きになってくれない。

 

 

好きになってくれても、あの子への好きに勝てないんだろう。

 

 

 

だから。だから私が一人で思っていればいい。

 

 

ごめんなさい。そして、ありがとう。

 

 

 

 

ー楽。あなたの事が好きよー



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。