★最新作
・無個性だからって諦められるかよ!!
(ワンピース×僕のヒーローアカデミアオリ主)
・もう一人の煉合消防官
(炎炎ノ消防隊オリ主)
「俺と立ち会え、榊亮壱!!」
亮壱が蝶屋敷に一晩お世話になる事が決定してから数分後──亮壱は蝶屋敷にある道場に来ていた。道場の中心で木刀を持ち、体中が傷跡だらけの柱...風柱と向き合っていた。風柱と向き合っている周りには、霞柱(時透兄弟)、双水柱、岩柱、蛇柱、炎柱、恋柱、音柱、蟲柱、元花柱という錚々たる面々が亮壱を好奇な目で見ていた。
「御館様の話を疑う訳ではねぇが、ヒョロヒョロしてそうな奴が上弦ノ弐を退けたなんて信じられねぇ。だから俺は、お前と立ち会って見定める」
「ド派手にいいじゃねぇか!俺が合図を出してやるよ不死川!」
風柱の言葉に、岩柱、蛇柱、炎柱、音柱、蟲柱の五名は静かにうなづいた。それもその筈、鬼殺隊員の中でトップに君臨している柱が手も足も出なかった相手を、当時鬼殺隊員でも無かった亮壱が退けたなんて信じられる人間は居ないだろう。
(私より歳下なのに大人ぽくって凛々しい顔して素敵だわ!)
恋柱だけは、他の柱達とは違う事を考えていた...。
「あの時、俺は上弦ノ弐が油断をしていたので退けられただけです...。上弦ノ弐が本気を出せば、俺なんか吹けば飛ぶ様な脆弱な存在です...」
「ごちゃごちゃ卑屈言ってねぇで構えろ!本気でやらなかったらぶっ殺す!」
「殺したら隊律違反だぞ不死川!」
「プフッ...」
不死川のぶっ殺す発言を真に受けた炎柱・煉獄杏寿郎が隊律違反だと指摘した。そのやり取りを見ていた恋柱・甘露寺蜜璃は、笑いを堪える事が出来ずに吹いてしまい、亮壱を除く、この場にいる人達の視線が集まり、甘露寺蜜璃は小さく謝罪の言葉を呟いた。
「俺はお前を殺す気で行く...死にたくなかったら真面目にやれ」
「風柱様の御期待に応えられるか分かりませんが、胸を借りるつもりでやらせていただきます...」
亮壱の言葉を最後に不死川と亮壱は木刀を構え、試合開始の合図を出す音柱・宇髄天元を待っていた。宇髄天元は、両者が木刀を構えるのを見て口を開いた。
「ド派手にやりやがれ!」
変わった試合合図で、不死川と亮壱の勝負が始まった...。
不死川は亮壱が本当に上弦の弐を退ける力があるか、自分が先手を決めようとしたが...動かなかった──否、不死川は動けなかったのだ。
多くの鬼と戦い、風柱に登り詰めた不死川だったが...隙が一切無い亮壱にどう動けばいいのか攻めあぐねていた。
「風の呼吸壱ノ型 塵旋風・削ぎ!!」
攻めあぐねていた不死川だったが、このままでは埒が明かないと感じ攻撃を仕掛けた。亮壱は迫り来る不死川の攻撃を前にしても冷静で、呼吸を整えていた。
「日の呼吸...漆ノ型・斜陽転身」
風と日輪のぶつかり合いで、この立ち会いの勝負は一瞬で方が着いた。亮壱は不死川の攻撃を紙一重で躱し、不死川の木刀へ一閃...。
カランッ...
亮壱が一閃した不死川の木刀は中心から綺麗に折られ、折られた刀身は道場の床に音を立てて落ちた。
勝負は一瞬で終わり、一隊士が柱である不死川の木刀を折ったことに水柱、霞柱以外の柱達は唖然としていた。亮壱の実力を知っている水柱達は当たり前だと言わんばかりにウンウンと頷き、亮壱を追いかけて鬼殺隊に入った霞柱達は熱い視線を送っていた。
○
「俺の負けだ...。お前の動きが見えねぇ、お前が上弦の弐を退けた事を認めてやる」
風柱様との稽古は、風柱様が負けを認められて終わってしまった。あの時の弱い鬼を取り逃してしまった事を許してくださる様で、少し胸を撫で下ろした。風柱様から偶に稽古に付き合う約束をして、風柱様は何処かに行ってしまった。
「流石だな亮壱!」
「亮壱との稽古のお陰で少しだけ目で追えた...」
風柱様が居なくなってから錆兎さんと義勇さんが、わざわざ労いの言葉をかけに近づいてきてくれました。錆兎さんと義勇さんの後ろには、眩しい程の笑顔で近づいてくる時透兄弟が木刀を片手にやって来た。
「「亮壱さん!俺達にも稽古をつけてください!」」
「俺なんかで良ければ...」
「「よし!」」
時透兄弟の稽古を初めに、この場にいる全員と日がくれるまで手合わせをする事になった。
○
その日の夜...。
蝶屋敷の人達は寝静まっていたが、中々寝付けなかった俺は縁側で夜空に浮かぶ満月と満月の周りで輝く星を眺めていた。そんな俺の元に、誰かこちらに向かってくる足音が聞こえた。
「寝付けないんですか亮壱さん?」
「はい...ちょっと寝付けなくて夜空を眺めてました...。アオイさんも同じですか?」
「はい、私も少し眠れなくて星空を眺めに来ました」
こちらに向かってきた足音の正体はアオイさんだった。
アオイさんも寝付けない様で、俺と同じく夜空を見に来たらしい。アオイさんも縁側に座ると、儚げに溜め息をつき、星空を眺めた。何か落ち込んでいるアオイさんに、どう声をかけようか悩んでいると、アオイさんの方から声をかけられた。
「亮壱さんは...どんな思いを持って、鬼を殺しているんですか?」
「どんな思い...ですか?」
「はい」
この質問の意図を尋ねると、アオイさんは静かに最終選別を受けた時の事を話し始めた。アオイさんは最終選別を受けた時、目の前で同じ受験者が鬼に食われる所を見たらしく、鬼が怖くて戦えなくなり、最終選別が終わるまで隠れて過ごしていたらしい。
「俺は...誰かの明日を守る為に、鬼を斬っています」
「誰かの明日を守る為にですか?」
「はい。この考えに至ったのはつい最近なんです...」
師範の為に、師範の兄上、鬼舞辻無惨を倒す事を胸に修行をしていたが、師範から私の心残り以外に自分が刀を握る理由を見つけなさいと言われた事があった。師範の心残りにしている事を解消する事しか考えてなかった俺に、鬼殺隊へ入隊しても自分自身が刀を握る理由を見つける事が出来なかった..。
「呼吸を教わった師範から、自分が刀を握る理由を探せと言われたんです。俺は他の隊士とは違い、何も失ってません。そんな俺に理由なんて見つけられませんでしたが、自分が刀を握る理由を見つけたんです...」
「それが、誰かの明日を守る為ですか...」
「何日前か、鬼に襲われている村を発見した事がありまして、村を襲っていた鬼を斬ると、村の人達から【村を助けていただきありがとうございます!!貴方様のお陰で明日の朝日を拝めます】って言われたんです...」
「・・・・・・・」
「その言葉をきっかけに、誰かの明日を守る為に鬼を斬ると日輪刀に誓ったんです...」
俺が鬼を斬り続ける理由を話すと、アオイさんの表情が暗くなっていた。何か気に障る様な事を言ってしまったのか、恐る恐る、表情が暗くなってしまった理由を尋ねた。
「私...亮壱さんが羨ましいです。とても強くて、鬼を恐れずに立ち向かう亮壱さんがとても羨ましいです...」
アオイさんの表現が暗くなってしまったのは、不甲斐ない自分が嫌になっていたみたいだ。アオイさんの同期や俺や真菰等の後輩が鬼殺をしているのに、自分は怖くて縮こまって居ることに対しても苛立っていた。
「アオイさん...。俺は...アオイさんの思いを背負って、鬼と戦います...」
「亮壱さん?」
「アオイさんの色んな思いが...伝わってきました。自分では微力かもしれませんが、アオイさんの思いを背負って戦います...だから、笑顔で居てください」
アオイさんと話していて、いい感じに眠くなり始め、そろそろ眠りに着こうと思い立ち上がった。俺が立ち上がって直ぐに、アオイさんも立ち上がった。立ち上がった時に見えた、アオイさんの表情は暗く無かった。
「ありがとうございます亮壱さん」
アオイさんが御礼の言葉と共に、月光がアオイさんを照らし、その瞬間に見せた笑顔はとても美しいかった...。
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