日輪を継ぐ者
鬼殺隊に入隊してから、四年の月日が流れた…。
病気や怪我を1度もする事無く、日向から言い渡される任務をこなしていた。任務をこなしながら師範の兄である六つ目の鬼、鬼を生み出した元凶・鬼舞辻無惨の両名を探し出す為に、任務の先々で出会う鬼達に聞き回る日々を送っていた。
「亮壱サマ!亮壱サマ!任務ハ浅草二居ル隊士トノ合流デス!」
何時でも任務に赴ける支度を整え、藤の花の家紋の家で任務を待っていると、日向が任務を持って帰ってきた。今回の任務は浅草にいる隊士と合流して、行動を共にするという長期任務のようだ。日向から任務内容を聞いてから直ぐに藤の花の家紋の家を出て、目的地である浅草へと向かった。
「そういえば...珠世さんから浅草に拠点を移したと文を頂いたな...」
つい先日、茶々丸が鬼の血を取りに来ていた際に、珠世さんから俺宛てへの文が添えられていた。直ぐに文を確認すると、浅草に鬼舞辻無惨が居るという情報を得て、鬼舞辻無惨に近づく為に拠点を浅草に移すという内容だった。
「日向...。合流する隊士の名を教えてくれないか?」
「カァー!合流スル隊士ノ名前ハ!竈門炭治郎デス!」
竈門炭治郎隊士について、日向に更に尋ねた。15歳の少年で、小さな子供一人入れる木箱を背負っているらしい。何故、木箱を背負っているのかを不思議に思いながら、竈門炭治郎隊士と合流する浅草へと急いだ...。
〇
俺の名前は竈門炭治郎だ!
鎹鴉からの情報で、鬼が潜んでいると噂がある東京・浅草に来ていた...。浅草に来てみたものの、建物の高さ、人の多さ、夜なのに明るい都会に気疲れしてしまった。
「すみません....山かけうどんを一杯ください...」
明るい浅草を出て、静かな道に出た。少し歩くと屋台のうどん屋があって、山かけうどんを一杯頼んで長椅子に腰掛けた。長椅子に腰掛けると、禰豆子はウトウトしていると俺の肩に頭を乗せて眠っていた。
「山かけうどん出来たぞ」
「ありがとうございます」
禰豆子をそのまま寝かせて、出来たての山かけうどんの汁を飲んで落ち着こうとした時だった──浅草の方から家族が殺された時に家に残っていた知らない誰かの匂いがした。
手に持っていた、山かけうどんを地面に落としてしまったが、一刻も早くその匂いの元に行こうと日輪刀を持って走った。
人混みを掻き分けて走り続けて...匂いの元に辿り着き、匂いを発している人物を俺の方に強引に振り向かせると、青白い顔をして瞳の色が真っ赤な西洋の格好をした鬼舞辻無惨だった。
〇
忌々しい...。
私の目の前にいる杓子の子供の両耳には、かつて私に屈辱を与えた者が付けていた花札の耳飾りをしていた。花札の耳飾りを見た私は、私の中で燃え滾っている怒りを抑えていた。
「月彦さんのお知り合いですか?」
「いいや?どうやら人違いで声をかけてしまったみたいだ」
人間に混じりながら青い彼岸花を探し出す為、私は仮初の結婚をしていた。妻になっている女は杓子の子供が気になった様で、知り合いかと聞かれ、知り合いでは無いと否定した。
花札の耳飾りの子供のせいで、女と子供に不信感を持たせる前にこの場から離れる事に決めた。
花札の耳飾りをしている子供に着いてこられては面倒しかないと考え、癪だが私の近くに居た人間を鬼に変えようと手を伸ばした時だった...。
「人が多く行き交う所で...手を無防備に出すのは危ないですよ?」
そう言って私の手を掴んだ者が居た...。
怒りが更に高まり、私の手を掴んだ穢らわしい人間の顔を見た瞬間──私の中にあった怒りは跡形もなく消え去った。
左側頭部にある痣、何も写していないような瞳、何を考えているのか分からない表情──私の手を掴んだ者は、かつて私に屈辱を与えた継国縁壱にとてつもなく似ていた。
〇
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
浅草に到着してから直ぐに、私は竈門炭治郎隊士を探す為に透き通る世界を使い、探していた。呼吸を習得している鬼殺隊士は常人とは肺の大きさが違い、透き通る世界を使えば直ぐに見つける事が出来る。透き通る世界を使って探し歩いてから数分で、鬼殺隊士を見つけ出すことが出来た...だが、鬼殺隊士の近くにおかしな体の作りをしている者が居た。
心臓が七つ、脳が五つもあり、明らかに普通の人間がする様な体内構造では無かった。俺はその者に近づこうとすると、いきなり手をこちらに伸ばしてきたので掴んだ。
手を掴んだ事でその者が俺の方に振り返った瞬間、少し間があったが、抱いていた子供を宙に放り出して、奇声をあげながら一目散に逃げるが如く、何処かに走り去ってしまった。
「お怪我はありませんかお嬢様?」
「ううん、大丈夫だよ!」
宙に放り出された子供が地面に落ちる前に受け止め、怪我をしていないかと尋ねた。宙に放り出された子供に怪我は無く、逆に楽しかった様で、もう一度宙に放り出して欲しいと頼んできた。
「ご婦人...夜に女性とお子様が出歩くには危険な時間帯です。旦那様は探しておきますのでお送り致します」
「そう?ありがとうございます」
ご婦人とお子様を送り届ける事になり、今目の前にいる隊士が竈門炭治郎であろう少年に、何処かで待っていてくれるように頼んでから、ご婦人とお子様を送りに向かった。
「にゃ〜お」
「茶々丸...」
「あ!猫さんだ!」
ご婦人とお子様を送り届けている最中、茶々丸が俺の目の前に現れた。目の前に現れた茶々丸は一鳴きして、俺の足に頭を擦り付けてから何処かへと行ってしまった。きっと、俺が浅草に来ている事を珠世さんに報告しに行ったのだろうと考え、1度止めた足を動かし、ご婦人とお子様を送り届けた。
読んでいただきありがとうございます!