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最終選別に遅刻してしまった俺はあまね様の寛大な御心で藤襲山に入れ最終選別を受ける事を許してもらえた。
遅刻した分の遅れを取り戻そうと、俺は鬼に気配を感じた場所へと片っ端から向かい鬼の首を斬って回っていた。
『キヒヒ、宍色の髪をした顔に傷のある餓鬼には逃げられたが、今回は逃がさないぞ鱗滝の弟子ぃ!!』
鬼の気配を感じた場所に走って来てみると、そこには体から手を生やしている鬼が雄叫びに似た大声をあげて、小柄な女の子の四肢を掴んでいた。
「誰か助けて──」
女の子から救いを求める声を聞いた瞬間──俺は日輪刀を抜きながら鬼へと向かって行き女の子の四肢を掴んでいた手、首を斬り落とした。
○
鱗滝さんや兄弟子達二人の厳しい修行の日々を送りようやく最終選別に行く事を許されて此処に来ていた。
最終選別に行く前に兄弟子の一人である錆兎から鱗滝さんに恨みを持っている異形の鬼が居る事を教えられ、その鬼の前では絶対に心を乱したり感情だけで行動しては行けないと忠告もらい最終選別に臨んだ。
「それでは皆様、ご武運を」
綺麗な女性から最終選別の説明を受けた後に私や私以外の受験者は藤襲山に足を踏み入れた。
最終選別が始まってから数体の鬼の首を斬り落とし、ちゃんと鱗滝さんや錆兎、義勇から学んだ事をしっかり出来ていると実感していた刹那──錆兎が言っていた異形の鬼が現れた。
錆兎の忠告を守り、異形の鬼が兄弟子達を殺して食べた自慢話に心を乱さないように常に平常心を保ちながら倒そうと行動していた。
「鱗滝は馬鹿だよな?自分が彫った厄除の面が弟子達を死に追いやっているのにまだ彫り続ける。奴が弟子を殺しているようなものだな!」
「鱗滝さんは....鱗滝さんは身寄りの無い私を大事に育ててくれた優しい人だ!!そんな鱗滝さんを悪く言うな!」
優しい大好きな鱗滝さんを悪く言う異形の鬼に怒りを覚え、鬼の首を斬ろうと異形の鬼に向かっていった。
鬼との距離を徐々に詰めて首を斬ろうと狙いを定めた時。
「!?、下からなにか来る!」
私の足元から異形の鬼と同じ匂いがしてきて上に飛び上がると私のいた場所から異形の鬼の手が何本か出てきた。
飛び上がったのだが、高さが足りずに両足を強く掴まれ、次は両腕を掴まれ動きを封じられた。
「キヒヒ、捕まえたぞ鱗滝の弟子ぃぃぃぃ!!宍色の髪をした男に逃げられたが今回は絶対に逃がさない!」
異形の鬼は私の四肢を掴んでいる手に力を入れる。
「痛い!!」
「そうか痛いか!!キヒヒ、お前はゆっくり四肢をもいで殺して食ってやるからな!」
左右に四肢をゆっくりと引っ張られ裂かれようとされている時、鱗滝さん、錆兎、義勇と過ごした日々が走馬灯の様に頭に流れた。
義勇と錆兎は鬼殺隊士で頻繁には会えなかったけど手紙を寄越してきてくれた事が嬉しかった時や風邪を引いた時に鱗滝さんが優しく看病してくれた日々がゆっくりと流れた。
「死にたくない.....」
私はまだ生きたいと、鱗滝さんに必ず帰ってくると約束した事や錆兎と義勇が水柱になったら継子になる約束を果たす為に、死にたくないという思いが強くなった。
「誰か助けて──」
自然とその言葉が口から溢れ出た。
──日の呼吸肆ノ型・灼骨炎陽
突然、お日様の匂いがしたと同時に私の四肢を掴んで拘束していた手が緩み拘束から解放された。
高い所で拘束されていた私は拘束が解かれてそのまま下へと落下した。
受け身を取ろうと体を動かそうとしたら鬼に掴まれていた部分に強烈な激痛がはしり上手く体を動かせず、このままでは地面に強く激突すると思った瞬間、さっき嗅いだお日様の匂いが私を優しく受け止めてくれた。
○
異形の鬼は何時斬られたのかと騒いだ後、徐々に体が灰へと変わってきた。
「兄ちゃん...兄ちゃん何処に居るの?」
異形の鬼から小さい子供の声が聞こえ、灰にまだなっていない手がこの場に居るはずのない自分の兄を探して動いていた。
「お前の兄はお前が今から行く場所で待っている.....」
「本当?じゃあ直ぐに行かないと!」
その言葉を最後に異形の鬼は灰となりこの世から消えた。
異形の鬼が消えたことで、地面に向かって落下を始めていた女の子を、落下地点で待ち構え、受け止めた。
体に異常は無いかと透き通る世界で女の子の靭帯や筋肉を見てみると異形の鬼に掴まれていた部分の筋肉や靭帯が切れそうになっていた。
○
お日様の匂いに受け止められて初めに目に入ったのが額の左側頭部に痣があって無表情で何を考えているか分からない顔をした男の子だった。
「あの、助けてくれてありがとう。もう大丈夫だから下ろしてくれる?」
受け止めてくれた男の子の顔が近くて恥ずかしくなり、下ろしてと頼んだが首を横に振って下ろさないと言われた。
「お前は今歩ける状態では無い。靭帯や筋肉が切れかかっているから、こういう風に運ばせてもらう」
男の子の言う通り、異形の鬼に掴まれていた部分にまだ痛みが残っていて歩けそうにも無かった。
でも、何でこの子は私の状態が分かるんだろう?気になって聞いてみたら......
「見えるから.....」
その一言だけしか言わずに私を横抱きにしたままスタスタと何処に移動を始めた。
「ねえ、何処に行こうとしてるの?」
「川だ...。川に行き、水の確保とお前のその怪我を冷やしに行く」
「ありがとう。それとまだ自己紹介してなかったね、私の名前は真菰だよ!よろしくね」
「俺の名は榊亮壱。その怪我では歩く事は出来ないだろうから、最終選別が終わるまでは面倒を見る予定でいる」
「え!最終選別の間、一緒に居てくれるの!私、少し心細かったから良かったよ〜」
「そうか...残り六日よろしく」
「こちらこそよろしくね亮壱!」
○
世にはこびる鬼達の頭である鬼舞辻無惨は、冷や汗をかき、四肢を斬られ横たわり怯えている童磨と、童磨にそれほどの恐怖を植え付けた亮壱に怯えていた。
「な、何だあの子供は!あの顔、あの瞳、そしてあの痣、まるで奴ではないか!」
鬼舞辻無惨は童磨を通して見た亮壱の、何も写していない瞳や何を考えているか分からない表情と、左側頭部にある痣に、何百年も前に死んだ継国縁壱を思い出していた。
「こんな悪夢があってたまるか!鳴女!」
「はい。此処に」
「童磨の四肢を再生させる為に稀血の女を食わせろ。童磨の再生が終わり次第、上弦を集めておけ!」
「畏まりました無惨様」
「頼んだぞ鳴女。私は少し休む...」
今まで見たことない無惨の態度に鳴女は何とも言えない表情をしながら目の前で横たわっている童磨を見やった。
その横たわっている童磨も......
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
とブツブツ呟いてるのを見て鳴女は溜め息が溢れた。
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