幽霊に呼吸を習いました   作:星天さん

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現時点での死亡キャラ生存

・胡蝶カナエ
最終選別に行こうとしていた亮壱に助けられた

・錆兎
異形の鬼と戦って刀が折れた時に鱗滝さんや兄弟子達の幽霊に言われた事を思い出し、顔を潰される前に回避して逃げ伸びた。

・真菰
錆兎と義勇の妹弟子設定
異形の鬼に手足を引きちぎられそうな所を亮壱に助けられた。





最終選別を越えて

亮壱に異形の鬼から助けてもらってからあっという間に六日が経って、七回目の朝日が上り最終選別最終日を迎えた。

亮壱の手厚い手当てのお陰で痛みが大分引いて、今では支えがあれば何とか歩けるまでに回復する事が出来た。

亮壱に助けられて一緒に行動する様になってから、亮壱と友達になり、亮壱の過去や人柄を知る事が出来た。

亮壱の方が歳上と思ってたのに同い歳だった事、親に捨てられた所を優しいお祖母さんに拾われて大事に育ててもらった事、自己評価が低すぎる所。

亮壱の自己評価の低さは義勇より酷くて、異形の鬼を倒した事や私の怪我に対しての迅速な対応に凄いと言ったら──

 

『俺は何も凄くないぞ真菰。お祖母様が色んな怪我に対しての手当ての方法を教えてくれたから出来ただけだ、それに異形の鬼を倒す事が出来たのは、相手が俺に気づいていなかったのと、俺に呼吸を教えてくれた師範のお陰だ.....』

 

そんな事を表情を変えずに真顔で言うもんだから思わず顔が引きつっちゃった。

 

「そろそろ下山しようか真菰」

 

「うん、分かったよ亮壱!」

 

私は亮壱に背負われて藤襲山を下山した。

亮壱に背負われていると、やっぱり亮壱から優しくてお日様の様にポカポカして安心する匂いがして何だか眠くなってしまい瞼が自然と下に下がってきた。

 

 

真菰と過ごした六日間は中々面白く、退屈のしない楽しい時間を過ごさせてもらった。

鱗滝さんと言う育手の話や、二人の兄弟子自慢を聞かされながら真菰を背負って藤襲山を下山し、藤襲山の麓に辿り着くと最終選別で何度か見かけた受験者が全員集まっていた。

真菰を背負って藤襲山を下山し、藤襲山の麓に辿り着くと最終選別で何度か見かけた受験者が全員集まっていた。

 

「最終選別中、ずっと亮壱におんぶにだっこだったな...」

 

「酷い怪我だから仕方ない.....。無理に動いて一生治らない事になったら鱗滝さんや兄弟子達が悲しむぞ?」

 

「やっぱりそうだよね....。でも、鱗滝さんや錆兎、義勇から教えてくれた事を少ししか出来なかった」

 

「三人から教わった事は、鬼殺隊士になってから存分に発揮すればいい。焦る必要は無い.....」

 

俺なりに落ち込んで弱々しく話している真菰に言葉をかけた。

 

「ふふ、励ましてくれてありがとう亮壱!そうだよね、この悔しさは任務で晴らせばいいよね!」

 

俺のかけた言葉に真菰は小さく笑いながら礼を言ってきた。

落ち込んでいた雰囲気が変わり、試験中によく見せてくれた明るい真菰に戻った。

 

「皆様、最終選別お疲れ様でした。受験者全員が最終選別を乗り越えた事に心よりお祝い申し上げます。それでは隊服の採寸と日輪刀の玉鋼を選んでいただきますが、その前に...」

 

あまね様が手を二回叩くと空から鴉が飛んできて受験者全員の肩に1羽づつ止まった。

 

「これより、皆様に鎹鴉を付けさせていただきます。その鎹鴉は任務や隊士同士の連絡用です」

 

あまね様の話が終わると受験者の約半数が手を挙げ、隊士では無く隠になりたいとあまね様に言った。

隠になりたいと言った受験者は俺が来る前に鬼に恐怖して戦えないと言う理由だった。

隠の道を選んだ受験者達はあまね様の近くに居る、二人の隠に連れられて何処かに行ってしまった。

 

「あまね様....」

 

「どうかしましたか?」

 

「日輪刀の玉鋼選びの事ですが、俺は既に自分の日輪刀を持っているので、玉鋼選びはしなくてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、日輪刀を持っているのでしたら榊亮壱様は隊服の採寸だけで大丈夫です」

 

「分かりました...。真菰、一旦下ろすぞ」

 

「うん、分かった」

 

真菰をゆっくりと下ろしてから、俺以外受験者は日輪刀に使う玉鋼選び、俺は隊服の採寸に分かれた。

隊服の採寸だけで直ぐに終わった俺は、真菰の玉鋼選びと隊服の採寸が終わるまで、近くにある岩場に腰掛けて待っていた。

 

 

「今年は全員が生き残ったのか、とても優秀な子達が多い様だね。また、私の剣士(こども)が増える。どんな剣士になるのか楽しみだ」

 

産屋敷邸の縁側に座り、鎹鴉から最終選別の合格者の事を報告された鬼殺隊の長、産屋敷耀哉は嬉しそうに言った。

 

「榊亮壱。鎹鴉が視認出来ない速さで鬼の首を斬るなんて、とても優秀な子だね」

 

産屋敷耀哉が受けた報告は最終選別の合格者の事だけでなく、最終選別中の状況についても報告を受けていた。

亮壱が真菰に安静にしていてもらおうと、真菰と亮壱の付近に居る鬼を狩り続けていたところを鎹鴉に見られていたのだ。

しかし、鎹鴉には亮壱が鬼の首を斬る時の剣筋が見えず、鬼の近くを通っただけで勝手に首が落ちているように見えていたのだ。

 

「もしかしたら、カナエが言った少年はこの子かもしれないね。時期を見計らって聞いてみよう」

 

 

真菰は玉鋼選びと隊服の採寸が終わったようで、岩場に腰掛けている俺の所にゆっくりと少しずつ歩いて来た。

 

「短い距離だったら歩けるみたいだけど、狭霧山まで自力で帰れそうにないよ〜」

 

「狭霧山まで送っていくと約束しただろ?だから安心して俺の背に乗っかれ」

 

真菰が背に乗っかれるように腰を落とすと、真菰は俺の肩に手を掛けて、ゆっくりと俺の背に乗っかった。

 

「私って重くない?」

 

「重くない...泡を背負っている感覚だ。軽すぎないか真菰?」

 

真菰をしっかりと背負った俺は、真菰の帰りをきっと心配して帰りを待っているであろう育手の下に向かおうとすると、あまね様に声をかけられた。

 

「亮壱様。もしよろしければ背負われている真菰様を鬼殺隊の治療所にお連れしますので、こちらでお預かりしますか?」

 

「真菰はどうしたい?」

 

「私は──狭霧山に一度帰って鱗滝さんに会ってからが良いです」

 

「分かりました。それでは今日では無く明日、迎えを送りますのでよろしいでしょうか?」

 

「我儘を聞いて下さりありがとうございます」

 

「いえ、大丈夫です。榊亮壱様、真菰様、改めて最終選別を乗り越えた事を、心よりお祝い申し上げます。隊士になってからのご活躍を楽しみにしています」

 

あまね様はそう言うとお辞儀をして隠達の方に戻って行った。

 

「行くか...」

 

「そうだね!」

 

藤襲山の麓から下り、最終選別前に来た道を歩き続け町に出た。

狭霧山への道順は真菰が指示してくれる為、いちいち人に狭霧山の場所を聞くこと無くすんなり狭霧山の麓にやって来れた。

 

「やっと鱗滝さんに会える!ありがとう亮壱!」

 

「あまり耳元で大きな声をあげないでくれ....」

 

狭霧山をしばらく登って行くと一軒の小さな小屋を見つけた。

真菰が鱗滝さん、兄弟子二人と暮らした場所だと言い、とりあえず小屋に真菰を休ませようと近づくと勢いよく戸が開けられて中から天狗の面をした男が出てきた。

 

「鱗滝さん!」

 

「真菰...よく戻った」

 

真菰を下ろすと、真菰は鱗滝さんに抱き着き、鱗滝さんは真菰が無事に戻ってきた事に涙を流しながら、おかえりと言った。

その後、鱗滝さんに俺の事を聞かれた真菰は最終選別の時の事を話した。

 

「儂は鱗滝左近次、真菰を助けてくれた事に感謝する。ありがとう」

 

「俺は榊亮壱と申します。俺は当たり前の事をしただけですので、礼は不要です」

 

「その当たり前を亮壱がやってくれたから、儂は大切なものを失わずに済んだ。本当にありがとう」

 

鱗滝さんの礼を受け取り、お祖母様が待っている屋敷に帰ろうとしたのだが、鱗滝さんに休んでいかないかと言われた。

 

「鱗滝さんのご厚意は大変有り難いのですが、俺はこのまま帰ります」

 

「もう帰っちゃうの?」

 

「ああ、鱗滝さんが真菰を待っていたように、俺にも待ってくれている人が居るから」

 

「そっか...なら、引き止められないね。亮壱を待ってくれているお祖母さんの所に帰ってあげて!」

 

「亮壱よ、狭霧山には何時でも来るといい。待っている」

 

「ありがとうございます鱗滝さん。それでは失礼致します、真菰、早く怪我を治してまた会おう...」

 

「うん!またね亮壱!」

 

鱗滝さんと真菰に別れを告げて狭霧山を下山してお祖母様が待っている屋敷へと走って帰った。

 

 

 

コンコンコンコン.....

屋敷前に着いてから戸を四回叩いた。

戸を叩いて少し待っていると直ぐに戸が空いてお祖母様の顔が見えた。

 

「亮壱.....」

 

「ただいま戻りましたお祖母様」

 

「無事に帰ってきてくれてありがとう亮壱。さあ、中に入りなさい」

 

戸を潜ってからお祖母様と一緒に屋敷の中に入って、お祖母様が今夜はお祝いとして夕餉に俺の大好物の天ぷらと鶏大根を作ってくれると言ってくれた。

 

「改めて、おかえりなさい亮壱」

 

「ただいまお祖母様.....」

 

俺はこの日から隊服が届くまでお祖母様と一緒に居る時間を大切にしながら日々を送った。




亮壱コソコソ話
亮壱は上弦ノ弐や最終選別の鬼を斬った時、お祖母様の手伝いで豆腐を切った時と同じ感覚だったらしい。



今回も読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
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