デスアイランドの脚本、やっぱどう足掻いてもクソだったので実質初投稿です。
そろそろ原作との乖離が激しくなってくる時間……。
「じゃ次、竜吾君が和歌月さんに斬られて、それを目撃した3人のシーンを貰うよ」
「はいっ」
「はい」
「はい」
デスアイランド撮影二日目、最後の撮影。
監督に呼ばれた木梨さんが右隣で元気に返事をしていて、反対側で茜ちゃんが落ち着いた様子で答えていた。カメラマンさんがカメラを覗き込みつつ私たちに位置を指示を飛ばす。
「うー、初めての台詞緊張するね、がんばろ」
「……うん」
周りを見渡せば、カメラの撮影範囲には今にも殺されそうな軽薄な役回りを演じる堂上さんと、怒りに狂って堂上さんを殺しそうな和歌月さんと、それを目撃してしまう
撮影範囲の外に目を向ければ、元輝くんも、真咲君も、武光君も、千世子ちゃんもいる。
真咲君たちと三人で固まって話をしている元輝君に視線を向けると、武光君が期待してるぞとばかりにサムズアップをしてくれて、元輝くんが無表情のままに静かに頷いた。昨日手伝ってもらったもの、まかせて。ふんすっと鼻で息を吐く。
……うん。
「茜ちゃん。私、頑張るから」
決意を新たにする。
頑張るから──だから何だと言うわけではないけれど、これは自身への宣誓のようなもの。私が私を制御するという誓いだ。
返答はくれなかったけど、私の方から茜ちゃんに認めてもらえるように歩み寄っていかなくちゃ。これ以上元輝くんたちに迷惑はかけられないし、私が頑張らないといけないわ。
「はいテストォ!」
「テスト!」
──カチン。
撮影が始まった。
「リンが死ぬくらいなら、お前が死ねば良かったんだ!」
「やっ、やめ……うわああ!」
「……キャア!」
『幽体離脱』……お芝居中の自分をフカンして、コントロールする技術。
たくさんの『目玉』を選ぶことによって出来ていた、千世子ちゃんたちがずっと綺麗でいられるワケ。昨晩の元輝くんの授業のお陰で、なんとなく理解できた俯瞰というもの。
……今使われているカメラは三台。
二人越しに私達を捉えているカメラ。
堂上さんを斜めから捉えているカメラ。
私たち三人を上手から捉えているカメラ。
私を映しているのは、二人越しのカメラと上手からの二つね。
……大丈夫。ちゃんと把握できているわ。元輝くんの言う通りに撮影開始前にカメラを触らせてもらえたのが良かったみたい。
──……よし。
撮影カメラの画角はスマートフォンのものより広かった。私の視界との差は比較的少ないから差分はさして気にしなくていい。
私の把握する世界に楔を打って、
首のない友人の死体を目の当たりにした和歌月さんが、怒りに体を震わせながらその原因となった堂上さんを睨め付けている。
怒声と共に『デスアイランド』からの指示によって手に入れた刀で堂上さんを斬りつけて、それを受けた堂上さんが倒れた。バタンと堂上さんが崩れ落ちる音。
それを見た木梨さんが叫んで、刀を血で濡らした和歌月さんが私たちに向く。
「あんた達もこいつとグルなんじゃないの!?」
「ちっ、違うよ!」
「信じられない、証拠はあるの!?」
「来……来ないで!」
フカンする。
和歌月さんが正気を失った様子で、狂乱の演技で刀を振り上げていた。
私の隣で木梨さんと茜ちゃんが後ずさった。恐れ慄きがらも弁明するも、朱子ちゃんと木梨さんは恐怖心に駆られている。ぶんっと、和歌月さんが刀を大上段に構えた。ライトに照らされて、磨かれた刀身が不気味に照り輝いた。
「?」
「ん?」
「……あれ?」
…………?
「うん? 夜凪ちゃん? 次、君の台詞。『皆、逃げて』だよ。
台詞飛んじゃった?」
……あ。
やってしまった。
? と手塚監督が首を傾げた。ごめんなさいと頭を下げる。俯瞰に気を払い過ぎて、ちゃんと役を演じられていなかったみたいだ。
「すみません」
「緊張しちゃったかな。いいよ、テストはそのためにもある訳だし」
あはは、と監督が笑って許してくれる。上手くやろうと意気込んだのにNGを食らってしまった。
隣を向いて茜ちゃんに頭を下げる。
ごめんなさい、私がちゃんと出来なかったから、茜ちゃんたちの演技をダメにしてしまった。私のミスだわ。
「ごめんなさい、うまく集中できなくて……」
「カメラ前は緊張するもんやから」
しょうがないやっちゃな、と小さくため息を吐きながら茜ちゃんが前を向いた。そう言ってくれた茜ちゃんを見て、ぶんぶんと頭を振って、パチンと赤みが差さない程度に頰を張る。……よし、切り替えなくちゃ。
集中しろ、私。
ふう、と一つ息を吐いて精神を落ち着けると、隣で腕をぷらぷらさせていた木梨さんがぐっと親指立てて、私に励ましの言葉をかけてくれてくれた。
「どんまい」
「ごめんなさい。
……次は失敗しない。がんばるわ」
「監督~、俺達の芝居は問題ないでしょ。次本番にしようよ」
「な……それじゃテストの意味ないでしょ。
竜吾さん、地べたに倒れる芝居少しでもしたくないだけじゃないですか」
「えーいいじゃん俺らできてんだからさァ」
「……んー」
倒れる演技を繰り返していた堂上くんがオーバーなリアクションでそんなことを言い始めた。それを見咎めた和歌月ちゃんが反論している。
まあ、そこまで清潔じゃない床に倒れ込む演技をそう何回もしたくはないというのが竜吾君の本音だというのは和歌月ちゃんの言う通りだろう。僕自身その気持ちは分からなくはない。
普通、撮影にはテスト撮影がつきまとう。
テスト……つまりは撮影テスト段階のリハーサルは、細かい調整を加えながら複数回行うのが一般的だ。
基本的にはこういうテストを複数回重ねることで、俳優陣は自分の演技の微調整を重ねるし、撮影班もフィルムの感度と絞り値の関係だったり、色彩フィルターや立ち回りの細かな修正であったりを行うのだ。
だから、テストに充てる時間を一、二回分減らすことに然程のメリットがあるとは言えないが──
「そうだね」
……僕自身すら、今の撮影でどういう画が撮れるか分からない。なにせ使う俳優があの黒山が推してきた夜凪景だ。何をやらかすのか予測がつかない。
だから彼女を使うときは、テストにテストを重ねるというのが一番正しいやり方だというのはわかっている。
本番は練習のように。そして練習は本番のように。
役に入り込んだ彼女がどう動くかをテストで見極めて、周囲の俳優やカメラの動かし方を調整して寄り添うように撮影する形式が、一番適した撮り方であることになんら間違いはない。
「……」
テストを重ねず本番を行えば、夜凪景の動きに周りを合わせるってことはできなくなってしまう。
"迫真の演技しかできない"生粋のメソッド・アクターである彼女を使うことにおいて、テストを重ねずに撮影を敢行するということはそういうことだ。その上、仮にこれ以上のリスクを背負っての撮影を敢行するとなれば、どんな些細なミスがスケジュールに致命傷を与えるのかが分からなくなってしまうだろう。
その上、どう動くが分からない演技になることは避けられなくなってしまう。ソレを本編に採用するということが、どれほどリスクの高いことなのかは理解している。
「夜凪ちゃんどう? 次本番でいけそう?」
……にも関わらず、僕は
夜凪景という女優は異質だ。それこそ、僕がリスクを背負うことに対する躊躇いが劇的に減少するほどに。
普通は初めての映画撮影じゃあ、緊張する自分を制御して、なんとか役をこなそうとするものだ。
仮に場馴れしてる女優であったとしても、スターズ主催というアウェーなロケ地の空気に飲まれないようにと、自分の演技を見せようと苦心するものだろう。
それがどれほど特異なことなのか。
緊張でまだ堅い役者が多いオーディション組で、一際異質な存在感を放っている彼女の演技の本質がどういうものなのか──僕だって掴み始めているんだ。千世子ちゃんだって分かり始めているだろう。
"仮面を被らない"夜凪景の演技。出来ることならお互いに影響し合ってほしいものだが……。
「……はい!」
「うん。じゃ、次本番で」
一瞬夜凪ちゃんが不安そうな顔をしたが、すぐに返事をする。
その元気のいい返事に、僕は頷いてみせた。席を立ち上がってスタッフに軽く指示を飛ばした。
懸念事項は幾つかある。
一番は元輝君だろう。黒山の甥っ子、アリサさんがスターズに引き込もうとしている"金の卵"。
今の千世子ちゃんの精神的支柱となり得る男で。
そうであるにも関わらず、夜凪景と同じように
ソレを差し引いてもここで彼女の演技が一体どれほどのものなのか、どういう本質であるのかを正確に理解しておきたいというのが僕の本音だ。でなければこれから先の撮影でどう扱うかということを決め辛くなってしまう。
僕は静かに笑みを浮かべながら、
「本番!」
「よーい!」
カチン、とカチンコの音を鳴らした。
──『入った』。今度こそ、夜凪ちゃんの心が役の中に入り込む。
楽しませてくれよ、夜凪ちゃん。しがない映画監督でしかない僕だけど、君には本当に期待してるんだから。
「リンが死ぬくらいなら、お前が死ねば良かったんだ!」
「やっ、やめ……うわああ!」
「キャアア!」
そして。
その演技は、一瞬だった。
「────皆……逃げて!」
……身震いがした。
ただ一言のその演技に。刹那でしかないそれに。末恐ろしいまでにこの僕が身震いさせられた。
和歌月さんが竜吾くんを刀で斬る演技をして、そのまま竜吾くんが倒れこむ。木梨さんが悲鳴を上げて、
──夜凪ちゃんが、嘔吐した。
カメラに映さないように、撮影範囲の死角に吐瀉物を落とすことでNGを喰らわないようにしながら演技を続行。
ふらついて、すぐ立ち上がった演技をしたように見せかけて、夜凪ちゃんは真っ青な顔で台詞を吐いた。
予定通りではない台詞回し。
湯島茜の台詞をスキップした、脚本の流れを無視したものだ。
でも、とても自然な演技だった。
人が、人を殺めてしまった瞬間を見た人間の
「ははっ」
化け物だ。
思わず笑みが溢れる。
一瞬前まで健康体そのものだった夜凪ちゃんが、一秒足らずの間に顔を真っ青にして、嘔吐して、なおも芝居を続けていた。
普通の女の子のように、恐怖し、怯え、真っ青な顔で嘔吐して。
根底から普通の女の子へと没頭しながら、しかして緻密な計算でその行動を制御する。
二重人格に等しいソレを行いながら、尚も僕たちに現実と仮想の境目を疑わせるような演技。
誰もが目の前の光景を疑うようなソレを見せられて。心配と期待に埋め尽くされているはずなのに。
僕の口元には微かな笑みが浮かんでいた。
「──カット。OK」
マジでフラグ管理が
前回は夜凪・烏山組の『目指せ俯瞰獲得レッスン』に顔を出して伊達眼鏡を掛けながら意気揚々とカメラの規格について語り倒したところまでやりました。眼鏡ホモ君の出番やかかってこい……! ってところまでですね(違う)
因みに、ホモくんが眼鏡をかけて知的っぽさを演出しているのは、こういう何かしらのものを教えるときに伊達眼鏡かけて知的キャラを獲得しておくと、超低確率ではありますがスキルの熟練度が上がることがあるからです。
まあ実際どうなのかというと、確率で言えば習熟度の向上が発生する確率は1%を切っているとのことなので、基本的には趣味が九割です。……眼鏡をかければ知的という発想自体がお馬鹿な気がしないわけではないですが、気にしたら負けです。
さっさと帰宅して睡眠を取りましょう。
……ん、アキラくんとのコミュが入りました。
アキラ君との友好度が一定以上だと、デスアイランド撮影の1週目のいずれかのタイミングでコミュが入ります。基本的には事務連絡とちょっとした話くらいのものなんですが……。
「やあ元輝くん。……ああ、部屋に帰るところだったのかい?」
>手を上げながら爽やかに笑うアキラにあなたは手を振り返した。
>そうだ、とあなたは伝えると、アキラはポリポリと頰を掻く。何やら伝えたいことがあったらしい。
「だから星だって……いや、明日、僕はウルトラ仮面の方の撮影で島を出てるからね。その連絡と僕がいない間は頼むよってことを伝えに」
君が1番千世子くんの相性いいだろうからね、と続けた堀くん。はー!! アフターケアまで万全とかなんなんですかイケメンなんですか? イケメンでしたね。ぺっ。
うん、内容自体は問題ありませんでしたね。いつも通り事務連絡込みのものでした。
1日目にコミュが入った場合、二日目は堀くんが『ウルトラ仮面』の撮影で島にいないため、その連絡を兼ねてのものであることがほとんどです。これはスターズの俳優陣のスケジュールの兼ね合いのため仕方ないことではあるんですが、それでもやっぱり堀くんという緩衝剤がいないのは精神的な面で非常に辛いんですね(2敗)。
ただ真咲君という第二の生贄がいてくれるのでそちらを頼って切り抜けましょう(他力本願)
私は百戦錬磨の走者です。出来ねえことなんて(七割方)ねえよ……!
アキラくんにそんなニュアンスのことを伝えます。若干心配されましたが、ここは気合で押し切りましょう。むしろホモくんも一週間後には同じことをする予定なのでキメ顔でもしながら"向こうのことは君に任せる"的なことを言っておきます。
……はい。これで完璧ですね。精神がイカれた時のための逃走用経路の確保が一つ完了しました(過言)
アキラくんにおやすみの挨拶を言ったらさっさと自室に戻って睡眠とりましょう。こんなとこで気合とチャートに身を任せてオーバーワークしても過労死するだけなので意味がありません(2敗)。幾らやっても終わらないサビ残……これが社会の闇か……。
………………。
はい、ということで『デスアイランド』撮影二日目になりました。サビ残なんてなかった。いいね?(虚勢)
ということでスキンケアやらコンディションの維持に必要なことをこなして食堂に向かいます。途中でスターズ組やオーディション組と合流することがありますので、遭遇したら出来る限りコミュを取っていきましょう。とは言ってもそんなに積極的に接触する必要はありません。会ったら話すくらいのイメージで大丈夫です。
……今回は武光君と真咲君ですか。中々いい引きをしました。話題はそうですね……今日の撮影についてでも話しておきましょうか(思考停止)
……食堂に着きました。
今回の撮影では朝ごはんはビュッフェ形式をとっています。バランスを考えながらさくっと取り寄せてしまいましょう。もう入らんというレベルにまでたくさん食べる必要はありませんが、少なくとも半日は動けるエネルギーを獲得しておきたいところです。正直私としてはウィダーで構わないんですが、やり過ぎると周りから心配されてしまうことが多いのでちゃんと食べます。景ちゃんとかにバレるとヤバいので仕方ないですね(1敗)。背に腹は代えられません。
朝ごはんを食べてる間に二日目の大雑把な流れについて説明しておきましょうか。
デスアイランド二日目の撮影アクトですが、ホモくんが参加するシーンはほぼありません。森の中を歩くシーンくらいのものです。その為今日はサポートに回ることで技術の習得に努めます。
俳優が24人も参加している撮影なのでホモくんが参加できる撮影の絶対量が少なくなってしまうのはどうしても仕方ありません。
経験を積むっていう観点のみで見れば、デスアイランドに参加せずに別の作品に出るのがウマ味だったりするんですが……。
絶対量が少なくなるってことを差し引いても、『メソッド演技(EX)』と『百式演技術』の両方を同時に習熟度上げを行えるのがデカ過ぎるので、俳優ルートだと正直参加する以外の手がないんですよね……。
それでも他にも『大黒天』に所属していた場合に限ってですが、半分くらいの確率で『デスアイランド』ではなく劇団天球のインプロ*1に参加することも出来るので、大黒天に所属してるならそっちのルートを狙ってもいいと思います。
今回はフリーランスなのでその手は使えないので仕方ないんです。経験値の補填はデスアイランドの撮影期間中に別口でやれる算段はつけているのでもーまんたいです。
気張っていきましょう。
あ、撮影が始まるみたいですね。特にこれといって気にすることもないのでさくっと終わらせます。
本日のメインイベントまでは特にこれといって真新しいこともないので倍速で流しておきますね。はいクロックアップ。
「じゃ次、竜吾君が和歌月さんに斬られて、それを目撃した3人のシーンを撮って貰うよ」
「はいっ」
「はい」
「はい」
ということで今日のメインイベントこと、景ちゃんの初台詞シーンです。
すでに今日のホモくんの撮影は終わっているので制服からなんだかんだ理由をつけて私服に着替えておきましょう。ここの手を抜いてしまうと衣装関連でトラブルが発生してしまうので気をつけます。ありえないと思うんですが……景ちゃんと幼馴染みなので吐瀉ったところに突撃をかますかもしれないので念には念をってことでやっておきましょう。
メインイベントこと夜凪景の初台詞シーンですが、これは景ちゃんの俯瞰技術お披露目シーンであると同時に、千世子ちゃんと手塚監督が夜凪景の本質を掴み取るシーンでもあります。言うまでもなく重要なシーンなんですね。
ぐっと景ちゃんがこっちを見てきたので取り敢えず頷き返しましょう。何か言うとよくわからんフラグが乱立するので下手なことは言えません。耐え忍びましょう。
……隣の武光君もサムズアップをしていました。"努力の成果を見せてもらうぞ"と言ったところでしょう。ええ、私もスキル獲得の為にも見せてもらいたいですね(人間の屑)
ということでテスト撮影ですが──
「うん? 夜凪ちゃん? 次、君の台詞。『皆、逃げて』だよ。
台詞飛んじゃった?」
「すみません」
「あはは、緊張しちゃったかな。いいよ、テストはそのためにもある訳だし」
…………。
相変わらずテストは失敗するんですね。これだからメソッドアクターはよお……!(特大ブーメラン)
とはいっても次の本番ではうまくやれてしまうんですが。一回のミスでほとんど全てクリア出来ちゃうとか本当に馬鹿げてます。普通は色々苦労してからクリアできるものなんですが……。リッキーといい阿良也くんといい、本当になんなんですか。なんでそんなに簡単にステ上げできるんですか。そんなんチートやチーターや……!(小並感)
因みにですね。
夜凪景の成長自体は"能力が伸びる"とかそういったものではありません。"撮影に最適化する"という形の成長の繰り返しに近いです。言ってしまえば、
その為新スキルの獲得とかではないんですが、メソッド演技のランク上げには非常に役立ってくれるので見ておく事に損はありません。
あ、どうやら手塚監督が次のテイクを本番にすることを決めたみたいですね。景ちゃん使ってるのにテストを重ねないとかホントにリスキーですよね。手塚監督らしくありませんが、正味RTA的にはありがたいのでもっとやってもらいたいところです。
「リンが死ぬくらいなら、お前が死ねば良かったんだ!」
「やっ、やめ……うわああ!」
「キャアア!」
「────皆……逃げて!」
>……身震いするような演技だった。
>顔を青ざめさせて、その場でしゃがんで吐いて。それでもなお演技を続行する。ふらついて、すぐ立ち上がった演技をしたようにしか見えてないだろうソレは。
>映画に不都合なことは画面の外で行う。今のはそういう演技だ。──景のその演技に、あなたは思わず見惚れてしまった。
>そして、景の為したその情景に、頭の奥を殴りつけられたような鈍痛がして。ダメだ、そう思うと同時に反射的に体が動いていた。
ちょっとホモくん何してるんですか!?
カットがかかると同時にホモくんが景ちゃんのところへと走っていきました。えっちょっまっ。
どもる茜ちゃんを押し除けてホモくんが景ちゃんに回復体位を取らせます。心配のあまり飛び出してしまったみたいですね。驚かせんなよ……(クソデカため息)
>……意識がない。景が横伏せのままもう一度嘔吐した。服に吐瀉物が付いてしまうが知ったことではない。私服に着替えているから問題もないだろう。
>あなたは景をそのまま横に向け、口内の吐瀉物をかき出した。刺激しないように細心の注意を払う。気絶時の嘔吐は危険だ。喉に詰まれば、窒息に繋がり人を死に至らしめる原因となってしまうから。
>気道は──なんとか確保できた。恐らくこれで大丈夫だろう。
……なんとかなりました。こんな時のためにと色々調べておいたのが功を奏しましたね。予定外ではありましたが、一応これもチャートの想定内です。なんの問題もありません。
……景ちゃんの失神──心因性による失神は、基本的に神経の混乱による低血圧が原因です。
こういった脳震盪のような外的要因によらない失神は、多くの場合において血長時間の立位や温暖下での激しい運動、そして
ストレス過多によって発生するコレは、血管迷走神経反射と呼ばれる症状です。横になっていれば全身に血液が戻って基本的に数十秒以内に目覚めることが大半です……が。
……目覚める様子がありません。恐らく相当深くまで潜ってしまっていたのでしょう。
数時間も横になれば完全復活するはずです。担架で寝室に運んで看病しながら彼女の復活を待ちましょう。
仕方がないんですが……うーん、流石の私も疲れましたね……。
「目玉焼きには胡椒だろうが……!」
「いいや違うな! ソースこそ最強だ!」
「やんのか武光テメェ……!」
「上等だとも……!」
デスアイランド、撮影三日目の朝。
夜凪景リバース事件の翌日を迎えた
長年分かり合えない目玉焼き調味料論争に火がついている。俺と武光がバチバチと火花を散らしている。ソースなんて邪道誰が認めるかよ……!
「両方とも朝っぱらから声が大きい。
ああ、それの――目玉焼きには醤油だ。異論は認めん」
「あ、ワリ……って、いや今サラッと煽られたな。止めたいのか悪化させたいのか一体どっちなんだよ」
やんのかコラ。そう視線を向けるが、件の元輝は素知らぬ顔でサバの塩焼きをかじっていた。もぐもぐとリスみたいに食事を続けている元輝の様子に毒気を抜かれて、はあとため息と共に椅子に腰掛ける。対面の席で言い争っていた武光も仕方あるまいとでも言いたげな顔で座り直していた。……しょうがねえな、今回は見逃してやる。
パキンとソーセージを頬張った。今回の撮影所で出される飯は中々に旨い。流石スターズ主催なだけはある。金をかけているところが違った。
さっきまでとは打って変わってのんびりとした雰囲気の俺たちのもとに、夜凪が茜さんの手を引いてやってきた。
俺の隣に座っている元輝の横に立つと、茜さんと繋いでいるのとは反対の手でピースサインを作った。ピスピスと人差し指と中指を動かしながら、自慢げに鼻を鳴らす。
「元輝くん、仲直りしたの、私達! えらいでしょ!」
「ん、おはよ、みんな。ちょいとお邪魔するで」
「……あ、そうだわ。おはようみんな。昨日は心配かけちゃってごめんなさい」
「朝の挨拶より先とか。よっぽど嬉しかったんだなお前。
ああ、おはよう二人とも」
「おはよーございます、お二方」
「うむ。仲がいいのは喜ばしいことだな。おはよう二人とも!」
……茜さん、夜凪のこと許したのか。
茜さんしっかりものだからな。あの時の夜凪に悪気があったのかわかんなかったから許せないってのが大きかったんだろう。昨日の出来事で"ああいう演技をする奴"ってわかったのが功を奏したのか。
悪気がねえって、それがわかるのは大事だもんな。茜さんもそうだったんだろう。
……うん。夜凪の謝罪も弁解も聞かんとばかりに無視を決め込んでいたから二人の仲が良くなったのは非常にいいことだ。身内以外に対するガン無視は俺の心が痛いからな。
これで俺の苦労も減るだろ。
「みんなごめんなさい。あのオーディションは私が悪かったわ。武光君本当に殺そうとしちゃうし、私のせいでめちゃくちゃにしちゃったもの。ごめんなさい、もうしないわ」
「……ちょっと待ちぃ。あのオーディションで悪かったのは何も理解出来とらんかった私や」
「ううん、私が悪かったの」
「私や」
「……っ」
「……っ」
……うん。
減るといいが。……なんか別のことで増えそうな気はするけど。
「俺たちも朝飯食ってるし、二人もご飯取ってきたらどうだ?」
「あ、そうね」
「せやな。景ちゃん、いこか」
よくわからん空気になる前に話題を提供してさっさと話を回す。隣の前から生暖かい視線を感じた。うるせえこっち見んな。
離れていった二人を尻目に、俺は視線を避けるようにそっぽを向きながら焼き鮭を頬張った。脂が乗っててうまい。
俺が納豆に手を出したところで、なんとも言えない表情で俺を見ていた元輝が視線を仲睦まじく朝食のメニューを選んでいる二人に向けて、油揚げとネギの味噌汁の入ったお椀を傾けた。
無事でよかったよ、と前置きすると。
「にしても景と茜さん、いい友達になりそうだよな。
景があんなに喜んでるのも久々に見た。初めて出来た同年代同業者の友達って奴がよっぽど嬉しいらしい」
「うむ。
本当に殺そうとしていたということを当人である俺に言うとは中々エキセントリックだったが……なんにせよ仲がいいのはいいことだ。真咲もそう思うだろう?」
「……ま、そーだな。
友達と友達が仲良くしてるのはいいもんだ」
せっかくの長期撮影だ。仲良くならなきゃ勿体ねー。
俺はそんなことを思いながら、醤油を垂らした納豆をかき込んだのだった。
目玉焼きには俄然醤油派の作者です。
きのこたけのこ戦争に次ぐ目玉焼きには何かかけるかの派閥争い。終わりなき戦いがここにある……!
私は気付きました。
原作の時系列通りに撮影する必要はないんだと。二次創作だしね、そこらへんは甘めに見ていただければ……。
というかこのSSの為にデスアイランドの脚本組み直してたんですけど、原作で明らかになってるシーンを上手いこと繋ぎ合わせようとするとやっぱりクソ映画なんですよね。というな23人が死ぬ映画が2時間で収まるわけがねーっていう。
そんな感じで早く羅刹女描きたいし特撮タグがヤベーイし始めそうなので失踪します。
ギャンブル
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銀河鉄道編メイン
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とりあえず先進めて修羅場やっちゃう