いいヒーローができました(満足気)
「──
シュルッ、と。
細部に黄色があしらわれた、危険色を連想させるブラックカラーのベルトが
禍々しい紋章の刻み込まれた、黒曜石のように輝かくバックルを弄ぶ。くるくるとそれを右手で回転させてながら、カイリは目の前に立つアキラを見つめると、ニヤリと口角を歪める。
クハッと。嘲るような声が漏れた。
頭上に投げたバックルを掴み取り、手元に収まったそれの側面にあるスライドを押し込んだ。
『
「信念なき『正義』に生きる価値などない。
お前の『正義』を超え、俺は俺の『悪』たる信念を示そう」
バックルをベルトのかま口に横からスライドさせた。パチリと音がして、くぐもった機械音が鳴り響く。
目の前に立つヒーローを見ながら、ベルトの右上に現れたドライバーに手を掛ける。
お前はどっちか、見せてみろよ。そう言いたげに、男は薄く笑って。
『
「────『変身』ッ!」
『
ノイズ混じりの、警告を知らせる機械音声。
勢いよく打ち落としたドライバーが、金属の擦れ合う音と共に固定され、ベルトを中心に特殊な電磁フィールドが展開される。
ガチリ、と。
γを基調とした悍しい紋章の描かれたバックルが裏返り。まるで内在するエネルギーが噴出するかのように、赤い光が溢れ出した。
刹那の内にカイリの体を黒いスーツが覆い隠し、黒曜石のようなアーマーが出現した。それらが絡み合うようにしてスーツの上に纏わり付き、増設されるようにして刺々しいプレートが滲み出した。
──ゆらり。
現れたのは漆黒の瞳に紅を止まらせた、闇の戦士。
バチリと空気の爆ぜる音を身に宿して、鎧のように身体を包む黒いアーマーが鈍く妖しい色を灯した。
『
「おつかれ元輝くん。はいこれタオル」
「元輝にぃおつかれー!」
「お疲れ様ですお兄さん」
埼玉県、某所。
夏真っ盛りの炎天下の中。一先ずの撮影を終えた元輝君が真っ黒の衣装のままベンチに座り込んだ。
レーヨン製のロングシャツのボタンを開けて、中のシャツをパタパタと仰ぐ。時期が時期にだけに、というのもあるんだろうけど。
やっぱりここまで全身真っ黒の長袖を着込んでいると流石に暑いらしい。そりゃそうだ。私も
お疲れさまと声をかけると、元輝くんが普段よりも少し気の抜けた柔らかい表情でくしゃりと目尻にシワを寄せた。
我先にと元輝君の横へと飛び込んだ夜凪姉弟を尻目に、私は先ほどまでクーラーボックスに入れていた瓶のサイダーとタオルを元輝君へと手渡す。
「ん、ああ。ありがとうございます雪さん。
お疲れ二人とも、よく来たな。暑かったろうに」
笑みと共に助かりますと口にして、透明の液体の入った瓶とフェイスタオルを受け取った。かすかに施されたメイクを崩さないように気を使いながら軽く汗を拭うと、タオルを置いて両隣に座っていたルイくんとレイちゃんの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
二人揃ってうにゃうにゃ言ってる。マジかわいい。
プシュっと炭酸の抜ける音。3人が横並びサイダーを煽った。一言断ってその様子を写真に映していると、サイダーを半分程度飲み干した元輝君が、
「それにしてもよく墨字さん連れて来れましたね。こういう案件とか絶対受けねぇとか言い張ってそうなものですが。
いや、まあ。それ抜きにしてもこうやって二人を連れてきてくれてホントに助かりましたよ。今度何か差し入れしますね……」
「いいっていいって。もともと私もこっちに出向する予定だったし、ついでだから気にしなくていいよ。ね、ルイくん」
「でも雪姉ちゃんめっちゃ大変そうだったぞー。これ受けないと毎朝パンの耳で過ごさなくちゃいけないって」
「うん。墨字のおじさん、すっごい粘ってたもの」
「……何か食べたいものあります?」
「……お肉食べたいです」
……墨字さんまじ許さん。
これもデスアイランドに行ってからというものの、何やら色々下準備をしているらしくろくすっぽに仕事していなかった墨字さんの所為だ。だから私がこうやって仕事入れなきゃいけなくなったんだ。
挙げ句の果てにはこの仕打ち……どうしてやろうか……と思考巡らせていた私の横で。
くすりと苦笑と湛えた元輝君が、デスアイランド後にでも行きましょうかとスマートフォンに指を走らせた。いや、ご飯に行く分には、こんなイケメンといけるとか目の保養になるし美味しいもの食べられるしで全然ばっちこいなんだけど。元輝君とも仲良い訳だし特に問題はないし。
ただ。
というか。
……年下にご飯を奢られる年上だというのには何の異論もなかったのだった。ちょっとつらい。
少し時間が経って。
撮影もひと段落ついた正午過ぎ。
ロケ弁を乗せた木製のテーブルを挟んで、私たちはご飯を食べていた。元輝君はルイとレイについてスタッフさんに頼んでくるって今席を外しちゃったから今は一人だけど。
ぎっしりと敷き詰められたお弁当を眺める。
炊き込みご飯にカツサンド、それとミックスフライをこれでもかと詰め込んだとは、『ウルトラ仮面』のロケ弁は中々に豪勢だ。うらやましい。
こういうロケ弁──撮影中に
はむっ。とカツサンドを頬張りながらルイくんとレイちゃんを連れて挨拶しに行っている元輝君を見遣る。
すっげーウルトラ仮面だ! と叫ぶルイくんを肩車しながらスタッフさんに話しに行っている様は墨字さんの親戚とは思えないほどにイケメンだ。マジでどうなってるんだろうあの遺伝子……。突然変異過ぎないかな?
「元輝さん? どうかしましたか……子供?」
「所用で預かってまして。
不躾なお願いだというのはわかっているんですが、撮影中の時だけでもこの子達を気遣って見守ってくださると嬉しいです──」
「おっけー」
「ほーほー」
「熱愛スキャンダルだと……」
「黒山の息子が観れるってマジ?」
「こうやってお前が子供連れてくるのを懐かしくて色々思い出すのはオレが歳食ったからか……」
「穂村くんの妹と弟ってどの子ー?」
「お前子持ちだったのかよ」
「穂村君もう子供作ったの?」
「誰? 相手誰? アキラくん?」
「雪ちゃんの子供ってホント?」
「美人過ぎる制作担当とイケメン俳優の子供がいると聞いて」
「ガバガバ過ぎませんかこの伝言ゲーム」
「にいちゃん人気者だなー」
「顔で判断するなんてまだまだね」
……ッ!?
ぶふっと喉を潤していた緑茶を少しだけ吹き出した。変なこと言ったの誰!?
いきなり耳に入ってきた言葉に思わず元輝君たちの方へと振り向いた。子育ての経験のある子持ちの既婚者──衣装部女性チームの下に夜凪双子を連れて行っていた元輝君の下で行われていたらしい。
確か既婚者だという女性陣に元輝君が頭を下げていた。その横でニヤニヤをこっちを見ている墨字さんが憎たらしい。どうしてくれようか……。
「俺が忙しい時はお願いします。撮影中は面倒見られませんし……」
「おっけーおっけー」
「任せて!」
「穂村さんも忙しくても目は離さないようにしてね」
「わかりました。助かります」
『グっ、ガァッ!』
『どうしたヒーロー。そんなもんかよ』
『こんの……ッ。まだだ……!』
『──甘い』
「──本日の撮影はここまでです。星アキラさん、穂村元輝さん、撮影お疲れ様でしたー」
くぅ~疲れましたw。これにて完結です!(違う)
実は、チャートを組んだのが始まりでした。本当はオリチャーなんてなかったんですが……(大嘘)
とまあ、激ウマジョークはさておき。
これにて『ウルトラ仮面』の撮影が一先ずの終了を迎えました。ホモくん演じるオニキスは死んでも第二ライダーにならない系ダークヒーローである、というのもありますが、監督やプロデューサーの計らいもあって『デスアイランド』期間中にはもう撮影が入ることはないとのこと。次の話はホモくん出番ありませんものね……。もっとやってくれよ……(諦観)
プロデューサーいわくデスアイランド明けからは新規キャラ(幼女)との共演が入ってくるとの事らしく、そこから7話近くに渡って本編に絡むことになるので少し忙しくなるとのこと。まぁ、銀河鉄道編との兼ね合いを見てもまずまずといったところでしょう。予定通りです。
で、問題のステータスは……殺陣やアフレコを筆頭にそこそこの値にまで達しています。予定通りの習熟度ですね。
上昇率で言えばトータル60オーバーといったところ。やっぱり特撮系の案件は同時に色々なステを上げれるのでうま味です。ステ上げ美味しくて環境良くて人間関係気にしなくていいとか……最高やん(恍惚)
唯一の懸念事項だったウルトラの母の到来もありませんでしたし、しかも1日目にルイくんとレイちゃんに会えていなかったことを察知してくれた雪ちゃんが態々二人を連れてきてくれましたのでほぼ予定通りです。
……え、花子さん? なんのこったかなぁ……。
「……? 元輝君、どうしたんだい? そろそろ船に向かわないと最終便を逃しちゃうよ」
>なんでもない、とあなたは言いながら名残惜しそうに服の裾を掴んでいるルイとレイの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。流石に船に連れ込んでデスアイランドにまで連れていく訳には行かない。
>うにゃー! と声を上げる二人に苦笑しつつも雪さんに目配せをする。任せなさい、と言わんばかりに雪さんが胸を叩いた。
「じゃーなー元輝にぃ! ねーちゃんによろしくなー」
「ばいばいです、お兄さん」
「元輝、テメェが何やろうが知ったこっちゃねぇが、夜凪がやらかした時はお前が全部なんとかしろよ」
「ちょっと墨字さん! ……じゃあまた今度ね元輝君! けいちゃんによろしく!」
さらば我が天国。
正直、本当に。
ほんっと〜に、後ろ髪を引かれる断腸の思いなのですが……仕方ありません。ばいばいと手を振っている3人(ブラックを除く)に手を振り返していると、アキラくんがチケット買って来れたみたいです。ホモくんの様子をなんだか微笑ましいものでも見たような表情を浮かべているアキラくんに連れられてフェリーに乗り込みます。なんだホモかテメェ(歓喜)
移動時間にすることは特にないので、映画を見てアキラくんとコミュを取ったという結果だけが残る――と思ったら電話ですね。クソが、誰だお前……チヨコチャンッ!?
………………………。
…………。
特に何事もありませんでした。なんだよ驚かせんなよ……。
通話時間が25分間とデスアイランド中ということを考えてみれば少し長めの電話でしたが、千世子ちゃんとのコミュも取れた上に、ゴジラも特に問題を起こしていないことがわかりました。
お前最高かよ。態々教えてくれるなんて惚れるじゃねぇか(手のひらドリル)
あら、LI○Eにここ2日で撮ったであろう千世子ちゃんの写真が送られてきましたね。見覚えのあるザックリとしたデザインのカーディガンを着た千世子ちゃん――つまるところカレンの格好をして海辺で戯れている様子のオフショットです。なんか見覚えのあるイヤリングが夕日を反射していて、すごく神秘的ですね。かわいい(思考停止)
返信にこちらもウルトラ仮面のときのオフショットを送っておきましょう。SNS用じゃなくて雪さんが撮ってくれてたやつなので何かレアなやつですね。何がレアなんだろう……(自問)
ついでに景ちゃんにも夜凪双子と写ってる奴を送っておきましょうか。ポチッとなっと。
そんなこんなで島についたという事実だけが残る(ジョジョ風)
なんだか一昨日よりも窶れた様子のスタッフさんの運転する車でコテージに向かいます。スタッフさんとフェリーで少し仮眠を取っていたためにあまりコミュを取れていなかったアキラくんと少しコミュっておきましょう。まぁここで休めないのは私が電話してたせいなんですけどね!
コテージにつきました。
アキラくんと別れて自室に荷物だけ置きに行きましょう。
これからの予定ですが、とりあえず大抵の俳優陣は明日に備えて睡眠を取っていますのであまりコミュは取れませんので、できることはだいぶ限られてきます。起きている人が少ないという時間の都合上、半分くらいの確率で二日間での様子が明日にならないとわからないという事態が発生してしまいます。
ます。
それを避けるためにも「だれがおきてねぇが〜?」と秋田の妖怪なまはげよろしく深夜のコテージを徘徊するとかいう月曜サスペンスプレイをしなくてはならなかったのですが、先程の千世子ちゃんのファインプレイのおかげでその手間が省けました。ナマハゲ……。
好感度をイカれさせるプレイをしなくていいとか、もう感謝しかありません。お前が好きだったんだよぉ!(唐突な愛の告白)
本来であれば手作りの表彰状とメダルを持って添い寝しに部屋に突撃しに行くのが筋だと思うのですが、そんなのは望んでいない人もいらっしゃると思うので残念ながら出来ません。
すまねぇ(陳謝)。
ではここの時間を利用して手塚監督とコミュを取りに行きましょう。
この時間帯なら丁度今日の材料が出揃ってその確認をしているはずなので、帰島報告ついでです。正直手塚監督は相当の食わせ者なので、めったに個人的な計画の進み具合とかのボロはでないんですが。
正直、手塚監督がやろうとしてること自体はチャート的に成功しないとヤバいので、こちらからは特に手出しはしないしむしろ応援しとるでー、っていう意思表示くらいはやっておきましょう。まぁこれが意思表示って言えるかもあやしいんですが。
たのむよ〜(イケボ)
何も邪魔はしないからさ〜(満面の笑み)
うまくやってくれよ〜(敵意なしの表明)
でも怪我させんなよ(豹変)
……?
あ、わかってくれたみたいですね。ホモくんに手塚監督を邪魔しようとするとかそんな意図がないことが判明すれば、手塚監督もだいぶ動きやすくなるでしょうし。ウィンウィンってやつですよ。
手塚監督とのコミュが終われば本日のこれといったイベントは終了です。
それでは本日はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
沢山の口上のご応募ありがとうございました。お陰様でいいものができました(満足)
使わせて頂いたくまもんちさんとhuntfieldさん、ありがとうございました。その他の方々もご応募ありがとうございます。本来であれば枕と手作りの賞状を持って添い寝に行くのが筋だとは思うのですが、やって欲しくないという人もいるだろうということでこの場を借りてお礼を申し上げます。お前のことが好きだったんだよ!(唐突)
採用できなかった分も、まだライダーのシーンは出てくる予定なのでそこら辺でも使いたいと思います。
テンポ悪くなってきたのでサクサクやりたいこの頃。
明日も更新(予定)です。
ギャンブル
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銀河鉄道編メイン
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とりあえず先進めて修羅場やっちゃう