原作とだいぶ乖離してきたからみんな原作読もうねって感じだったんですけど電子版すら絶版でしたね……
デスアイランド、撮影13日目。
元輝が別の撮影──ウルトラ仮面の撮影を終えてコッチに帰島してから一夜明けて。
俺たちはなんだか妙な雰囲気が漂っていたコテージからスタッフさんの出してくれた車に乗ってロケ地へと移動していた。
席順は助手席にスターズのマネージャー、一列目席に右から順に夜凪、元輝、千世子。二列目に俺、茜さん、武光っての順。
……割と親しい知り合いが固まってんな。元輝のお土産のグリーンスムージーをすすりながらそんなことを考える。つーかアイツのチョイスが大分ファンキーだ。
まぁありがたいからいいんだけど。うまいし。
「なんだかこうやって元輝くんと話すの久しぶりな気がするわ」
「気のせいじゃないか?」
「……? 顔色悪いけどどうかしたの?」
「昨日遅かったみたいだからね、ちょっと寝不足なだけじゃないかな。紅茶ならあるけど、飲む?」
「……アリガトウゴザイマス……」
待て。
いや待て。
顔色とか変わってなかったろ。血色よかっただろ。なんでわかんだよ。
内心そんなツッコミをしながら、俺は残り少なくなってきたカップを片手に夜凪、元輝、千世子の順に並んで座ってるのを座席越しに見遣る。
……なんつーか。
あの三人は、仲良い……のか?
あのレベルの美女に囲まれるとか普通は代わってほしいくらいだが、実際のところ、あそこに居られんのは元輝とか星アキラレベルの演技力じゃなくて顔の良さだけを売りにしていけるレベルのイケメンだけだろうな。
そのレベルのイケメンだってのには若干嫉妬しない訳でもねぇが。
……というか顔だけでやっていってる連中に並び立つ顔面を持ってる夜凪と千世子がスゲェのか。
一つ前の席で行われている痴話喧嘩的な何かに耳を傾けながら、なんというか。
所感だからあんま宛にならないかもしれないが、若干こう、空気が歪んでる気がするというか、既視感があるというか。
こう、なんて言えばいいのか。うまい言葉を思いつかねえんだが。
夜凪は千世子と距離を縮めてえ様子で。
だが千世子も千世子で一線は越えられたくねえ様子。
その間で距離を縮めたいのと距離を縮められたくない思惑の合間で元輝が緩衝材と中継地点として使われてる結果、なんかよくわからん空気になってるっぽい。
「千世子ちゃんって好きな物って何かある?」
「マシュマロだよ。ねえ元輝くん」
「そうだな」
「ねえ、元輝くん。
元輝くんが好きなものって何かあるの?」
「ああ。それなら」
「海外の映画雑誌よ! そうよね元輝くん!」
「……そうだな」
……ああ、これ、アレだ。
仲良くなりたい犬とそうでもねぇ猫みたいな感じだ。そりゃなんか既視感があるわけだ。
「────」
若干虚ろな感じがしないでもない瞳をしていた元輝とバックミラー越しに目があう。焦点が僅かにあっていない視線がなんとかしてくれとでも言いたげなSOSサインを発していた。
どうしたものかと俺は一瞬頭を悩ませて、
とりあえずサムズアップしておくことにした。
まぁ、その。なんだ。
……うん、がんばれ。俺はこっちで茜さんのフォローするから。そっちはそっちでなんとかしてくれ。ほら自分の撒いた種は自分で処理しなきゃな。
はあ、となんかこういう役回り多くないかと胸中でため息をつきつつ視線を寄せる。
件の茜さんと言えば。
今朝からずっとなにも喋らずに、ずっと外の景色を眺めている。言葉をかけても生返事しか返ってこない。
まあ、仕方ないよな、とも思う。
なにせ今日の茜さんの撮影は千世子と二人での共演だ。
しかも怒声を浴びせて、千世子演じるカレンを咎めるとかいう作中でも屈指のカタルシスを誇るシーン。この映画の中でも指折りの白熱するカットになるのは間違いねえ。
脇役とは言え、『デスアイランド』レベルの規模の作品でスポットライトを浴びるシーンを演じるってのは俺も茜さんも片手で数えられるレベルでしかやったことがない。今までの撮影でわかってるけど、俺らオーディション組はスターズ連中に比べて圧倒的に経験値が足りねえってのは事実だ。
そんな状況下で相当の負荷の掛かる撮影だ。茜さんの感じてる負荷は並大抵のものじゃねぇだろう。
つってもガチガチに緊張している……というよりはエンジンをかけて来ているみたいな感じもするけど。
これも夜凪の影響か?
……俺たちオーディション組は、千世子との共演が他のスターズ組とのそれに比べてヤケに多い。
単純にスターズ組と俺達の間にある経験の差と、それをカバーできるようにってことなんだろうが、このキャスティングの目的はもう一つある。
何度か共演して解ったけど、千世子は──百城千世子は共演者を喰っちまう。スターズとしても『共食い』は避けたいだろうし、結果として俺らの共演回数が増えてるんだろうな。……癪だけど、流石はトップ俳優ってことなんだろうが、俺達オーディション組じゃあ千世子とまともに共演出来るのは元輝くらいのもんだろうしな。夜凪は危なっかしいし、あんまりうまくこなせるイメージがわかねぇ。
予想よりスターズ組の経験と技術が高いせいで俺らの見せ場をうまいこと作れてねぇっていう現状の上に、そんな千世子とサシでの共演だ。
「ははは、元輝も大変そうだな!」
「……そうだな」
腹から声を出しながら笑う武光に頷きながら、俺はストローをすすった。ずずっと、パックに入ったスムージーが底をつく。
デスアイランド撮影13日目。
スターズ組も何人かオールアップし始め、日程的にも折り返し地点はもう直ぐ。
撮影自体は順調で。
でも、なぜだか。
なんとなしに見上げた空は、嫌に黒く重たい雲に覆われていた。
「千世子ちゃあん!」
「こっち見てー!!」
「天使ー!」
「千世子ちゃん!」
「……すごい人だわ」
「まぁ、告知というか広告みたいなものなんだろうけど」
「……茜ちゃん、大丈夫かしら」
たくさんの観光客が、千世子ちゃんをひと目見ようと撮影現場の周りに集まっていた。
周りを見ていると、スタッフさんが野次馬を宥めながらあっちこっちで指示が飛び交っているのが目に入る。千世子ちゃんとか元輝くんがしてるのを見習って撮影全体をフカンすると、私が今までやっていた事よりもたくさんのことがわかってくる。
……うん、なるほど。
二人とも、こうやって撮影を理解してるのね。
「もらっていい?」
「ん、ほら」
「ありがとう」
真咲君が心配そうに茜ちゃんを見ているのを武光君がバンバンと背中を叩いていてわちゃわちゃしているのを眺めながら、仮設テントの中のパイプ椅子に腰掛けた元輝くんと言葉を交わす。分けてもらった緑茶で喉を潤しつつ、目元をニギニギと揉みしだく元輝くんに視線を向けた。
「そういえば、あの写真。
ルイとレイもウルトラ仮面の撮影に連れて行ってくれたのね。迷惑じゃなかった?」
「問題なかったよ。雪さんも墨字さんもいたし。
まぁ、たまたま雪さんがあっちに出向しててさ、ありがたいことにそれで連れて来てくれたんだ」
「雪さんが? そう……。
……私も行ければよかったんだけど」
「馬鹿、そう気にすんなよ」
こういう時はお互い様だろ、と微笑みながらそう続けて、元輝くんが視線を振る。
昔からというか、こうやって気遣いしてくれるのは幾ら背丈が変わっても変わらなくて。
それが、なんだか嬉しくて、恥ずかしくて。思わず口元が緩んでしまう。……いけない、ちゃんとしなくちゃ。
うん、と頭を振って感情を入れ替えて、私は元輝くんが見ている方向に視線を送る。
スタッフさんが準備していたフェンス越しに集まった野次馬さんたちに対して司会みたいに大立ち回りしている町田さんが映った。
「ご覧下さい! この人の数!
千世子ちゃんをひと目見ようと、大勢の観光客の皆さんが押し寄せています!」
観光客の声はどんどん大きくなっていき、千世子ちゃんに向けて大きな声が上げられ続け、もはやライブステージの観客じみたものになっていた。呆れたような表情で、元輝くんの口からノリ良すぎだろあの人という声が漏れる。
……うん、確かに。
町田さん、なんだか「でで──ん!」って感じがするわ。
視線を歓声を浴びる二人に向けた。
相変わらず感情を表情に出すことなくさらりとした余裕を持った千世子ちゃんと、わずかに緊張をにじませた茜ちゃんが話している。
……まだまだ千世子ちゃんと友達にはなれていないけれど、頑張らなくちゃと意気込みを新たに鼻を鳴らす。
今から茜ちゃんと千世子ちゃんが演じるシーンは、えっと、たしか。
……そう、千世子ちゃん演じる皆で協力して生き残ろう、と宥める『主人公』と、その理想の過程で多くの友達が死んでいったと主人公を弾劾する『脇役』を茜ちゃんが演じるシーンだったはず。
頭の中で脚本家から該当部分を探し出していると、
「テストはなしで。雨に濡れるシーンだ、2人に負担はかけさせたくないからね」
監督の声が聞こえる。
元輝くんと顔を見合わせて、仮設テントの外に出て真咲君たちに合流する。そろそろ撮影が始まるみたいだ。
「本番!」
「お静かにお願いします!」
助監督や町田さんの声が、観客を静まり返らせていく。
耳に優しい町田さんの声が通り過ぎると、後に残るのは物音一つ存在しない沈黙だけで。
「本番です!」
────アクション。
カチンコの音が、鳴った。
「カレンはいつも綺麗事ばっか! 私達に死ねって言うの!?」
茜ちゃんが叫ぶ。
ざぁざぁと音を立てながら降りしきる雨が砂浜を抉って、ビリビリと空気が振動するような錯覚。
ひぅっ、と。観客の一人が息を呑んだ気がした。
「あなたの綺麗事を鵜呑みにして一体何人が死んだ!? 皆で生き残りたいなんて嘘ばっかり!」
……すごいわ、茜ちゃん。
この前の、私と共演した時とはまるで別人みたいだ。
〝怒り〟を発露した、激情に駆り立てられた演技。
……カレンの語った『綺麗事』で死んでいった人達への、不条理な現実への怒り。
そこには友人が死んでしまった悲しみも、生き残れないかもしれないという絶望も、──そして、何もできなかった自身への自己嫌悪が渦巻いていた。
醜くて、だらしなくて、ヒステリックで、でも人間らしくて、美しい。
そんな演技。
怒りの言葉。
怒りの声。
けれど、その裏に確かに存在する悲哀の感情。
千世子ちゃん演じる、綺麗で美しい人間で在り続けるカレンと、醜くもどこか人間らしい演じる茜ちゃん。
……すごく対照的なシーンだ、と思う。
ここまで追い詰められ、死に瀕しても尚揺らがずに人を殺めることなく友達みんなで脱出しようという理想に殉じる在り方を貫く、強くあることのできる『主人公』としての、千世子ちゃんと。
友人の殺し合いを目の当たりにして、自身すら死の危機に陥ったことで友達を蹴落としてでも生き残ろうとする、どうしようもなく普通で、弱く人間らしい『脇役』としての、茜ちゃん。
……
それがデスアイランド。
だから、きっと。
死ぬ運命にあるから、この叫びは悲嘆なものだ。
死んでいく犠牲者達の一人であるからこそ、この演技には感情を揺らす力が乗る。
「──カレンは……カレンはいつもそうよ!
周りとは違うみたいな振る舞いで、いつも綺麗で……。
あなたみたいになれないと思うと、みじめな気持ちにさせられて!
友達を殺さないって言い続けてるあなたがどれだけ綺麗に見えてっ!
生きるために殺し合いをしようとしてる私達が、どれほどみじめな気持ちか分かるッ!?」
突き抜けるような怒りの感情が、雨のカーテンを貫いた。
ピリピリと肌を張りつかせるソレに、思わず私は手に汗を握っていて。
『主人公になれない』その叫びは。
「カレンになんてついて行かなければよかった!」
すごい。
とても泥臭い感情が、千世子ちゃんに叩きつけられる。
「そうすれば、死ななかったかもしれない人もいたのに!
カレンに憧れてて、その後をついていったあの子は、もう、もう……!」
…………でも。
……でも、どうして?
茜ちゃんにあんなに熱くぶつかられて……。
あんなに剥き出しの感情をぶつけられて。
──なのに、どうして。
「────ごめんね」
とても、静かな演技だった。
台本通りの台詞だった。
でも、──違う。
その一言で。
流れが、微細に変わった。
雪、みたいな。
静かで、微かで、綺麗で、優しい。
かつての詩人たちが表現しようとした。
そんな、しんとした、雪が降り積もるような音で。
百城千世子は、どうしたって綺麗でいなきゃいけないんだと。
まるでそんな、脅迫されてるみたいな。
どこまでも、
「謝らないで! 死んだ人は帰ってこないのよ、カレン!」
ぴしゃり。
それでも、茜ちゃんは罵倒じみた言葉を畳み掛けた。
オーディションで私にした時のような、激した感情が乗った、痺れるような声で。
10mと遠く離れた位置にいる野次馬達が茜ちゃんの声量に驚き、迫力に気圧されて小さく一歩引いたのが見えた。
そのくらいに、今の茜ちゃんの演技には破壊力があって。
「──でも私は、諦められない」
なのに。
……なのに、
それでも尚、千世子ちゃんは綺麗なままだった。
茜ちゃんの激しくて感情の乗った、熱くて『生きた』演技よりも、千世子ちゃんの、理性的で優しくて静かな声が、演技を塗りつぶした。
「誰にも死んでほしくないんだ。
誰にも殺してほしくないんだ。
私は、自分が絶対に正しい人間だなんて思ってないよ。
でもね。これが正しいことなんだと思いたい。これが正しいと信じたいんだ」
なんで。
……とても泥臭くて、人間臭くて。激的な演技をした茜ちゃんよりも。
いつも通り、静かに綺麗な演技をしていた千世子ちゃんの演技にしか、目が行かない。
「私にとっては、あなたも友達だから」
「……うっ」
「これが正しいことだっていう確信があるわけじゃない。
でも、友達に殺されそうになると悲しいし、友達を殺したらきっと泣いちゃう。
だから、友達は殺せないし、友達同士が殺し合おうとしたら、止めたいんだ」
……ああ、ひょっとして。
だめ、かもしれない。
元輝くんがいいものと言ったもので、私が好きになれそうにないというのは、はじめての経験かもしれない。
茜ちゃんの激情の芝居を、リアルな質感の演技を。
想定以上に劇的だった茜ちゃんの演技を、予定通りの終着点へと到達させる。
とても、綺麗に。
とても、美しく。
とても、可憐に。
台本と一字一句変わらない台詞を言ってるだけなのに。茜ちゃんの演技が、
「それが、私の願い。
だから、あなたも生きて」
「……うん」
「カット!! OK!!」
なんだか。
当たり前だろうというような、もしくは拍子抜けと言ったような、そんな表情を浮かべた手塚監督がそう言った。
放水機から絶え間なく降り注いでいた雨が止み、着替えやタオルを持ったスタッフさんたちが二人のところへと寄っていく。元輝くんたちも寄っていくのが見えたけど。
……足が、動かなくて。
「…………千世子ちゃん、は、どうして、」
あんな演技しか、できないのか。
……ううん、やらないんだろうか。
あれだけの熱量をぶつけられて。人の熱に当てられて。
なにも変わらない、いつも通りの演技しかしないなんて。
「ごめんね。皆に夜凪さんみたいな芝居して貰う訳にはいかないんだ。
私が主人公じゃないといけないから」
呆然と、なにも考えられないままに人の中心にいる二人に目を向けていると、ゾッとするような瞳をした千世子ちゃんと、目が 合 った、気 がし、て ──
景? と。
千世子ちゃんと話していた元輝くんの袖をギュッと握り締めて、私は千世子ちゃんの目の前に立った。反射的に、思わず元輝くんを自分の方に引き寄せてしまう。
「……ねえ、千世子ちゃん」
「…………。
なにかな、夜凪さん」
「……あなたは……千世子ちゃんは、どうして」
初めて千世子ちゃん演技を見た時、とても綺麗な芝居だと思った。
実際に見て、画面の向こうに居るみたいな、手の届かない綺麗さを感じた。
でも茜ちゃんの熱意を受けても何も変わらないそれに、人形みたいな綺麗さを感じて……初めて『合わない』かもしれないって。
ずっと仮面を被っているその演技が、嫌いなのかもしれないって。
「…………どうして」
わからない。
ここまでわからないことが怖いなんて、初めてだ。
まるで人形みたいな千世子ちゃんの演技が。どうしても好きになれなくて。
元輝くんが素晴らしいといったその演技の良さが、なにもわからなくて。
着替えを終えて、髪の毛をタオルで拭いていた千世子ちゃんを前に、私は身体が強張って。
でも、と縋るみたいに。
より強く、元輝くんを引き寄せた。
私、は。
「────あんなお芝居を、するの?」
空気が、死んだ。
今、あなたは。
夜凪さんは、なんて。
…………私の芝居を、なんて言った?
……あんな。
あんな、お芝居?
────ねえ、ふざけないでよ。
わかる。わかるんだ。夜凪さんの顔を見ればわかる。間違いなく、彼女は私を哀れんでる。
私に同情してるんだ。
あの演技しかできない私が、ずっと仮面を被っている私が、可哀想だから。
私に、同情しているのか。
……ふざけんな。
私は一度落としていた視線を上げて、夜凪さんを見る。
……わかる。
鏡なんて見なくても、今の私は、ほんの僅かな表情すら浮かべていないのが、わかる。
……嗚呼。
なんでだろう。
バカにされるより、私より下だと蔑まれるよりも、
私が可哀想と哀れまれたのが、嫌に癇に障る。
「……夜凪さん」
……なんでかな。
なんで、私の仮面を、『百城千世子』っていうブランドイメージに対する批判なら、腐るほど受けてきたというのに。
ただの技術を、私の仮面を被る演技について言われただけなのに。
ここまでムカつくのは、どうして?
「お芝居に心はいらないんだよ」
……ああ、そっか。
私、この
これが好きだって言ってくれた人がいて。
私がこれを作るのに、結構頑張ってきたからかな。
……私がこの人生を通して作ってきた『百城千世子』という仮面を、全て肯定してくれる人が、いたからかも。
その事実を、その積み上げてきた誇りを、そしてそれを認めてくれた人の存在をじっくりと噛み締めながら、私は笑みを浮かべた。
「映画の撮影に、不確定なものなんていらない。
そうやって削ぎ落として、リスクを減らして、素晴らしいものを作るのが私たちの仕事。
それが、私や元輝くんがやってきたことなんだから」
夜凪さんが、なんだか恐れ慄いている気がする。元輝くんが心配そうな表情をしていた。
──渡さない。
渡したくない。
私の仮面を理解できたというのは、夜凪さんが元輝くんの世界の一端を理解できることを示していて。
それは、彼の理解者になれるということだから。
でも、だから。
渡したくないんだ。
元輝くんが一人を選ぶのは、別に私じゃなくても構わない。恋人とか、家族とか、そういうのが、私じゃなくても、それは仕方のないことだ。私がどうこう言えることじゃない。
「だからね、夜凪さん」
でも、でもね、夜凪さん。
元輝くんが、あなたのものになるのだけは、許せないかな。
……ううん、許したくない。
役者として、あなたが元輝くんの横に立つことだけは。
それだけは、その場所だけは、絶対に譲れない。
「──あなたに同情される謂れはないかな」
笑みを浮かべて、私はそう口にした。
心で演じるあなたが、そうでない私に競り勝とうとするなら、容赦なく叩き潰す。
殺してあげるよ、あなたの演技を。私の踏み台にしてあげる。
自分の芝居に自信がなくなるまで、徹底的に叩き潰し続けてあげてもいい。
私は席を立って、夜凪さんに背を向けた。元輝くんが声をかけたのがわかるけど、私は振り返らなかった。
今、私がどんな表情なのか、自分でもわからなくて。
でも、元輝くんにだけは、見せちゃいけないような気がしたから。
────ということで(チャート的に)クライマックスなデスアイランドはーじまーるーよー。
はい、ということでデスアイランド撮影14日目の夜となりました。
そこそこにメインイベントの一つだった千世子ちゃんと茜ちゃんの共演も今日でひと段落ですし、よてい行けば明日の撮影は景ちゃんと千世子ちゃんの共演ですね。
……なんか日程が予定と違う気がしなくもないんですが、正直そこらへんは誤差なので気にしなくて大丈夫です。
原作通りの撮影スケジュールなのがなぜか毎回やってくる台風との兼ね合いも考え見ると一番ベストなのは間違いないんですが……今のところの情報によれば台風は原作と同じ18日目に直撃しそうなのですが……今回は千世子ちゃんと景ちゃんのお腹痛くなるイベントが3日ほど前倒しになっています。
あの……ですねぇ……。
これは……ですねぇ……。
雨で、二人の撮影が中断されないってことなんですよねえ……。
これはほんとに……オワオワリ……でーす。
────ヤバくね?
……まぁなんとかなるんですが(唐突な運ゲーに震えが止まらない)。というかします。一応これを見越して手塚監督に頼んで撮影の順序後ろの方にしてもらったのでもーまんたいです。でも仮にここで撮影二度目に突入したら死にます(なんやこのクソゲー)。一応、走者の確認している限りでは千世子ちゃんの景ちゃんへの好感度は低いはずなので、二度目の共演はできる限り避けようとしてくるでしょうし。
まあ、兎にも角にもこの撮影でやれることはほぼやりつくしています。
デスアイランド前に双方と知り合いになってしまっている以上、景ちゃんが千世子ちゃんと仲良くしようとして、千世子ちゃんがそれを避けるという流れは基本的にかわりませんし。
こっから先、とりあえず撮影まででやれることはほぼありません。二人とコミュを取るくらいですし……。
二人の撮影をどうやって一回で止めるのかというのは後で説明するとして。因みに二回目突入で死亡フラグビンビンなので死にます(3敗)から避けないという選択肢はないです、ハイ。
という感じでデスアイランド14日目の夜な訳なんですが。
「よう、珍しい組み合わせだなお前ら」
「や、おはよう竜吾くん」
「……ちっ」
「和歌月テメーあからさまに舌打ちすんじゃねぇよ」
>アキラと和歌月と夕食を取っていたところに、半袖短パン姿の竜吾がプレート片手にやってきた。
>和歌月と痴話喧嘩をしながらも和気藹々としている二人の様に、あなたは思わず仲良いなと呟いた。
「仲良くねーよ」
「仲良くないですよ」
「……文字数違うのになぜハモってるんだい……?」
相変わらず仲良いなお前ら(血液混じりの白砂糖)
というか千ちゃん、この間の演技でフルボッコになった割にあんまり凹んだ様子がないですね。通常より景ちゃんとの初遭遇の影響がデカかったんでしょうか。
正直千ちゃんとのあれこれは羅刹女編まであまり差はないので気にしなくて大丈夫ですね。チャート通りに行けば千ちゃんのステが高いければ高いほど良いのは事実ですし。まあ揉まれてもらいましょう(人間の屑)
ということで、天使とゴジラのいない平和な夕餉を満喫しつつ、今後の大きな流れについて説明しておこうと思います(唐突)
今回の乱数では、15日目(明日)に景ちゃんと千世子ちゃんの初共演です。
前述の通り、今回は撮影中に雨が降ることは恐らく低い確率なので、そうなってくれればありがたいんですが……基本的には人力で止めにいきます。そのための生に……弾丸は既に用意してありますし、本人も楽しそうですから進んでやってくれるんじゃないですかね?(人任せ)
お前マジで頼むぞお前(豹変)
これだから……これだから運要素の強いこのチャートは嫌なんですが、走者的にはこの手段がベストなので仕方ありません。異論は認めますが認めたくはありません(瀕死)
で、翌日16日目は特にこれといってイベントはなく、17日目に台風情報が確定するのでイベントに使用可能になります。これを使って今のところ予定しているホモくんのクライマックスシーンをワンカットにするよう説得。
18日目がホモくんのクライマックスシーンの撮影となります。詳細は後で説明しますが、基本的な流れはこうです。
コミュと演技アクトを一つでもS以外の評価を取ったら即ゲームオーバー。その上運が悪くても一発でおじゃん。
RTAとは一体……うごごごごご(吐血)
まあ、今さら気にしても仕方ありません。
昨日ほぼ一日がかりで千世子ちゃんのメンタルケアしてましたし……大丈夫だと信じたいものですが。
……なんというか、アキラくんとか竜吾君に囲まれてると安心するというか。お腹が痛くならないというか。
ウン。やっぱ堀くんが最高なんやな!!(原点回帰)
「そういや、明日は初めての千世子と夜凪のマンツーマンだな」
「…………」
────おい。
おいやめろよバカ竜吾。
ぶっ飛ばすぞ(ブチ切れ)
とりあえず投稿遅れてすいませんでした。
いやあのほんとに忙しかったんです。
ぎりぎり8月でしたし許してくれるでしょう。嘘です申し訳ねぇ。
ということで修羅場ってきました19話です。お腹いてぇな……
デスアイランド編もそろそろ終盤戦。
デスアイランドのプロット変更したし、大河編はプロット組めないし、修羅場のレベル上がってるし。
まぁでも原作から死ぬほど乖離してるけど、正直これはこれで……え、ダメ?
予定通り行けば後四か五話でデスアイランド編は終了予定です。幕間挟んで銀河鉄道の夜編に入る感じ。プレイボーイ‼
Q.……あの、一話に一ヶ月かかってるんですけど
A.おいこれデスアイランド編年内に終わらないんじゃねえか。
これは独り言なんですけど。
デスアイランド編完結まで書き溜めして毎日投稿にするか、それとも出来次第投下して行くか。そこらへんですね。どっちの方がいいのかわからん。
うんまあ。
何にせよ早く書けって感じですよね。
では、
ギャンブル
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銀河鉄道編メイン
-
とりあえず先進めて修羅場やっちゃう