アクタージュ『銀幕の王』獲得RTA   作:銀幕

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4話目にしてようやく原作主人公が出てきたので実質初投稿です。





scene4『かつて天才だったぼくらより』

 

 

 

 

 >「ん、また明日」

 

 ──『からだピスピス、CALPICE(カルピース)

 

 

 

 

 

「百城千世子さん、穂村元輝さん、これにてクランクアップです。お疲れ様でしたー!」

 

 (お疲れ)っしたー!

 花束と一緒にCALPICE社のCM撮影無事クランクアップが知らされます。よかった、本当に無事に終わってよかった……! 撮影途中にウルトラの母とかシン・ゴジラとかやってきたらマジでどうなるかわかりませんでした。どうしたってやってくる可能性を潰し切れないとか、これだからどう動くか分からないランダム性のあるキャラは嫌なんです。

 落ち着いたところで、お世話になった方々に挨拶して回りましょう。皆さんお疲れ様です。また何かの機会があればよろしくお願いしますー。

 業界の方々に顔を売っておきましょう。この業界、色々とベテランであればある程礼儀正しい青年の方が受けがいいのです。

 素行が悪くて業界で干されるとか洒落になりません(12敗)

 おっと、CALPICE社のプロデューサーさんですね……お話しませんかぁ……?

 

 …………。

 事前の連絡通り一ヶ月ほどでオンエアが始まるとのことなので、その間にこの前応募した案件をクリアできそうです。放送開始直前は、流石にこの規模の案件だと色々な方面でメディア露出に引っ張られるので、一月あるのは意外と助かりますね。

 監督と副監督あたりの重要ポジの方々ともコミュを取ります。ここまで多くの人とのコミュをキチンと取らなきゃ、後の撮影や映画等の出来に影響がでてくることがあるってのはこのゲームの特徴の一つですね。めんどくさいですけど。

 ここのコミュを消化している間に今のステを見ておきましょう。

 えーと。

 

 

 ──よし。キチンと『百式演技術(E)』を修得できてますね。いやーよかったよかった。残念ながら『メソッド演技(EX)』はもうしばらく手に入れられそうにありませんが、このスキルさえあればこれから先もなんとかなりそうです。

 

 ……おっと。そんなことをやってるうちにどうやら千世子ちゃんとのコミュに入ったみたいですね。この間にガンガン話しかけて好感度を上げていきましょう。好感度を上げておけばおくほど『百式演技術』のランク上げがやりやすくなりますので、こういったコミュはとても大事です。好感度調整がクソ難しいこのゲームですが、最低限分からないとこを質問できるくらいの関係性にはなっておきたいところ……。

 

 ただ好感度を上げるという点のみを考えて、彼女が好きだとされる虫に関する話題を持って突っ込めばいいんだよぉ! とでも考えて突撃した兄貴も多いと思います。ですが、彼女とのコミュはそんな簡単なものではありません。だったらこんな苦労してないです(逆ギレ)

 想像してみて下さい。仕事仲間とはいえいきなり男(高顔面偏差値)に虫の話を振られる──。

 側から見ると、というか見なくても大分ヤベー絵面になります。新しいクラスになってから一週間くらいでクラスのマドンナにイケメンが何の脈絡もなく虫の話題を話し始めるというシチュエーションに限りなく近いですね。頭おかしいんとちゃうか?

 ということであくまで話すのは日常的なものか映画や撮影に関するモノにしましょう。そもそもチャートの都合上、虫に関する知識の収集が十分でないのでそんなマイナーな話題で達者な会話が出来るわけがないのですが、まぁそれは兎も角。

 ともかく普通の好感度コミュについては死ぬほど練習してきてるのでもーまんたいです。普通にやりましょう。

 

 

 …………。

 ………………………………う゛ー。

 

 

 なんか会話の内容がヘビーなんですけどどういうことなんですか? ……デスアイランド編前に彼女の仮面についての言及が少しとはいえ行われるとは、千世子ちゃん幼馴染みルートでもないのに珍しいですね。

 ちょっと予想外でした。こんなこともあるんですね。チャートに書き込んでおきましょう。

 

 ……はい、コミュも終了しました。若干幼児退行して対応しちゃった気がしますが気の迷いでしょう。いい具合に好感度も稼げてるみたいなので大丈夫です。

 では帰宅します……と行きたいところですが、毎度恒例、監督主催打ち上げパーティーに参加します。

 特にホモくん、現段階では新人も新人のペーペー野郎なので参加は必須です。ここで断ったとしても、大抵の場合その後の活動にはほとんどの確率で影響はありません。ですがここではリスクより安定を取ります。ここで芸能界のあれこれについて監督あたりから教えてもらいましょう。監督とかプロデューサーとの密な関係は意外と重要なのです。

 

 

 

 

 

 ということで翌日になりました。いやー昨晩は大変でしたね。ベロンベロンになった男を介抱したところで一体誰が喜ぶというのか……。少なくとも走者は喜びません。オレはァ、ただのォ、ノンケだァ!!

 

 さっさと切り替えて次の案件に向かいましょう。webCMの方のオーディションもすぐに迫っているので、実技オーディションと並行してSNS関連も始めていきます。やっぱコレ、一人だと大変ですからマネージャー欲しいですね……。こういうマネージャー周りもしっかりしてるところもスターズの魅力だと思います(唐突なステマ)

 これからの予定ですが、取り敢えずwebCMの方のオーディションまでの間は『百式演技術』の習熟度上げに専念します。このスキルの習熟度上げにおいて最も大切なのはカメラワークを如何に把握しうるか、という点に尽きるでしょう。彼女の出てる作品を片っ端からみて、彼女が行なっているカメラワークの把握に努める、という形式を取ります。

 レッツトレーニン──!

 

 結果。

 オーディションは二つとも合格しました。

 結構あっさり受かったので倍速で流しておきます。カレーのwebCMの方の撮影は二日後とのこと。監督とか共演者についての話が聞けなかったんですが、多分立て込んでいるんでしょう(他人事)。よくあることです。

 それではトレーニングでもしながら撮影日を待ちま――

 

 >電話が鳴っている。

 >あなたは番号を見た。見覚えのないダイヤルだが……

 

 ――きたわね(雑お嬢様)

 スターズ共催の案件で一定ライン以上の評価を出し続けていた場合、高確率でスカウトの電話が来ます。

 評価によって電話相手が変わりますが、基本的には評価Bでスカウトモンキー(下っ端)、評価Aでスカウトマン(中間職)、評価Sで部長クラス(支部長)となります。評価S+以降も基本的には部長クラスですが、ごくごく稀にウルトラの母からかかってくることがあります。ウルトラの母からだと大分目をつけられてるのでちょっと不味いのでチャートによってはリセ決定もあり得るので中々の鬼門ですね。

 

「もしもし、私、スターズ事務所の俳優部門、部長の寺西というものですが――」

 

 ……部長でした。なら特に根回しもなく断れるので助かります。まぁウルトラの母からでもなんの問題ないんですが(強がり)

 ほうほう。やはり話はスカウトについてですか。先日スターズの女子部門のオーディションがあって? 男子部門も新しく一人募集するからホモくんにきて欲しい? ……申し訳ないんですが、僕ぁスターズに入る予定は今のところないんですよねー(熱い掌返し)

 

 ごめん(威風堂々)

 

 じゃ、また今度ご一緒することあったらよろしくお願いしま――

 

「ごめん寺西さん、借りるね。

 ヤッホー元気? この前ぶりだね元輝くん」

 

 

 ……………………。

 ……、…………。

 ………………ふぁっ!?

 

 えっなんで? 千世子ちゃんなんで?(困惑) チヨコエルなんで?(全ギレ)

 ちょっと意味わかんないッスね……。彼女からスカウトの電話が来るとかマジで訳がわからないッスね……(wikiチラ)

 いえ、やっぱり知人開始ルートでコレはありません。どういうことなんでしょうか? まさか好感度調整ガバったとか?

 

 ……………………。

 

 

 

 チャート、チャートが壊れるぅ……! 壊れちゃうぅ……! 何してくれとんじゃ貴様ァ……!

 

 

 

 ……ふぅ(胃薬処方)。落ち着きましょう。たかだかまだ発見されてない低確率の千世子ちゃんスカウトケースに遭っただけです。好感度は十分足りてますし、特に問題はありません。続行します(鋼の意思)

 俺はスターズには入らんのだよ。(RTA的には)君と目指すところ(NGなし)は同じだけど、スターズだと(命かけてでもやり遂げるとか)できないことがあるんだ……。

 

「君が欲しいから──って、言ってもだめ?」

 

 ン゛ッッッ!?

 流石原作でツートップの美しさを誇る千世子ちゃんですね……。撫でるような声だけで流石の私も一瞬頷きそうになりました……。

 でもウチのホモくんのメンタル世界最高なもんでね。そういうの効かないんだ。すまない。本当にすまない。

 

「うそうそ。冗談だよ。気が変わったら電話してね」

 

 >「じゃあね」と千世子は電話をきった。

 

 ……さて。

 気を取り直して撮影日まで待ちましょう。

 俺たちの戦いはこれからだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──遅い」

 

 スタジオ大黒天所属の制作担当、柊雪。

 今回の撮影で助監督のポジションに据えられた私は、撮影スタジオの前に立ちながら、苛立ちを含んだため息を吐いた。

 いつも通りといえばいつも通りなのだが――監督である墨字さんがいきなり無茶を言い始めたのだ。

 それに付き合わされた結果、墨字さんが連れてくると言った女優がまだ到着してないという事態に。そりゃあクライアントとプロデューサーの気が立って仕方ないわけだ。

 思わずため息をついてしまう。

 

「ふぅ」

 

 暇つぶしがてら状況を整理しよう。

 今回の案件、CM撮影の大まかな流れはこうだ。

 某食品会社が、『父の日にシチューを』企画で、シチューのウェブCMを作成を決定する。この食品会社がクライアントだ。

 依頼を受けた広告代理店のCMプロデューサーが動き出す。

 このプロデューサーが、CMのプロデュースを行う。つまりは現場よりももっと大きな規模の全体総指揮を執る。

 それで、ありがたいことに『スタジオ大黒天』にCM作成依頼が二本やってきて。プロデューサーが女優・スタッフ・撮影機材とかを手配しようとした。

 そこに墨字さんが待ったをかけて、CMの中心を件の原石にした、と。

 相変わらずやることが無茶苦茶だ。

 

「もう、毎回突然にものいうんだから……あ、きた」

 

 そして事故った。うそぉ!?

 粉砕された大道具を蹴飛ばし、黒髪の女の子を脇に挟んだ墨字さんが現れた。どうやら怪我はないらしい。

 

「──ほらぁ! 事故ったじゃねぇか! お前が暴れるから!」

「暴れて当然でしょ! この犯罪者!」

「んだとテメェ! 芝居教えてやるって言っただろうが!」

「信用ならないのよ! 現に誘拐でしょ!? どう見ても犯罪じゃない!」

「違いますぅ! 送迎ですぅ!」

 

 締まらない会話と雰囲気で。

 業界を破壊する、シン・ゴジラがやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──カレーライスだったわ」

 

 "弟と妹のために上手く作れるか"

 そんな、慈愛にも似た心配を浮かべた顔で、うまく切ろうとぎこちない手つきで野菜を切っていく。

 不安で。集中力が散漫になってしまったから、誤って指を切ってしまったかのように。

 

「──とても痛かったけど、二人を泣かせてはいけないから、笑ってごまかしたの」

 

 予想外の出来事にとても驚き、それを隠すように柔らかい表情を浮かべた。

 痛みをこらえ、静かに我慢していることを伝える表情へと移行する。

 

 どうしようもなくイカれていて。

 そして、どうしようもないほどに、彼女は本物だった。

 

 名女優、マリリン・モンロー*1

 メソッド演技の体現者。彼女は悲しみの演技をするため、悲哀のトラウマを繰り返し思い出しており、そのせいか頻繁に情緒不安定に陥っていたという。

 

 カチンコの合図と共に過去に戻り、カチンコの合図と共に現在へと戻ってくる。

 演じる役柄に応じて、その感情と呼応する自らの過去を追体験する。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それこそが──『メソッド演技』

 

「味は?」

「焦げて苦くて、みんなで笑っちゃったわ」

 

 墨字さんは正しかった。

 一体どんな半生を過ごせば、この年にしてこの境地へと到達するのか。

 私にはわからない。

 わからないけど、墨字さんが求めるものが揃い始めたのだと。

 ──その事実だけは、すぐに分かった。

 

「カット! OKだ! シチューがマジで焦げてるからコレは別撮りな!」

 

 撮影終了だ。カチンコの合図と共に夜凪さんが"戻って"くる。うん、確かにコレは墨字さんの言う通り『金の卵』だろう。

 

「ほら夜凪ちゃん、こっち来て! 手当てするよ!」

「……ありがとう、柊さん。でもコレくらいなら──」

「それくらいも何もないわよ! ほら早く!」

 

 「撮影するから指切ってね」と言われて本当に指を切れてしまう俳優が今の業界に何人いるのか……。

 すごいなと思うと同時、天才というのはイカれてるものなのかとも思う。流石にここまでの物を見た後だと。

 

「これは次の撮影、ちょっと荒れそうだね……」

 

 ついそんなことを考えてしまう。俳優に負担を強いることにならないといいけど……。

 夜凪ちゃんの指をアルコールで手早く消毒して絆創膏を巻く。そこまで深く切ってる訳じゃなかったからこれで大丈夫だろう。

 

「次の撮影? まだ何か撮るの?」

「ううん。今度はまた別のCM撮影。夜凪ちゃんが演じる訳じゃないよ」

「あら。じゃあその撮影、私も見学できるのかしら」

「んー、多分大丈夫かな。同じ系列会社のカレーライスのCMなんだけど、元々担当してた監督が骨折しちゃってね。同じスタジオで撮影してた私達にお鉢が回ってきたんだ。稼げる時に稼いどかないと。流石にこれ以上お金がないとさすがにヤバい……」

「た、大変なのね……。誰が演じるの?」

「……そういえばこの案件、珍しいことに俳優の名前聞いた途端に墨字さん受けることにしたのよね。えっと、名前は──」

 

 そう。珍しいことにこの案件、昨日の夜に決まった割には墨字さんが渋らなかったんだ。

 なんでか不思議だったけど、詳しくは教えてくれなくて。軽く調べてみても、事務所にも所属してないただの新人俳優で、酷く頭に残っている。

 そう、確か名前は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がこの撮影の監督をすることになった、黒山墨字だ。クソみてぇな演技したら即刻叩き出すからなこの野郎」

「なんでアンタがここに……」

「こっちのセリフだ。なんで俺がお前の尻拭いをしなきゃならねぇんだよ。金よこせ金」

「いや俺に言わないでくださいよ。これでも今回雇われですからね俺。

 あーもう、……さっさと撮影始めましょ。絵コンテあります?」

「……はん。今書くから少し待ってろ」

 

 スタジオ大黒天の大黒柱、柊雪は混乱していた。

 

 それも当然だろう。

 夜凪ちゃんの撮影が終わり、カレーライスの方のwebCMの撮影をしに別スタジオへと移動したのだ。夜凪ちゃんが自分の撮った素材を見てニヤニヤしてるのをおいてこっちにやってきたと思ったらいきなり"コレ"である。

 確かに、墨字さんが無茶するのはいつものことだ。その無茶振りだってさっきの撮影で十二分以上に発揮されていたのだから当然である。

 

 でも。

 

 でもやっぱりスタジオ入りと同時に俳優をボコボコにし始めるとかマジで意味がわからない。

 ……いや、それはまだいい。墨字さんは躊躇いもなく「お前の仕事はクソだ!」と言い切ってしまう人種だ。一歩間違えて手を出してもおかしくはない。……何もしてないのにヘッドロック決め始めるのはどうかと思うけど。

 

 じゃあ以前に主演の子と何かやっていたのか? と思い返してみても何も出てこない。じゃあ一体……とか思い出したらいきなり反抗しだしたのだからもう訳がわからない。

 

 というか、一番の問題は墨字さんが「コイツは俺の親戚だ」とか言い出し始めてることに尽きる。訳がわからなくて頭がパンクしそうだ。いやほんとに、洒落抜きで。

 

「……食べてるカットメインでいいんですか? 墨字のおっさんの趣味はわかるけど。──いや、というよりこれって」

「おっさんじゃねぇお兄さんとよべクソ元輝。さっさと撮影始めるぞ。尺は15秒、テストなしの一発撮りで行く。できるな?」

「当然」

 

 は?

 彼が待合室から出ていくのを見る。驚きを隠さずに絵コンテを再確認してる墨字さんを見返した。

 

「えっ。ちょっと、正気ですか!? コレで撮影失敗したら態々こっちに回してくれたプロデューサーに示しがつきませんよ!」

「うるせぇ。いいのだせばクライアントも満足すんだろ。それにアイツにはこっちの方があってんだよ。

 あーそうだ、あと夜凪連れてこい。どうせそこら辺彷徨ってんだろ?」

 

 夜凪景は『メソッド演技』を極めてる。特に"感情の再現性とその深度"という点に限って言えば歴代最高峰だといっても過言じゃねぇが──と。墨字さんは口元を三日月に歪めながら。

 

 

 

 

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 ──断言してやるよ、と。

 

 カンヌ。

 ベルリン。

 ヴェネツィア。

 三大映画祭を総なめにしたその男は、薄く笑った。

 

 

 

 

 

 

*1
アメリカ合衆国の女優。典型的な金髪美女(ブロンド・ボムシェル)を演じた彼女は50年代を代表するセックスシンボルである。15年間とその活動時間は短いが、大衆文化のアイコンとして認知されるほどに人気のある女優だった。代表作品『ナイアガラ』『紳士は金髪がお好き』など。






ホモくん、まだGODZILLAとは未遭遇の模様。

原作補填ガッチリやる?

  • やる(未読にもわかりやすく)
  • 変化してるなら(カットするかも)
  • RTA視点等(軽く補填)
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