●記録名
〈スタジオ大黒天が某食品会社に納品したCM〉
1.【"父親にシチューを"webCM】
監督:黒山墨字 / 主演:夜凪景
/ 制作:スタジオ大黒天
『5月10日より放送開始予定』
2.【"休日にカレーを"webCM】
監督:黒山墨字 / 主演:穂村元輝
/ 制作:スタジオ大黒天
『5月10日より放送開始予定』
3.【Behind the Scenes】
監督:黒山墨字 / 出演者:夜凪景、穂村元輝
/ 制作:スタジオ大黒天
『5月10日にアップロード予定』
※なお、【Behind the Scenes】についてはスタジオ大黒天より金額の変動なしで構わないとのことで納品された。我が社の公式アカウントよりアップロードして欲しいとの旨の報告あり。
遅くなったけどいつもより多いから許して
若干改稿しました。
──
スターズ専属の映画監督であり、誰しもが名監督だというようなタイプでは決してないというのは重々承知しているが、商業的観点から考えれば手塚由紀治という監督が齎した利益はとても大きいという自負もまた持っている。
そういう意味では、手塚由紀治という男は間違いなく有能な監督なのは事実だろう。
繰り返そう。
手塚由紀治は、
大衆に広く浅く受け、商業的に成功する。そういう"売れる作品"というのを作る。劇的に面白いという訳ではないが、決して商業的に失敗することもまたない。
渡された原作と、用意された俳優。
そして売り出したい俳優を組み合わせ、それで映画を成功させる。
ルーチンワーク化した仕事だ。原作からエッセンスを抽出し、観客が見たいであろう部分とストーリーラインを噛み合わせる。
それだけのことを、ただ繰り返すだけに過ぎなかった。
正直、うんざりしていた、というのも事実なんだ。
ずっと、同じやり方だ。
売れる映画の作り方がわかってしまったら、映画撮影は流れ作業でしかなかった。
ずっと、同じもので、同じやり方でやってきた。
何かが欲しいと、そう思っている。
時代の破壊者が来ることを、待ち望んでいる。
僕は、『百城千世子』という仮面が砕けるその瞬間を、心底欲していたのだ──。
ようやく始まるデスアイランド(比喩に非ず)なRTA、はぁじまーるよー。
ということで千世子アキラのスターズ組と食事会に来ました。
正直なんでやという感じなんですが、まあ友好を深めることができるので問題はないです。正直こういう変則コミュ、デスアイランド前だと気をつけることが非常に多いんですが、オーディションの詳細発表がもう済まされているので基本的にはのーぷろぶれむですね。
ただ現状チヨコエルから『百式演技術』を教えてもらっている最中なので、『メソッド演技』の習熟度が上がってることは匂わせないようにしましょう。バレると死にます(2敗)
そもそもがチヨコエルとゴジラの二人を同時攻略しようとすることが間違いなので皆さんはしないでください。まあそんなバカ滅多にいないとは思いますけど。
食事会の場所は……赤坂の焼き肉ですね。ちゃんと個室な辺りアキラくんの気遣いが垣間見えます。やっべぇ腹減ったわコレ……。
二人以上を同時に相手取る変則コミュ、こういった状況下ではアキラくんが非常に役立ってくれます。ウルトラ仮面というニチアサのヒーローを張っているだけあって、中々に(人間関係の)問題を解決してくれる訳です。ドロドロした人間関係になりやすいこのゲームに於いて数少ない清涼剤な上、余計なことを言うことも少ないので大切にしましょう(ホモ)
「そういえば元輝くん、さっきの撮影で愚痴ってたのはなんだったんだい?」
なんだァテメェぶっ殺すぞ。
……取り乱しました。まさかアキラくんがそんなこと言うなんて……アキラくんのファンやめます!(人間の屑)
それにしたってこういう変則コミュでこんなことを言うことはないはずなんですが……(自業自得)
……いえ、待って下さい。
ここで今思い付いた革新的なコミュをやってみようと思います。こんな珍しい機会を逃す手はありません。
誤魔化すのではなく、ここでゴジラのことを僅かに匂わせることでチヨコエルの対抗心を煽ってみましょう。彼女もまたトップであることに誇りを持っているので、こうすれば上手いことゴジラへの敵愾心を煽れるはずです。そうすれば両者共にデスアイランドでの大幅な成長が見込めます。夜凪景という名前も出していませんし、問題ないでしょう。コレは何という最高なテクニック(ゲスの極み)
……うまくいったみたいですね。少なくともマイナスにはならないはずです。何か忘れてる気がしますが、思い出せないなら重要な事ではないでしょう。ほっときます。
「せっかく三人集まったから、ちょっとだけ配信していいかな。十分くらいの雑談配信なんだけど」
「……僕はいいけど、マネージャーから許可は取ってるのかい?」
「大丈夫だよ、アリサさんから許可貰ってるから」
「……母さんが?」
「元輝君は大丈夫?」
「んー、……問題ないです。大丈夫ですよ」
「よし、じゃあっと」
配信イベントですね。珍しいですが、スターズ組との会食イベだとそこそこの頻度で発生するイベントです。三人でやる上にゲリラとは中々に珍しいですが、正味ホモくんの知名度を上げられてうま味なので受けることにします。イェーイコッチ見えてる〜?
「……じゃあ、そうだね。
これにしよっか。二人への質問です、好きな音楽は?」
「音楽はよく聞くけど……そうだな。僕はポップスとかが多いかな」
「俺はなんでも聞きますね。あ、でも最近hiphopとかのが多いですかねー」
>視聴者から様々な質問が飛んできた。その中からいくつか百城さんがピックアップしていたものに答える。
>質問の内容は自体はありきたりなものだ。好きな物だったり将来の夢だったり。恋愛関係のものも一つ二つあったがコンプラ的には大丈夫なのだろうか。あなたはそんなことを考えた。
……。
無事コミュも終わりました。帰り際にデスアイランド受けることだけ告げて帰宅します。日課のトレーニングだけ済ませて寝ましょう。睡眠は大事。気力で無限に仕事し続けることもできますが、それやると大抵過労死します(12敗)
翌日になったら、インターネットからデスアイランドについての応募要項を引っ張り出しましょう。写真とか諸々を入力してさくっと応募します。コレで三週間後のオーディション開始までは時間がありますので、ステータスを弄るなりコミュを深めるなりして待つだけですね。
待つだけと言っても、そう単純ではありません。この期間は景ちゃんも高校と仕事の両立のため休日に家を空ける必要が出てくる為、その埋め合わせに家に引っ張られることがあったりする訳です。
正直リスクが高いので断りたいところなんですが、拒否った瞬間フラグ乱立してよくわからないうちに景ちゃんがスクールデイズ化するので死んでもやめましょう。やったら死にます(1敗)
その上でスターズ関連──特にチヨコエルとのコミュ──と夜凪家周りの出来事がダブルブッキングしないよう気を付けましょう。ここで夜凪家にご飯作ってたりしたのがバレると、今度は天使もスクールデイズと化します。絶対に避けます。むしろ避けないと死にます(1敗)
ここら辺は相変わらず要注意ですね。(フラグ管理しないと)死ぬので。というかコレやらかすと現実で羅刹女見るハメになります。アレホントにおしっこちびるんでもうやりたくねぇです。
それ以外にも、ここら辺の事情がパパラッチのクソどもにバレると今度は一般市民から刺されてNICE BOAT! されるので死んでも避けましょう(12敗)絶対にバレないようにします。バレないガバはガバじゃねぇ。
二週間の間にしておくことは上記のことを除けば、知り合いの俳優とのコミュを築くか、屋外イベント系か別の案件を入れたりすることくらいのものですが、既に十二分と言えるほど知名度を得ているので案件等は受ける必要はないです。代わりにルームランナーで走り込みするなり、アキラくんあたりを誘って観劇にいくなりしましょう。
星アキラ幼馴染みルートであれば自宅に呼んで映画鑑賞会とか開いてもいいですね。自分のステも上がるしアキラくんのステも上がるしで非常にうま味です。まあ今回はやれないんですけど。
とまあなんやかんやでオーディションです。
墨字さんからデスアイランドを受けろやとか色々言われたりしましたが、元々受ける予定ですのでもーまんたいです。というかなんで言ってきたんでしょうね? 常識が通用しないのも困り物です。
受付を終え、ナンバープレートを胸につけます。順番は──62番ですね。んー、景ちゃんと同じチームではないみたいですね。同じ組に入っちゃうと烏山くんたちのうちの一人が落ちちゃうので、正直助かります。
一応周りを見渡して誰が来てるか確認しましょう。
……おっ、どうやら景ちゃんたちは予定通り茜ちゃんたちと同じ組分けになっていたようですね。……? 景ちゃんが小さく手を振ってますね。手を振り返します。
……うーんこの。チャート壊さなければかわいいのに……。
待ってる間に『デスアイランド』のオーディションの概要について説明しておきましょうか。
今回のオーディションではランダムに四人を組ませて
しかも公平性を保つため、お題が審査の直前で出されるという仕様。事前にお題に合わせた作戦会議とかも不可能です。協調や連携はかなりやりにくくなってしまいます。
しかも制限時間は5分間。コレまた短いですね。尚且つ見込みなしと判断されたその場で終了するクソ仕様となっています。
五分間フルに演じられると仮定したとしても、一人一人がキチンとした台詞回しでやろうとすると一人一分しかアピールタイムを持てない計算になります。コレじゃあ受かるはずがありません。
その為、素早く状況を把握し明確化、会話の主導権を握りエチュードそのものの舵を取る。そういった技能が試される形になります。その為台詞と演技をする時間を1秒でも長く確保する必要性が出てくる訳ですが……。
そうは問屋が卸してくれません。
5分で殺し合いの段階まで話を持って行く為には、他三人と協調して『狙い通りの話の流れに持っていくための会話』を作ることが必須になります。
会話も無しにクラスメイトで友達同士だった四人が、突然殺し合いを始めるわけがありません。常識的に考えればわかりますよね?(隙あらば煽っていくスタイル)
つまりです。
結論から言えば、このオーディション、ハナっから協調性なんてものは求めていません。ぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱にでも突っ込んでおきましょう。いらねぇんだよこんなモン!
このオーディションで必要なことは一つだけです。
"自分の持つポテンシャルが手塚由紀治の目につくこと"。
コレを気にしてさえおけば、なんの問題もありません。
どうやらそろそろオーディションが始まるみたいですね。
張り切っていきましょう。
黒山さんが言っていた。
『お前の演技は思い出すことだ』
元輝くんが言っていた。
『景は、自分自身を知れば、演じられない役なんてない』
わかっている。
私にできる演技は一つしかないのだと。
色々考えたけれど。
私がやれることは、きっと一つだけだ。
──修学旅行の機内が喧騒に包まれ、大きく揺れ始めた。
クラスメイトの悲鳴が飛び交っている。ガタンッという機体が風の濁流に飲まれる音。メキリという嫌な幻聴と共に飛行機自体がどんどん傾いていく。
一際大きな振動が全身を襲った。
内臓が跳ねるような感触。窓の外が海に覆われる。
上下左右が滅茶苦茶にシェイクされた。平衡感覚が失われる。大質量が水に落ちた結果現れた強大な水の流れに飲み込まれた。身動きが取れない。
気がついたら意識を失っていて──
「……ここは何処だ……!
他のクラスの皆はどこだ!? 俺達だけか!?」
────今に至る。
「他の皆の姿は見当たらない。俺達だけがこの無人島に漂着したのか……」
「なっ……嘘だろ!?」
「あんたのせいよ!」
キッと目尻を吊り上げながらヒステリック気味に声を荒らげた。
びくり、と。唐突な怒鳴り声に身体が震えた。ゆっくりと頭を上げる。左右に頭を振る。ここは、何処? 確か、私は飛行機の中に乗っていて……
「あんたがあの時非常口を開けたから一気に海水が流れ込んできたのよ! そのせいで私達は……!」
「何だと!? どちらにしろ機内は浸水してた! 今更なんだよ!」
「いや、確かにあんたは早計だった!」
「……っ。お前まで何を……!」
目蓋を瞬かせながら周りを見た。波が引いて砂が揺れる音。強い日差しに黒髪がチリと熱せられる感覚。
「このままじゃ皆餓え死によ! 全部あんたのせいよ!
こんな無人島でどうやって生きていけばいいのよ!?」
「? 皆、何言ってるの……」
静かな、大きくない普通の大きさの声。
不思議だった。幸運にも、生きてこの島に漂流できているのに。
どうしてみんなが、こうも異様なまでにヒステリックなのか。
「
「…………気味が悪いね」
空気が変わった。
夜凪景──面白い着眼点だが不可解だね。自分の首を絞めるどころか共演者に恨まれる所業だ。
「ちゃんと調べてもないのにどうしてここを、無人島だと知ってるの?」
「ど、どうしてってそんなの……」
『よく分からない言動をしている三人』に、違和感を抱くという芝居。まるで審査のことなど忘れ、本当に無人島に漂着したような反応だ。
……ここまで喋らなかったが、ここでようやく動くとは。
黒山に"正当に審査しろ"とは言われたものの、アリサさんの心情が悪くなるような選択に躊躇いはあったが……。
「勝手に決めつけて喧嘩して、あなた達……どうしたの?」
積み重ねた演技の流れを粉砕して、自分を中心にして芝居を再構築する特異性。
吸引力のずば抜けた、異様なまでの質感と説得力とを持つ演技。
三人が作り上げた世界観を夜凪景の一言で完全に覆し、呑み込んでしまう世界観。そしてそれを見せつけるだけの表現力。
──なるほど、コレはアイツが執着する訳だ。
「漂流して浜で目が覚めたとしてもそこが無人島とは限らない……はは、一本取られたね」
「笑い事じゃないですよ。正確に演じられたら確かにそういうことになります。我々のミスでは?」
違う。基本的にこういうエチュードのようなお題であれば、不自然だと思う箇所なんていくらでもある。
「
終戦後、多くの無人島が点在するエリアだ。この島も無人島と見て間違いないだろう」
いいね。悪くない。
合理性と知識で夜凪景の演技を論理的に自分達の流れに戻そうとしている。反応を見るに、原作通りの台詞回しだろう。原作のファンになってからオーディションに臨むタイプと見た。
「わ……私も見たわ。飛行機からこの島が見えたの。
見渡す限り森だったわ! ここは無人島よ!」
「……なんだか皆で口裏を合わせてるみたいだわ。何が目的なの……?」
「────っ」
……なるほど。
"女子高生の自然な振る舞い"ではなく"演じてることが見てて分かる演技"という認識……確かにリアルだ。あそこまでの深度で役に没頭している。そりゃあ彼女自身も戸惑う訳だね。
「ははは、そりゃ演技だもんな」
「あの子悪質ですね。
ふざけて審査ごとぶち壊すつもりですよ。止めてください監督」
「……いや」
プロデューサーたちがそう言っているのをやんわりと止めながら、僕は夜凪景の演技を見つめる。
事実として夜凪景の演技が最も説得力が有る。
そうである以上、他三人の芝居の説得力の無さが際立つのは避けられない。
余りにも自然すぎる夜凪の演技が、他三人のソレを呑み込んだ。結果として、下手な企てで一人の少女を惑わそうとする三人と、それに気づき怯える少女の構図へと変化した──
「どうしたって、俺達はただ──」
悪くない判断だ。何もしなかったら、まず間違いなく夜凪景が全部"喰らい尽くす"だろう。
そんな彼の台詞を遮って、湯島茜が怒鳴り声を上げる。いや、ちょっとコレは……。
「あんた──いい加減にしぃや!
さっきから訳分からんことばっか何のつもりやねん!」
「その通りだ! お前さっきから変だぞ! どうしたんだ!」
声を荒らげた
……素が出たといえど、迫力ある湯島の怒声。そしてそれを即座にカバーする真咲の機転。
夜凪のせいで、周りのポテンシャルが見え始めた。
「──っ」
「えっ!? 何!? どこに……!」
夜凪景が身を翻して走り出した。
三人の不自然さが怖くなって、逃げ出した。いやそっちはセットだ。
今回用意したのは10m×10mのセット、それほど広くな──ぶつかった。グッと呻きながら鼻頭を掴んだ。たらりと血が溢れる。
「うっ──来ないで!」
痛ましい演技だ。僅かに鼻から血を垂らしながら、恐れ慄く少女の芝居。
刹那、真咲や烏山の表情に罪悪感が浮かんだ。さて、どうする?
「クククク……はははは……そうだよ夜凪。
すべて、俺達の仕業だ」
「───」
「皆殺したよ。残りはお前だけだ」
悪役として演じるか。
"不自然な演技をしているのはなぜ?"という疑問を解消する答えとしては中々に上出来だ。夜凪景が積み重ねてきた疑問の再利用。深く役に入り込んでいる夜凪が納得出来るレベルの答えを用意すれば、夜凪は疑うことはないだろう。
夜凪の顔に義憤や悲哀といった感情が浮かぶ。ギリっと歯を噛みしめながら、セットの擬木をへし折って、両手に構えながら武器として烏山の頭を狙う──
夜凪が木の枝を振り上げ、一番前に出た烏山が不敵に笑い。
「なんでこんなメチャクチャできんねん!」
溢れんばかりの激情を湛えた湯島が、夜凪景を止めた。
押し倒して、馬乗りになって。必死に両手で押さえつける。
「皆必死やのに! 真剣やのに!
──人の気持ちが分からんなら、役者なんかやめてまえ!!」
嫌に目に留まって、嫌に鼻につく。
初めて知ったのは、たまたまだった。元輝くんが出演したというカレーライスのwebCMの対となるクリームシチューのwebCM。
その撮影の裏側。いわゆる
その撮影に元輝くんと映っていた、艶のある長い黒髪の頭身の高い少女。
夜凪景という女優だ。
所属事務所スタジオ大黒天の新人女優。スターズオーディションを受けていたという情報を聞いた私は、アリサさんに頼んで、少し前の時の録画を分析・研究させてもらった。
「──」
その演技は。
夜凪景という子の演技は。
私とは違う、何も取り繕わない演技だった。
嘘が無い演技。異様な質感を持つ、どこまでもリアルな演技。
いわゆる迫真の演技を。激情に駆られた結果として現れるような、感情の発露を。
落ち着いたシーンでも、激しい感情を見せる場面でも、
目が眩むような、個性の塊のような演技だった。
……ああ、そうか。
コレが。彼女が。
夜凪景という女優が。
元輝くんのいっていた、私のライバルになりうる存在で。
どうしても勝たなくちゃいけない相手なんだと、理解した。
「────」
どれだけ研究しても、修得できない。
どれだけ分析しても、方法が分からない。
彼女の演技を百回見直したところで、私は焦りを覚えた。
穂村元輝の演技は、その役の為にチューニングした仮面を創るもので。
百城千世子の演技は、『百城千世子』に求められる仮面を被る演技で。
夜凪景の演技は、彼女自身が、役そのものになるような演技だった。
……メソッド演技だというのはわかる。
『百城千世子』はメソッド演技の変遷を知っているし、それがメソッド演技以外のものに偽物というレッテルを貼ったこともまた知っている。
どんなメリットがあって。どんな不具合があるのか。
そして『メソッド演技』が本物で、それ以外が劣化に過ぎないという熱狂がかつて存在していた事実もまた、私は知っている。
でもね。
「──お芝居に心は要らないんだよ」
私は自分の『商品価値』を知っている。
私は他人に見える自分自身を、意識して作り続けてきた。
周囲の反応を理解し、カメラの仕組みを理解し、自分が撮られる世界全てを意識の下に収めるようにしてきた。
私は『観客』を知っている。
常に晒される視線を意識し、観客の求める虚構を作り上げてきた。
SNSや掲示板。エゴサーチと統計によって自分のイメージを算出し、最善な状態へと常に修正してきた。
幼く無邪気で悪戯で。
それでいて美しくあることが、いかに観客を虜にするのか知っている。
だから私は、『百城千世子』の役割を全うし続けてきた。
負けられないと、そう思う。
見極めてみたいと、そう思う。
彼女の、夜凪さんのこのよく分からない演技を。
何か常人にはできないことをしていることだけはわかる、彼女の演技を。
そして。
──胸に湧き出るこの感情が一体何なのか、私は知りたい。
原作リスペクト多めでお送りしました。
あといつの間にかお気に入り3000件、評価100行ってました。ありがとうございます。一重に読者の皆さんのお陰です。
顔合わせまで行こうともがいた結果、ホモくんのオーディションシーン全カットされた挙句顔合わせにまで到達せず。その上データ紛失の為に演技シーンが無かったことにされたホモくんに黙祷。(修羅場れなくて)すまねぇ……。オラァ!ナンカイエヨ!クソクソフラペチーノォ!
一応原作補填のために夜凪周りは書いてるんだけど、ぶっちゃけいるのか悩みどころですね。
文体にもっとドロドロ感出したいと思う今日この頃。
自粛で外に出られないので失踪します。
ギャンブル
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銀河鉄道編メイン
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とりあえず先進めて修羅場やっちゃう