堕天の王   作:危機一発

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幕間3

悠side

 

あの大規模侵攻から2日たった。俺はボーダー本部に呼ばれていた

 

悠「一体本部が俺に何の用だ?」

 

あれから2日、俺はその間玉狛で修たちの事を一緒に見ていた。俺も戦闘に関しては他の奴らよりも知っている。遊真に関しては問題ないが修と千佳は人間との戦闘などほとんどしたことが無いから俺も教えられる程度の知識は教えた

 

悠「しかし・・・さすがに見られるか」

 

俺はボーダー本部に入り自分に視線が向けられているのを感じた。やはりこの()は気になるようだな。俺はそのままボーダー内を歩いていると目の前から見覚えのある顔が見えた

 

米屋「おっ!悠じゃん!」

出水「久しぶりじゃねーか!」

緑川「・・・あっ」

悠「陽介に公平・・・緑川も、どうした?」

 

そこには陽介たちがいた。おそらくランク戦をやっていたんだろう

 

出水「本部に何しに来たんだ?」

米屋「何ならまた戦おうぜ!」

悠「すまんが今回も本部に呼ばれてな。また今度にしてくれ」

米屋「ならしょうがねーか」

緑川「・・・・・」

出水「・・・?どうした、緑川?」

 

緑川が何か言いづらそうにして俺から目を逸らしたが、すぐに俺の目を見て突然

 

緑川「すみませんでした、悠先輩」

悠「・・・・・?」

出水「・・・・・へえー」

緑川が唐突に謝ってきた・・・どういうことだ?

 

緑川「この前、三雲先輩の事みんなの前で恥を掻かせるような真似をしてすいませんでした」

悠「・・・なるほど。その事か」

 

そういえばこの前迅が言っていたな。根はいい奴だと。確かにその通りのようだ

 

悠「・・・・・フッ」

緑川「えっ?」

悠「もう気にするな。修も許したんだろう。それならば俺が言うことなど何もない」

 

俺はそう言いながら緑川の頭を少し乱暴に撫でまわす

 

悠「くくっ、そんな悩んだ顔をするな。反省したのならばそれを次に活かせ。いいな」

緑川「・・・!うんっ!わかった!!」

出水「あっ!そうだ!悠、今晩東さんが焼肉に連れてってくれんだけど一緒に行かねーか?」

米屋「おっそれいいなー!」

悠「焼肉?俺も行っていいのか・・・?」

出水「俺らから東さんに言っとくよ!」

悠「・・・そうか。それなら俺も行こう」

 

俺は緑川、陽介、公平とそんな話をして陽介たちと別れた。別れ際に『今度、戦えよー!』と言われたから次に戦う約束をしてその場から離れた。そして俺は指定された司令室に着いた

 

悠「失礼する」

鬼怒田「ようやく来おったか」

 

入るとそこには城戸、忍田、鬼怒田がいた。どうやら根付と唐沢はいないらしい

 

城戸「今回は突然呼び出してすまないな」

悠「別に構わないさ。それで、一体何の用だ?」

忍田「今回の大規模侵攻で大きく活躍した者に与える論功行賞を君にもと思ってね」

悠「論功行賞か」

忍田「ああ。特級、一級、二級とあってな。一応一通り発表しよう」

悠「ああ、頼む」

 

そして忍田はその論功行賞の人間を言った

 

特級戦功 褒賞金150万+1500P

悠 『基地を襲う爆撃型トリオン兵を迎撃し、単独で敵の人型近界民(ネイバー)を全て引き受け撃破。南西部地区のトリオン兵を一掃し人的被害をゼロにした。新型(ラービット)撃破数 2』

太刀川 慶『 基地を襲う爆撃型トリオン兵を迎撃し、その後、東部地区で新型を中心に敵の戦力を大きく削った。新型(ラービット)撃破数 17』

天羽 月彦 『単独で西部、北西部地区を広範囲にわたって防衛、人的被害をゼロに抑えた。新型(ラービット)撃破数 3』

忍田「本来、褒賞金150万と1500Pなんだが君の場合、一人で人型を全て撃破した。この貢献はこれだけでは足りないから300万と3000Pになる。

ありがとう。本当に君のおかげで今回の被害はほとんどゼロに抑えられたよ」

悠「・・・そうか」

忍田「次に一級戦功だ」

 

一級戦功 褒賞金80万+800P

空閑 遊真 『(ブラック)トリガーを使いトリオン兵を撃破。その後、C級避難の手伝う。新型(ラービット)撃破数 7』

三輪 秀次『 新型を中心に撃破し市民の被害を抑える。その後、南東部にて市民の救援を行う。新型(ラービット)撃破数 3』

迅 悠一『 南西部地区から基地へ避難するC級隊員を援護。人型近界民(ネイバー)を足止めし、捕虜にした。』

 

悠「ん?捕虜がいたのか?」

忍田「ああ。迅が捕らえたから今は玉狛支部にいるらしい」

鬼怒田「ふん!迅のやつめ、あまい事を・・・」

悠「なるほど」

忍田「まだ一級はいるぞ」

 

風間隊 『東部にて太刀川 慶と共にトリオン兵を撃破。人型(遺体)を基地に運んだあと南東部に移動し残ったトリオン兵を撃破。新型(ラービット)撃破数 7』

小南 桐絵『 南西部地区から基地へ避難するC級隊員を援護。その後、南東部に移動しトリオン兵を駆除し、人的被害をゼロにした。新型(ラービット)撃破数 4』

忍田「そしてあとは二級戦功、嵐山隊、玉狛支部の木崎、烏丸、東に出水、米屋、緑川・・・とこんな感じだ」

悠「なるほど」

 

今回の大規模侵攻では敵の目的が分からずそこを狙われた。それで危うくC級隊員が連れさられる可能性もあった

 

悠(なにより、奴らは千佳のトリオン能力を見て千佳に狙いをつけた。さすがに千佳をいつまでもC級にはしておけないな)

 

俺はそう考えて城戸に提案をした

 

悠「城戸、少し頼みがある」

城戸「なんだ?」

悠「今回の戦いで最後に千佳が狙われていた。千佳をこのままC級にしておくのは少し危険だ」

城戸「・・・・・」

悠「俺が貰う3000P、これを千佳に渡して千佳に緊急脱出(ベイルアウト)を持たせた方がいい」

鬼怒田「確かにその通りだ!彼女のトリオン能力は貴重だ!彼女を失うわけにはいかない!!」

忍田「私もその考えには賛成だ。悠くんがいいというのなら彼の3000Pを彼女に与えてB級に上げた方がいい」

城戸「・・・・・・」

 

城戸は少し悩んでいたが少しして

 

城戸「・・・確かにそうだな。わかった、お前の要求を吞もう」

悠「助かる」

城戸「ではこの話は終わりにして次の話に移ろう」

 

そして城戸、忍田、鬼怒田は俺の方を見る

 

城戸「以前もやったかもしれんが、おまえのトリオン能力とその(ブラック)トリガーを調べたい。わかっていると思うがな」

悠「ああ、予想はしてた」

城戸「それでは頼む。今回の議題は以上だ」

 

そう言って城戸は終わらせた。俺は鬼怒田について行き司令室を出ると

 

忍田「悠くん」

悠「・・・?どうした、忍田」

 

俺は忍田に止められた

 

忍田「今回は本当にありがとう」

悠「ああ、気にするな。俺は自分の未来を平和に暮らすためにやっているに過ぎない」

忍田「それでもだ。迅に君が連れ去られる未来があると聞いてたのに私をそれを承知で君に一人で戦わせてしまった。ありがとう。そしてすまない」

忍田はそう言って俺に礼と謝罪をしてきた・・・やれやれ

 

悠「何度も言うが気にするな。あとな勘違いをしているぞ」

忍田「・・・・・えっ?」

 

俺は指輪を握りしめながら言う

 

悠「俺は決して一人じゃない。こいつらがいる」

忍田「・・・!ははっ、そうか」

 

そして忍田は俺にもう一度礼を言って立ち去った。俺はそのまま鬼怒田について行って開発室に来た

 

寺島「・・・あっ、室長。それに悠くんも・・・」

悠「久しぶりだな、寺島」

 

俺は寺島に軽く挨拶をし鬼怒田に指輪を渡す。そして以前は使わなかった新しい計測器を使い自分のトリオンを測る

 

鬼怒田「聞くがその髪はおそらく今回の()()が原因でいいんだな?」

悠「原因かどうかは知らないがな」

 

俺はそう言いながら計測し、鬼怒田と寺島は『堕天の王(ルシファー)』を調べていた

 

鬼怒田「やはりな。以前とは比べ物にならないほどのトリオンだ。こんなもの見たことが無いぞ」

寺島「・・・・・」

鬼怒田はそうぼやきながら何かを考え、寺島は呆然としていた。そして俺が測っていると後ろから扉が開く音が聞こえた

 

「鬼怒田開発室長、今回の結果をお届けに来ました」

鬼怒田「・・・ん?ああ、そう言えば今日はその日じゃったか。そのあたりに置いといてくれ」

 

後ろから女の声がして、俺がそっちを見るとそこにはオペレーターの服を着たやつがいた

 

「ん?あれ?きみは?」

「・・・?どうしたの、綾辻ちゃん?」

「・・・どうしたの~?」

 

そして扉の奥からは何人もの声が聞こえて中には俺が知っている声も聞こえてきた

 

「ああ、すみません・・・」

 

そう言ってオペレーターの女が中に入ってくるとそれに続き何人ものオペレーターと思われる集団が入ってきた。そして俺の知っている声の主も入ってきた

 

「・・・!悠くん!」

悠「国近か。久しぶりだな」

国近「悠くん・・・!」

悠「おっと・・・」

 

国近は俺を見つけると俺の元に小走りで近寄り抱き着いてきた

 

「・・・えっ?・・・えっ!?」

「どっどういうこと?」

「もしかして、国近先輩の彼氏さん・・・?」

 

後ろのやつらが何やら騒いでいた。俺は国近の頭を撫でながら訊いた

 

悠「どうした、国近?」

国近「だって・・・太刀川さんが悠くんに敵の人たちがついてるからもしかしたらって考えちゃって・・・それにその髪・・・」

悠「なるほどな」

 

太刀川の説明の仕方が悪かったか。俺は国近の頭を撫でて落ち着かせる

 

悠「確かに敵は強かった」

国近「・・・・・」

悠「・・・だが、俺はこうしてここにいる。そうだろう?」

国近「・・・!うん・・・!」

悠「フッ・・・」

 

俺がそう言うと国近が笑顔を見せてくれた。国近には笑顔がよく似合う

 

悠「そういえば、何かを提出しに来たんだろ」

国近「あっ!そうだった~・・・」

そして国近は俺から離れ何やら提出しに行った。それを他のやつら見ていた

 

「・・・・・」

「なんというか・・・」

「すごいですね・・・」

 

そんな俺たちを見ていたオペレーターを見ていると何やら見慣れたエンブレムを数人見つけた

 

悠「・・・・・嵐山の所のオペレーターか?」

「・・・えっ?あっはい!」

 

そう言って、そいつは元気よく挨拶した

 

綾辻「はじめまして。私は綾辻 遥といいます。嵐山隊のオペレーターをしています」

悠「やはりそうか。俺は悠だ。嵐山や木虎、時枝には世話になった」

 

そう言うと彼女に続き他にいたオペレーターたちも何故か挨拶した

 

三上「私は三上 歌歩といいます。風間隊のオペレーターをしている者です。風間さんに悠さんの事を訊きました」

悠「風間さんのオペレーターか。よろしく頼む」

氷見「氷見です。二宮隊のオペレーターをしています」

月見「私は月見 蓮よ。太刀川くんや米屋くんがお世話になってるみたいね。お礼を言わせて」

悠「・・・?何故、隊が違う太刀川と陽介なんだ?」

月見「ああ、私は太刀川くんと幼馴染でね。米屋くんは私が三輪隊のオペレーターだから」

悠「そういうことか」

 

そして自己紹介が続く

 

仁礼「アタシは仁礼 光!この前はウチのカゲが世話になったな!」

悠「カゲ・・・?ああ、影浦のことか」

加賀美「私は加賀美 倫。荒船さん、一撃で撃ち抜かれたって嘆いてたよ」

悠「フッ、そうか」

小佐野「わたしは小佐野 瑠衣っていうんだ。堤さんが『加古さんの炒飯大丈夫だろうか』って言ってたよ」

悠「普通に美味かったがな。堤は途中で寝てしまったからな」

今「わたしは今 結花です。鈴鳴第一のオペレーターで鋼くんが『次はどう悠と戦おうか』ってログ見ながらしゃべってましたよ」

悠「くくっ、いつでも受けて立つとでも言っておいてくれ」

藤丸「アタシは藤丸 のの!弓場隊のオペレーターだ!すげえじゃねーか!一人で敵と戦ったんだろ!」

橘高「ののちゃんったら。わたしは橘高 羽矢って言うの。王子隊のオペレーターをしてるの。よろしくね」

悠「ああ、俺は悠。よろしく頼む」

 

そして挨拶していると一人のオペレーターのエンブレムに目がいった。そいつは他のオペレーターに隠れていたが少し顔を出した

 

志岐「・・・志岐 小夜子です。・・・那須隊のオペレーターをしています」

綾辻「・・・え?小夜子ちゃん?」

三上「うそっ・・・」

 

他のオペレーターが何やら驚いていたが

 

悠「那須隊・・・ああ、玲の所か」

志岐「・・・・・っ・・・はい」

悠「・・・・・?」

先ほどからこいつは俺に対しての接し方が妙であった。話そうとしているが無理をしているのが一目瞭然だった・・・なるほど

 

悠「俺が怖いか・・・?」

志岐「・・・・・っ!?」

三上「あっあの!」

悠「いいんじゃないか?」

三上「・・・えっ?」

志岐「え?」

 

俺は自分の思っていることを素直に口にした

 

悠「怖いのなら怖いで無理に話す必要はない」

志岐「・・・・・」

悠「昔、俺の知り合いに人が怖いと思ってた二人がいた。そいつらはしばらく他人と何も話さなかった」

国近「・・・・・っ!」

悠「だが、そのうち次第に一言ずつ話すようになっていつの間にか他のやつらとも普通に話せるようになってた」

月見「・・・・・」

悠「仲間ってのはそういうものだと俺は思っている。

そして俺はこのボーダーにいる奴ら全員を仲間だと思っている。まあ、俺が勝手に思ってるだけだがな」

国近「そんなことない!悠くんは仲間だよ!!」

悠「・・・フッ、そうか」

 

そして俺は志岐の目を見て言った

 

志岐「・・・・・っ!」

悠「だから、今無理に話すことはない。ゆっくりでいい」

志岐「・・・はい」

 

志岐はそんな俺を見て怖がっているがしっかりと俺を見て言った

 

氷見「・・・・・」

綾辻「・・・・・」

他のオペレーターがそんな俺たちを呆然と見ていると

 

藤丸「くうーー!泣かせるじゃねーか!」

悠「・・・・・どうした、藤丸?」

 

藤丸が俺の所に来て俺の首に腕を回してきた。その顔は何とも嬉しそうな肝心したような顔をしていた

 

藤丸「よし!悠!おめえの事、気に入ったぜ!今からウチの隊室に来い!あと、アタシの事はののと呼べ!」

橘高「ちょっ!ちょっと、ののちゃん!」

悠「そうか、ではののと呼ぼう。あと済まないが俺はまだトリオンを計測中なんでな。また今度行こう。今日はこの後公平たちに焼肉を誘われてな」

藤丸「それなら今度絶対ウチに来いよ!」

悠「ああ、約束しよう」

 

俺はののにそう言われながら引っ付かれていると

 

国近「むう~~!」

悠「・・・・・?国近?」

 

国近は頬を膨らませて拗ねたようにこっちを見ていた。そして俺のトリオンを計測し終え後は『堕天の王(ルシファー)』を調べ終わるのを待つだけだ

 

悠「鬼怒田、もう少し掛かりそうか?」

鬼怒田「いや、もう終わったわい」

悠「そうか」

 

俺はそう言われ『堕天の王(ルシファー)』を受け取った。そして俺は首にかけて開発室を出る時に

 

鬼怒田「ああ、そうじゃ」

悠「・・・?どうした?」

 

鬼怒田は俺を呼び止めた

 

鬼怒田「そのうち、おまえの(ブラック)トリガーの性能を確かめたい。前の選抜とは違う新たに選抜する部隊と戦ってもらうぞ」

悠「ああ、そんなことか。わかった」

鬼怒田「頼んだぞ・・・」

 

俺は鬼怒田とそんな話をして開発室を出ると

 

藤丸「そんじゃあ、今度絶対ウチにこいよ・・・!」

国近「わたしたちの所にも絶対来てね!!」

悠「ああ、必ずな」

 

俺はそう言って帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、悠は出水に誘われて三門市のある焼き肉店の前に来ていた。悠はそこで待っていると

 

出水「悠!はえーな!」

米屋「誘った俺たちの方が後に来るって・・・」

緑川「センパイたちが準備に手間取るからですよ~」

出水・米屋「「いやおまえも大概だったぞ!」」

東「ははは」

 

悠が待っている所に出水、米屋、緑川、そして東が歩いてきた。悠は東に礼を言う

 

悠「今回は俺も誘ってもらって悪いな、東」

東「いやいや、今回の大規模侵攻の一番頑張ったんだろ。それなのに飯の一つも奢れないんじゃ先輩としての立場が無いしな。今回は俺の奢りだから好きなだけ食べてくれ」

悠「すまないな。言葉に甘えよう」

 

そして悠たちは焼き肉店に入り一つのテーブルに着いた

 

東「おまえたちも頑張ったからな。好きなだけ食べていいぞ」

出水・米屋・緑川「「「あざーす!!」」」

 

そして悠たちはメニューを見て一通り注文すると全員が気になっていたことを東が代表して悠に訊いた

 

東「・・・なあ、悠。一つ訊いていいか?」

悠「・・・?どうした?」

東「さっきから気になってたんだが、その()はどうしたんだ・・・?別に答えられないんなら答えなくていいんだが・・・気になってな」

出水「俺らも昼会ったときに気づいてたけど訊いていいのかちょっと迷ったもんな」

米屋「まあな。いきなり黒から銀色に変わってたらな・・・」

 

悠はそのことに少し考えこんで

 

悠「・・・大体の予想はつく。だが、済まないな。詳しくは俺もよくわからん」

緑川「・・・そうなの?」

悠「ああ・・・・・・だが・・・」

 

悠は指輪の形をしたトリガー『堕天の王(ルシファー)』を握りしめながら言う

 

悠「・・・こいつらが・・・なにか、したのかもな」

東「・・・・・そうか」

出水「・・・・・・」

米屋「悠・・・おまえ・・」

悠「フッ、なにしけた顔をしている。せっかく焼肉を食べに来たんだ。楽しんで食べるぞ」

緑川「・・・うん!そうだね!」

出水「・・・だな!」

 

そして悠たちの所に肉と野菜が到着するとそれぞれが網の上に並べる。悠は焼肉は初めてのため東などにやってもらっている

 

東「いいか、悠。基本的に豚と鶏は完全に焼けるまでは食っちゃだめだ」

悠「そうなのか・・・?」

米屋「ああ、生のまま食うと腹痛くなるぞー」

悠「そうか。なら、気を付けよう」

出水「んで、牛は多少生でもいけるから大丈夫だ」

悠「・・・ほう」

 

悠は何故豚と鶏がダメなのか気になったが今はそんなことよりも焼肉を楽しむということを優先した

 

緑川「あっ!悠先輩!このカルビはもういけるよ!はいっ!」

悠「ありがとう、緑川」

緑川「オレのことは駿って呼んでよ!」

悠「わかった。ありがとう、駿」

 

そう言って緑川は悠の小皿に焼けている牛カルビをのせる。悠はその牛カルビをあらかじめ入れておいたタレに少しつけて肉を口に運んだ

 

悠「・・・・・」

東「どうだ・・・?」

悠「・・・ああ・・・・・うまいものだな」

東「・・・そうか」

 

悠は牛カルビを食べてそう答えた。その顔はいつもよりも穏やかな顔だった

 

出水「おれも食う!」

米屋「ああっ!おれにもよこせ・・・!」

緑川「おれにも!」

東「ははっ、いくらでも食っていいからな」

悠「・・・・・」

 

出水、米屋、緑川による肉争奪戦が行われ、その隙を狙い悠が肉を掻っ攫う。その光景を東が笑いながら見て肉を食べた。そして全員がお腹いっぱいになり解散することとなった

 

悠「今回はありがとう、東。焼肉、本当に美味かった」

東「・・・そうか。また、いつでも連れて行ってやるぞ」

悠「ああ、ありがとう」

出水「悠、またウチの隊室に来いよ!」

悠「国近とも約束してるからな。必ず行こう」

米屋「・・・また、今度バトろうぜ!」

悠「ああ、そのうちな」

緑川「遊真先輩と三雲先輩に会ったらよろしく伝えてね!」

悠「言っておこう・・・」

 

そして、悠は東たちと別れて焼肉店を後にした。そして歩いていると悠はふと気分転換に三門市にある高台に行った

 

悠「・・・・・」

 

悠はその高台から三門市を見下ろし『堕天の王(ルシファー)』を握りしめた

 

悠「俺は・・・この街で、この世界で生きよう。お前たちと共に」

 

悠はそう誓いながら三門市を暫く眺めていた

 

 

 


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