悠side
【トリガー認証】
市民を避難させたあと俺たちはボーダー基地につながる直通通路の前に来ていた。どうやらボーダー基地にはボーダーのトリガーを持ったものしか入れないようになっているらしい
遊真「ふむ、トリガーが基地の入り口の鍵になってるわけか」
悠「これならボーダー以外の人間は勝手に立ち入れないというわけか」
木虎「ええ、そうよ。ここから先はボーダー隊員しか入れないわ」
俺と遊真はここまでのようだ
遊真「じゃあおれたちはここまでだな。なにかあったら連絡くれ」
修「・・・・・わかった」
悠「それではな修、木虎」
その俺の言葉に木虎が少し目を見開いたが
木虎「・・・ええ、それじゃあね・・・悠くん」
そう言って木虎は通路の中に入っていった。修も彼女に続いていった。そして俺は遊真と少し話した
悠「遊真、レプリカ、俺は少しこの後寄るところがある。先に帰っていてくれ」
俺がそう言うと遊真も行きたい場所があると言った。どうやら同じことを思っていたようだ
遊真「オレとレプリカも少し気になっていたことがあってね」
レプリカ【おそらく悠が行こうとしている場所と同じところだろう】
悠「それなら一緒に行くか」
遊真「うん、行くか」
そうして俺と遊真、レプリカは今日俺たちが襲われた学校に向かった
迅side
俺はうちのボスが本部に行ってくれと言っていたので本部に来ていた
迅「うい~~~す」
「あっ迅さん!」
「どうも、迅さん」
「げっ迅さん」
「玉狛支部の迅だ・・・!」
「なんで玉狛の人間が本部に・・・!?」
迅「そりゃ、たまには本部にだって来るさ。実力はエリートだからな」
そんな風にみんなと軽くあいさつしながら指令室に向かっていると前方にスーツ姿の女性が見えた
さすりと俺は女性のお尻を軽く撫でた
「ぎゃっ!」という声を出して女性はこちらに振り向き睨んできた
「迅くん!」
迅「やー沢村さん、今日も美しい」
彼女、本部長補佐の沢村 響子さんだ
沢村「最低!最悪!セクハラは犯罪よ!両手がふさがっているところを狙うなんて!」
迅「まあまあ」
俺はそう言って沢村さんが持っていた資料らしきものを半ば強引奪い取った
迅「お詫びにこれ持つよ。沢村さんも上行くんでしょ?」
沢村「・・・その程度ですむかっ!」
ビシッ
迅「あだっ」
お尻を蹴られさすがにちょっと痛かった。そんなこんなで指令室に着いた
迅「迅 悠一、お召しにより参上しました」
そこにはいつ見てもなかなか威圧感のある顔に傷がある人を筆頭にボーダーのトップたちと一人の少年がいた。おっ秀次も『予知』通りいるな
「御苦労」
顔に傷のある人が言った。この人こそボーダー本部指令の城戸さんだ。そして俺は座るよう指示された少年の隣に座った
迅「おっキミは?」
修「あ・・・三雲です」
迅「ミクモくんね、おれ、迅よろしく」
彼の顔を見ると数年前俺が助けた少年だった。ボーダーに入ったのかと思っていると俺の『サイドエフェクト』で未来が見えた
彼の友人らしき二人の男子、一人は小柄で白い髪の少年、もう一人は180を超えていると思われる身長、日本人のような黒い髪なのにアンバランスな蒼い瞳、鋭い眼が特徴の青年のような少年
そして近々起こると思われる近界民による大規模侵攻
敵と思われる存在達と戦う未来、そして【12枚の黒い羽を持ち黒銀の鎧のようなものを纏った青年がこの三門市を滅ぼす未来】が見えた
迅「・・・・・!?」
修「・・・え?」
俺は思わず彼から退いてしまっていた
「?迅、どうした?」
その時、指令室にいたうちのボスに心配された
迅「あっいや、大丈夫です」
「そうか?ならいいんだが」
そう言って話を進めてもらった。今の最後の未来は絶対に回避しなければならない!
城戸「では、本題に入ろう。昨日から市内に開いているイレギュラー
「待ってください。まだ三雲くんの処分に結論が出ていない」
そう城戸さんに待ったをかけたのはボーダー本部長の忍田さんだ
「結論?そんなもの決まっとろぅ。クビだよ、クビ。重大な隊務規定違反、それを一日に二度だぞ?」
「他のC級隊員にマネされても問題ですし、市民に『ボーダーは緩い』と思われたら困りますからねぇ」
この二人は本部開発室長の鬼怒田さんと根付さんだ。たまに偉そうにしている二人と言われているがこの二人がボーダーからいなくなればその損害は計り知れないものだ。
それほどこの二人もボーダーにとって欠かせない人たちだ
鬼怒田「そもそもコイツのようなルールを守れんヤツを『炙り出す』ためにC級にもトリガーを持たせてるんだ。バカが見つかった。処分する。それだけの話だ」
迅「おお、すごい言われようだな」
修「・・・・・」
すごい人ではあるんだが少し言動が荒いところがある人だ
忍田「私は処分には反対だ。三雲くんは市民の命を救っている」
根付「近界民を倒したのは木虎くんでしょう?」
忍田「その木虎が三雲くんの救助活動の功績が大きいと報告している」
修「・・・・・!」
迅「へえ、あの木虎が」
正直、意外だった。木虎といえば自尊心の高い奴だ。特に同年代に対して負けたくないという対抗心を剥き出しにしている。その木虎が同い年に・・・か。何か心境の変化でもあったんだろうか
忍田「さらに嵐山隊の報告によれば三門第三中学校を襲った
彼を処分するより、B級に昇格させてその能力を発揮してもらう方が有意義だと思うが?」
俺もそうした方がいいと思っているが
城戸「本部長の言うことには一理ある・・・・が、ボーダーのルールを守れない人間は私の組織には必要ない」
まあ、城戸さんはそう言うよな
城戸「三雲くん、もし今日と同じようなことがまた起きたら、きみはどうするかね?」
修「・・・!それは・・・目の前で人が襲われてたら・・・やっぱり助けに行くと思います」
『メガネくん』君はやっぱりそういう選択をするんだな
鬼怒田「ほら見ろ!まるで反省しとらん。クビで決まりだ」
(馬鹿正直なヒーローだな・・・これでクビとはもったいない・・・)
根付「三雲くんの話はもういいでしょう。今はとにかくイレギュラー
先ほどの爆発で分かっているだけでも18名が死亡、重軽傷者は100名以上、建物への被害は数知れず。第一次
確かに今回のは俺も読み逃してしまっていた
根付「このままでは三門市を去る人間も増えるでしょう。被害者への補償も大変な額になりますよ。ねえ、唐沢さん」
そう言って一人煙草を吸っている人に聞いた。外務・営業部長の唐沢さんだ
唐沢「いや、金集めは私の仕事ですから、言ってもらえれば必要なだけ引っ張ってきますよ。
しかし、今日みたいな被害が続くとさすがにスポンサーも手を引くかもしれませんね。開発部長」
鬼怒田「・・・それはわかっとる。しかし開発部総出でもイレギュラー門の原因がつかめんのだ。今はトリオン障壁で
そんな話を聞きながら手元にある端末を見ていた。なるほど、俺の仕事は
「・・・でおまえが呼ばれたわけだ。やれるか?迅」
そう、うちのボス林道さんが聞いてきた。
迅「もちろんです。実力派エリートですから」
鬼怒田・根付「「・・・!?」」
根付「どうにかなるのかね!?」
迅「任せてください。イレギュラー
彼の処分はおれに任せてもらえませんか?」
俺は代わりに彼の事を任せてもらうという条件をだした
城戸「・・・・・彼が関わっているというのか?」
迅「はい、俺の『サイドエフェクト』がそう言ってます」
忍田・三輪「「・・・・・!」」
城戸「・・・いいだろう。好きにやれ」
鬼怒田「城戸指令・・・・!?」
城戸「解散だ。次回の会議は明日21時よりとする」
そして解散となった。
迅「さて、よろしく頼むぞ。『メガネくん』」
修「!は、はい!」
迅「おれが原因見つけてくるから、そのあとはよろしくね、鬼怒田さん」
鬼怒田「わかっとるわい!」
迅「根付さん、根付さん、これ見てこれ」
「瓦礫に埋まって出られなかったんだ」
「それをボーダーが助けてくれて・・・」
「そうそうあのメガネの子」
迅「これ三雲くんのことですよ。根付さんに味付けでうまいことすれば・・・」
根付「ふーむ・・・!ボーダーの株を回復させられるかもしれないねぇ・・・!・・・ん?これは?」
迅「ん?こっちは・・・」
「背の高い青年が私たちを助けてくれたんです」
「すごくかっこよかった!」
「そういえば彼助けてくれたけど彼ボーダーじゃないように見えたよ」
根付「ん~~?これは誰の事いってるんですかねぇ?迅くん?」
迅「・・・・・」
多分これはあの未来で見たあの・・・
そんなこんなで俺はメガネくんと一緒にボーダーを出た。少しメガネくんが遅れて出てきたのはおそらく秀次に何か言われたんだろう
指令室には城戸指令と三輪隊員だけが残っていた
三輪「城戸指令、うちの隊で三雲を見張らせてください。三雲は
城戸「ほう、どういうことだ?」
三輪「今日学校で回収したモールモッドは三雲本人のトリガーで倒されていました。
しかし昨日のバムスターからは
ボーダーのものではないトリガー、すなわち
城戸「・・・なのに彼はそれを
彼はA級7位の三輪隊 隊長、三輪 秀次である
三輪「証拠は挙がっています。すぐにボロを出すはずです」
城戸「なるほど、任せよう」
三輪「もし実際に
城戸「決まっている」
城戸指令の目はどこまでも冷たかった
城戸「始末しろ。近界民は我々の敵だ」
修side
昨日のひと騒動から朝が明けた。昨日の夜、空閑や悠に聞いた。サイドエフェクトとは何か。要するにトリオン能力の高い人間がそのトリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼし稀に超感覚を発現させるらしい
僕は昨日迅さんと約束した場所に移動することにした
そして僕は迅さんと約束した場所についた
迅「よう、メガネくんおまたせ」
修「あ、おはようございます」
待っていると後ろから迅さんの声がした
迅「さあ、この先にイレギュラー
修「!迅さんの知ってる人ですが!?」
驚いた。昨日の今日でもう原因を見つけたのかと。だが
迅「いや、全然」
修「・・・・え!?」
迅「でも多分メガネくんの知り合いだと思うよ」
修「ぼくの・・・!?どういう意味ですか!?」
そう聞きながら歩いているとあるところに着いた
修(ここは・・・)
そこは僕が一昨日大型
遊真「ん?」
悠「・・・・修?」
そこには昨日の夜も話していた悠と空閑が何かをしていた
修「・・・悠!空閑!」
迅「・・・・・」
修「?迅さん?」
迅「・・・ああ、やっぱり知り合い?」
迅さんは最初何か考えていた
遊真「おう、オサム。・・・・とどちらさま?」
迅「おれは迅 悠一!よろしく!」
遊真「ふむ?そうかあんたがウワサの迅さんか」
迅「おまえちびっこいな!何歳だ?」
遊真「おれは空閑 遊真。背は低いけど15歳だよ。そしてこっちが」
空閑がそう言って悠の事も迅さんに紹介しようとしたら
悠「・・・・・」
迅「・・・・・」
二人は何故か互いを見て黙っていた。いったいどうしたんだ?
遊真「?どうしたんだ、悠?」
悠「・・・いや、何でもない。俺は空閑 悠だ。何となく分かっていると思うが遊真の兄だ。俺の事は好きなように呼んでくれ」
迅「・・・ああ、俺は悠って呼ばせてもらうよ。よろしくな。」
悠「ああ、よろしく頼む、迅」
悠が先輩である迅さんにため口を聞いていてさすがに注意した
修「おい悠、迅さんは先輩なんだから、さすがに言葉遣いを」
迅「いや、メガネくんいいよ・・・敬語とかあんまり得意じゃないからそのままでいいよ。よろしくな!悠!」
悠「すまないな。こちらこそよろしく頼む」
そして二人が握手した。険悪にならなくてよかった
迅「遊真、悠、おまえたち
修「・・・!?」
遊真「!」
悠「・・・・・」
その瞬間、空閑が迅さんから離れた。悠も離れはしなかったが少し目を細めたように見えた。その二人に迅さんは慌てて訂正した
迅「いやいや!待て待て!そういうあれじゃない。おまえたちを捕まえるつもりもない。
俺はむこうに何回か行ったこともあるし、
修「・・・・・!」
なんだって!今迅さんはとんでもない事を言った。むこうの世界に行ったことがある?つまり
迅「ただ俺のサイドエフェクトがそう言ったから、ちょっと訊いてみただけだ」
修「迅さんサイドエフェクトって・・・!?」
そして迅さんは話してくれた自分にある副作用のことを
迅「おれには未来が見えるんだ。目の前の人間の少し先の未来が」
修「・・・・未来!?」
悠「・・・・・未来視というやつか」
迅「昨日基地でメガネくんを見たとき今日この場所で誰かと会ってる映像が見えたんだ。その『誰か』がイレギュラー
多分それがこいつらだ」
そう言って迅さんは悠の顔を見ながら空閑の頭をわしわししていた。というか
修「!じゃあ悠、空閑お前達・・・突き止めたのか!?原因を!」
遊真「うん。ついさっき」
悠「イレギュラー門を出していたのはこいつだ」
悠はそう言って他に比べたら小型の
修「・・・!?なんだこいつは・・・!?トリオン兵・・・!?」
レプリカ【詳しくは私が説明しよう】
そう言ってレプリカが空閑の服の中から出てきた
レプリカ【はじめましてジン、私はレプリカ、ユーマにお目付け役だ】
迅「おお、これはどうも。はじめまして」
レプリカ【これは隠密偵察型トリオン兵『ラッド』、ただし
ラッドはバムスターから分離した後地中に隠れ周囲に人がいなくなってから移動を始め散らばっていく。人間の多い場所付近で
悠「ボーダー隊員の近くで
僕はその説明を聞いて納得した。そういうことかと。でも、それなら
修「じゃあつまりそのラッドを全部たおせば・・・」
遊真「いや~きついと思うぞ」
レプリカ【ラッドは攻撃力を持たないいわゆる雑魚だがその数は膨大だ。今探知できるだけでも数千体が既に潜伏している】
その数に僕は驚いた
修「数千・・・!」
遊真「全部殺そうと思ったら何十日もかかりそうだな」
迅「いや、めちゃくちゃ助かった。こっからはボーダーの仕事だ」
悠「・・・ボーダーのお手並み拝見だな」
そして迅さんの指揮のもとC級隊員を動員した小型トリオン兵の一斉駆除作戦が昼夜を徹して行われた
【反応はすべて消えた。ラッドはこれで最後のはずだ】
迅「よーし、作戦終了だ!」
そしてすべてのラッドが倒された。
修「これでもうイレギュラー
迅「うん。今日からまた平常運転だ。」
修「・・・よかった」
本当に良かった。
遊真「しかしホントに間に合うとは。やっぱ数の力は偉大だな」
迅「何言ってんだ。間に合ったのは遊真と悠とレプリカ先生のおかげだよ。お前たちがボーダー隊員じゃないのが残念だ。表彰ものの手柄だぞ」
悠「・・・そうか。ならその手柄は修につけておけ。そのうち俺と遊真で返してもらうさ」
修「・・・え?」
え?
迅「あーそれ、いいかもな。メガネくんの手柄にすればクビ取り消しとB級昇格は間違いないよ」
修「ま、待ってください。ぼく、ほとんど何もしてないですよ!?」
本当にぼくは今回いもしていない。それなのに
迅「メガネくんがいなかったら遊真たちに会えてないし、地味に重要人物なんじゃない?」
修「そんな無理やりな・・・」
遊真「いいじゃん、もらっとけよ。おれたちの手柄がナシになっちゃうじゃん」
修「・・・・・」
それでも、ぼくは・・・
迅「B級に上がれば正隊員だ、基地の外で戦っても怒られないしトリガーも戦闘用のが使える。
俺の経験から言って・・・パワーアップはできるときにしとかないと、いざって時に後悔するぞ。それに確かメガネくんは・・・
助けたい子がいるからボーダーに入ったんじゃなかったっけ?
修「・・・・・!」
そうだ。ぼくは・・・
遊真「・・・ふむ?」
悠「・・・・・・」
そして僕たちは解散したが最後に迅さんが悠に少し残ってほしいらしく悠も残った。ぼくと空閑は先に帰路についた
迅side
・・・・・ようやく、話せる
迅「悠、単刀直入に聞きたい」
悠「・・・・・なんだ」
迅「おまえはこの三門市を滅ぼすつもりか?」
悠「・・・・・・・」
俺が見た三門市が壊滅する未来でその中心に立っていたのは間違いなく悠だ。最初、悠を見たとき確信した。だから俺はこいつに聞かなけらばならない
迅「・・・もし、お前がこの三門市を壊すつもりでいるなら俺は今ここでお前を殺さなくてはいけない」
悠「・・・・・・・」
俺は自分の腰に付いたホルダーから亡き師匠の形見である
悠は視線だけをこちらに向けた。鋭い目、その目が語っていた。いままでのあまりにも壮絶であろう人生を。
俺は未来が見えるだけでその人の過去が見えるわけじゃない。それでもわかってしまう。敵意を向けるのならすぐに殺せる。自分はただの獲物でしかないということが
悠「・・・・・俺は」
そして悠が今の心情を語りだした
悠「俺は、もう戦いはうんざりなんだ。あっちの世界で毎日のように戦いそのたび死んでいく俺と同じ立場の奴らを見てきた。
そんなとき、仲間の一人が教えてくれた。
彼はそんなことを話していた。俺にはわかったことだが、今にも泣いてしまいそうな顔で話していた
悠「・・・だが、世界は俺たちを見放した。仲間が死にそうになっても世界は決して助けてはくれない。あいつらが死ぬ前に言ってた。
【ありがとう】・・・と。俺はあいつらになにもしてやれなかったのに。そしてあいつらは最後に俺に命を託して消えていった」
そう言って悠は首に手をやり紐にかけられた黒銀の指輪を手に取り握りしめた・・・・・まさか
悠「俺は世界を恨んだ。神を憎んだ。だが、俺は、俺たちはもう疲れたんだ。もう休みたいんだ。だから、俺たちはこの国で静かに暮らす。それだけだ。」
そう言って悠は歩き始めた。俺は何もできない。出来るわけがない。
悠「・・・・・・・だが」
そう言って悠はこちらに振り向いた
悠「もしお前らが俺たちを殺そうと言うなら・・・・・俺はこの星を滅ぼそう」
その瞳はどこまでも澄んだ蒼色だった
?side
わたしはある人との約束のため川沿いを歩いていた
(ちょっと早く着きすぎたかな・・・・・)
そう思いながら川沿いをあるいていると後ろからガシャンと大きな音が聞こえた。後ろを見ると
「うーむ・・・手強い」
「全然だな」
倒れている自転車とその自転車に乗って転んだと思われる白い髪が特徴的な少年とその少年のお兄さんのような人がいた。私はとりあえず少年に駆け寄った
「だ、大丈夫!?」
「ふむ?平気平気、ぜんぜん平気、ケガなんかしてないよ」
よかったと思い男の子を見た
(わたしと同じくらいの背・・・小学生かな・・・)
そんなことを思っていると
「次はもっとバランスを取れるようにした方がいいぞ、遊真」
もう一人のお兄さんらしい人がこっちに来た。『お兄さん』・・・か。そんなことを思いながらも私はその人を見て思わず止まってしまった
こっちの男の子とは真逆で180cmはあるかもしれない身長、そしてこれも男の子とは違い黒髪であった。そしてなによりわたしが思わず見惚れてしまったのが彼の瞳だった。
この男の子の赤い瞳と違いどこまでも澄み渡った、まるで空が閉じ込められたのかと思うほどの蒼い瞳であった。わたしはしばらく見て固まってしまったが
「?大丈夫か?」
「!はっはい・・・」
この人に声をかけられ何とか戻った。そして男の子に話しかけた
「自転車の練習してるの?」
「友達を待ってんだ。その間ヒマだから練習してるだけ」
わたしといっしょだ
「そうなんだ。わたしもここで待ち合わせしてるの」
「そうなのか、奇遇だな」
「おまえ・・・自転車乗れる?」
「え?うん、一応・・・」
「・・・・・やるね」
「これを乗れるのか?すごいな」
「そ、そうかな」
すこし照れちゃうな
「こんな絶対転びそうな乗り物がどんな仕掛けでまっすぐ走ってるのかと思ったら、別になんの仕掛けもなかった!驚愕の事実・・・!
これで倒れずに走れるのが不思議だ・・・日本人は何か特別な訓練でもされてるのか?」
(外国の人たちなのかな・・・?)
そんなことを思っていると私の携帯が鳴った。たぶん『修くん』だ
「もしもし。・・・うん、わかった。待ってる、じゃあね。」
「おまえの知り合いか?」
「うん、すこし遅れるみたいで」
何故か会ったばかりの人なのに話してしまう。本当は危ない事だけどこの人は大丈夫な気がする
「それなら、すこしあいつを手伝ってやってくれないか」
「・・・え?」
「俺もあれの乗り方を知らなくて教えられないんだ。だから、頼めないか」
「わっ!大丈夫!?」
「大丈夫、大丈夫」
そして私は男の子に自転車の乗り方を教えてあげている
「おっ?おおっ!?これは!?
走ってる!ちゃんと走ってる!これはつかんできた!だんだんコツ掴んできたぞ!!つかん・・・どぅわー」
「わあ!?」
まだまだ道のりは長そうだね
「いやーあぶなかった。せっかく買った自転車が川の藻屑になるとこだった」
「まったくだ、言っただろう。バランスを取れと」
落ちた男の子と自転車をお兄さんが引き上げた二人ともずぶ濡れだ
「二人とも、大丈夫?」
「うん、大丈夫だ」
「ただ濡れただけで怪我とかはしてないさ」
そう言って二人ともずぶ濡れの服をしぼっていた。あんまり見ないようにした。その時、目の端にお兄さんがしぼっていてお腹の部分が見えてしまった
「・・・・・・・え?」
お兄さんの体は細いけどお腹に筋肉がちゃんとあり6つに割れていた。でも私はそれ以上にそのお腹にあった無数の傷に思わず言葉を失った
「?どうしたんだ?」
「・・・いえ、何でもないです」
私は何も言わなかった。もしかしたら言ってはいけないことだと思って
「でも確実になにかつかめたな」
「フッ・・・そうだといいがな。彼女のおかげだな」
「・・・え?」
「そうだな。おまえのおかげだ。えーと・・・名前まだ聞いてなかったな」
「わたしは千佳、雨取 千佳」
「そうかチカか。おれは遊真。空閑 遊真」
そしてお兄さんも
「俺は空閑 悠だ。好きなように呼んでくれ。遊真を手伝ってくれて助かった。ありがとう」
遊真くんと悠・・・さん?なのかな
千佳「あの遊真くんと悠さん?は」
悠「ああ、兄妹だ。俺が兄だ」
本当に『お兄さん』だったんだ。そんなことを思っていると
ウウーーーーーー
警報が鳴った。ここにいたら駄目だ
遊真「おっ警報、けっこう近いな。でも警戒区域の中か・・・」
悠「みたいだな。こっちには来ないだろう」
ダッ
遊真「ん?」
いますぐここを離れないと
千佳「ごめん!わたし行くね!」
そしてわたしは『警報が鳴った方』に向かった
遊真「おいおいそっちは警戒区域・・・
悠「・・・・・まずいな」
レプリカ【彼女・・・・警報が鳴る前に襲撃に気づいていたように見えたが・・・】
遊真「・・・え?」
悠「・・・遊真、お前はここで修を待っていてくれ。俺が行ってくる」
遊真「わかった」
私は警戒区域の中に入った
千佳(ここまでくれば街の方には行かないよね・・・)
そう思っていると目の前でズシンズシンという音がしたので前を見ると大きな近界民がいた
千佳「・・・・!」
私はすぐにそこから離れて建物の陰に隠れた
千佳(大丈夫、わたしは見つからない。落ち着いて・・・自分を空っぽにするの・・・)
そう思いながら心を無にする。そのとき
ピロリロリとわたしの携帯が鳴ってしまった。
千佳「・・・・・・!!」
終わるのかな・・・そう思い身を任せていたが謎の浮遊感がわたしを襲った。機械のような冷たさではなく、人の体の温もりを感じた
千佳「・・・・・?」
恐る恐る目を開けるとそこには
悠「・・・・ふぅー、危なかったな」
悠さんがわたしを抱えて走っていた
千佳「・・・・悠さん!?」
悠「千佳、大丈夫か?」
千佳「はっはい」
悠「何故、こんなところにいるのかあとで教えてもらうぞ」
千佳「・・・・・」
悠さんはそう言いながら走っていた
悠「・・・さて、どうしたものか。修が早くついてくれるといいんだがな」
千佳「・・・・・え?」
わたしは知っている名前が出てきてびっくりした
千佳「『修』・・・?」
悠「修を知ってるのか?・・・修にもあとでいろいろ聞く必要があるな」
そう悠さんが言っていると目の前の近界民がいきなり後ろを向いた。その先には修くんがいた
修「アステロイド!・・・スラスターON!」
修くんは目の前にいた
修「千佳!!なんでおまえが警戒区域に入ってるんだ!バカなことはやめろ!悠、千佳を助けてくれてありがとう!」
千佳「ごめん。街の方にいたらあぶないと思って・・・」
修くんにおこられてしまった。それとどうやら修くんと悠さんと遊真くんは知り合いみたいだ
悠「修、説明しろ。お前は千佳と知り合いということでいいんだな」
修「・・・・・ああ、今日は千佳に合わせたくておまえたちを呼んだんだ。悠、空閑、レプリカ、お前たちの知恵を貸してくれ」
そして修くんは話した
修「こいつは
わたしの秘密を
悠「・・・・・」
遊真「ふむ・・・・・?」