悠side
俺たちは修と別れたあと近くにあった人気のない神社に来ていた
遊真「おお~いい感じのところだな」
千佳「そうかな。人が来ないし場所もちょうどいいからときどき隠れ家に使わせてもらってるの」
悠「なるほど、確かにいいところだ」
遊真「まあ飯でも食ってオサムを待とうぜ」
千佳「うん」
俺たちはそう言って神社の腰かけた。そして俺たちは飯を食べていると
千佳「遊真くんも・・・本当に
遊真「そうだよ。悠も言ったんだよな」
悠「ああ、俺も
遊真「あ、でも俺も悠もこの街を襲ってるやつらとはカンケーないよ」
千佳「うん、わかってる。修くんにも聞いたから」
そして千佳は何か言いたそうにしていた
千佳「・・・・・・あのね、遊真くんに聞きたいことがあるんだ」
遊真「ふむ?なに?」
千佳「
千佳がそんな質問をしてきた。
遊真「ふーむ、それはさらわれた『国』によるかな」
悠「そうだな」
千佳「『国』・・・!?」
悠「そうだな。
遊真「
だからさらわれてった国の状況・・・戦争に勝ってるか負けてるか兵隊を鍛える余裕があるかないか、司令官がデキるやつかダメなやつか、いろんな事情で話は変わってくる」
悠「だが、トリオン能力も高い人間は
遊真「チカとか超大事にされるかも」
悠「?修からなんとなくしか聞いてないがそこまでなのか?」
遊真「うん。やばいよ」
それが千佳が狙われる理由か
千佳「じゃ・・・じゃあ、さらわれた人がむこうで生きてるってことも・・・」
遊真「ふつうにあると思うよ」
千佳「そっか・・・そうなんだ・・・」
そして千佳はどこか安心したような顔をした・・・なにかありそうだな
遊真「なんだ?だれか知り合いがさらわれたのか?」
千佳「・・・ううん、ちがうの。ちょっと気になっただけ」
そう言った千佳を遊真がじっと見つめた。嘘か
遊真「・・・おまえ、つまんないウソつくね」
千佳「えっ」
遊真「こっちだけしゃべらせてそっちはヒミツかー。まあいいやあとでオサムに訊こう」
悠「・・・そんなに言えないことなのか?」
千佳「ごっごめん。待って待って!」
そう言って千佳は真実を話した
千佳「えっとね・・・ほんとはそうなの。
悠「・・・・・」
千佳「二人がさらわれたのはわたしのせいなの。二人ともわたしが相談なんかして巻き込んだから・・・」
遊真「なるほど・・・だからもう他の人には頼りたくないって言ってたわけか、ボーダーとかにも」
千佳「うん・・・だって迷惑かけるだけだから・・・」
遊真「まあキモチはわからんでもないけどなー。おれと悠も今回オサムとチカを巻き込んだし・・・」
悠「確かにな。俺たちを匿っていたからな、それで修の昇級をふいにしたかもな」
遊真「もうしわけないな」
修は自分のことよりも俺たちを優先してくれていたからな
千佳「それは大丈夫だよ。修くんはたぶんそんなこと気にしない。『自分の意志でやったことだ』『おまえたちが気にすることじゃない』・・・って言うよ、たぶん」
悠「・・・フッ」
遊真「うーむ、言いそう」
確かに修が言いそうな事ですこし吹いてしまった
千佳「修くんはさっきも自分じゃなくて遊真くんの心配してたよ」
遊真「あいつは自分の心配と他人の心配のバランスがおかしいからな」
悠「そうだな。それに遊真は心配する必要はないんだがな」
千佳「え、でもボーダーの人が遊真くんと悠君を狙ってくるんでしょ?」
千佳はそう言って俺たちを心配してくれた。うれしいことだが
遊真「ボーダーが何人で来ようと、本気でやればおれとレプリカが負けるような相手はいないよ」
遊真はそう言っていたが俺は一人遊真では勝てるかわからない奴がいる
遊真「・・・いや、一人だけいるか・・・迅さん」
千佳「あのおでこにサングラスの人・・・?」
遊真「そう」
遊真では迅に勝てるかわからない・・・だが
遊真「でも、もし悠が戦うと決めれば迅さんでも勝てないよ」
千佳「・・・え?」
そう言って千佳がこちらを見てきた
遊真「おれが知ってる中で最強は悠だからな」
千佳「でも、悠くんはトリガーを」
悠「持ってるぞ」
千佳「え?持ってるの?」
悠「ああ」
そう言って俺は首からさげている
千佳「・・・きれいだね」
悠「・・・ああ、そうだな」
そう言って俺は指輪を握りしめた。千佳はそんな俺を不思議そうに見ていた
遊真「それに、迅さんは敵にはならないよ」
千佳「・・・え?」
悠「フッ・・・そうだろうな」
修side
迅「それは出来ません」
今、目の前では城戸指令が迅さんに空閑の
鬼怒田「何ィ!?」
根付「どういうことかね?迅くん、最高司令官の命令に従えないと?」
迅「おれは玉狛支部の人間です。城戸指令に直接の指揮権はありません。おれを使いたいなら林藤支部長を通してください」
やっぱり迅さんは・・・
鬼怒田「何をまどろっこしいことを・・・結局は同じことだろうが」
城戸「・・・・・林藤支部長命令したまえ」
林藤「やれやれ・・・支部長命令だ迅、
迅「はい」
修「・・・!」
そんな!
林藤「ただし、やり方はおまえに任せる」
城戸「・・・!?」
!?いったいどういう・・・
迅ニッ「了解!支部長。実力派エリート迅、支部長命令により任務を遂行します!」
迅さん・・・!
城戸「・・・・・林藤・・・!」
林藤「ご心配なく城戸さん、ご存じの通りウチの隊員は優秀ですから」
迅「さあて行くかメガネくん」
修「・・・はい!」
やっぱりこの人は・・・他の人とちがう・・・!
鬼怒田「やはり玉狛なんぞに任せておけん!忍田くん、本部からも部隊を出せ!」
忍田「城戸司令が決めたことだ。迅に任せればいいだろう」
鬼怒田「それはそうだが・・・」
唐沢「・・・・・三雲くん、ちょっといいかな」
修「・・・えっ?はい」
どうしたんだろう?
唐沢「きみの友人の
修「目的・・・ですか?」
唐沢「そうだ。『相手が何を求めているのか』それがわかれば交渉が可能だ。たとえ別世界の住人でも」
鬼怒田「交渉・・・!?
唐沢「排除するより利用できないかと考えてしまうんですよ。根が欲張りなもので」
目的・・・そういえば
修「『父親の知り合いがボーダーにいる』『その知り合いに会いに来た』・・・たしかそう言ってました」
忍田「ボーダーに知り合い・・・!?誰のことだ?」
修「いや、名前は聞いてないんですが・・・」
鬼怒田「曖昧過ぎて何の足しにもならん話だな!」
根付「キミの作り話じゃないだろうねぇ?」
確かにそうだ。ぼくの話だけじゃ
唐沢「その『父親』の名前は?・・・いや、きみの友人たち本人の名前でもいい」
修「父親の名前は知りませんが、本人の名前は・・・空閑 遊真と空閑 悠です」
空閑達の名前を言った瞬間
林藤「『空閑』・・・!?」
忍田「『空閑』・・・!?」
城戸「『空閑』・・・だと・・・!?」
どういうことだ!?もしかしてこの三人が空閑の親父さんの知り合い・・・?
悠side
千佳「そういえば悠くんと遊真くんってどうして
突然、千佳がそんなことを訊いてきた。この質問に遊真が
遊真「親父が死んだから」
千佳「えっ、ご・・・ごめん」
遊真「いいよ、そんなべつに」
遊真はそう言った。俺の場合、本当は違うのだがそれは後日修も一緒にいるときに話すとしよう。こいつらになら話してもいいだろう
遊真「ちっちゃい頃から、親父と・・・悠と三人であちこちの国まわってて、たしかおれが11の時に親父が死んだ。
『もしオレが死んだら日本へ行け』『知り合いがボーダーっていう組織にいるはずだ』親父がよくそう言ってたから日本に来たんだ」
千佳「・・・そうだったんだ」
遊真「親父はボーダーのことを
悠「・・・実際に
遊真「親父に聞いてた話とだいぶちがうな」
千佳「そうなんだ・・・お父さんってどんな人だったの?」
千佳はそう聞いてきた
遊真「変な人だったよ・・・例えばおれが6歳のときに聞かされた親父の『3つの教え』ってのがあるんだけど」
千佳「『3つの教え』・・・?」
遊真「その1『自分のことは自分で守れ』[親はいつでもおまえを守れるわけじゃない][自分でどうにかできないものには近づくな][想像力を働かせて危険を避けろ]
その2『正解はひとつじゃない』[物事にはいろんな解決法がある][逆に解決法がないときもある][ひとつのやり方に狙われるな]
そして、その3『親の言うことが正しいと思うな』
千佳「・・・!?」
遊真「・・・な?」
確かに変わった父親だと俺も
千佳「たしかに変わったお父さんだね」
遊真「だろ?まあそういう親父だったから、
問題は・・・『親父の知り合い』がまだボーダーにいるのかどうかだな」
修side
城戸「『空閑』・・・『空閑 有吾』か・・・!?」
城戸司令、忍田本部長、林藤支部長・・・この人たちが
鬼怒田「クガ・・・?何者ですかな、そのクガとやらは?」
根付「我々にもご説明願いたいですねぇ」
その言葉に忍田本部長が説明してくれた
忍田「空閑 有吾・・・有吾さんは・・・4年半前にボーダーの存在が公になる以前から活動していた、言わばボーダーの創設に関わった人間。ボーダーの最初期のメンバーの一人だ。
私と林藤にとっては先輩にあたり、城戸さんにとっては同輩にあたる」
空閑の親父さんがボーダーの創設期の一人!
修(あいつら適当なことを・・・いや、単に知らなかっただけか?)
忍田「有吾さんは・・・その子の親は今どこに?きみは聞いてないか?」
空閑の親父さんは・・・
修「亡くなったと聞いてます」
忍田「!?」
城戸「・・・・・」
林藤「・・・!」
三人とも驚いたようななんとも言い難い顔をしていた
忍田「・・・・・そうか。
・・・しかし、そういうことならこれ以上部隊を繰り出す必要はないな。有吾さんの子と争う理由などない」
城戸「・・・まだ空閑の子お確認できたわけではない。名を騙っている可能性もある」
忍田「それはあとで調べればわかることだ。迅、三雲くん
修「・・・はい!」
迅「そのつもりです、忍田さん」
城戸「・・・では解散とする。進展があれば報告するように」
僕たちはそう言って指令室から出た。何人か残っていた人たちがいたがぼくが気にするべきはこの後だ。悠と空閑をどうするか。それを考えながら帰路についた
悠side
遊真「おっ来た来た。オサムと迅さん」
俺たちは神社から出て歩いていると奥の方から修と迅が歩いてきた
悠「どうだった修?」
修「処分はひとまず保留になった」
遊真「おーそりゃよかった。一安心だな」
修「まだ安心じゃない、ボーダーが空閑のトリガーを狙ってくる可能性があるんだ」
悠「・・・諦めるわけはないか」
黒トリガーは確かにそれほど価値はあるからな・・・・・だが、気に入らないのも確かだ
修「・・・これからどうすればいいですか?迅さん」
迅「うーん、そうだな。いろいろ考えたけどこういう場合はやっぱシンプルなやり方が一番だな」
修「シンプルな・・・」
遊真「やり方・・・?」
なにを言うつもりだ?
迅「・・・うん。たぶん悠は断ると思うけど・・・悠、遊真おまえらさ・・・ボーダーに入んない?」
修「・・・!?」
悠「・・・・・なに?」
遊真「おれが・・・!?」
・・・なんの冗談だ?
修「空閑と悠をボーダーに入れる・・・!?」
迅「おっと、別に本部に連れていくわけじゃないぞ。ウチの支部に来ないかって話だよ。
ウチの隊員は近界民の世界に行ったことあるやつが多いからおまえらが
遊真は
遊真「ふむ・・・オサムとチカが一緒ならいいよ」
修・千佳「「!」」
迅「よしじゃあ遊真は決まりだな・・・悠はどうだ?」
そう言って迅はこちらを見てきた
悠「・・・まず、はっきりさせたい」
迅「・・・・・ああ」
悠「俺は以前、お前に言ったはずだ。もう戦わないために日本に来たと。静かに暮らすために来たと」
迅「・・・・・」
修「・・・悠?」
千佳「・・・・・」
俺は・・・もう戦わない。そう決めた
悠「そんな俺に、お前はボーダーに入れというのか」
迅「・・・そうだ」
悠「・・・・・」
だが、行くだけなら別に・・・構わないか
悠「・・・はあー・・・案内しろ」
迅「・・・え?」
悠「お前が言ったんだぞ。お試しで来たらどうだと。それなら別に構わないさ」
迅「!?ああ!!こっちだついてきてくれ!」
そういって迅は先頭を歩いた・・・やれやれ
遊真「・・・よかったのか?もう戦わないつもりだったんだろう?」
悠「・・・ああ、そのつもりだった・・・でもな」
俺はそう言って前にいる修と千佳を見た。この国で初めてできた友達のあの二人がどことなく
悠「・・・危なっかしくて放っておけない、それだけだ」
遊真「・・・そっか」
そんなことを話しながら俺たちは迅に続いて玉狛支部とやらに向かった。そして
迅「さあ、着いた。ここが我らボーダー玉狛支部だ」
着いた場所は何故か川の上に建っている建物であった
修「川の真ん中に建物が・・・!」
迅「ここは元々は川の何かを調査する施設で使われなくなったのを買い取って基地を建てたらしい。いいだろ」
確かに敵に攻め込まれにくいいい場所だな
迅「隊員は出払ってるっぽいけど何人かは基地にいるかな?ただいまー」
そんなこんなで建物に入るとそこには
「しんいりか・・・」
奇妙な生き物に乗った子供が一人いた
迅「陽太郎ただいま。あと『新入りか』じゃない」
陽太郎「おぶっ」
修「・・・・・」
遊真「・・・ふむ」
そんな子供を見ていると
「迅さんおかえり~」
2階の方から声が聞こえてきた。そっちを見ると修と同じでメガネをかけた女がいた
「あれっえ?何?もしかしてお客さん!?
やばい!お菓子ないかも!待って待って!ちょっと待って!」
何やらドタバタしていた
宇佐美「どら焼きしかなかったけど・・・でもこのどら焼きいいやつだから食べて食べて。アタシ宇佐美 栞よろしくね!」
遊真「これはこれはりっぱなものを・・・」
修「いただきます」
悠「・・・どら焼きか」
そうして食べようとしていると遊真の目の前にあるどら焼きをさっきの子供が横取りしようとしていた
宇佐美「あっ陽太郎!あんたはもう自分の食べたでしょう!」
陽太郎「あまいなしおりちゃん、ひとつでまんぞくするおれではない
おぶっ
食べようとしていたどら焼きを遊真が取り返していた
遊真「わるいなちびすけ。おれはこのどら焼きというやつに興味がある」
陽太郎「ぶぐぐ・・・おれのどらやき・・・」
こうしてみるとこの子供ほどではなかったがあの双子の姉妹を思い出した。
悠「・・・食べるといい」
陽太郎「・・・・!」
宇佐美「ごっごめんね!こら!陽太郎あんたねー」
悠「別にいいさ。正直言って俺は今あまり腹がすいていないんだ。それなら腹がすいている子供にあげた方がいいだろう」
俺はそう言いながらいつの間にか俺の膝の上にいる子供・・・陽太郎と言ったか。この子の頭を撫でた
宇佐美「・・・こんな陽太郎、はじめて見た」
悠「・・・子供ってのは小さい時にいっぱい食べないとな」
俺はそう言いながら陽太郎が満足するまで撫でていた。気が付くと陽太郎は寝ていた
修「なんていうかここは本部とは全然雰囲気が違いますね・・・」
宇佐美「・・・えっ?そう?」
宇佐美はすこし惚けていたが気を取り直したように話す
宇佐美「まあウチはスタッフ全員で10人しかいないちっちゃい基地だからねー。
でも、はっきり言って強いよ」
修「!」
悠「・・・ほう」
宇佐美「ウチの防衛隊員は迅さん以外に3人しかいないけどみんなA級レベルのデキるひとだよ。玉狛支部は少数精鋭の実力派集団なのだ!」
少数精鋭の部隊・・・か
宇佐美「キミもウチに入る?メガネ人口増やそうぜ」
修「・・・・・」
そんな話をしていると
千佳「あの・・・さっきあの迅さん・・・が言ってたんですけど宇佐美さんも
宇佐美「うん、あるよ。1回だけだけど」
千佳・・・おまえ
千佳「じゃあ・・・その
修「・・・!?」
宇佐美「それはねーA級隊員の中から選抜試験で選ぶんだよね。大体は部隊単位で選ばれるからアタシもくっついて行ったんだけど」
千佳「A級隊員・・・ってやっぱりすごいんですよね・・・」
宇佐美「400人のC級、100人のB級のさらに上だからね。そりゃツワモノ揃いだよ」
やっぱり気になっていたか。あの遊真の話を聞いた時からか。
迅「よう、4人とも。親御さんに連絡して今日は玉狛に泊まってけ。ここなら本部の人たちも追ってこないし空き部屋もたくさんある。宇佐美面倒見てやって」
宇佐美「了解」
迅「遊真、メガネくん、悠、来てくれ。うちの支部長が会いたいって」
俺たちはそう言われ行くことになった俺は膝の上にいる陽太郎をソファに寝かせ向かった
迅「失礼します。三人を連れてきました」
林藤「おっ来たな。おまえたちが空閑さんの息子か・・・」
支部長と言われた男は俺の方を見ていた。どこか探るように
林藤「はじめまして」
遊真「どうも」
悠「・・・・・」
林藤「いろいろ聞きたいことがあったんだが、まずなによりも先に聞いておかなきゃいけないことが出来ちまった」
そして男は俺の方を見て
林藤「正直に答えてくれ・・・・・・お前は、空閑さんの息子か?」
そう言ってきた・・・なるほど、ちゃんとできる上司のようだな
修「・・・え?なっなに言ってるんですか?そんなのあたりま・・・!」
俺は修が言い切る前に手で制した。修にも真実を言わなくてはいけない
悠「・・・ああ、俺は空閑じゃない」
修「・・・・・え?」
遊真「・・・・・」
迅「・・・・・!」
林藤「・・・やっぱりそうか」
俺は真実を話した。俺は空閑という性ではないということを
修「・・・どういうことだよ!!悠!お前は空閑の兄じゃなかったのか!!」
悠「俺もこの日本を目指していてその道中で遊真と会ったんだ。最初は互いを警戒していたが少しずつお互いのことを知ることが出来た」
迅「・・・・・」
悠「そして目的地が同じで日本では苗字が必要だと知った。だから俺は遊真の苗字『空閑』を名乗っていた」
修「意味がわからないぞ!自分の苗字を名乗れば」
悠「自分の苗字なんてとっくの昔に忘れたさ」
修「・・・・・え?」
俺はいままでの自分の過去を話した。
もう忘れてしまった故郷からトリオン兵に囚われ見知らぬ国に連れ去られたこと。
そこでいろんな奴らと出会い仲間と呼べる存在が出来たこと。
奴隷として毎日戦い続け最後に仲間が自分にすべてを託して死んだこと。
俺はすべてを話した。まだ、林藤や迅を信用しきったわけではないが、修には知っていてもらうべきだと思った
修「・・・・・そっそんなことが!?」
迅「・・・・・・!?」
林藤「・・・そうか」
すでに事情を知っている遊真以外の三人が顔を伏せていた・・・これ以上ここにいてもしょうがないな
悠「・・・俺は先に出ている。用があれば声をかけろ」
俺はそう言って部屋を出た
修「悠に・・・あんな過去が・・・」
修はいまだ理解できないでいた。そんな過去をもった人間を見たことがなかった
林藤「・・・遊真、お前は知ってたのか?」
遊真「うん、一緒にこの国に向かう途中で聞いた」
林藤「・・・そうか」
林藤も一体なにを言えばいいかわからなくなっていた。最初に見たときに思った。澄んだ蒼い瞳の中にどこか黒く冷たい感じがしたからである。
それに、もう忘れてしまった故郷、それも気になっていた
迅「・・・・・」
迅もあの時の悠を思い出していた。
『
あの時あいつは・・・
俺は屋上に出てこの街を眺めていた。そこにはどこまでも平和な世界が広がっていた
悠「・・・この景色をお前たちと一緒に見るはずだったのにな」
俺は指輪を握りしめながらそう呟いた。
ガタン悠「・・・・・」
迅「・・・よう、悠」
後ろの扉が開いたと思えば迅が来た
悠「・・・どうした?」
迅「いや、ちょっとな」
そして迅は俺の横にきた
迅「遊真なんだけどさ、ウチに入るってさ」
悠「そうか」
迅「驚かないのか?」
悠「おおかた修と千佳が関係してるんだろ」
迅「・・・ああ、そうだ」
どうやら、千佳が遠征隊というのを目指したいらしくそれを聞いた修が遊真を誘ったらしい・・・やれやれ
悠「・・・本当に、お人好しが過ぎるな」
迅「そうだな・・・なあ、悠」
そう言って迅はこちらに頭を下げてきた
迅「・・・すまなかった」
悠「・・・なにがだ?」
迅「・・・俺は結局自分の事ばかりだ。未来をいい方向に向けるために俺はお前を利用しようとした。
・・・本当にすまない」
そういって何回も頭を下げてきた。今にも罪悪感に押しつぶされそうな顔で
悠「・・・未来視ってのも難儀なものだな」
迅「・・・・・」
悠「俺はボーダーには入らない」
迅「・・・ああ」
悠「だがな」
俺はそう言って迅の方を向いた
悠「俺に・・・お前の真価を見せてみろ」
迅「・・・・え?」
悠「そうすれば一度くらいはお前に力を貸してやる」
迅「・・・ああ、任せてくれ」
俺はそう言って屋上から出て行った