燃え盛る町、沢山の瓦礫の中で3人の人物が地面へと置かれた盾を囲むように立っている。
高そうな服に身を包んでいる気の強そうな銀髪の女性、オルガマリー・アニムスフィア。
現代ではとても考えられない鎧といった服装で銀髪をショートカットにした少女、マシュ・キリエライト。
そして普通の少年、藤丸立香。
彼らは、カルデアにて起こったとある出来事によりこの場へと来ていた。
突如として、崩壊した町にて目を覚ました立香はマシュと再開しオルガマリーと合流しこの特異点の攻略を進めるため、マシュの盾を通し英霊を呼び出す事となったのだった。
「いい、さっき私が説明した通りに詠唱しなさい。」
「は、はい所長。」
オルガマリーがそう言って此方を睨み付けてくる中で、立香……俺は令呪の刻まれた手をマシュの盾へと翳す。
「せ、先輩!頑張って下さい!」
「うん、頑張るよマシュ。スゥ───」
一度瞼を閉じて深呼吸し、翳している手に力を入れ目を開いた。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公
降り立つ風には壁を、四方の門は閉じ
王冠より出て、王国に至る三叉路は循環せよ
ただ、満たされる刻を破却する。」
オルガマリー所長から教わったばかりの長文の詠唱を間違えぬように詠唱していく。
マシュの盾から三つの光の輪が浮かび上がり、高速で回転を始める。その光景はどこか神秘的で、綺麗だと思った。
「────告げる。
汝の身は我が元に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意この理に答えよ
誓いを此処に、我は常世総ての善となる者
我は常世総ての悪を敷くもの
汝、三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」
全ての詠唱を終えた瞬間、回転していた光の輪が収束し弾け、それと共にマシュの盾から光の柱が昇る。
あまりの眩しさに瞼を閉じて、両手を顔の前にクロスさせて光を遮る。軈て光が収まり、先程の光の柱が昇っていた場所を見る。
そこには、長い銀髪に琥珀色の瞳を持つ学生服の少女が涙目で此方を見ていた。
…………涙目!?
「君、大丈夫?」
「ヒッ!?」
心配し近寄ろうと一歩を踏み出すと少女は二歩後ろへ下がった。
「これが、英霊?」
「そのようです。先輩、その方は?」
マシュがそう聞いてくるけど、俺にもこの子の名前が何なのかはわからない。どう返事しようものかと考えていた、その時だった。
「さ、サーヴァントアルターエゴ。イリヤ、です……。あの、戦えないサーヴァントだから、放って置いてください。」
少女が小さな声で、怯えながらも恐る恐ると話した。
「ハァ!?戦えないサーヴァントなんてありえないわ、ロマニ!すぐに確認しなさい!」
「ヒゥ!?」
所長がありえないと、強気で大声を上げたからかイリヤと名乗った少女は小さく悲鳴を挙げて目から涙が溢れそうになっている。
すると、機械の通知が聞こえ目の前にドクターの姿が写し出される。
『えっと、所長。その子のステータスなんですが………全て最低値です。それと、今調べてみたんだけど《イリヤ》と言う名前の英雄は確認できなかったよ』
「何よそれ!?そんなステータスでどう戦うって言うのよ!?」
『っと!気を付けてみんな!近くにエネミーの反応が近付いてきてる!』
そう叫ぶ所長の背後から、先程みたスケルトンのような怪物、竜牙兵が向かってきていた。
「所長、下がって下しい!マシュ・キリエライト、行きます!」
即座にマシュが竜牙兵へとその大きな盾を振るう。盾により吐き飛ばされてたり、折れたりする竜牙兵。戦いはマシュの方が押しているように見える。
その時だった、一体の竜牙兵がマシュの攻撃を避け此方へと向かって来た。
「ッ!先輩!所長!!」
マシュの焦った声が聞こえた時には、竜牙兵がオルガマリー所長の元へと近付き手に握る剣を振り下ろそうと掲げていた。見れば、オルガマリー所長の顔は真っ青になっており動けなさそうだった。
このまま行けば、所長が死んでしまうことは容易に想像できた。手を伸ばしても間に合わない、その時だった。
竜牙兵の頭部が体から切り離された。
「へ?」
竜牙兵の頭が地面を転がり、体はオルガマリーの横に倒れ消滅する。死なずに済み安堵したのかオルガマリー所長は地面へと座り込んた。
何が起こった?そう思い、ふと先程あの少女の事を思い出した。
召喚した英霊、アルターエゴ。イリヤと名乗った酷く怯えていた彼女は1体何処に?
そう思い周囲を見渡すと答えはすぐに出た、所長の目の前にその少女は立っていた。先程までの怯えた様子は無く、顔は無表情のまま。だが、髪型がツーサイドアップに変わりその両手には先程までの持っていなかった黒い双剣が握られていた。先程までの戦闘は出来ないと言って怯えていた彼女がたった一回、あの黒い双剣を振るっただけで、あの骨の化け物、竜牙兵を?
見ればマシュも所長も彼女を見て驚き、固まっているなかカルデアからの連絡を知らせるアラートが鳴り、ドクターの姿が写し出される。その顔から驚愕の感情が見て取れた。まさか、まだ敵が来るのか?
『大変だみんな!』
「どうしたのドクター?」
「さっき立香くんが呼び出したサーヴァントのステータスが!いや、ステータスだけじゃない、クラスまで変わってるんだ!」
「は、はぁ!?ステータスならまだしも、クラスが変わるなんてありえないわよ!?」
そう言って驚きの声を上げるオルガマリー所長、後ろでもマシュが目を見開いてる。
「えっと、凄い事?なんですか所長」
「サーヴァントは元々、一つのクラスに当てはめられ召喚されるの。剣を使っていた逸話のある英雄ならセイバー、槍ならランサーとかね。」
「サーヴァントの基本的なクラスはセイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七つです、他にもエクストラクラスであるルーラー、アヴェンジャーが確認されているんですよ、先輩。」
「そうなんだ……結構たくさんあるんだね。」
『マシュや所長の言うとおり、本来ならば英霊のクラスはそのクラスになったまま変化しないものなんだ。』
「じゃあイリヤちゃんが変化したのはありえないこと、なの?」
『そうだね、ステータスに関してはそのサーヴァントの知名度。どれだけ有名かでそのサーヴァントのステータスが変化するんだ。有名ならステータスが上昇するけど、逆に知名度が低いとステータスが生前よりも低かったりするんだ。』
じゃあ、クラスまで変わったイリヤちゃんは一体?そう思いながら、いつの間にか双剣を何処かにしまったのか手ぶらの彼女を見る。
最初はそのままストレートヘアーだったはずなのに、いつのまにか左右を小さく結んだツーサイドアップに変わり泣きそうで怯えていた顔は、何もなく先程から無表情に変わっている。
「えっと、イリヤさんどういう事か教えて貰頂いても?」
「ナイ」
そう言ってイリヤちゃんは首を左右に振った。
「えっと?」
「私は、イリヤじゃない。ユリエ」
その言葉に思わず首を傾げた。ユリエ、人名だと思うけど、さっき彼女はイリヤと名乗っていたはず。
「私はユリエ・シグトゥーナ。クラスはアヴェンジャー」
「イリヤさんじゃないのですか!?でも霊基そのものはアルターエゴであるイリヤさんのはず……」
確かに、ドクターも彼女の霊基のクラスやステータスが変化したといっていた。
「ヤー、この身体は先ほどイリヤから借りました」
「と、言いますと?」
『君はイリヤだけどイリヤじゃない存在、と言う訳かな?』
「ヤー、そこに映ってる男の言う通り。」
「えっと、説明して貰ってもよろしいでしょうか?」
確かに、イリヤちゃんだけどイリヤちゃんじゃない。二重人格だろうか?
「イリヤには一つ、特別なステータスがあります。」
「え?」
「ロマニ!さっき彼女?のスータスは全て最低値だと言ってたわよね?」
『待ってくれ、いま確認して──あ””。あー、所長その……一つだけ、EXのステータスがありました。えっと、イリヤちゃん?のクラススキル【依り代】です』
「依り代?」
「ヤー。私はイリヤの体に憑依することで、戦う事が出来る。彼女は私を呼び、受け入れる依り代。戦えない彼女の変わりに、私が戦うんです。」
「何故、ユリエさんが?それと何故イリヤさんは私や先輩に酷く、怯えていたのでしょうか?先輩や私は何も危害を加えたり、怖い顔はしていなかったかと。」
「イリヤは対人恐怖症でトラウマ持ち、特定の人物以外にはずっと怯え続ける。」
「そんなんでどうやって英霊になったのよ……」
所長から困惑の籠った声が溜め息と共に吐かれた。確かに、どうやって英霊?になったんだろ?
対人恐怖症で、トラウマ持ちだなんて、一体何が?
「取り敢えず今はその事は置いておいて、この特異点の攻略を進めましょう。」
「マシュの言う通りね」
その時だった。
『大変だみんな!こっちに向かってくる反応がある!』
ドクターの声に全員の顔が真剣になり、マシュは盾を、ユリエ?は先程の黒い双剣を構える。
すると現れたのは高身長で、腰まで伸びた長い髪を持ち目をアイマスクのような物で隠している女性が現れた。
「まさか、あれってサーヴァント!?」
所長が驚愕した様子でそう言った。確かに先程までの竜牙兵とは違う、なにも知らない俺でも分かった。
サーヴァント、マシュと同じような存在?なのか?
「ライダーなら、ボクの出番のようだね。」
『また彼女のステータスが変わった……今度はアーチャー!?』
その声と共に、まるでゲームで大砲を撃ったときのような音が聞こえ現れた女性を吹き飛ばした。
見るとユリエ?いやイリヤがまた姿を変えていた。
腰まで延びる銀髪に青い瞳、セーラー服を着用し頭に同じ前鍔のある帽子を被った容姿に変わり、両脇から軍艦の大砲のような物が飛び出ていた。
「司令官、これより敵の排除を開始するよ」
そう言ってイリヤ?ちゃんはまるで地面を滑るようにして吹き飛ばしたサーヴァントへと向かっていく。
「攻撃射程内、やりますか」
その声と共に背中に身に付けた武装?軍艦の大砲をライダーへと向け発砲する。
シャドーサーヴァントはそれを避け、イリヤ?ちゃんへと駆けていく。イリヤ?ちゃんはその場から動くことなく、背中に背中の大砲でシャドーサーヴァントへと発砲を繰り返す。
だが、砲丸はシャドーサーヴァントに当たらずシャドーサーヴァントほイリヤ?ちゃんへと接近し続ける。
イリヤ?ちゃんは見たところ近距離武装はなさそう、このまま近付かれたら不味いんじゃ。
「ッ!」
接近したシャドーサーヴァントが鎖のついた短剣で、彼女の首を斬ろうと短剣を振るう。
イリヤ?ちゃんの首へと向かう短剣、最悪の光景が脳内に浮かび上がる。
だが、彼女は恐れるわけでも絶望する訳でもなくまるで獲物を前にした猛禽類のような笑みを浮かべた。
「この距離なら、外さないよ」
「ッ!?」
その声と共に背中の大砲から放たれる砲丸はシャドーサーヴァントの腹にと大きな穴を開けた。崩れ落ち、光の粒子と共に消えるシャドーサーヴァント。
「ハラショー。さて、移動を再開しようか司令官?」
そう言いながら地面を滑るようにして此方へと戻ってきたイリヤ?ちゃんは先程に見たアヴェンジャーとは違う人のような気がした。
「君は、ユリエちゃん………じゃあないしイリヤちゃん?でもないよね?」
「そうだね。私はユリエじゃないし、
彼女の名前?なのだろうか、チラリとマシュの方を見るが首を横に振っているので恐らくは知らないのだろう。所長も頭に?を浮かべていた。
「不死鳥って事はかなり凄い英霊?幽霊?なのかな………えっと、ドクター?」
そう言うと、アラートと共にロマニの姿が宙に写し出される。
『えっと響の名前で調べてみたけど、響と言う名前の英雄は見付からなかったよ。本当にそれが彼女の真名なんだよね?』
「確かに私は英雄ではないよ。私は人ではないからね」
人じゃない?どういう意味なんだろう?
『それは、一体……ッ!?みんな!今すぐそこから離れるんだ!さっきと同じ反応が近付いて来てる!』
ドクターの声に所長とマシュの表情が強張る。
さっきみたいや奴が、また来るのか!?
「マシュ!藤丸!撤退よ、すぐにここから離れるわよ!」
所長の声と共に走り出す。
マシュが一番前を走り、所長、俺、響ちゃんと続く。響ちゃんは先程と同じ様に地面を滑るようにして俺たちの後ろを付いてくる。
これでもし前から攻撃が来てもマシュが防いでくれるし、背後は響ちゃんに守って貰える。
「はぁ、はぁ……どういうことよ、なんでサーヴァントがいるの!?」
『そうだ!聖杯戦争、この町では聖杯戦争が行われていたんだ!でも、何かが狂った状態になっている……だからマスターのいないサーヴァントがいても不思議じゃない!』
所長が走りながら言った言葉にドクターが解説を話す。聖杯戦争、たしかさっきイリヤちゃん?を召喚する前に所長が説明してくれた、あの?
『それに、サーヴァントの敵はサーヴァントだ!』
「じゃあ、私がいる限り他のサーヴァントに……」
「マシュは聖杯とは無関係でしょ!?あれは理性を無くしたただの亡霊よ!」
マシュの呟きを否定する様に話す所長、だが走っていた先に骸骨の仮面をした体を黒い布で覆われた人が現れ足を止める。
「戦うしか無いのか……マシュ!響ちゃんも!」
「はい、応戦します!」
「──ここからは私が引き継ぎます。」
そう言ってマシュは盾を構えた時だった、またイリヤちゃんの姿が変化していた。
真っ白な学制服?にミニスカート、ニーソックスような服装をしており。髪は何の装飾品も付けず下ろしている姿になっており、金の装飾が所々に施された剣を構えていた。
「また変わってる?」
「はい、私の事はエストと。」
『また彼女のステータスとクラスが変わった!今度は……!セイバーだ!』
「なら、少しは希望が見えてきたわね。藤丸!マシュ!頑張りなさい!」
「「はい!」」
所長の声に気合いを入れるため大声で返事する。
「エストは攻撃に専念して、防御はマシュ!頑張って!!」
するとエストちゃんが、骸骨の仮面をしたサーヴァントへと駆けていき、その剣を振るうが敵のサーヴァントはそれを飛んで避け、ナイフを投擲する。
「させません!」
すると即座にエストちゃんの前にマシュが入り投擲されたナイフを盾で防ぐ。
「ありがとうございます」
そう言ってエストちゃんは、着地した骸骨の男へと向かっていき奮われたナイフを剣でいなし、続けて攻撃する。
「これでもエストは剣の精霊、カミトの剣舞を一番近くで視てきた。これくらい」
そう言って、まるで舞うように移動しながら横凪に剣を振るうエストちゃんだが、敵サーヴァントのナイフに止められてしまう。
「やぁ!」
だが、エストちゃんの後ろからマシュがジャンプし盾を敵のサーヴァントへと叩き付けようとする。
このままいげば、そう思っていたが敵のサーヴァントはナイフでエストちゃんが振るう剣をいなし、そのままバックステップでマシュの攻撃を避けた。
上手く行けば、アイツを倒せたのに。
『大変だ!みんなの後ろこら此方に向かってくるサーヴァントの反応が!』
ドクターのメッセージを聞き、即座にマシュとエストちゃんを下がらせる。
確認すると、背中には沢山の武器を背負い薙刀を構えた男が向かってきていた。
敵のサーヴァントが一体だけでもキツいのに……どうすれば。今はまず攻撃を凌ぐしか。
「クッ、敵サーヴァントが二体……」
「マシュとあの娘に任せるとしても、もし私たちに攻撃が来たら守る人がいないわね……」
苦しそうな顔をする所長にマシュ、心なしかエストちゃんも厳しそうな顔をいる様に見えた。
「でも、やるしかありません!先輩、指示を!!」
「ご主人様やみんなは、守ります!」
そう言って再び構えるマシュとエストちゃん。でもこのままじゃ……
「へぇ……ただの小娘かと思ったら、りっぱな戦士じゃねぇか。なら、放ってはおけないな」
その声が聞こえ、次の瞬間に敵の二体のサーヴァントへと炎の玉が向かっていき二体のサーヴァントを吹き飛ばした。
声のした方を見ると青いローブに杖を持った何者かが立っていた。
「あなたは……」
「俺は……いや、名乗るのは後だ。とにかく、今はアイツらを片付ける方が先だろ」
そう言いながら杖を構えるあの人は味方、で良いのだろうか?それに声から男の人?と言う事が分かる
「助けてくれるって事ですか?」
「まぁな。伸び代のあるガキを見殺しには出来ねぇ。それに……」
そう言いながらイリヤちゃん?いやエストちゃんの方を見る杖を構えた男性。
「アイツを傷つけられるのは、俺としても許せないんでね。」
もしかしてこの人はイリヤちゃんと繋がりのある人、なのか?
「助かります」
「ちょっと!?何を勝手に決めてるのよ!?」
「でも、あの人の力を借りればこの状況を抜け出せるはずだ。マシュ!エストちゃん!」
「はい、先輩が信じるなら私も信じます!」
「頼もしい助っ人ですね。
エストちゃんが何か呟いた様に聞こえたけど、気のせいかな?
とにかく今は目の前の戦闘に集中しないと。
「マシュはさっきと同じ様にエストちゃんを守りつつ、隙が出来たら攻撃!えっと、貴方は?」
「俺はランサー、あの武器を沢山背負ってる奴を相手する」
そう言いながら青いローブを纏った男性は杖に炎を纏わせて、突撃していく。先程より、此方の人数が増えたからか先程よりは戦闘が楽だと感じる。あの人が片方のサーヴァントのサーヴァントを抑えてくれているからだ。
マシュが髑髏の仮面を付けた男へと盾を振るう、すると男が空へと跳びそれを避ける。
「今です、エストさん!」
すると、マシュは自身の上へと盾を掲げた。
「感謝します、マシュ」
そう言ってエストちゃんが飛び乗りそのままジャンプして髑髏の仮面をつけた男へと跳びその剣を振るう。
流石のサーヴァントでも、空中なら身動きはとれない筈、エストちゃんの剣は見事に髑髏の仮面をつけた男を斬りつけた。
すると、髑髏のサーヴァントはその体から光る粒子を溢れさせ消滅した。みればキャスターと名乗った彼も敵のシャドウサーヴァントを倒していた。
その後、近くにあった学校。穂群原学園と言う場所に入り休憩する事になった。
そこでマシュが宝具を使えるよう特訓し、見事に宝具をつかえるようになった。
それにしても、キャスター……クー・フーリンがイリヤと名乗った彼女の知り合いだったのは驚いた。もしかしてイリヤはクー・フーリン同じ時代の英霊なのかな?
それにクー・フーリンとイリヤの様子を遠巻きにみる限り、ユリエの言っていた一定の人物はクー・フーリンの事のようだ。
その後、柳洞寺と言うお寺へと向かいシャドウアーチャーと交戦、大聖杯?のある洞窟へと向かいアーサー王と対戦した。
本当に苦しかった、逃げたかった。でもマシュと一緒に、所長達と一緒に乗り越えた。アーサー王を倒した時、あの人が現れた。
レフ、所長が凄く頼りにしていた人らしい。でも、話すなかで彼は変わった。所長から聞いていた人だとはとても思えない程に。
そして所長が空中へと繋がっている真っ赤なカルデアスへと引き寄せられていく。空中に浮かんだ為に俺やマシュの手は届かない。
それに、彼女が死んでいるのならこの場から脱したとしても……。
その時だった、彼女が動いたのは。
「これを掴んで!」
その声と共に所長へと鉄で出来たチェーンが伸びていく。見れば、響ちゃんになったイリヤちゃんが背中の武装?に着けていた錨を持ち、チェーンをオルガマリー所長へと伸ばしていた。
響ちゃんの伸ばしたチェーンは所長の腹部に巻き付く。
「キャスター!アイツを!!」
「任せな。アンサズ!!」
「チィッ!亡霊風情が!」
キャスターがレフへと交戦を仕掛けている内に、響はチェーンを引きオルガマリー所長を地面へと引き寄せ、地面へと下ろした。そしてそのままレフへと背中の武装?に着いている大砲を発射した。
レフの立っていた場所に爆発が起こり、爆発時に発生した煙が晴れると、レフはその場その場に居なかった。
今度こそ、特異点の攻略は終わった。
でも、所長は……このままだと。
所長も分かっているのか俯いたままだ。マシュや俺でも流石に死んだ人を蘇らせる事なんて出来ない。
どうすれば………。
「わた、しに──。」
イリヤちゃんが何かを呟いた。
「私に、願って……」
「え?」
その場にいた全員が困惑の声をあげるなか、キャスターだけは真剣な瞳でイリヤちゃんを見つめていた。
「どういう、事ですか?」
「私は、聖杯。だから……願って、早く」
イリヤちゃんが聖杯?よく分からないけど、彼女に願えば所長が生き返られるなら。
「オルガマリー所長が、死ななかった事にしてくれ!」
俺はそう彼女に言った。すると、彼女が瞳を閉じオルガマリー所長にゆっくりと近付き肩へと触る。すると、所長が光り出した。
やがて光が収まると、その場に所長の姿はなかった。
『み、みんな大変だ!急に所長が医務に現れたんだ!!一体そっちで何があったんだい!?』
「ドクター!イリヤちゃんの宝具で所長が生き返って……え」
所長にそう説明しながら、イリヤちゃんのいた方を向き言葉を失った。
そこには体から大量の粒子を溢れさせ、ゆっくりと消えていく彼女の姿があった。
「な、なんで!もしかして、まだサーヴァントがいて攻撃が!?」
「違うぜ坊主」
「じゃ、じゃあなんで!?」
「人間に擬態した聖杯は完成すると自動的に人間としての外装が
「それって、じゃあつまり……」
「じゃあ、イリヤさんは……」
「だからまぁ……なんだ。イリヤはもう、死んでるよ」
キャスターのその発言と共に、イリヤの体が粒子となり消滅した。
俺は彼女に『ありがとう』すら言えず、分かれてしまった事に今更気付いた。
【真名】イリヤ
【クラス】アルターエゴ
【クラススキル】依り代EX
【保有スキル】
《恐怖汚染》
敵全体に(防御低下&スタン)を与える。
《憑依継承》
自身の宝具、クラスを変更する。
《魔力放出(混沌)》
NPチャージ30%アップ&敵全体に混乱を与える。
【宝具】
【剣士】テルミヌス・エスト
【弓兵】響
【術士】ニャル子
【復讐者】ユリエ・シグトゥーナ〔New!〕
【キャラクター詳細】
第12話『英雄の叫び』のパーティーの帰りに、眷属狩りを行った悪魔に襲われてしまったイリヤが対人恐怖症となり、特定の人物に以外には怯えるようになったIf...。
両目が赤なのは悪魔に切られ出血したから。
トラウマ&対人恐怖症のため、本人の意思で戦闘は出来ないが故に憑依されることで戦闘を可能とする。
反英霊、その世界の悪魔と言う種族を彼女のサーヴァントが滅ぼした。
眷属狩りで強制的に悪魔にされた人や、他の種族を救うこととなり英霊へと昇華した。
召喚ボイス
「ひっ!?さ、サーヴァントアルターエゴ。イリヤ、です……。あの、戦えないサーヴァントだから、放って置いてください。」
好評でしたら続きます。
ご愛読ありがとうございます
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています。
さぁ、クロエのサバーニャサポートAI。どんな感じ?
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イリヤのウマ娘世界Go!はよせい!
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パクパクですわ!更新せい!
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