TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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久しぶりじゃな、我じゃよ! 我なんじゃけど…いや…えぇ…あやつら頭おかしいよ絶対…(困惑)

 誰もいない部屋で起きた。

 

 きちんと眠ることができるようになったのは、いつからだっただろうか。

 残り香を探るように毛布に顔を押し付けることをやめたのは、いつのことだっただろう。

 慣れたと言い聞かせ、いや慣れることなどないのだと気が付いたのはつい最近のことだ。

 

 ノアイディ=サルビア・テレサには娘がいる。

 気が狂うかと思うほどの痛みの末にその腹から生んだ愛娘であり、また同時に、お互いのすべてを預け、すべてを預かった(つがい)でもある。

 幾度となく身を重ね、本来知るはずのなかった快楽という概念を教え込まれた。その事実を夫に知られたとき、罪の意識はあったが悪とは認識していなかった。罰を受け入れる準備はあったが、後悔の予定はなかったのだ。

 奇妙な話であるが、結果的に許された。村の掟、あるいは森人の倫理観の埒外の禁忌であったから、という理由もあったかもしれないが、それ以上に彼女の夫が変わり者だった。

 

 その代わり、テレサは娘の本質に向き合うこととなった。

 今でもどれだけ理解できているか分からないが、娘は全く別の村で、全く別の生き物のひとりの少年として生きた記憶があったそうだ。

 幼いながらの聡明さ、知るはずのない快楽という概念をテレサに与えたこと。そういったものの辻褄が合って、同時に、それまでそんなことすら知らずに娘に己を委ねてきたことに絶望した。

 

 それからひと悶着あって、変わり者の夫に背中を押され、今まで何も見てこなかったテレサは、今まで何も見せてこなかったレインの全てを見た。

 そこには、可哀想なほどに何もない──少なくともレインはそう思っているようであった。

 

 それでもテレサは、レインの思う()()()()()()さえ自分は愛おしいのだと気が付いた。何かあるのかもしれない。何もないのかもしれない。でもどちらでもいい、だってもう()()が愛おしい。

 

 強いて言えば、結果論だ。

 既に愛しているから、これからも愛する。さほど論理的な考え方をしないテレサにとって、過程よりも結果、いま後悔しないという事実こそが重要だった。

 

 それからのレインとの関係は完全に共依存であったが、時折寝不足になることを除いて特に問題はないようであったし、テレサは良しとした。

 綺麗な関係だとか、綺麗な感情だとか、綺麗な中身というものには拘りがないのだ。

 残念ながら、レインが「レインとして生きるため」という目的で旅立ってしまったために共依存の代償を支払う羽目となったのだが、それでも今の結果自体に後悔はない。

 まあ寂しいものは寂しいし、辛いものは辛いのだが。

 

 蒲団に残ったレインの匂いも、月が満ち欠けて、再び満ちる頃にはすっかり薄れてしまい、テレサはレインを感じられるものを探すようになった。無意識の内にレインと色の同じ(マルス)の髪を抜いたとき、このままでは流石にまずいと自覚したのだ。

 そうして、景色を辿り、芳香を辿り、いつしか流れ着いたのが聖域であった。

 

 森人たちが神聖な空間として仰ぐ場所。

 神様と呼ばれる人物──老夫かと思っていたが、本体は少女であった──が悠く昔から過ごし、今はそれだけでなく世界神(ルーナ)も過ごす、本来なら巫女か命名前の森人だけが入れる神域。

 

 何故かそこに、レインのパンツがあった。

 

「なんで??」

 

 敬語も忘れて、テレサはルーナに詰め寄った。

 馬鹿神(ルーナ)は腹を抱えながら土人形を作り自分をそれに憑依させると、「バトンタッチじゃあ」と叫びながら脱兎のごとく逃げていった。聖域は広大と言えるほど広くはないが、植物も生い茂り、たちまち姿が見えなくなる。

 

 何やら事情があるらしいのだが、神様の体には基本的に世界神が憑依しており、神様本人が動く時は一時的に泥人形の方に憑依する。

 そんなわけで、世界神の逃げ出した今、テレサの目の前には気まずそうに視線を彷徨わせる神様だけが座していた。

 

 神様というのは、森人たちにとってまさしく信仰の対象だ。真名を授け、また常に聖域におわすことで村の空間を守護している。

 自分が生まれる前からずっと変わらぬ姿で村を守り続けていると言うだけで尊敬するに足るし、神秘性も十分感じられる。

 だからこそ、テレサも目の前で冷や汗をダラダラと流す白髪褐色ロリをなるべく疑いたくなかった。一呼吸挟むことで少しだけ落ち着き、敬意を滲ませた声で再度問うた。

 

「神様。どうしてここに、あの子の下着があるのでしょうか?」

「……」

 

 神様は何も言わなかった。嘘がつけないらしかった。

 その代わり、そっと胡座の姿勢を止め、膝を付き、額が地面に触れるまで腰を折った。日本人が見れば感嘆の息すら零れるような、美しいDOGEZAであった。

 

 威厳はなかった。テレサはすべてを察して空を仰いだ。

 母親として。番として。気は進まないが、信仰の対象に事情聴取をしなければいけないらしい。

 

「何回使いましたか?」

「……」

 

 何に、とは言わなかった。

 黙ったままの神様は、黙秘と言うより、数えあぐねているようであった。

 

「一回? 二回? ……十回? まだとなると……毎日?」

「……うむ」

 

 頷いた神様は、冷めたテレサの視線に気付いて再び額を地面に付けた。

 なんだか踏みつけてやったほうが相手のためなんじゃないだろうか、そんなことすら思った。

 

「いい匂いでしたか?」

「うむ」

「美味しかったですか?」

「うむ」

「えぇ……」

 

 神様というのは嘘がつけないらしい。

 無茶苦茶な質問をして頷かれて、流石のテレサも怒りより困惑が先に出た。

 

「まあ気持ちは分かりますが……」

 

 隠れて様子を窺っていた馬鹿神が「は?」と漏らす中、どうやら下着以外についても聞かなければいけないことがありそうだ、とテレサは考えた。

 

「神様。下着だけではないんですね?」

「……! え、あ、う……」

 

 直接的に問えば、もはや口調からも威厳を失って神様は汗を飛ばした。

 失意と、嫉妬と、怒りと、嗜虐心。そういったものが混ざった結果、激情ではなく薄い微笑みだけが表に出るのだとテレサは知った。

 

「最近は退屈するくらい時間が余っているんです。なので、ゆっくりお話しましょう、神様?」

「ひゃい……」

 

 恐怖にプルプルと身を震わすドマゾメスガキ神は、しかし何故だか、蔑むテレサの視線に頬を紅潮させた。

 

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