TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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あれ、母様にセーラー服着てもらったらすごくえっちなんじゃないか?って思い立って以来、それ以外考えられない脳味噌になりました。

 学生というものは、ある種の特権階級みたいなところがある。

 

 前世で言えば、まず学生イコール子供だ。子供と聞くと制限されることばかりな気もするが、少年法しかり、無条件で守られ許され慈しまれた。野暮なことを言えば、人類の生物的な生存戦略に過ぎないのかもしれない。若い個体は保護したほうが種としての寿命が長くなる。それでもその倫理は美しく、また繋いでいくべきものに思える。

 子供であることに付随するが、人生のモラトリアムというのも学生ならではの権益だろう。モラトリアム、つまり猶予期間。世の中でやりたいことだけをやって生きていける人は少ない。社会人になることで自分が縛られてしまったように感じるのだ。まあ、学生からしたら「別に勉強やりたくないが??」という人もいるだろうけどね。それでも学生のうちは失敗の許される挑戦ができる。

 

 そうした特権の象徴が制服というものだろう。代表的な特権という意味でなくて、特権を有する身分証明という意味で。

 制服を着た少年が昼間からぶらついていれば補導されるが、また同時に、制服を着た子供たちが道で幅をとって歩いていてもなんだか許してしまう。邪魔だしやめたほうがいいけど。でも、大の大人が同じことをしたら非難轟々だ。制服を着てたら、まあ自分もあんな頃があったしなと許される。

 学生の制服はもはや免許証だ。

 

 そんな暗黙の了解は学園都市(この世界)にもあるようで。

 

「転送門? 研究室入ったら、申請あれば自由に(経費で)使えたはずよ?」

 

 珍しく筆を握っていないカンナがこちらを見ずに言った。

 どうやら成果報告に追われているらしい。普段は歩くモラトリアムみたいな生活をしている彼女も、たまには現実と向き合う日があるのだ。……とか思ってたら訝しむ目で見られた。ナンデモナイデスヨ。

 

 宿屋のお姉さんに転送門の場所や利用方法を教わり、あとはコルキス様のいる9区に行くだけだ。そんなわけで、今度転送門を使うんですけどなどと雑談をしていると思いもよらぬ反応が返ってきた。

 とはいえ転送門使うために研究室に入るのはよろしくない気がする。一応、眼鏡(クラムヴィーネ)のお師匠さんのところしかり、いくつかの研究室からいつでも歓迎するという話をされることはある。社交辞令というか、リップサービスみたいなものだろうけど。

 いくつかの授業を取る中で人間の魔法に対する取り組み方は理解できてきたけれど、まだ研究室を選べるほどの判断材料が足りていない。そもそも研究室がどれだけあるのか知らないし。

 

「そう頻繁に使う予定もありませんし、最初はちゃんとお金を払おうと思います」

「そ。……ああ、ならここの学生ってだけで安くなるから、使うときは学生服で行きなさい」

「制服ですか? それだけで伝わるんですね」

「結構フクザツな作りしてるらしいわよ。まず複製はないからって、細かいチェックもなしだとか」

 

 まあそもそも制服以外あまり持ってないんですけど、とは言わず。

 まさしく制服で身分証明ができてしまうらしい。アイリスなんかはちょっとあのアレがアレでコスプレと間違えられてもおかしくないが、きっとなんとかなるのだろう。でもなんかこう、未だに他の学生と比べると、若い頃の制服着た二児の母みたいな雰囲気が感じられてしまう。丁度いい体型とは難しいものだ。

 

「でも貴女、9区のお姫様に会いに行くって正気?」

「と、友達ですから多分きっと大丈夫です会えます」

「胡散臭いわね……いえ、悪し様に言うのもよくないんでしょうけど。それ以前に、9区のどこに行けば会えるか分かってるの?」

「……みゃ?」

 

 変な声が出た。どこって、そりゃ有名人なんだから、コルキス様に会いたいですって言えばいいのでは?

 目をパチクリとさせて戸惑っていると、カンナは自分の眉間を抑えた。

 

「貴女が9区の転送門の敷地内から出れずに11区(ここ)に戻ってくる未来が見えたわ……」

「失礼ですね、僕は方向音痴ではありませんよ。……正しい方向を知らないだけで」

「世間も知らないでしょう」

 

 そんなことはない(断言) ないよね?(確認) うん、ない(確信) ……ないよね?(疑念) ない?(不安)

 ……留学生が留学先の文化(世間)を知らないなんて当たり前じゃんか!!(開き直り)

 

 そんな僕の七変化する表情からすべてを悟ったらしい。

 カンナは苦笑しながら溜息を付き、僕の頭をポンポンと撫でた。

 

「報告会が終わるまで行くのは待ちなさい。私も付いていくから」

「カンナはコルキス様に会う方法が分かるんですか?」

「知らないわよ、興味もなかったし。でもま、誰にどう聞けばいいかとか、貴女よりは分かるでしょう」

「むぐ……」

 

 それはそう。何も言い返せない僕は、しかし最近なんだか子供扱いされているような気がして口をへの字に曲げた。最初の頃は「精霊様〜〜!」とか言ってたのに。

 

 最近は誰かに頼ってばかりだ。ヘリオのことがあって、自分で解決できるようになりたいから力も付けたのに。いつまで経っても成長してない。

 それではお願いしてもいいでしょうか、と頭を下げながら、心の中では進歩のない自分に対する苛立ちのようなものが生じていた。

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