TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
久々なので人物紹介
ルーナ:サブカルクソ女神
ヘリオ:褐色白髪(元黒髪)調教済みメスガキ神
現在は地上堕ちしたルーナがヘリオの身体を間借り中。
「……ふむ」
『どうかなさったか、神よ』
「いやなに。どうも、人の子の魔力が流れを止めたらしい」
人の子。転生前の名を女淵にいろ。今はレインだったろうか。
あの子の体には一部ルーナの魔力が流れている。転生時の処理の名残りだ。それに印をつけるようにしてレインの動きを追っていたルーナは、しばらく向こうの状況が分からなくなるなと頭を掻いた。
ルーナが現在動かしている体は彼女自身のものではない。上位存在である彼女は地上における実体がなく、彼女を愛するあまり地上堕ちさせた*1
中途半端な優しさなのかなんなのか*2、ヘリオトロープ自身の精神もこの体には残ってしまっている。統合されているわけではないからその思考は分からないが、最近では心の声として会話できるし、また一部の原始的な感情については感知することができた。
だから、尋ねておいて急に黙りこくった彼女が、心配と焦燥を隠すべくその行動を選んだことは容易に想像できた。
「相変わらず可愛らしいの。心配せんでも、死んではおらんじゃろうし、真名との繋がりも途絶えとらんじゃろ」
『……なんでも知っているのですね』
「なんでも知っていたらつまらんじゃろ。現に、止まった理由はよく分からん。おそらく意図してではないと思うがの」
レインの前では百面相をするヘリオトロープだが、ルーナに対しては恭しく接するあまり口数が少ない。とはいえ、それなりの期間
ヘリオトロープからは、レインが何をするべきか本当は知っているのではないかと何度か問われている。結論としては「当たり前じゃろ、べろべろべー」なのだが、その上でそれを伝えなかった理由についても話し、今ではそれについてヘリオトロープから何か言われることは無くなった。
結局、ルーナは「人」が好きで、答えを教えるのはそれと真逆の行為ということだった。あとは、ルーナは都合のいい時だけ頼ってくる輩が嫌いだった。
『ですが、魔力が失われたら死ぬのではないですか』
「『流れを止めた』と言ったじゃろう。だがまあ……身体と
『記憶……?』
ゾワゾワと胸の内が騒ぐのをルーナは感じた。ヘリオトロープの感情だ。
恐怖という原始的な感情に以前の嫌な記憶を思い出し、少し顔を顰めながらも最低限の知識だけ語ってやる。
「もとより記憶は定まったものではない。人の持つ様々な要素が影響しあって生み出される、『齟齬のなさそうな情報』じゃ。その要素の大部分である魔力が変化すれば、生まれるものも変わるじゃろ」
『……それは、どのくらい?』
「魔力が止まるんじゃから、魂のない、肉体だけの『アンブレラ』になるんじゃないか? 知らんが」
つまりは、ルーナが何もしなかった世界での彼女になる。
アンブレラという名前すら付かない、キバタンとサルビアの娘マナ。ある側面から見れば、彼女の本質とすら言えるだろう。レインが壊したもの・作ったもの、それらが露わになるかもしれない。
と、そこでルーナは胸中のざわめきが凪いできたことに気付いた。
やはりこの少女、長生きしているだけあるらしい。人にしてはと注釈が付くが。
『……分かってきました。あなたが余裕を見せるからには、何か根拠か保険があるのでしょう』
「カカ、まあの。あの子の自我の強さは本物じゃ。
時代が時代なら、いや、たとえ彼が生きていたあの時代だとしても、必要とあれば腹を捌くことすら厭うまい。だからこその
めんどくさいほどに強靭な自我。それが全てなのだ。
しんみりと、その在り方に同情と期待を寄せる。
宿主も黙り込み、その場を静寂が支配した。
「ここまでのお話、もう少し詳しく伺えますか?」
『ピィッ!?』
いつの間にか、
下腹部がキュウキュウと反応する。このドスケベアホ宿主が。
その原始的な感情は、ルーナが逃げ出したくなるような巫女の微笑みに対して反応しているらしかった。
身体を宿主に押し付け、ルーナは土人形で逃げ出した。