TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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私生活がだいぶ忙しくて短めです。
今年中は忙しそうで白目剥いてますが更新です(白目)

・前回のあらすじ
殿下「誰か出張してくれないかな〜」チラッチラッ
カンナ「(流石にまだ手出さんやろうし)行きます……」
アイリス「私も行きます」
カンナ「なんで???」


クレイジーサイコレズ殿下様、私はしばらく別の学区に行ってきますけど、絶対に抱かないでくださいね!? 絶対ですからね!?

「ご機嫌ですね、コルキス様」

「あァ、分かるか?」

 

 夜。ヴィオラに髪を乾かさせていると、こちらの僅かな振る舞い、あるいは表情の変化に気付いたのか、少し揶揄うような調子で聞かれた。

 機嫌も良くなるというものだ。ある程度長期的な計画を準備していたもの(ドローネット=アンブレラの獲得)が、イレギュラーに依ってとはいえかなり進行したのだから。その上、何やらこちらを警戒しているらしき学園都市(レントリリー)が、意図せずして手助けまでしてくれている。

 

 もちろん、それとは別に学園都市への怒りもある。あまりにも杜撰なのだ。(くだん)の事故とてそも仕組みを理解している者の少ない技術を使うなという話であるし*1、事故の発生から対応までが遅すぎる。常時行動を把握しているべきですらあるのに。

 特別扱いしない。過干渉しない代わりに、守ることもしない。それを学園都市の人間に徹底させている。思うに、これがレントリリーなりの「守り方」なのだろう。一部の人間は無視して接触を図っているとの報もあるが。

 

「しかし、利用するでなく守るってのがなァ」

「?」

 

 ヴィオラが不思議そうに首を傾げるのが気配で分かった。

 特段返答を求めた言葉ではなかったので、説明してやることもない。

 

 幽かなる精霊を、なにかご利益に(あずか)るでもなく、守ろうとする。

 対価を求めている様子がない。これは奇妙だ。

 長寿で見た目も似ているとくれば、レントリリーと精霊の間に何かしらの関係があるのは誰でも分かる。それ関連か、あるいは前の森人(レークシア)と約束でもしたか。

 

 なんであれ、結局守れていないのでは無意味だ。

 その優しさ、言葉を変えれば、甘さのせいで、下手すればアンブレラという宝が失われかけた。

 

「宝……、そう、宝か。なァヴィオラ、やはり血は争えねェらしい」

「竜の血、でしょうか」

 

 言葉を出さずに頷く。

 竜の血。大したモンじゃない。国の人間が勝手にそう呼んでいるだけで、当代が竜と交わったことのあるわけでもなければ、コルキスは馬鹿らしいと思っている。

 

 竜は巣に秘宝を隠す。

 宝を奪うために竜は強くなり、宝を守るからこそ竜は強いままである。

 

 噂ではソートエヴィアーカの王家には竜の血が流れているらしい。

 だからか、歴代の王達は必ず宝を持っていた。子供には「民こそが国の宝である」と口伝するが、その実、各々が侵されることのないナニカを抱え、守り、愛でてきたという。

 

「とっくに殺したはずの本能が囁きやがる。あれがオマエの『宝』、だとさ」

「美しいから、でしょうか?」

「初めて見たのは写真だからそうだと思ってたんだがなァ──今回の騒動を経るに、どうやら違うらしい」

「記憶を失われたアンブレラ様では秘宝足り得ない、と」

「全部だよ、ゼンブ。何か一つでも私の宝を隠されちまうと……」

 

 最後まで口にすることはなかった。

 どこからともなく、怒りが湧いてくるのであった。ここまで感情が動くのは初めてのことで、あながち竜がなんとやらの噂も本当なのかもしれねェなと鼻を鳴らした。

 

 自分の表情がひどく獰猛なものに変化してしまっていることには気付いていた。 

 特に取り繕うようなことはしない。ヴィオラに対して猫を被る必要はなく、──その上、この従者はこうした表情に「(たかぶ)る」らしかったから。

 

「そんな物欲しげな顔されてもな。被捕食癖でもツいたか」

「だとしたら貴女様の所為です……」

「ハハ、快楽って面白ェよな。どんな体の信号よりも、五感よりも優先されンだ」

 

 ため息をつくかのように愚痴る従者に笑いかける。

 いつもならこのまま夜を愉しむところだったが、一応伝えておくべきことがまだあったので少し焦らすように話を伸ばした。

 

「学園長サマがありがたい置き土産を残していってくれた。あァ、皮肉じゃなく言葉通りのな。しばらくあの子は一人になる。こんな不安定な状況で動きたくなかったが、今が機だ」

「記憶が戻った時のために行動しすぎないと仰っていませんでしたか?」

「時間がある。中途半端になるなら動かない方がマシだったが、調べ教えるだけの時間があンなら話は別だ」

 

 人は快楽を与えるものを嫌いであり続けることはできない。

 というより、好き嫌いとはほぼ与えられる快楽の時間平均だ。あるいは総量で測る考え方もあるかもしれない。

 とはいえ性的な快楽は必ずしもその時間平均が高いとは限らない。これまでの反応からしてアンブレラ自身は敏感なようだが、それでも他のあらゆる快楽を上回り、不信や疑心を打ち消すには、彼女の体のことを彼女以上に知らなければいけない。

 

「色々と書類の処理が必要だからなァ、二日後くらいからになるかね。あァ! 頑張らないとなァ!」

 

 客観視に自信がある私をして、かなり爽やかに笑ってみせたと思った。

 だがそれでも、この淫乱従者はなにやら昂ったらしかった。

*1
古代のオーパーツを使っているソートエヴィアーカがあまり言えたことではないので、これについては責めてはいない

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