TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
「本質は何か、という話がある」
ある一方向から必死に目を逸らしつつ、ルーナはポツリとこぼした。
「突然、どうされましたか?」
伺うように巫女が反応した。顕現したり物理的な距離が縮まったりすると人は神を畏れなくなってしまいがちだが、民族性もあってか巫女は恭しい態度を崩さない。なかなか好感が持てるではないか。
もちろん、彼女が敬う範囲にも限度はあるようだが。
とはいえ巫女も巫女である。まさか宿主に行為の内容をすべて(一人で)実演させるとは思わなんだ。いやこの場合はすべての行為を忘れていなかった宿主がおかしいと言うべきなのか。おそらくどっちもおかしいのだろう。
お七夜の夜にあったことを一通り再現した宿主は、今や完全に出来上がった表情と体で物欲しそうにしている。……いかんいかん、アレは目に毒だからあまり視線を向けるのは良くない。こちらに矛先が向いても面倒だ。
「な、なあ、当代。疼きが止まらないのだ、どうか──」
「──? 神様には、あの子との贅沢な思い出があるよね。それを思い出して、その辺で慰めていればいいじゃないか。自分で」
「うぐぅ……、う……うぅぅぅぅっ! ……うぅっ、ふぐっ、うっ、うっ」
あまりにも切なそうな声を漏らす宿主だが、巫女は誘いに乗ることもなく微笑んで返答した。その微笑みの感情が歓喜の類じゃないことはルーナにも分かる。
人の子であれば「心の珍棒がイライラしたから」などと言って手を出すのだろうが……巫女と人の子の違いじゃな。
内股を擦り合わせていた宿主は、遂に我慢できなくなったのかその場に蹲って下腹部に手を伸ばした。
オイオイオイオイ嘘じゃろマジで「その辺で慰める」のか、せめて祠の中行くとかあるじゃろなんか……。
こんな神にはなりたくないな、とルーナは率直に思う。
「それで、本質とは?」
「……まあそうじゃな。そちらの話をしようかの」
ある一方向から必死に目を逸らしつつ、ルーナは気を取り直した。
この森に生きるものは大概イカれているが、人はイカれているぐらいが好感が持てる。
「お主らが『世界神』などと呼ぶように、我はお主らを、なんだまあ『外側』から眺めていたわけじゃが」
「はい」
「……あーその、なんじゃ、全部、な」
「……? ……うぇっ、ぜ、全部……です、か?」
無言で頷く。巫女は顔を赤く染めてブツブツ呟き始めた。
なんなら神託まがいのことをして純粋なTS娘メス堕ちルートを敷こうともしたのだが、なぜいまここまで拗れてしまったのか。
今回話すことは、ある意味その疑問の答えにもなるだろう。
ちなみに、「全部」とはいえルーナが具体的に認知しているのはアンブレラ・レインの身の回りのことと、この世界のいくつかの代表的な事象くらいだ。
いくつか理由があるが、もっとも理解しやすいのは、真に「全部」知るのはつまらない、ということだろうか。舞台演劇を見に来て、わざわざ脚本を探し回ろうとはしないのと同じだ。
「人の子は──女淵にいろは、拗らせていたとはいえ、少なくとも『日本』という世界では普通に、ごくごく普通に育てられた少年であったよ。それがどうして、記憶を持って赤子になったとはいえ、実の母親を愛撫しようと思うんじゃろうな」
「わ、私が何か……」
「うむ、……いや、まあ、色々あるが乳飲み児の時点で
私が何かしてしまったのでしょうか、と言おうとしたのだろうが、羞恥心のためか途中までしか言葉にならなかったそれを汲み取ってルーナは答えた。
正直なところを言うと巫女のそういう方面の適正が高かったことも相乗効果としてはたらいていそうだが、主題とズレてしまうし、これ以上巫女の羞恥心を煽ってしまうと茹で上がって会話もできなくなりそうなので言葉を濁す。
あれだけ哺乳瓶使えって
……肉体的な遺伝のことを考えると、ある意味これも本題に繋がるのかもしれん。
「巫女。お主は淫乱じゃ。変態じゃ。助兵衛な女じゃ」
「うぇっ!? あ、あの子も『母様が悪いんですよ』って言ってたし、やっぱり私が……」
「いや、それはまったく関係ないと思うが」
人が話を切り出そうとしているのに、急にプレイの内容を公開しないでほしい。普通に困る。
「
「……あ」
「どうした?」
「い、いえなんでも──「構わん。話せ」──いえ、その、たしかにレインはえっちだなぁと」
「
文化的な背景からして理解が難しいであろうことを説明していたから、疑問があるなら解消しておこうとしてすぐ後悔した。
うんうん、えっちだよね人の子。分かるよ。でもそれ今必要なことじゃった?
「話を戻すが……、体の性質は、もはや疑うことも否定することも叶わぬ、人の子の性質じゃ。ならば、それこそ本質と呼ぶに相応しいよなぁ」
「それは……」
「不満か?」
「間違っては、いないようにも、思うのです。……ですが、そんなこと起こらないと重々承知ですが、あの子とまったく同じ体を持つ子がいても、あの子と本質が同じだなんて──、レインには生きてきた時間が、心があって、きっとそれは二つと同じものにはならない」
「そーじゃな」
「うぇっ!?」
軽く肯定すると、手のひらを返す速さに巫女は驚いた声をあげた。
良い反応をする、と少し微笑む。
残酷な話をすれば、心が「在る」のならその複製を作ること自体は不可能ではない。それはそれでまた「心とは何か」という話になるし、巫女に語ったところで話がややこしくなるだけなので口にはしないが。
できれば、心はひとつであってほしい。そう思っていた頃を少しだけ思い出し、頭を振って忘れ去った。
この世はしょうもないよと、この世を信じている者に伝えるのが一番しょうもない。
「肉体の性質が人格に影響を及ぼすことは疑いようがあるまい。しかしそれ以外の要素だっていくつも思いつく。人の子であれば、前世の記憶を持っていることもじゃな」
しかしここで、ひとつ気になる問いが生まれる。
女淵にいろとアンブレラ・レインの「本質」はどれだけ一致するのか。
肉体が本質に対し影響力を持つのなら、性別も体格も体質もまったく異なる、それこそ大脳皮質のシワの数から異なるアンブレラ・レインは、女淵にいろとしての本質をどれだけ引き継げているのか。
それはもはや、人が生きて経験を積んでいく中で起こる「本質」の変化よりもずっと激しい、転生という現象の落とし穴だ。
「アンブレラ・レインとして生まれてから積む『経験』での変化は、きっと前世の頃と変わり方の面では大差ないじゃろうな。女淵にいろとしてこの世界で生活しても、同様の変化があったじゃろう」
肉体だけではない。
魔力を認知すらできなかった前世のヒトの体とはわけが違うだろう。
肉体と同じくらい、魔力は人格に影響を及ぼす。
「真名と魔力の関係は知っておるじゃろう。それこそ人の子がいま直面している問題じゃが、生まれつきの
「しかしそれは、魔力の「本質」への影響をも減らすから、人の子が真名を拒んで以降、あの子の本質は少し前世の頃に近くなったじゃろうな」
「──では、
「──なあ巫女。どうして普通に育てられた少年が、生まれ変わったからといって実の母親を愛撫しようと思うんじゃろうな?」
「──つまり、素体の本質が色魔なんじゃよな」
難しい話してごめんな
最近レのやらかしが少ないのと初期のやらかしの帳尻合わせようとしたら、こんな結論に
メタ的な解説
前提:魔力は体に宿るので、体の適正と一致。普通の人は特に困らないというかむしろ自分の体に合った魔法が使いやすいし、精神が魔力や肉体の影響を受けつつ育つので自分の魔力・肉体向きの人になる。
お七夜前:精神が魔力の影響をモロに受けやらかし沢山
お七夜後:真名(≒魔力)を拒絶、段々精神への影響が弱まりやらかし減る(減ったか…?)
現在:真 名 の 拒 絶 が 一 時 停 止 中
むしろ精神が0スタートな分以前よりも影響が…