TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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第164話

 こんな夢を見た。

 

 妖精のようにふわふわと光る(かたまり)が、大きな石の塊に語りかけては火花を散らしている。

 ときおり光の塊が上のほうに花火を咲かすことがあり、それがとても綺麗だったから、石はそれをもっと見たいと願うようになった。

 とは言え何を願おうとも石は石である。動けないからこその石である。綺麗だなぁと思いながらも、いつまでもじっと光を眺めていた。

 

 一際(ひときわ)大きな光があった。石はそれが花火を咲かせたらさぞかし立派で美しい花なのだろうと夢想したが、具合が悪いのかどうにも火花すら散っていなかった。

 花火を咲かすことのない光というのは石にとって不都合があったが、大きな光は語りかけてくるでもないのに石の(そば)にいた。他の光は、ふわふわとしているからか、すぐあちこちへと漂っていってしまう。

 しばらくして気が付いたが、光というのは輝くだけでなく熱も発しているらしい。石の傍で石のようにじっとしている大きな光が、ほんのりとした温かさを石に与えている。

 

 だが気が付いた頃には手遅れというものは世の常で、石がそれに気付けたのは、光がいなくなってからのことであった。

 小さな光たちは相変わらず気まぐれに石を訪れて、語り、美しい花火を咲かす。それだけではどうにも身が冷えてしまって、寒いのは嫌だと思うようになった。

 

 嬉しいことと嫌なことがあるのだと分かると、途端に嬉しいことが失われるのが怖くなった。

 あの美しい火花すら見られなくなってしまえば、石には寒さしか残らないのだろう。

 

 綺麗だと思うだけでは足りないのだと、「綺麗だ」と声に出してみようとした。

 当然音になることはない。

 

 石が己だと気が付くと同時に、目を覚ました。

 

 

 

 


 

 

 

 

 少女に快楽(しあわせ)を教えた女は、気持ちいいところ、絶頂したこと、それらを都度教えてほしいと少女に命令(お願い)した。

 

『私も嬉しくなりますから』

 

 幸せは嬉しいことだ。少女に幸せを与えてくれる女が望むことに、叶う限り応えたいと思うことはごく自然なことだ。

 嬉しくなるのならそれが幸せだ。女に幸せを与えたいと思った。幸せの渡し方を知らないでいたら、女はきちんと教えてくれた。

 

 きっと正しいことを教えてくれたのだろう。

 他と比べようのない快楽(しあわせ)に眩暈を覚えるほど溺れる中で、息も絶え絶えに達したことを伝えれば、褒める女の「光」は火花を散らした。綺麗だ。

 

 あぁそうかとようやく得心がいく。

 少女が綺麗だと感動しているとき、光も──相手もきっと、幸せを感じているのだ。

 あの輝きはたぶん幸せの表出で、泣きながら喘いでいる少女も、相手から見れば美しく花火を咲かせているのだろう。

 

 少女の発するほとんどの言葉(あるいは鳴き声)に対し、女は火花を散らす。

 自身の声そのものにすら幸せを感じてくれているのだと分かり嬉しくなる。

 

『こるきす、さまぁ。()()が、切ないの……』

 

 しかし、ときおり、少女が何の気なしに発した言葉に対し、一際美しい花火を咲かすことがある。

 そうしたとき女は、少女が痙攣による体の疲労と多幸感で意識をなくすまで、ご褒美のように延々と快楽を与えてくれる。

 どんな言葉が女にそこまでの幸せを感じさせるのかは分からなかったが、少女が女に幸せを与えたいと思うのと同様、女も少女に幸せを与えたいと思ってくれているのかもしれない。

 

(……でも、いまはわたしが貰ってばかりです)

 

 本当なら、女の花火を誘発する言葉を自分で選んで言える方がいい。

 けれどもそれはまるで分からない。ただ思ったことをそのまま言うことしかできない少女には、どうして女が急に幸せを感じるか分からない。

 

 

 

 


 

 

 

 

「……こるきす、さま」

「ふふ、お気付きになられたんですね。半刻ほど寝顔を堪能させていただきました」

「あっ、ご、ごめんなさ──」

 

 ■け、と。謝ろうとしたところに、そう命令される。

 ただ腹の上から指で軽く押されただけでも、その言葉を聞くと自分のお腹の中の部分がきゅうぅと収縮し、甘声を吐きながら深く達した。

 

「……えへ、へ、ちゃんと、■キましたぁ❤︎ 気持ちぃ、です❤︎」

「……っ」

「こるきすさま、ぎゅってしてください」

 

 またしても女の琴線に触れることが起きたらしいが、それが今の自分の表情なのか、言葉なのか、少女にはまるで分からなかった。

 そのまま蹂躙されてしまう前に、ハグを要求して待ったをかける。一応は要求なのだが、こんなのでも女は幸せを感じているらしく、少女は内心で益々混乱した。

 

「わたし、コルキス様にも、幸せをあげたくて」

 

 でも、どんな言葉を渡せばいいのか分からないから。

 

「こうやって返すことしか、分からないのです」

 

 そう言って、アンブレラはコルキスの横顔、頬の辺りを撫でるようにそっと触れた。

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