TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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ヴィオラ(殿下の側付き)さんの回想


第165話

『服を脱げ』

 

 ご母堂様が逝去なさった日、その夜にコルキス様は我々侍女に無感情に言いつけました。

 

 狂ってしまったのだと思いました。

 齢十にも満たぬ少女が、陰惨な謀略で母を失ったのです。ついこの間まで自信と希望に溢れていた瞳は暗く鋭く変貌し、淑女たらんと磨き上げられた所作と言葉遣いは軍人のように冷たく無駄のないそれに吸収されました。

 しかしその狂気は自暴自棄などではなく、極めて理性的な色を残していたのです。

 

『私の価値は何だ? ……私には才がある。強く、賢く、美しい。だが、女であるからにはそれも正当に評価はされないだろう。しかし変革はいま目指すべきことでもない』

 

 王族としての教育を受け、そこらの大人よりよほど知性豊かな方ではありました。

 しかしそれでも、母親の死の直後に幼い子が放つにはいささか不気味な言葉です。

 

『そも、女であることそのものが価値だ。美しく若い女。その価値をすべて活かすには、今の私はまず情と欲を学ばなければいけない。まだ早いと諌める母上も居ないことだし、お前らの体を使って教えろ』

 

 場合によっては、あるいは聞く者によっては羞恥や侮辱の類だったでしょう。

 しかし、私にはコルキス様の怒りが痛いほど理解できてしまいました。もとより命を捧げた身であるのに、どうして性の尊厳に縋りましょう。

 

『恥ずかしいだろう。悔しいだろう。……許せ。()()()()のと()()()()のではまるで違う。私はあらゆるに備えるため、あらゆるを学ばなければならない』

 

 当時コルキス様が信を置いていた侍女は私を含めて8名。

 各々が肌と秘部を晒し、愛撫の方法と性感帯を申し伝えたのです。

 

 実際、どれだけ割り切ったつもりでも恥ずかしさは拭えませんでした。

 ましてやコルキス様は年下の少女なわけで、その知性ゆえに着々と上達していく中、自らのあられもない姿、声を晒すのには抵抗があります。

 しかし私の場合、屈辱といった感情はありませんでした。

 

『恥ずかしさはありますが……、悔しさは、その、嫌ではないので……』

『なんだ、そういう趣味か?』

『……』

『おい顔を赤くして黙るな。……くくっ、お前面白いな。しばらく側仕えとしてやってみるか』

 

 城内では基本的に二人ほどの侍女が側に控えます。

 それは順番があったりするのですが、私は常にコルキス様の側に仕えるようになりました。

 

 ……また、数名恥ずかしいからと拒んだ者もいました。極めて常識的な反応です。

 それに対する罰はありませんでした。しかし数日経ってコルキス様が夜伽に練達なさった頃、それらの侍女が熱っぽい目でコルキス様を見つめるようになったのに気付き、籠絡なさったのだと察しました。

 

 誰かが最初に教えたのか、帝王学や心理学を応用したのか、慣れてきた頃からコルキス様は愛撫と共に耳元で「愛している」といった歯の浮くような言葉を囁くようになりました。

 情欲に体の反応だけでなく心も関わっているのは確かで、快楽を与える目的だけであってもその囁きは実に効果的だったでしょう。

 

 たとえ本心でないと理解していても人の心は錯覚しやすいもので、思想すら変容させてしまうほどに快楽と甘言には力がありました。

 そしてそれに気付かぬコルキス様でもなく。

 

『史書を紐解いても、他者を支配する方法は恐怖か快楽がほとんどだ。共通の敵を作れない場合は特に。だが前者は後ろ盾あってこそ成り立つから、今の私では失敗するだろう。ならば快楽で支配……ハハッ、一国の王女が情婦の真似事とは!』

 

 ご母堂様の死因は毒でした。それも、コルキス様を狙ったものを庇う形で。

 実績やその求心力(カリスマ)、コルキス様を支持する者は多数存在しますが、中央(城内)においてそれだけで集まった人を信じることはできなかったのでしょう。

 コルキス様は快楽という手段を支柱に、間者の炙り出し、逆に切り込みなどといった工作をはじめ、伏魔殿における身の守り方を手にしました。




半分くらい(原作)クシャナ殿下のつもりで書いてます
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