TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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総括(後編)です。短いのでほんとは前話に捻じ込みたかった(睡魔に敗北)


第173話

 

 子供の成長は早いものである。

 

「約束したの」

 

 一年も会わなければ、姿や顔立ちはまるで別のものになる。

 ましてや心などというものは、数日目を離した隙に変わってしまう。

 

 それが分かっているから、なるべく一緒にいようと心掛けてきた。

 時間に縛られる身ではあるが、愛しい我が子のためなら、可哀想な我が子のためなら、何を難しく思うことがあるだろうか。

 

 しかしこの地なら、ゆっくりとした時間が流れているからこそ、急に変わってしまうことはあるまいと油断していた。

 この子の心はいつまでも幼く、清く、無垢なままであると、そんな幻想を抱いていた。

 

「約束したの、また会いに来るって」

「イフィ……」

 

 それはきっと間違いで。

 久しぶりに見る愛娘の表情は、ほんのひと月前に面会した時からは考えられないほどに濁っていた。

 

 

 

 

 二ヶ月前まで、ここにはかの精霊たちが訪れていた。

 

 名目は、【圧縮】を覚えていただくため。

 嘘ではないだろうが、それ以外の準備を含め時間が必要だったのだろう。

 

 名家の人間なら誰でも彼女らの滞在を知っていたわけではない。私は娘との関係上、たまたまだ。

 イフェイオン。可哀想な私の娘。

 

 期間中、一度はイフィと面会をした。

 自分の立場だけに、精霊達の所在を知っているというアドバンテージを完全に無視することはできなかった。(そもそもほぼ毎月会いに来ているわけだが)

 イフィが彼女らと友好的な関係を築けているのは、学園都市の貴族としても、あるいは一人の子供の親としても嬉しいことだった。もともと無邪気な子だったが、同年代の友人ができて笑顔が増えた。

 

 彼女らが止まり木を飛び立ってからも、再度イフィに面会した。

 流石に少し寂しそうにしていたかもしれない。無意識なのか、「あーちゃん」の話題を出すこともしなかった。

 その時は、彼女なりに惜別を消化している最中なのだと思っていた。

 ……いや、いまも最中なのだろう。しかしその結果が、いわゆる()()とは違ったのだ。

 

「お友達も忙しいのかもしれないよ。なにせここは学園都市だ。学べること、やれることは無数にある」

「あーちゃんもそう言ってたね。最初のひと月は生活が落ち着かないだろうから、って。……でももうふた月過ぎたよ?」

「ふた月くらいなら──」

「ううん、会いに来るもん。あーちゃんだから」

 

 子供の駄々と耳を貸さないのは簡単だ。特に、私は親バカに部類するだろうから何でも受け入れてしまわないように自制する必要がある。

 しかし、イフィの発言には妙な確信があった。寂しさを喚くとは違う、信頼に近い感情があった。

 「あーちゃん」とイフィの当人同士の関係までは掴めていない。初めて見せる娘の大人びた表情に、いつになく私は動揺していた。

 

「……どうしてほしいんだい?」

「あーちゃんを助けてあげてほしいの」

「助ける?」

「うん。会いに来れないくらい何かに困ってるんだと思う。怪我をしたのかもしれない。悪い人に捕まっちゃったのかもしれない。それならパパ、あーちゃんを助けて」

 

 これはまた突飛な話になったかもしれない。

 まず学園都市内で森人を危険に晒すこと自体あってはならないことだ。もしそんなことになった場合、責任者の首は簡単に飛ぶ。

 だからイフィの心配は杞憂なのだが、それを笑い飛ばしてやるほど私は彼女らの動向を追えているわけではない。

 

 彼女が11区にいたことは、11区に住む人か、あるいは森人の動向に気を配っている者ならば誰でも知っているだろう。

 しかしそれ以上の細かいことを知るには、学園長の統制に背いてグレーな行為に手を染め続けなければいけない。派閥としては学園長に従順な立場である私にとって、あまり実行したくないことであった。

 

 そして、以前の転送門事故。

 あれは酷い出来事だった。しかしその記憶が鮮明に残っているからこそ、私はイフィの憂慮を否定できなかった。

 

 なぜなら、私の知る限り、転送門があのような事故で止まったことはないのだ。

 数百年単位の話である。ならば、「今しか起きえないこと」が起きてもおかしくない。

 そして今の学園都市でいちばんの特異点として存在するのは────森人だ。

 

「分かった、任せてイフィ。まずは様子を見てくるよ」

「……いいの?」

「うん。十二名家筆頭として、イフィのお友達を全力で助けるね」

「ひひ、ありがとうパパ、だいすき!」

 

 今日初めて見る娘の年相応な笑顔につられて微笑んだ。

 この子以上に可愛い生き物って存在するんだろうか。

 

 

 

 


 

 

 

 

 ここは白妙の止まり木。

 学園都市を作った魔法使いたちの血を継ぐ十二の名家、あるいは後から加えられたいくつかの家。これら有数の貴族にのみ立ち入りを許された揺り籠。

 

 名家の人間は、その血筋ゆえに類稀なる魔法の力を持って生まれることがある。

 しかし、だからこそ反作用のように生存能力に重大な欠陥を抱えてしまうこともままある。

 そのうち一部は成長に伴い普通の生活もできるようになるが、多くはそこまで体が保たず死んでしまう。

 

 彼らが少しでも長く生きられるようにと、危険を排除し、社会から隔離し、莫大な資金を以て運営されるのがこの止まり木であった。

 

 その性質ゆえに、一部の者たちからは「墓場」と蔑まれている。

 

 

 

 




よく分からない争奪戦が始まります。

殿下陣営「宝は既に我らの手に!」(内部侵食)
ストーカー「女王様お救いいたします!」(勘違い)
パパ「娘の友達なら助けてあげるね!」(勘違い)

争奪戦……?
とりあえずはこのメンツで争っていただきます。
がんばれ〜
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