TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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10月やや忙しいのと、流石に多少真面目にプロット考えてる最中なのが相まって、更新遅めになっております。


第177話

 学区を越えた研究というものは基本的に行われない。

 移動の問題もあるが、それ以上にそもそも学区が近しい研究領域ごとに分かれているからだ。

 

 カンナやレインが暮らしていた11区は、大きな分類で言えば工学系の分野を専門としている。初代の11区学区長、つまり古の魔法使いの一人のうち、最も魔道具の発明に長けていた者が切り開いた分野だ。

 現学区長は馬鹿みたいな魔力の溢れ方をした森人がやってきたと聞いて恐れ慄いた。が、その時に「【圧縮】でも覚えない限り絶対うちの学区に入れない!!」といった宣言をしたのが逆に言質となり、気付いたら受け入れ先筆頭になってしまっていた。

 

 コルキスの館のある9区は社会科学全般を扱っている。いわゆる経済や法律だ。

 しかしこの学区の一番の目的は貴族間の交流にあり、社会科学でさらに理論的な内容に踏み込みたい場合は他の学区へ行くだろう。

 そんな事情もあって口さがない者はサロン区だのお茶飲み学科だの悪態をつくのだが、不思議なことにそういった者らはいつの間にか学校を中退して前線での戦闘参加を希望しているそうだ。やはり、社交などという偽りに怒りを覚え、本当に困っている戦禍の中心へ飛び込みたくなるのだろう。なんと立派な志か。

 

(さて……、それだけに11区と9区で協力し合えるような旨みも本来は無いのだがね)

 

 コルキスの所属する研究室、その室長であるタゲリ導師は先日届いた手紙の内容について思いを馳せていた。

 

 協力した研究体制の誘い。

 もちろん、学園都市は魔法の研究に情熱を燃やす人間の集まりであるから、必要であれば強力はやぶさかでなかった。

 ただまあ流石になんだもかんでも頷くものではないし、多少の損得、あるいは面白みのある研究かくらいは見定めたいものである。学園都市内の派閥闘争にでも巻き込まれたらたまったもんじゃない。

 そして、その手紙の中身は、実際にタゲリを唸らせるだけの熱量を持っていた。

 

『ドローネットの協力を得て、そちらで実りのある研究をしてみないか?』

 

 要するにこれだけのことを言っていた。

 うちの学生が彼女と仲良いから、しばらくそっち滞在するついでに何かやってみたらどう? というだけの単純なメッセージ。なんなら、大事なのは森人の存在であって、お互い相手が何の研究をしているのかどうでもいいのだ。

 

 この淡白な提案だけを綴ると、相手もこちらもさぞ悪いことを企んでるように感じられるかもしれない。

 しかし、タゲリは納得できてしまうのだ。別に、利用するとか人脈作りとかとは違う次元で、()()()()()()()()。聞いてみたいことがたくさんある。

 父親の部屋で見つけた官能書のような。いや、なんかもう、手の届く距離にあるとなると急に気になり出すアレなのだ。

 

 しかし、流石にもう年が年である。

 教え子たちの前でワクワクしてみせるのは恥ずかしいし、できれば無表情を取り繕って学生たちに良い感じに仕上げてほしい。

 

 相手の研究室から研究内容の要望はない。

 研究室の学生一人に伝えてあるから、受けるにしろ断るにしろその子と話して、とのこと。(流石に文面上ではもう少し取り繕った書き方がしてあるが大意はこうである)

 

 カンナという学生とドローネットは共にコルキス嬢の元で厄介になっているらしい。

 どんな繋がりだろうか、と考えるが流石にひとつに絞り込むまでには至らない。しかしまあ、近頃コルキス嬢の雰囲気が変わった原因ではあるのだろう。

 

 

 

 

 休み明け、カンナを連れて研究室にやってきたコルキスにやんわりと話を通してみる。

 

 森人の名前を出した瞬間放たれた殺気に、おじいちゃんの膀胱はほんの少しだけ耐えられなかったようだ。

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