TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
「……さて、ロリ娘開拓をするか」
別に、彼女は前世でも今生でも血の繋がりがある母親だったわけではない。けれど、真名を伝え合うというのはそれだけで家族の契りとなるのだ。
本来ならば娘など子供には伝えないその名を、僕にも伝えてくれた彼女の思いは汲み取ってやらねばならないだろう。
結果的に、その死は僕の初めて触れる死となり、心に影を落とした。
けれども、それを引き摺ってウジウジするのは性に合わないのである。時間というのは誰にも等しく与えられているようで、実のところそうではない。誰が何をしていようと流れていくし、どんなに悲しいことがあろうとも、沈み込んでいる時間が長いほど楽しい時間は減っていくのである。
現に、この数年間僕が過ごした時間と、村の同年代の子供達が過ごした時間はまったく異なるものであっただろう。僕は家から出ることができなかったが、みんなは外で仲良くキャッキャウフフし仲を深めていたに違いない。うーん、青春コンプが加速する……。もっとも、夜に過ごした時間は別の意味でみんなと全く異なるものであっただろうが。
そして僕が得た結論はこうだ。
早急に外へ出て、村のロリ娘たちとの交流を深める必要がある。
そんなわけで特攻してきたのだ。産休もお七夜の祭り期間も終わって多忙となった母様にひと声かけて、お外にOTOMODACHIを作りに行ってくる、と。
さて、ここで誤算が実に三点あった。
一つ目。僕の前世を考えてみよう。
見た目のせいか弄りやすい名前のせいか、僕は前世では周囲からかなりハブられていた。
具体例を挙げてみる。小学校低学年の頃は大したことなかったのだ。しかし、とある男子が「オナニー」なるあだ名に気付いて以降、まず男子たちには散々それでからかわれ泣かされた。金的を返してやったのは以前言ったとおりだが、そうして男子に馴染めなかった僕は結果的に女子に仲良くしてもらった。そうすると男子からの嫉妬でさらに嫌がらせを受けるのは自明の理である。そうして僕は男子の輪から完全に外れた。
次に辛い思いをしたのは5年生の冬になってからである。女子に仲良くしてもらっていた僕だが、段々と成長するにつれ、「髪ツヤがキモい」だの、「男のくせにキモい顔してる」だのと言われるようになった。これには動揺するほか無かった。それは体質的な問題で、名前と同じく僕自身にはどうすることもできなかったのだ。
男子からの見る目も初めて感じるものが増え、まるで自分が見世物のパンダにされているような印象を受けた。そして、何がトリガーだったのかは分からないが、ある日とある女子のグループに「そんなんだから女と間違えられんだよ」と言われて、肩くらいまであった髪を10センチほどハサミで切られた。
まあ、それには感謝しているのだ。
数人に押さえつけられて、刃物が顔の近くを通る体験は恐怖そのものであった。だが、髪が長くて女の子らしく見えるというのはひどく真っ当なことに思えたのだ。
男らしく見られたいのであれば髪を切るしかないと観念した僕は、そのまま、耳は出して後ろは襟元くらいまでの、男の子によくある髪型に変えた。
ただ、まあ喧嘩じみたことをして女子とは関わりづらくなった。男子とはもうしばらく関わってなかった。結果、予想通り孤立した。
ううん、長いな。中学以降は言わないでも分かるだろう。こんな調子で僕は、青春期間中ずっと孤立していたのである。
まあそんなわけで、前世では友人と呼べるものが存在しなかったのである。
これが一つ目の誤算だ。
二つ目と三つ目は繋がりがある。
まず挙げたいのは、母様と父様の出会いについてだ。聞くところによると、父様は当時建物という建物すべてが大好きだったらしく、普通は入れない巫女の大樹を目測で構造測定するべく、家の周りをぐるぐる歩いていたらしい。
完全に変質者であるが、村では建築のHENTAIという共通認識があったため「ああ、いつものアレか」とスルーされていたそう。そんなことをしている最中にロリ母様に出会い、遊び相手を務めるうちに気付けば結婚していたそう。
ロリ母様を見れたのは羨ましい……が、いまは置いておこう。ここで気にしたいのは「遊び相手を務めるうちに」という部分である。
つまり、だ。
なんと、母様は、
ああ、母様。おいたわしや、母様……。
父様は生まれながらの奇人変人、母様はどうしようもないボッチ体質。そして僕はその二人の娘だということが、二つ目の誤算であった。
そして三つ目は、母様がどうしようもなくボッチになってしまった理由である。
ズバリ、赤子でも知っているような有名人が話しかけてきて、素直になんの屈託もなく友だちになれるか? ということだ。
日本人で分かる例えをすれば、某貴人の息子、または娘が、自分が公園で友達と泥遊びをしていたら話しかけてきたときの心地である。
まず、綺麗事でよくある「子供は勝手に仲良くなる」理論。これはよそう。普通に、そんなことはない。それは対等な関係、あるいは話しかけられたガキンチョがよっぽど純粋無垢で人間が出来ている時だから成り立つ話だ。
僕だったら、血統レベルで尊さの違う人種、さらには気付かぬうちに拝みたくなるレベルの美しい娘っ子に「一緒に遊びましょ」と言われたら、パニクって訳も分からなくなった挙げ句、作っていた泥団子を相手に食わせて処されるまである。
これが三つ目の誤算。奏巫女の身分、だ。
それらを頭に置かず、何も考えないで特攻した結果どうなったかと言うと。
「おもしろそうですね、ご一緒してもいいですか?」
「びゅえええ!? み、みみ、御子様!? あ、あああももも勿論です、ううぇへへ、へへっ」
「おもしろそうですね、ご一緒してもよろしいですか?」
「あっ、はい。どうぞ、一緒に、……え、俺、いまなにしてました? あっ、知らないですよねそうですよね、えへ、えへへへへ……、あっそろそろお昼なので、あの、ほんとうに、残念なんですが、あっその」
「……あの、ご一緒しても?」
「え、誰……アンブレラ様!?」
「あの、様付けは……どうぞ、アンブレラ、と」
「ひゅっ、ひょ……ひゃい、あん、あ、あん、あんぶれ…………きゅう……」
「だ、大丈夫ですか!? いま癒しの魔法をぉぉぉぉおおおお!!!」
「僕のロリ美少女達とのハッピーでシュガーなライフ、返して……」
「れー?」
負けた。惨敗した。もう無理だ、貝になりたい。
膝を抱えた僕は、部屋でまだ言葉がよく分からないアルマに愚痴っていた。
「れー」とはレインをうまく言えない彼なりの二人称である。たまに「れーん」って呼んでくれる。うれちい(思考停止)
「いやさ、分かってたよ。前世でできなかったOTOMODACHIが、生まれ変わったらすぐ出来るだなんてうまい話ないよね。でもさ、人は……人ってやつはァッ……希望を、諦めきれないんだッ……!」
「れーん……」
いい話っぽく纏めようとしたが無理だった。あ、でもアルマがれーんって呼んでくれた。ちあわせ(思考停止)
いやもう絶対「れーん……(呆れ)」だよ……。格好良くてばり有能なつよつよお姉ちゃんの姿を見せたいのに、こんなのってあんまりだよォ!(絶叫)
はぁぁあああああああ……(クソでか溜息)
ふう、落ち着いた。伊達に前世でも整形という手段を目指していない。
僕は、やればできる子、強い子である。自信をもて。
光源氏計画、紫の上の段。これを僕は絶対に成功させてみせる。見ていてくれ、母さん。
色んな人に話しかけてみて分かったことがある。
それは、僕の瞳の色が橙と思われていたことだ。
どうもお七夜で舞台に降り立ったとき、僕の瞳が赤っぽいオレンジ色に輝いていたらしい。これはおそらく、魔法の行使に伴って変わっている。他の人はそんなこと無いしなんでかは分からないが、この情報は使える……!
「アルマ、決めたよ」
「なーに?」
思えば数奇な人生である。
男として生まれるが、まるで女のような見た目に育ち、絶望した挙げ句死んでしまう。しかし何の幸運か今度もまた人型の生き物に生まれ変わることができ、性別は変わってしまったものの、今度は性別と見た目が最高レベルで一致している。
前世では失敗したOTOMODACHI作り。
今度こそ、光源氏計画紫の上の段のために、完璧に遂行してみせる。
そのためにも……!!
「お姉ちゃん、お兄ちゃんになる……!」
小学生女児「好きな子がにいろ君ばっか見てるので嫌がらせします。当たり前だよなあ?」
ショタにいろ「髪切れば漢になれる! おっしゃ短髪にしたった!!」ビショウジョ-
レイン「頑張れレイン頑張れ!! 僕は今までよくやってきた!! 僕はできる奴だ!! そして今日も!! これからも!! 折れていても!! 僕が挫けることは絶対に無い!!」