TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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──本当は使いたくなかったんだ、こんな力。だって誰も救えない。どうして与えられたのかだって分からない。でも、ここで逃げるのは漢じゃないって、僕の中で叫ぶナニカがいるんだ。……魔力よ、僕を導け!

『うわあ、御子様だったんですね』

『ソーナンデスヨ。だから同性の僕とは結婚できないのです』

『それは仕方ありませんね、諦めます』

 

これが当時の僕の浅はかな考えである。

人間テンパるとどうも短絡的に、あるいは己の都合のいいように物事を考えてしまう節がある。イクナイ。本当にイクナイ。

 

「あ、レン君おはよう!」

「おーっすレン、今日も家事手伝ってきたのか? 偉いなぁ」

「……レンくん、おはよ」

 

「ハハハ……おはよう」

 

あれから数日が経ち、村内のよく子供の集まる広場へ行くと、今日は既に3人の子供がいた。声をかけてきた順に、ルコウちゃん(♀・7歳)、ヒシクイくん(♂・8歳)、そしてキバナちゃんだ。

そして僕。今年6歳になった男の子、レンである。

 

「おいおい。レン最近暗いな、大丈夫か?」

「だいじょーぶ」

「そうは見えないけどなぁ。今日はルリビタキとイチイの息子が看病で来れないらしい。他の奴らはまだ見てないけど、そのうち来るだろ。先になんか始めてるか?」

 

ヒシクイが気安げに僕に肩組みをし、何の遊びをしようかと問いかける。流石長い歴史を持ちながらも森の中で停滞の時を過ごしているエルフだけあって、大人数でヤる……間違えた、やる遊びには、花いちもんめや鬼ごっこに似た遊びが既に存在する。

 

ちなみに、「ルリビタキとイチイの息子」というのはお七夜を経ていない子の二人称だ。本当にこれで呼ぶ。最初はびっくりしたが、次第に慣れていき、巫女の一族でなければ僕もこんな風に呼ばれながらみんなと遊んでいたのだろうかと夢想するようになった。

 

何しようかなあ、ポコペンとかしたいけど人数足りないなあ、と考えていると、僕にかけられているヒシクイの腕をキバナちゃんがグイとどかした。

 

「レンくんにべたべたしちゃ、だめ」

「ああん? 男同士の友情に茶々挟むもんじゃないぞ、キバナ」

「やだ!」

 

そう言って、キバナちゃんは僕の胴を抱きしめてヒシクイから引っ張る。子供らしさの残る駄々であるが、おもちゃの取り合いと同様、子ども自身にとっては死活問題なのだろう。おうルコウお前笑ってんじゃねえぞ、助けろ、いや助けてください(懇願)

 

そのまま、レン取り合い合戦はキバナちゃんが制したようである。

ため息をつくヒシクイ何某と、僕を正面から抱きしめながらフンスと鼻を鳴らすキバナちゃん、そして腹を抱えたルコウ衛生兵による厳正な審議の結果、人が増えるまでしばらくはかくれんぼをすることになった。鬼は僕である。解せぬ。いや解すけど。

 

というのも、僕は隠れる側でのかくれんぼがクソ雑魚ナメクジなのである。

エルフのかくれんぼは物理的な捜索だけによらない。エルフは魔法に対して適正が高いため、個人の纏う魔力や、魔力の残り香などを感じ取ることが出来るのだ。警察犬同士のかくれんぼみたいなもんだな。

これだと探す側が一方的に有利なように思えるが、その限りではない。魔法は残滓が残るのだ。よって、適当に魔法を行使することで、さもその場にいるかのような風にデコイを作ることが出来る。

僕が弱い理由はそこだ。僕の持つ巫女の魔力が多すぎるがために、隠れていても「何となくこっちから気配がする」で見つかってしまうのである。

 

蜘蛛の子を散らすように、衛生兵とガキ大将は隠れていった。

しかしキバナ氏が僕にひっついたままだ。

 

「あ、あのキバナさん? カウント始めちゃうよ?」

「……最初に」

「ん?」

 

彼女は少し小柄だ。僕よりひと回り小さく、抱きつかれるとちょうど鼻のあたりに髪の毛が来る。めっちゃいいにおいする。QunkaQunkaQunka……スーハースーハースー……あっ(絶頂)

 

「最初に見つけられたら、その場でわたしの唇…………好きにしていいよ」

 

そう言って、キバナちゃんは小悪魔な笑顔を魅せてから逃げ去っていった。

突然の宣言、当然僕は、呆然とする。

 

僕の好みは母様のように大人の美しさを持つ女性だ。おにゃのこはあくまで触れ合いの対象で、まさか高校二年生+4年半も生きて、小学生以下の女児に惚れるわけがない(建前)

 

あかん。ロリコンになりそう(本音)

 

ふら、ふらと側の木に向かって顔を隠し、30秒数える。

いーち、にーい、と数えながら、僕はキバナちゃんにキスした次の日のことを思い出していた。

 

広場へ向かう最中は、正直、もう顔面蒼白だったと思う。

家に帰って、自分が何をしでかしたのか気付いたのだ。女同士ならキスはノーカン? ふざけんな、お前は元男子高校生だろこのロリコンのクソッタレが。YESロリータNOタッチの精神はどこへやった? いやそもそもロリコンじゃねえよ馬鹿野郎、などといった罵倒のループで一夜を越し、母様との行為にも集中できていなかった。

 

自分の正体をバラされたら、「次代巫女は男装して民の中から女児を襲う犯罪者」というレッテルが貼られてしまうかもしれない。

そうなったら母様やその先代の巫女達が積み上げてきたものが全て水の泡だ。信頼というのは築き難く壊れやすい。下手をすれば、母様からも見放される。

 

『レイン、キミには失望したよ』

 

そんなことを言われたら僕はどうすればいい? 多分死ぬ。いや、絶対死ぬ。誰にも迷惑のかからないよう、外の世界にでも行って人目のない場所で腹を掻っ捌くだろう。

 

だから、悪魔(キバナちゃん)との取引に応じたのである。

 

『アンブレラさま、昨日のこと、誰にも言っちゃ駄目なの?』

 

『そうなんだ。でもわたし、あれ(・・)好き』

 

『結婚は諦める。昨日のことも言わない。だからもっと、昨日のあれ(・・)……して?』

 

キスという概念を持たない幼女である。

しかし、慕う相手とその行為をするのは気持ちの良いことだと覚えてしまったらしい。

 

30秒を数え終わった。意識は現実へと戻される。

 

『……最初に、見つけられたら』

 

ここで、僕の秘密を一つ明かそう。

僕にはとあるチート能力がある。

 

『その場で、わたしの唇』

 

僕は、かくれんぼで隠れることに関してはクソ雑魚ナメクジである。

だがしかし、かくれんぼの鬼としては──

 

 

『──好きにしていいよ』

 

唯一無二の、「強さ」を誇る。

 

 

バッと後ろを振り返る。残滓を含めた魔力を視認。

やはり、残滓は実際に人が纏う魔力よりもずっと微かなものだ。

それはエルフ特有の感覚では中々感じ分けられないのだろう。しかし、こうして視覚的に情報を得られる立場としてはもはやかくれんぼはクソゲーオブザイヤーである。

 

普段はみんなが楽しめるよう手を抜いている。

しかし、だ。

 

『わたしの唇、好きにしていいよ』

 

手抜き(それ)はあまりに卑怯だろう。スポーツマンシップというものからかけ離れた行為であろう。

本来、人は持ちうる限りの全ての力を行使して、仕事も勉強も、遊びだってやらねばならぬ。

 

僕は、もう逃げたくないのだ。この力に怯える日々はやめだ。

 

『わたしの唇、好きにしていいよ』

 

キバナちゃんの魔力。緑のポワポワの中に、ほんのりオレンジの線も見えるそれ。

そこに向かって僕は一直線に歩いていく。

 

大樹のうろの中か、いい場所だ。僕も隠れる側の時はよく使う。

さあ、見つけたぞとばかりにその中を覗き込む。そこで待っていたのは──

 

「……あぇ」

 

女の子座りをして、こちらに舌を突き出す艶美な表情をしたキバナちゃんであった。

 

別に僕は、幼女の舌をむさぼりたいだとか、ロリ美少女と涎まみれになりながら舐め合いたいといった邪な欲望に囚われているわけではない。

 

だがしかし、ここまでお膳立てをされて、仮にも日本男児であった者がどうして逃げられるだろうか? それはもはや、大和魂……プライドの問題である。断じてロリコンなどではない。

 

うろの中に入った僕は、キバナちゃんの前に両膝を付き、彼女の脚の横に手を置いて自分自身も舌を突き出した。

互いの舌の表面、ざらざらとした敏感な部分をピタリと合わせる。ぬるりという感覚と、舌の柔らかさや熱が伝わり合い、体が熱くなってくる。

この状態ではお互いあふれる唾液を飲み込むことが出来ないから、二人の口周りや膝下は透明の液体で濡れ放題だ。けれどそんなことはお構いなしに、お互いの咥内(なか)咥内(なか)へと熱中し続ける。

 

僕の手は地面についているため動かせないが、比較的楽な姿勢のキバナちゃんはその両手を僕の首に回し、抱きつくように更に体を寄せた。

思わぬ衝撃に僕は体勢を崩してしまい、結局彼女を押し倒すような形になってしまった。

 

しかし、もはや二人にとってそんなことは意識の外である。

 

うろの中は空洞で、よく響く。

二人の少女が唾液を交換し合う下品で卑猥な音と、たまに呼吸のために漏れる淫靡な喘ぎ声がひたすら反響していた。

 

 

 

 

……結局、全員を見つけるのに30分以上かかってしまい、僕はガキ大将ヒシクイに「やっぱレンはかくれんぼ弱いな」と馬鹿にされるのであった。

 




キバナ氏「ゼッタイニガサナイ」
レイン「若紫 #とは」

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