TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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世の中には色んな愛の形があって、例えばそれは家族愛であるのだろうし、性欲を伴う愛なんてありふれていて、時には傷付け合うことしかできない愛だって存在するんだろうね。

「それじゃあ、おやすみ」

「んー」

 

ある日のお昼過ぎ。午前中はキバナちゃんと遊んで疲れたアルマは、お昼ごはんを食べ終わったらすぐにお昼寝の姿勢に入った。

ぎゅうと抱きしめてあげたあと、ちゅっと頬にキスする。僕の頬を差し出せば、アルマもちゅっとキスを返してくれた。

 

これはお昼寝前と夜の就寝前、毎回僕とアルマがするようになった儀式である。父様とはする気が起きないが、母様とはもっと激しいものをしてから一緒に眠りに落ちるし、家族間の親愛表現と捉えてもらえればいいだろう。

 

流石に異性の弟と毎回唇を合わせるのは節操がないと思えたので、頬に留めてある。それでも僕とキバナちゃんやアイリスがキスしている時に同じものをせびってくることはあるが。

幼児特有の「ぼくも」というやつである。そういう時は特に断る理由もないので、軽く返してあげている。

 

果たして情緒が発達して反抗期にでもなったらやってくれなくなるのだろうかと心配になるが、かと言って反抗期のない成長は健全な精神の発育に支障をきたすというし、悩ましいところである。

ああでもアルマに「お前」とか「邪魔なんだけど」とか言われるようになったら割とキツイ。反抗期、無くてもよくない?(発想の転換)

 

「いや、駄目だろう」

「だめかぁ……」

 

アルマがお昼寝に入ったあとは度々ヘリオのもとを訪れる。夜ならば母様の方へ行くのだが、今はお仕事中だ。

 

僕の午前中は、二日に一回アルマを連れ出して家の周りで遊び、そうでない日は「レン」として村の子達と遊ぶ。

お昼ごはんを食べてアルマが眠ったのを確認したあとは、自己研鑽に努めることが多い。もちろん再び外に遊びに行くこともあるのだが。

 

こうしてヘリオに会いに来ているのもその一環だ。

彼女は頑なに年齢を教えてくれないが、その溜め込まれた知識はかなりのものだ。ここのところはずっと聖域にいたのだろうから外の世界なんかの状況は知らないだろうが、特に魔法に関する知識や技量は人並みから外れた場所に位置するだろう。

 

「ああ、そういえばさ、ヘリオ」

「なんだお前さま」

 

先日思い当たった真名関連の疑問を思い出し、良い機会だからと聞いてみた。

 

「ツグがさ……あ、ヘリオに真名隠してもあんま意味ないか。アルマ……僕の弟がさ、その母親から託された時点で真名を持ってたみたいなんだ。人間の文化にお七夜はないの?」

「はぁ……これだから人間はロクに魔法を使えないのだ……」

「おおう、それは一体どういう溜息だ」

 

やはりヘリオには思い当たることがあるらしい。エルフがお七夜まで真名を隠す秘密があるのか、はたまた人間が赤子にすら真名を教える風習を持つのか。

 

「秘密……秘匿は、力なんだ。お前さま。だからエルフは、物心つかぬ子が誤って真名を口にしてしまわぬよう六歳まで明かさない」

「でも愚かな人間はそれに気付かず、生まれついたときからベラベラ吹聴しちゃうってこと? だけどそれだと、母さん……アルマの母親が僕と母様だけに彼の真名を伝えたのと理屈が合わないよ」

「愚かだから、ではない。むしろ、かつては我々以上に魔法について詳しく研究していた者もいたくらいだ。……今も知識が残っているのかは分からないが」

 

これには驚いた。魔法に近いはずのエルフのほうが人間より魔法について知らないとは。やはり、どこの世界も人間ってのは研究好きが生まれるもんなんだろうか。対照実験? 正規分布? うっ、頭が……。

 

エルフの社会で研究が盛んでないのは、ひとえに「満足しているから」というのが理由なのだろう。人々は平和に暮らし、地球にはなかった魔法というもののおかげで生活も豊かである。現状に満足している者に進化はないのだ。良い意味でも、悪い意味でも。

けれど、満足というのは最も資本主義社会に足りなかったものだろう。より良い社会を求めて、より悪い地獄に自ら飛び込んでいく。そうして得た戦利品が人にとって無駄だったとは思わないが、満足しない者に幸福はない。

 

また、外の世界は発展と喪失を繰り返している。一時期はエルフを越すほどに深くなった魔法への知識も、失伝すればおとぎ話にすらならない。

 

「お前さま。人間はな……、人間は、文字通り、魔力がなくても生きていけるんだ」

「いや、そんなことは分かって…………え、『文字通り』って、つまり、体から魔力を失っても?」

 

エルフは魔力がなければ生きていけない。それは、細胞から細胞膜を取っ払うとかそういうレベルの話だ。

 

「ああ。本来は、の話だがな。人間達は悲しいほどに魔法への適性がない。生まれついた時は持っている魔力も、身体の急成長する生後一年半程度までに乖離してしまう。それを防ごうとはるか昔より行われるのが、赤子のうちの真名付けだ」

 

なるほどなあ。真名の分かるうちに、身体に定着させると。

え、まて、それは今自分の名前をアルマだと思ってるディアルマスくん不味いのでは。

 

「そう、問題はそこだ。人間の中にも魔法への適性の高いものは稀に生まれる……勇者が良い例だな。そもそも勇者など、我々に引けず劣らず魔法に近い存在だ。そういった存在の真名すら慣習的に喧伝するものだから、いつまで経ってもしょぼくれた魔法使いしか生まれないし、勇者は簡単に災厄にしてやられる」

 

ああ、だから最初の「これだから人間は」発言が出てきたのか。単に長生きしすぎて老害ムーヴかましてるものかとばかり。

 

「違わい! ……結果的に、お前さまが勇者に真名を使わせないようにさせたことは正解だったというわけだ。今代の勇者は、ここ数百年の中でも頭抜けた才覚を誇ることになるだろう」

「僕というスーパーお姉ちゃんの英才教育もあるしね!!」

「……まあ、確かにお前さまの魔法を扱う才は歴代の巫女とさえ一線を画すが。というか、6歳なのだよな? 儂は先ほどから成人した者と喋っているつもりになっていたのだが……」

 

まあ、合計23年ほど生きているし、この世界の成人は16歳だから別段間違ってないのだが。

 

「癒しの魔法など、早々気軽に使えるものではあるまいよ。それをあんな……まぐわいで疲れた体を癒やすためだけに使うなど。……助かっては、いるが。次代巫女とはいえ、普通は魔力が枯渇するものだ」

 

まあ、それは空気中に魔力ポーションが浮いてますしおすし。

しかしそのことを知らないヘリオは、別の結論に至ったらしい。

 

「……秘匿は力。つまり、そういうことなのだろうな……」

 

十中八九、真名を騙っていることに対して言っているのだろう。

もはや説得は諦めたようだが、悲痛な、心の痛みがこちらにまで伝わってくるような苦しげな表情をして俯いてしまう。

美少女の儚げな悲しみ顔はヤメロォ! その表情は僕に効く!

 

「ごめんね、ヘリオトロープ」

「……ん」

 

ヘリオは省略しない仮名で呼ばれるのが結構好きみたいだ。

その名で呼び、優しく抱きしめてやると体をこちらに預けてくる。

 

僕の真名のことを考えれば、彼女にとっては辛いことしかないのだろう。

だから、こうして肉体の快楽によって脳内を埋め尽くしてやるしか僕にできることはない。

 

切なげな表情の黒髪褐色少女を見れば、どうしようもなく僕の中の下卑た劣情が反応してしまう。可哀想と思うと同時に、快楽で泣き喚く姿を脳が勝手に描いてしまうのだ。

 

せめて、どうか彼女が少しでも長く救われるように。

あるいは、沢山のことを教えてくれ、僕の踏み込んでほしくない領域に触れないでいてくれたことへのご褒美に。

 

いつか彼女が望んだよう、今日はゆっくりと優しく(むさぼ)ろう。

それが、偽りの優しさだとしても。

 

好きだよ(・・・・)、ヘリオトロープ」

「……儂も。儂も、好きだ。好きなんだ。好きで好きで、胸が苦しいんだ……ご主人様ぁ」

「うん……」

 

秘部は最後になるまで決して触らない。舌も激しく絡めるようなことはしない。

どこまでも優しく包み込むように、甘やかすように、(とろ)けさすように。

 

柔らかくした舌で触れ合って、空いている手で彼女の耳を触ったり、胸のまわりをなぞるようにくすぐったり。

そうそう、時折耳元で心地よい言葉を囁くのも忘れてはいけない。

 

「いいよ。ヘリオトロープ。僕でたくさん、気持ちよくなって。僕を感じて」

「ふ、あぁっ……! それ、背中がぞわぞわってぇ……っ…………あ、ふ、ああ……」

 

騙し、騙され、騙し合って。

慰め、慰められ、慰め合う。

 

後悔と快楽。

罪悪感と多幸感。

()徳的で()反な意識を相手と共に()負うことは、一度味わえばたまらない底なしの沼である。

 

 

 

 

堕ちてゆこうよ、神様。

 

メス(感情の生き物)だからこそ味わえる、理性と情欲の底まで。

 




レイン「ヘリオをメス堕ちさせる」
ヘリオ「既に、している」

サブカルクソ女神「それはなんか違うし、そもそも逆ゥ!! 人の子、お前が堕ちるんじゃよ!!」

**連絡欄**
妖艶な美幼女って想像しづらいよね。
「クリスティーナ・ピメノヴァ」や「劉楚恬(りゅうそてん)」で検索してみると、脳内補正が多少効くようになるのかなと思います。

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