TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
「ふむ……これは、もしかすると……」
握手ひとつでにゃんにゃんワンワンわおーんわおーんと騒いだルーナは、ひとしきり騒ぎきって落ち着くと、何か感じた違和感を探るかのように右手を握っては開いていた。
「ど、どうかしたんですか」
「なぁに、人の子よ、少しその場で止まれ」
「はあ…………って、な、何を!?」
言われた通りピタリと静止すれば、服の中に腕を突っ込まれた。
すわ、エロスか!? と驚く僕だが、ルーナに触れられた部分から体が石になったかのように動かず、抵抗することが出来ない。
「静かにしとれ……」
「エロ同人みたいにされるのは嫌だけどエロ同人みたいにするのは好きってか、このエセっぱい女神め!? 何でもするとは言ったけど、僕はあなたになんて屈しませんからね! 助けて母さ──ムグっ、ムーー!」
「我をお主と一緒にするでない、そのまま黙っとれ」
触れられた腹のあたりから何かが駆け上がってくるような感じがして、気付けば口を勝手に閉じさせられている。なんだこれ、神の力か!? 魔力が使えないってのは嘘だったのか!? 騙されたあぁぁああああああ!!
「――っ! 〜〜ムーーッ〜〜〜〜!!」
なんだこれ、やばい、くそ気持ち悪い、胃が洗濯機にクラスチェンジしたのかってレベルでごった返しにされてる気分。アアァ脱水は止めてクレメンスゥ!!(汚声) できれば、ソフト、ソフトモードでぇええええええ!!
……んっ? 不快感、なくなったな。
相変わらずルーナは僕の肚に右の手で触れたままである。
だが、先ほどまでの無理やり体中をひっくり返されているような不快感はなくなり、むしろ風呂上がりの血行が良くなっているときのような気分さえする。
僕自身の体をよく見てみれば、体が普段纏っているはずの魔力が、まるで血流のように体表や体内を巡っていた。
それどころか、空気中の魔力塊が僕の体の周りを取り囲むように踊っている。これではまるで、奏の魔法を使っているかのようだ。
というか、普通に心地よい。エステ受けてるときとかこんな感じなのだろうか。
僕が微睡んでいると、僕の魔力を勝手に動かしているルーナはそのまま僕の魔力でそよ風を起こさせた。
「ふむ、なるほど、こんなものか。ならば、これならどうだ? ……人の子、脱がすぞ」
……ファッ!?
体を勝手に操られ、すっぽんぽんにされた。ヘリオ相手なら別に構わないが、中身が別人ということに羞恥を覚えずにはいられない。
それどころかルーナまで脱ぎ、お互いの腹部をピッタリとくっつけて、僕をすべて包み込むように抱きしめたのである。
いくらヘリオが小柄とはいえ、僕はそれ以上に小さな幼女だ。
ちょうど彼女の胸の位置に来る頭は、彼女から聞こえるゆったりとした鼓動の音でいっぱいになっていた。それに反比例するように早鐘を打つ自身の心臓に気付いて、より恥ずかしさを煽られた。
僕にこんな恥ずかしい思いをさせたのは、あなたが初めてですよ……!(憤怒)
というか、この体勢やばい。
余裕満点のヘリオ(の身体を操るルーナ)に全身余すところなく包み込まれて、彼女の身体が発する甘い香りが鼻孔をくすぐり、胸は小さくても均整の取れている非常に魅力的な体型が視界を覆い、時折独り言のように「ふむ」だの「よし」だの囁く蠱惑的な声音が耳元で揺れ、さらには強制的に巡らされる魔力で内側から体が熱くなり、その心地よさは快楽物質すら勝手に分泌させる。
当然発情する。だが、だというのに、ルーナの魔法か何かで僕は身じろぎひとつ許されない。
なんだコレ。新手の拷問か? 我に欲情するなとか言っておきながらここまでするとか、真正のサディストか?
そうこう考える間も、ルーナは独り言を呟きながらいくつかの魔法を試していく。あれか、神なんてやってると話し相手も全然いなくて独り言が増えるんだろうな、などと普段なら考えているところだが、熱っぽい頭は快楽のこと以外何も許そうとしない。
力が抜けているせいで口元からは勝手に涎とか少し溢れてるんだけど、ルーナは気にしていないんだろうか。
「よしよし、なるほどなぁ。悪く思うな、人の子。少し調べていた……って」
「…………にゃぁ……?」
「……悪乱数ばかり引くと思っていたが、存外、素質はあるのかもなぁ。カカ……あとは、勇者次第といったところか」
抱擁を解いたルーナは、何事か呟きながら脱力した僕を横に寝かせた。
離れるのが寂しいような、これ以上のことにならなくて安心したような心地で、僕も頭が冷えていくのを待った。
しばらく時間が経ち、復帰した僕は脱がされた服をかき寄せて、疲れた表情でルーナに問うた。
「あの、なにか、分かったんですか?」
「ん? ……ああ。簡単に言えば、転生を我が取り計らった影響で、お主の魔力に我のものの残滓が含まれている。
「魔力の核……」
精神の核は脳で肉体の核は心臓だとしたら、個人の纏う魔力の核が下腹部にあるということだろうか。
そういえば、中国医学だとか伝統武芸に丹田ってのがあったな。魔力と関係があるのかは知らないけど。
「肚もそうだが、体の至るところで外界と魔力のやり取りが行われておる。お主には皮膚呼吸と言えば伝わるか? 本来扱えたものの足元にも及ばないが、お主に直に触れることでその魔力を我も扱える。動かせる魔力さえあれば、周囲の性質の異なる魔力だって我なら意のままじゃ」
「ええと、周囲の性質の異なる魔力というのは、どこからどこまで……?」
「決まっておろう、すべてじゃよ。この素体の秘める膨大な魔力も、この空間に満たされた更に膨大な魔力も、何だってな。伊達に全能を名乗っとらん」
つまりは、元々の体だったら、何の条件もなしに僕が見えているような魔力すべて意のままにできるということか?
なんやそれ、チートやん(小並感)
「ええと、つまり、ルーナは僕の体に触れている限り好き勝手魔法を打てて、触れていなければただの褐色白髪パイパンのじゃロリ娘?」
「さてはお主、言葉選びのセンスが壊滅的じゃな……? だがまあ
うるせえ。言葉選びのセンスが無いのは自覚してる。
あったらもっとマシな真名を考えたさ。なんだよ雨降ってるからレインって。いやアメにしなかっただけ褒めて欲しい。でも残念ながら仮名はアンブレラなんだよなぁ……僕はじかれてて草。
まあでも、冷たくて物悲しい
下らないことを考えていると、ルーナがニヤリと笑みを浮かべた。
「しかし礼を言おう、人の子よ。足がかりさえ見つかれば、あとはどうとでもなろう。……褒美だ、魔法さえ使えれば、こういう事もできる」
「わっ!?」
そう言って、ルーナは再び僕に抱きついてきた。もちろん裸で。
「魔法を使いたいなら、手を握るだけでもいいでしょう? どうしてわざわざこんな……」
抗議の声を上げるが、その釈明はない。何なのだと思い上を見れば、そこには目を点にしたルーナの顔があった。
いや、これは──
「……お前、さま?」
「ヘ、リオ……?」
……本当に、”何でもできる”ってのはチートではないか。
あるいは、”神”ってやつにはロクなのがいないのだろうか。
何でもできて……何でもできるからこそ、断りも入れずに、好き勝手する。
僕は、ルーナが力を取り戻すまで、ヘリオに会えない覚悟さえ決めていたのだ。
だと言うのに。
ほんと、神ってやつは。
「くっそぉ……あほぉ……ばかぁ……」
「なぜ、儂はここまで罵倒されているんだ……?」
困惑するヘリオと、それを泣きながら抱きしめる僕。
しかしルーナはどこへ行ったのかと思えば、祠の中に入ってくる影があった。ヘリオが日頃使っているイケオジの泥人形だ。
「魔力さえあれば、このように別の体にも移れるというわけじゃな」
「このぉ、チートエセっぱい神めぇ……」
「ええと、お前さま、これは……どういう状況なんだ」
なら最初からそれやれよとキレそうになるが、僕の体に一度触れなければいけないわけで。
というか、ヘリオは急に意識が暗転していま復活した感覚なのだろうか?
「へりお、どこまで、覚えてる?」
「どこまで……あぁ、つまり、あれは夢ではなかったのか」
夢。なんだか、一部始終覚えてそうな言い草だ。
「明瞭な意識というより、まさに夢……であった。ぼんやりと、覚えている。その、お前さまが……」
「ク、フハハ、つまりな人の子よ。お主が頭を下げて素体を取り戻したがっていた姿も、しかと見られていたというわけじゃよ」
「……は? えっ、は、え、はあ、あ……!?」
もじもじと恥じ入るヘリオの声にかぶせ、ルーナが全部カミングアウトしやがった。
つまり、僕が土下座しているところも、泣きわめくところも、なんとかなると知って腰が抜けるほど安堵した姿も、すべて、見られていた……?
え、死にたい(婉曲表現)
「……ック、クク……」
ルーナがニヤニヤと笑みを浮かべている。
僕は恥ずかしさでヘリオの方を見れたもんじゃないし、ヘリオも耳まで真っ赤にして顔をそらしていることだろう。
「……だ、だがっ」
消え入るような声で、ヘリオが口を開いた。
「その……ぅ、うれしかった……よ……?」
語尾もガバガバである。乙女かお前は。いやおにゃのこだから乙女か。
なんなら僕も今は乙女か。いやぁ……死にたい(婉曲表現)
「ほれ……たいむあっぷ、じゃ」
「え……?」
そして、無情にもルーナが終わりを告げた。ヘリオの声で。
驚いてヘリオの顔を見上げれば、ルーナが憑依しているとき特有の虚ろのような瞳で彼女がニヤッと笑っていた。
泥人形の方を見ると、そこには無残にも崩れてしまった土くれの山があった。
「この通り、泥人形とは言え我の素体には5分ともたん。人形を作るための魔力を込めれば込めるほど長くはなるだろうが……まあ、どれだけ長くなってもお主がこの素体とまぐわいきる時間ほどもないだろう」
「なんだ、その、僕とヘリオがえっちばっかしてるみたいな言い草」
「は……? その通りじゃろ……?」
あっハイ、その通りでした。
話の腰を折ってすいません。どうぞ続けてください。
「……う、うむ。だがひとときとは言え、語らう時間すらないよりかはマシであろう? 我は人格者じゃからな、そうした時間くらいいくらでも与えてやろう。そのためにも人の子、魔法の扱いを極めよ。我のようにとは言わんが、この素体よりは使えるようになれ。そうでもなければ、お主はこの素体の代わりの依代にさえなれんよ」
それは、そう、としか言いようがなかった。
この年にしては、魔法が扱える自信はある。魔力が視えるというアドバンテージもある。
だけどそれは、この世界の誰よりも魔法が使えていると言うにはあまりにも足りないのだ。
ヘリオが世界で一番だったのかは分からない。
依代に選ばれた理由には何らかの他の要因もあったのかもしれない。だって、彼女は神と呼ばれて、こんな場所で久遠の時を過ごしているぐらいなのだ。
紫の上は幼少期に源氏に見初められ、のちに引き取られる。
源氏を愛し源氏に愛されながらも、力を持たない己の境遇に苦しみ病死していった。
その弱き生涯の中で、幸せだった幼い頃のひとときを切り取って「若紫」と呼ぶ。
ただ、幸せなだけでは駄目なのだ。
幼さも、美しさも、弱さも、何も言い訳になることはないだろう。
辛い自分を救えるのは、きっといつだって自分だったのだ。
そんなこと、「あの時」に痛いほど思い知らされたじゃないか。
僕に無かったもの。諦めたもの。必要さえ感じなかったもの。
それを持っていなかったことを、こうして
だから。
「教えて下さい、ルーナ。僕に────『
「ああ……退屈しのぎには、なるじゃろうよ」
そう言って、
レイン「そういえばルーナ、いつまで服着ないんですか?」
ルーナ「は? 衣服など邪魔じゃろ(逆ギレ)」
レイン(痴女か…(呆れ))
ルーナ(まったく、人の子は何を言い出すのやら…(呆れ))
主要キャラ人気アンケート:"好き"と"性癖"は違うと思うので、ひとまずは一番応援したいキャラへヨロシクゥ!
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テレサ(女神母様)
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ヘリオ(神(笑))
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キバナ(ょぅι゛ょ)
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アイリス(乳母娘)
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ルーナ(エセ女神)