TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
「はい、で、姉妹ではなくて姉弟だったんですか。それとも兄弟ですか」
「次代巫女……」「よく平然としてられるね……」
お漏らし闘争の戦後処理をし、楽屋で僕とカワアイサの着替えになる衣装を借りることで一連の騒動にはケリが付いた。子供用の衣装が少なかったため、今はゴスロリっぽいドレスを貸し出してもらっている。
平然? 冗談ではない、これは諦めの境地だ。恥辱と申し訳のなさは着せ替えられている間に十分に噛み締め、今はこれ以上精神が悪化しないよう感情がストライキを起こしているのである。
「いや、よく見ると……」「目に光がない……」
ハイライトさんもストライキ中らしい。
まあ、ストライキってのはそういうもんだ。一斉に起こる。
というか僕のことはどうでもいいのだ。なぜ姉妹に珍棒がついているのか、その説明をしてくれ。女装趣味ならそれでいいんだ、一言でもなんでも。
顔を見合わせたカワアイサとウミアイサは、視線だけでお互いの言いたいことが分かるらしい。無言の話し合いをした後、ここだと人も来るからと、今度彼女らの家に招待される運びになった。
うーん。
女装をしていた双子の秘密を狙った美幼女が、その家に一人で来るよう招待される、か。何も起こらないはずねえよなあという心の珍棒の声と、まさかエルフに限って婦女暴行なんて働かないだろうという理性の声が喧しい。
とりあえず、ヘリオと一緒に木の枝で風の魔法を用いた棒のちょん切り方は練習しておく。ヘリオが恐ろしいものを見るかのような目で怯えていたが……こちとら無力な幼女やぞ、挿れるもんが無くなれば暴漢も目を覚ますやろと主張をしておいた。
一般的なサイズなんて分からんから、直径5センチほどの木の棒を土に立ててスパスパ斬っていく。楽しい。もしかすると、珍棒は斬られるために存在しているのかもしれない。
横向きに斬るのはもう完璧だな。縦向きに斬る練習もしておこう。それ、それ。HAHAHA。
断じてお漏らしを見られた恨みなど感じていない。
むしろこっちはぶっかけて相手の股間まで触ったのだ。謝る意味を込めて菓子折りも用意し、アイサ家訪問の準備は整った。
「や、次代巫女」「よく来たね」
「あの、この間はすみませんでした。これつまらないものですが……」
杞憂も虚しく、二人に暖かく出迎えられる。家には両親も居るらしい。
……あ、なんか、はい、すいません、心が穢れてて。僕も世の中のエルフたちみたいに綺麗で純粋な心を持てるよう精進します。
これからは全人類を信じて清く正しく生きていこうと己に誓った。
汚れたキャンバスは真っ白には戻らない? うるせえ、貼り替えればいいだろ!
「それで」「秘密は守ってくれたかな?」
「はあ、まあ誰にも言ってませんよ。そもそも聞かれませんし」
「そっかそっか」「それはありがとう」
リビングに通され、机に向かい合って座りながら茶菓子をいただく。
交互に話すアイサ姉妹(?)はまるで一人のエルフのようで、目を瞑って同じ方向から話しかけられたら、同一人物が喋っているようにしか感じられないだろう。
それでね、次代巫女は聡明だから気がついているんだろうけど、と姉妹(?)が切り出した。
「私達は」「二人とも」
「「──男の身体に、生まれたんだ」」
ご丁寧にハモりながら告白された。
つまりは、アイサ姉妹でなくアイサ兄弟だったというわけだ。
……が、そんなことが聞きたいわけではない。
「はあ、そうですか」
「「えっ!?」」
大げさに驚かれる。
だが僕は二人が女装している理由が分からなくて、その好奇心を満たすために今日訪問したのであって、別に中身が男だとかゲイだとか禁断の兄弟愛だなんて心底どうでもいい。いや、最後のはちょっと気になるな。
こちとら女の子みたいな男の体に生まれて死んで、男の精神のまま美少女の体に転生している。女の子かと思ったら女装男子だった? それが何だというのか。一回死んで出直してこい。
そんな風に疑問に思っていたら、ああこの子はよく知らないんだなという顔をされたあと、丁寧に説明してもらえた。
曰く、「舞姫」は歴代女性だけという伝統があるらしい。
しかし実子が男の子だけになるというのは確率としては1/4、かなり高い部類であり、普通に起こりうる。
なので血の繋がりの濃い親戚筋なんかから女の子を譲り受けることもしばしばあったらしいのだが、今回それを邪魔したのが「双子」の存在であった。
舞姫には秘伝の魔法があるらしく、他の役者たちを置き去りにするほど人々を虜にして止まない理由はそこにあるそうだ。
しかし双子が生まれる際、ひとつの魔力が計三名の体内を循環するため、母親と子の魔力的な繋がりが普通以上に強まる。多くの人の体を巡らせると魔法が練られより強くなるというのは、実は奏の魔法の根源的な仕組みだったりする。
強まった繋がりというのは、どのような場合も部外者を排除しがちだ。
結果、双子以外への魔法の伝授は難しくなってしまい、「舞姫」の魔法を伝統に従って女性に引き継がせることが、実質不可能になってしまったという。
正直な感想を言えば、アホらしいなと思えた。
現代日本で育ったからこその価値観かもしれない。だが、伝統という言葉に縛られて文化を残せないほど馬鹿馬鹿しいことはあるだろうか?
別に、男でもいいじゃん。部外者としての感想はそれに尽きた。
まあ、僕も巫女なんて立場だから「伝統」の意識を理解出来なくもない。それに、たとえ枠を破ろうと一人が決意できたところで、それだけでは足りない。
どこの文化にも保守派というものが存在するのだ。だから大相撲は土俵女人禁制をやめられないし、書類決済のハンコ文化は根強く残る。それは宗教観だったり、哲学だったり、あるいは慣れ親しんだものを止められない人間の
「けれど、お二人がいま舞姫として舞台に立っていることが答えでしょう?」
「そうだね」「ママは、舞姫を絶やさないことを選んだみたい」
「でもそう選んだ理由は教えてくれなくて」「どうしてだろうね」
アイサ兄弟は、今では父様が大ファンになり母様も好んでいるように、現代の舞台役者のトップを張っている。それは、歴代舞姫達に劣らないどころか、いまも進化し続ける舞台芸術の最先端にいると言っても過言でないだろう。
二人が女性として振る舞っていることには母親の妥協が見える。
舞姫として育てることは決意しても、やはり伝統に縛られた周囲の人々を説得できるほどの強さはなかったのだろう。あるいは、自分の息子達が仮面を被るだけで茨の道を進まずに済むように、という母親の情か。
女装生活と非難を受けながらの芸能活動。どちらも精神的な負担があることに変わりはないが、役者という生き物にとっては前者のほうが確かに楽かもしれない。
現状を考えれば、男でも問題はなかったのだ。
けれど、きっとこれからも「舞姫は女」という伝統は続いていくのだろう。そのことにモヤッとしたものを感じなくもないが、それは僕が口出ししていい領分ではないはずだ。
ただひとつだけ、聞いてみたいことがあった。
「カワアイサ、ウミアイサ……お二人は、これからも女性の仮面を被って生きてゆくのですか? 男性としての生涯に悔いはないのですか」
言ってから、しまった、と思った。
それを聞いたところで、晴れるのは僕の疑問だけで、兄弟は何も救われることがない。
ひどく自己満足的な問いかけをしてしまい、それを取り消そうとしたところで二人が同時に口を開いた。
「「……
「『作る人』……?」
唐突に飛び出てきた言葉はとても簡易な単語の組み合わせで、けれどその意味するところは僕の問いかけの答えにはまるでなっていないようだった。
作る人。
工作人……ホモ・ファーベルという言葉がある。かつての西洋の哲学で生まれた認識で、人間は「モノを作る」という点において他の生き物と区別できるという。
結局それは、人間を特別視した古い考え方として捨てられたが、その言葉に通ずる何かを僕は感じ取った。
「「『舞姫』はみんなきっとそう。ママだって、あるいは次代巫女の父親もそう。ああ、巫女はちょっと違うかな」」
「ええと、つまり、創作をする人、モノ作りが好きな人、ということですか?」
「「……ちょっと、違う?」」
感覚としてはあっても言葉にならないのだろう。兄弟は首を捻った。
「「それは、病。それは、呪い。それは、魂の在り様」」
「「書かなければ、
「「人の根幹が肉体と精神、魔力の3つなら、『作る人』はそれらにもうひとつ、
それ、と呟くことしか僕には出来なかった。
……なぜなら、理解出来なかったからだ。
意味分かんないと言いたいのではない。いや意味分からないけど。そうじゃなくて、あまりに持っている感覚が違って、それに同意できない自分に哀しさを覚えたのだ。
なるほど、なら、僕は「人」だ、と。
「「振り返ってから、名を残すためだっただなんて言う人もいる。けれど、
「「手を伸ばせた人は『作る人』。届いて引けた人は天才だなんて呼ばれるけれど、大差はないの。手を伸ばさなかった『人』に比べて」」
……ならば、この二人は「天才」なのだろう。
だから、伸ばさなかった人、伸ばせなかった人、光に気付きさえしなかった人。そんな人々の気持ちが分からず、こうも残酷な言葉を僕に投げかけている。
そう思ったのは、勘違いであった。
「「……だけど、
「「だって、作るだけが幸せじゃない。────手に入れた宝物は、見せびらかすでしょう?」」
「……くっ、ふっ、アハハ!」
いたずらっぽく笑みを浮かべる兄弟に釣られ、僕まで笑ってしまう。
ああ、勘違いだ。勘違いだとも。こいつは酷い勘違いをしていた。
まったく、天才というやつは。
「……こんなに酷い人には、初めて出会いました。あなた達は、傲慢で、勝手で、独善的で…………そして、自由だ」
「「そういうこと」」
なんとも滑稽な勘違いをしていた。
彼ら天才は、自分の足元にも及ばない凡人を
「作る人」が息を吸うようにモノを作り出すのだとしたら、吐くときにはそれを「人」に見せびらかすのだ。あるいはそれは、食事に近いものかもしれない。
そう言ってしまえばとても勝手で残酷な行為に思えてくるが、そうではない。
「見せる」というのは承認欲求を満たすが、「魅せる」ことで他者を幸福にすることすら可能なのだ。
何もないところから自己と他者を幸福にしてみせる。それこそが、『作る人』の能力なのだろう。
「「だから、男とか女とか、それは
騙されるが吉。
双子に熱狂している父様のことを思い出すと、そんな言葉が頭に浮かんでくる始末である。
「次代巫女、これからも」「……美味しく、頂かれてね?」
「巫女をおかず扱いですか……。まあ、次回のアイサ
「高い女」「楽屋に花束、持ってきて」
……はいはい。
なあ、アズラー。昔の話を一つしようか。
あるところに、一人の男がいたんだ。そいつはとっても単純で、嘘の一つだって見抜けないようなやつだ。
そいつがある日、舞台を見に行った。友だちに誘われたんだったかな。
そして、そこで男は
そいつは、それからその女が出るたび毎回劇場へ足を運んだ。
そして見る度に、見る度に自分がありとあらゆる手段で食われているような錯覚を感じた。
それでも、通うのは止めなかったんだ。
いつしか、男は観劇後にその女とお茶をするようになっていた。その日の演技がいかに良かったのか、大げさなほどに身振り手振りを使って伝えるんだ。
なあ、アズラー。単純だからこそ見えてしまうものって、あるんだよ。
そしてそれは、俺がお前と結婚した理由だ。
俺は、お前にもっと食べられたかった……飲み込まれてしまいたかったんだ。
双子なんだ。この子達には、人一倍「舞姫」の魔力が濃く流れていることだろう。
なあ、アズラー。舞姫の伝統は理解出来なくても知っている。けれど、伝統ってなんだ?
守ることか? 変えないことか? 縛りつけることか?
違うだろ?
伝え統べていくことこそが伝統だろ?
変わらない伝統なんてのは伝統じゃねえ。
それは、ただの足枷だ。お前を、この子達を、世界を阻害するだけの足枷に過ぎない。
いいか、一度だけしか言いたくないから、ようく注意して聞いてくれ。
お前は、世界でいちばん自由だ。
たとえお前が男だったとして、演じる喜びを知ったいま、それを我慢するのか?
自分の子供たちがその喜びを知ることを、どんな理由があれば邪魔しようと思える?
大丈夫、俺がいる。絶対に支える。
お前の観客はいなくならない。なぜなら、俺がいるんだ。
お前は好きなだけたらふく食えばいい。
そして、お前の子にもたらふく幸せを食わせてやれ。
幸せ。それこそが、俺たちがこの子らに伝えるべきものだろ?
舞姫舞姫、おどりゃんせ。
此度は世界に演じて魅せろ。
アイサ姉妹((お漏らしするくせに、独善的だなんて言葉は知っている。次代巫女……変な子))
レイン(メシのためにメス堕ち…メシ堕ち…?)
主要キャラ人気アンケート:"好き"と"性癖"は違うと思うので、ひとまずは一番応援したいキャラへヨロシクゥ!
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テレサ(女神母様)
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ヘリオ(神(笑))
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キバナ(ょぅι゛ょ)
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アイリス(乳母娘)
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ルーナ(エセ女神)