TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
聞くところによると、かつての友人(?)達であるガキ大将のヒシクイくんや笑顔が素敵なルコウちゃん、その他にも幾人かの子供たちが、少年「レン」を探した果てに「レン=御子のお忍び姿」という推理にたどり着いたらしい。
天才かよ(驚愕) 天才かよぉ……(震え声)
まあ、あんなガバガバ変装で気付かれていなかったことの方が驚くべきかもしれない。
メイクなんて高等技術は使えないから、パッと見と先入観頼りのゴリ押しだったもんな。
それに次代巫女は魔法行使中だけ瞳の色が変わるっていうのも、いまや結構周知されちゃったし。
なお、友人にクエスチョンマークが付くのは僕が未だにOTOMODACHIという概念を捉えきれていないからである。
クラスメイト=友達は違うと思うし、一緒に遊んだ=友達も違う気がするのだ。
仲が良かったじゃないかと言われればそうなのだが、じゃあ最後に遊んでから5年近く経って、それっきり会わないような関係は友達なのか? かつての日本で言えば、卒業程度のできごとで連絡すら取らなくなってしまうような相手は本当に「友達」なのか? という話だ。
さらに言えば、僕がこの世界で唯一友達、ひいては親友と認めているキバナちゃんに関しては、先ほど僕の太ももの上で二度イって……いや、あれは純粋な友情だね。ウン。身体洗ってもらっただけだからね。全然性的なアレとかソレじゃないんで問題なくOTOMODACHIです。
とにもかくにも、OTOMODACHIについては今生でもさほど理解出来なかった。僕には、親友キスが気持ちいいくらいのことしか言えません。
あ、付き合いの長さで言えばアイサ姉妹とかもOTOMODACHIに入るか? アイリスはどちらかと言うと従者ポジに入りたがるしなぁ。
「でもですよ、キバナちゃん。みんなはどうやってその確認を取るの? 僕にレンかどうか直接尋ねても、違うって言われたらそれまででしょ? それか、『レン』の格好でみんなにもう一回会いに行くか……あ、でもいまだと胸が苦しいか」
「それに、今のあなたの顔で男装は相当難しいわよ。……方法としては、『アンブレラ』に『レン』の捜索を手伝ってもらおうとしているみたいね。あなた経由で役所の住民一覧から調べてもらえば、本来ならすぐ見つかるでしょう?」
うわぉ、結構エグい方法を思いつくもんだな。
ちなみに今の体勢は、僕の部屋で僕がキバナちゃんに膝枕されている。部屋につくなり誘導されたのだ。僕に逃げ場はなく(逃げる意思も蕩かされる)、大人しく髪を梳かれながら横たわっている。
さて、この村では住民管理は長老会直下の組織……と言うとなんか権力とか悪どさを感じがちだが、まあいわゆる役所で行われている。
放っておいても勝手に増える生態をしていればいいが、子作りの都合上そこの管理だけは結構厳しく行う必要があるのだ。結婚相手はある程度選べるが、適齢期とされる100歳を大きく過ぎても見つかっていなければ勝手に充てがわれることさえある。
また、子作りのタイミングも役所で管理されている。(エルフの子作りについては既に説明したことがあるので割愛する)
前世の感覚で言えばこんな美男美女相手だったら誰と結婚するってなっても喜ぶが、子作りを管理されてるのだけは家畜っぽくて違和感を覚えるな。
この村の人々からすれば当然のことなので、本当に前世の価値観を引きずってしまっているだけだが。というかそうしないとマジで種の存続がヤバいのだ。
一方、情報の管理という面においてはかなり緩い。
それは、情報が漏れても悪用しづらいという一点につきるのだが。誰でもいつでもどこでも触れられるわけではないが、僕ぐらいの立場にあると結構ホイホイ知れる。
そこでレン捜索隊が思いついたのが、ファンサ諸々で村の人の頼みをわりと聞いてくれる御子にその場で調べてもらうということだ。
いなくなった人の存在を調べるくらいなら大して時間も必要ないので、非常に断りづらい。
というか過去に人探しを手伝ったことすらある。
僕が観念して自白するもよし、調べる中でいないことが判明するもよし、あるいはレンとアンブレラが同時に存在できない弱点をついて、そうなる状況まで持っていくもよしというわけだ。
これを突然言われたら、逃がす気がなさすぎて正直パニクる。
多分役所のデータ改ざんをしようとして捕まって斬首される。いや斬首はないけど。
物理的に同時に存在し得ない二人を並ばせるという、非常にシンプルかつエグい戦法である。
「これ、思いついたのルコウちゃん?」
「そうよ? よく分かったわね」
「だよね……」
あのメスガキぃ……いまは僕もメスガキだった……。いやしかし彼女は相変わらずいい性格してんな、頭も回る子だったし、もうおおよそ予想が付いてるんだろう。
だが残念だったな、ルコウ! 僕の親友がスパイということに気付けなかったのがきさまの敗因だ、勝ったご褒美におっぱい揉ませろ!
頭脳派キャラがエッチな目に合うシチュエーション結構好きです。
「それで、どうするの?」
「どうするって……なんとか誤魔化しますよ? 御子が男装してただなんて知られたら大変だよ」
「そんなこと、みんな気にしないと思うわよ。実際、あなたの立場で最初から近付かれたらマトモに話すこともできなかったでしょうし。私が言いたいのは──」
そこまで言ったところで、キバナちゃんは一瞬口をつぐんだ。
逡巡するようにしたあと、太ももに頭をあずける僕の目を見て続きを言う。
「私が言いたいのは、これを期にみんなに全部言っちゃえばいいじゃないってこと。あなた、昔から友だちが沢山欲しいって言ってたでしょう? お忍びの姿だったのは本当なんだし、素直に打ち明けてその上で友達になってほしいって言ったら、みんな喜んで受け入れてくれると思うわよ」
「打ち、明ける……」
……その発想はなかった。
いや、そもそも男装がバレたら奏巫女の信頼や実績が崩れると思って隠していたのだ。
しかし、
もしかして、僕が前世における「男装・女装」というものへの先入観を持ち込みすぎていた?
友達。
ずっと、憧れていたものだ。
気軽に話せて、喋っていると笑顔が絶えなくて、時には悩みも相談しながら、けれど依存はしきらないその関係性。教室とか公園で輪を作るように談笑する彼ら彼女らを、どこか遠い存在のものと思いながら憧れてきた。
だから、レンとして体験したあの時間はとても大切なものであった。
それを失ってしまったいまを寂しく思うけれど、もう一度取り戻せるのだろうか?
今度は、
「……ちょっとだけ、考えてみる」
「ええ」
「みんなは、いつ聞きに来るのかな」
「明後日の夕方かしらね。いつもみたいにあなたが通りでの挨拶回りをしていれば、私達が話しかけると思うわ」
OTOMODACHI……いや、茶化すべきではないか。
焦がれてきた憧れ。友達というものを、もう一度。
見上げたキバナちゃんの表情は、どこか寂しげであった。
普段の僕の行動は結構単純で、日中することと言えば、アルマとの鍛錬、あるいは儀式の日は母様とともに巫女として様々な場所へと赴き、そうでないときは聖域でルーナに魔法の扱いを教わるか、
学校のない若者というのは本当に暇なもので、家の手伝いがない青年たちがぶらぶらしたりそこらで演奏したりしているのも納得できる。
そんなわけで今日も色々な店や人に声をかけながら歩く。奏巫女はニートという噂が立たなければ嬉しいのだが。
こう見えて、結構人の名前とかやってること覚えるの頑張ってんだぞ。
最初は書いてまとめておかないとすぐ忘れていた。ぼっちは人の名前が覚えられない生き物なのである、ニン。
数千人規模の村ともなればそれなりに広く一日では周りきれないので、結構適当にほっつき歩いている。
まあ、一日単位で変化する世界でもないし、多少はね?
さて、ヒシクイくん達はいつ来るかなと思っていると、後ろから声をかけられた。
「アンブレラ様っ」
ああ、ようやくか。
そこには、キバナちゃんとヒシクイくん、あとは男の子の中では僕とかなりウマの合ったコジュケイくんがいた。流石に人数を絞ってきたらしい。
二人とも、結構顔も変わってきたなぁ。昔は天使みたいに可愛い顔してたけど、今ではすっかり一人前のエルフの男だ。
僕も、周りから見たら一端のエルフの女なのだろうか?
もうすぐ前世の年齢に到達してしまうけれど、まるで自分が変わった気がしない。……それは見た目よりも内面か。
そこからは、おおよそキバナちゃんに聞いていた通りの流れであった。
レンという男の子を探しているのだが、一向に見つからない。今日もそうやって探していたらたまたま僕を見つけたので、どうか助けると思って住民票を調べてもらえないだろうか、と。
何も知らずに聞けば、いなくなった友人を心配する直訴みたいなもので、僕も断ることはないだろう。
カミングアウトするとすれば、ここか、役所で調べてもらったあとのタイミングだ。
ひとまずここは了承して、一緒に役所へと赴く。そして、さも調査結果を伝えるかのように嘯いた。
「お探しのレンさん、見つかりましたよ」
レイン「えっこの状態からでも受けれる救済措置があるんですか!?」