TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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この作品は、インモラルではなくアモラルです。
正常な倫理観を持っているキャラを出さないと一生このままです。

……誰かァ!!(孤立無援)



あ、前話の「豊年だ」ってのは暗夜行路のネタです。
主人公が娼婦の爆乳を揉みながら「豊年だ!豊年だ!」と叫びます。

……志賀直哉ァ!!



最近は色々と立て込んでいたから、たまにはお昼寝でもしてのんびりしませんか? 自然が豊かで風の気持ちいい場所で、ゆっくりtzzZ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ヵは、ァ、……ガ、ぁぁぁあ、あああ、は──ぎァ、ァァ」

 

 

 

 

 血液と共に体中に鉛でも流しているのかと錯覚するような不快感。

 かろうじて己が仰向けで寝ていることを知覚できるが、もはや、触れる地面の感覚も、硬直するかのように張られた身体も分からなくなるほどに思考が定まらなくなっている。

 嘔吐感。喘ぐように、陸に上がった魚のようにパクパクとしか動かせない口、あるいは喉が思うままに動くはずもなく、段々と胸のあたりで増してゆく気持ちの悪い苦しさがいずれ胃液を逆流させることを悟らせる。

 

 

 

 

 ──そして、それら全てが多幸感(しあわせ)で塗りつぶされた。

 

「ふぅっ──、ふぅっ──、は、うぁぁ……」

 

 身体が苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくてたまらないのにのに、汚穢(おわい)のあらゆるを煮詰めたかのような黒く茶色く濁りきった心が、さも己は純白であると言わんばかりに舞い踊る。

 

 つらい辛い、ちがう、これは、幸せしあわせしぁわせ。

 どっちどっちどちどちどち、どちどちどちどっち?

 

 視覚ははたらかない。火花が散るように、チカチカと脳を埋める信号で片っ端から埋められてゆく。

 身体の、きっと(はら)のあたり。何かが触れているような感覚がして、あたたかくて、きっとそれが全ての原因で。

 

「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、ハッ、ハッ、ハッ」

「……耐えよ、人の子。もう少し、もう少し……」

 

 だれかのこえがきこえる。

 

 不快感(しあわせ)

 嘔吐感(しあわせ)

 倦怠感(しあわせ)

 圧迫感(しあわせ)

 閉塞感(しあわせ)

 絶望感(しあわせ)

 孤独感(しあわせ)

 孤独感(しあわせ)

 孤独感(しあわせ)

 

 ……

 

「……あと10分」

 

 ガチガチガチと頭の中で響くような雑音。

 なんだこれはと一瞬頭をはたらかせれば、己の歯が勝手に震え動いているのだと気付く。

 そして現状についての情報を処理した脳が即座にアラートを出し、存在すること自体が苦しくなるほどの絶望感(ぜつぼうかん)に襲われる。

 

「はっぁ、ぁ、ぁ、ぁぁあああアア──」

 

 なみだがとまらない。

 楽になるために、すぐにまた意識を手放し、絶望感(しあわせ)に身を任せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んにゃ、ぁれ、終わってましたか」

「半刻ほど前にな。今日も今日とて、ご苦労なことじゃ」

「やっぱそのくらいは意識飛んだままですよね……。ルーナこそ、いつもありがとうございます」

 

 縁側でうたた寝をしていたら夕方になって目が覚めたときのような、心地良くも時間の跳躍に驚く感じ。

 ルーナの腕の中に包まれたまま意識を取り戻した。

 お互い全裸だが、別にそういうアレでなく、肌の密着を増やすためである。ムラムラはする。でも手伝ってもらっている身分で襲うとかできない。

 

 どうして肌を密着させるのかと問えば、ひとえに──魔法のため、だ。

 

 

 

 

 ヘリオがルーナに乗っ取られて7年と少し。

 もはや非憑依時に関わった時間のほうが短く、直接接した時間を考えてもルーナの方が長いだろう。

 ルーナの仮依代を作ってヘリオに表層に出てきてもらえるのは1日1時間くらい。それ以上耐えられる依代を作ることもできるのだが、今度はそれでヘリオとルーナの定着に問題が生じてしまうらしい。

 

 魔法についてルーナに教えを乞うて、常日頃から行うよう指示された「観測」と「分析」。観測は、少なくとも自分の魔力に関して。

 では毎度ここに何をしに来ているのかと言うと、ルーナがいなければできないことをするためだ。

 

 曰く、知識量なんてどうとでもなるから、最後にモノを言うのは保有する魔力量と入出力可能な魔力量だ、と。

 

 しかし、魔力量というのは普通変わらないのではないか。親からの遺伝と理解していたが。

 そう問えば、返ってきたのはその通り、という返答であった。

 

 たとえば身長や体重は遺伝に由来するところが大きい。筋トレだのなんだので変動することはあるが、それで人外の領域に達するか? と問われればそんなことはない。筋トレで象より大きくなった人類はいないだろう。

 魔力もそれと変わらない。魔法を使えば使うほど増すこともあるだろうが、それは微々たるもので、僕がヘリオに追いつくにはまるで意味がないと。

 というか、ヘリオお前人外の魔力量持つのかよ。

 

 それはさておき。

 じゃあ人外になるにはどうすればいいか。扱える魔力量を増やすにはどうすればいいか。

 肉体で言えば、身体の保有する血液量を増すにはどうするか。

 血管、太くすればいいじゃん、と。

 

 いやそうはならんやろ、と唱えた。

 血管太くして、人外の、頭の悪そうなことを言えば1億リットルの血液を保有はできんやろ、と。

 

『それは、肉体の物理的な、場所的な限界があるからじゃ。じゃが、魔力は物質的な限界がない。いくらでも広がるし、いくらでも重なる。まあ原理的にで、実際は広げ過ぎたら切り離されるがな』

 

 そんなわけで。

 魔力にとって血管に当たる部分を太くしましょうということになった。

 

 必要な技術は多岐にわたる。

 自身の魔力を体内で巡らせられること。自分以外、特に空気中の魔力と自身の魔力間の入出力が可能であること。魔力を巡らせる部分(血管にあたるとこ)を微小量拡張できること。その分の負担を癒せるだけの治癒をおこなえること。加えていい変化の限界を見極められること。変化に伴う被験者への精神的な負担を、脳の回路や分泌される物質にアクセスしてなくせること。などなど。

 僕はこの内、一番はじめのしかできない。まぁ、周囲の魔力塊を食べれば魔力の入力はできるんだけど、それはあまりに使い勝手が悪い。

 

 一般的なエルフではひとつもできない(そもそもやらないし、やろうという発想にならない)技術を、ルーナはまるで地面に落書きでもするかのように簡単にやってしまう。

 彼女曰く、高等なことかもしれないが、必要な魔力の量は少ないからヘリオ(この体)でもできる、とのこと。

 僕の体に触れて彼女の魔力の残滓を扱い、それによって周囲の魔力を自身の擬似的な魔力として振る舞わせ、前述した「作業」を行なう。控えめに言って頭おかしい。

 

 ここまでの話がよく分からなかった人のために血液量に例えて今北産業しておくと、

 ・他の生き物の血も流し込んで無理やり血管拡張。

 ・痛みは脳の快楽物質(ドーパミンとか)を操作して全部幸せに変換。

 ・血液タンク人間レインの完成。

 といった具合である。特に二行目頭おかしい。MADを感じる。

 

「それより、いつまでひっついておるんじゃ。動けるようになったなら離れんか」

「えー……」

 

 邪険な扱いをされる。ひどい。

 

 正直、今の記憶としては「作業」中は幸せだったはずなのだが、実際にはルーナも罪悪感を覚えるほどの苦しみ方をしているらしい。まあこの神、結構人道的な方ではあるのだろうが。

 だからなのか、終わってからもしばらく意識が飛んでいるらしく、意識が戻った後もどこか倦怠感を覚える。体力的には癒やしてるのだからありえないとして、おそらく精神的なものだ。

 涙とか鼻水とかよくわからん液体とか、僕が寝てる間にルーナが毎度綺麗にしてくれているらしい。なんだこのエセ女神、アフターケアまでばっちりかよ。

 ちなみに、さっき挙げた必要な技術リスト以外にも、僕が暴れないよう手足を弛緩させる魔法を使っていたりする。これは僕も少しなら真似できる。脳の回路ではなく、筋肉周辺の信号のやり取りをしている部分を妨害する感じだから、真名を知る必要もない。

 

「もうちょっとこのままでも良いですか? これ、あったかいし気持ちいいんですよ」

「まったく……」

 

 互いの肚をピッタリと合わせ、他の部位もなるべく触れ合うように抱きしめられたままの姿勢。

 「作業」後に僕が意識を失ってからこうして暫く経つまで、ルーナはこうして僕の魔力をゆっくりと循環させてくれる。

 傷跡を優しく撫でるようなものだ。僕の何倍も繊細な操作で、わずかに止まっていないと分かる程度の速さで魔力を巡らせる。「作業」と違って無理矢理何かに変化を加えるようなものではないから、身体への負担は生まれない。

 

 というか、最初にこの場所でルーナと出会った時にあったように、魔力を適切な速さで巡らされるというのは、時に性的快感すらもたらす。

 

 珍棒を撫でる速さだと思ってくれればいい。

 触るのがすごい上手な娘に、ほぼほぼ動かさないくらいでも撫でてもらえば気持ち良いだろうし、リズミカルに(こす)られたら腰が砕けるような快感を味わうだろう。そんな経験なかったけど。

 

 まあ、今はゆったり撫でられてるくらいで。

 ルーナは髪を指で梳いたりもしてくれて。

 

 うららかな陽射し、午後のとろけるような優しい空気が、いそいそと上瞼と下瞼のお見合いの準備を始めた。あるいは、テントで野営準備。

 有り体に言えば、眠くなってきたでござる。

 

「るぅ、なあ」

「なんじゃ。眠そうな声をして」

「ねむいんですょ……。このまま、お昼寝していいですかぁ?」

「お主……自分勝手が過ぎんか?」

「いゃならこのままそこらへんに転がしといてください……でも、いっしょにお昼寝、だめですか?」

 

 まどろみながら喋っているので、いつもより多少子供っぽい口調になる。

 ルーナは百面相をしてから、ため息をついた。

 

「嫌でないというのが、情けない」

 

 なんか言った。

 そろそろ瞼のお見合いが始まりそうで、何言われたかよくわからん。

 たぶん、お昼寝、おっけーってことかと。

 

 じゃあ、午睡(シエスタ)させてもろて。

 

「あ、そうだ。転生のこと、はなしても、いいですか」

「は!?」

 

 あぶない。わすれるとこだった。

 きょうはこれ言うもくてきでもあった。

 

「かぁさまと、とぅさまと、あるまに」

「ふむ……」

 

 眠い。寝たい。寝よう。

 

「まあ、それはそれで、メス堕ちが美味しく(シコリティ高く)なるか?」

 

 なんか言っとるきがすはろげんかるこげん。

 わからん。寝よ。ねましょ。おねんね。

 

「ね、るぅな。おきてから、へりおもいっしょに、さんにんでもっかい、おひるねしよぅね」

 

 起きて、泥人形作って、ルーナ憑依させて、3人でもっかいお昼寝。

 お昼寝がしたいきぶんぶんぶんはちがとぶ。

 3度寝まではセーフって、聖書にもかいてあるから。たしか。

 

 もう上瞼さんと下瞼さんのお見合いは終わっていて、熱愛ぶりを発揮している。ぼくとかあさまに負けず劣らず。やるな。

 二人の仲を断つわけにもいかないから、僕は目を閉じたまま口だけにへらと動かして、おやすみ、とルーナに言った。

 

「しかし、勇者に渡すのが惜しくなってきたやもしれん」

 

 

「なあ? 宿主」

『──ああ、本当に』




〜3時間後くらい〜
レイン「zzZ…( ˘ω˘)スヤァ」
ヘリオ「zzZ…( ーωー)スヤァ」
ルーナ「zzZ…( _ω_)スヤァ」

**連絡欄**
ついったにちょっと上げましたが、誰も描かないので支援絵(自給自足)として幼少期レインのデフォルメをざっくり描きました。
レインデフォルメ表情差分(別タブで開かれます)
森人日常編くらいまでの範囲です。イメージと違った場合は各人の今までのイメージのまま読み進めて下さって大丈夫です。
髪色と、目の色がこんな感じっていう。髪の彩度もうちょい低いかも。

レインが転生等々について打ち明けた際の母様の反応

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